新型コロナウイルスの影響で、オープンしたラーメン店が40日で閉店
「2020年3月に事業譲受という形で静岡県にラーメン店をオープンしたのですが、コロナの影響で閉店してしまったんです。その後、コロナに影響されない新たな事業を模索したのですが、なかなかないんですよね……。そんな時にふと、2018年にテレビ番組で放送されて気になっていた『ガッツレンタカー』のことを思い出して、事業説明会に参加したんです。コストの安い軽自動車を活用していたり、長期レンタルに特化している点、エリア制を導入している点などに魅力を感じて加盟することにしました」(宇都木オーナー)
そう話すのは、2020年にガッツレンタカーのフランチャイズに加盟し、神奈川県で2店舗のガッツレンタカーを運営している宇都木オーナー。株式会社フードスターの代表取締役を務める人物でもあります。
「2016年に会社員を辞め、不動産賃貸業やコンサルタントを事業内容とする『株式会社アスタリスク』を静岡県で立ち上げました。その後、ラーメン店をオープンするために株式会社フードスターを立ち上げたので、いまはふたつの法人を運営しています」(宇都木オーナー)
新型コロナウイルスの感染拡大で、窮地に立たされている飲食業界。メディアでは連日、時短営業や営業自粛の影響などによる飲食店の悲痛な叫びが報道されたりと、多くの飲食店が窮地に立たされています。帝国データバンクが発表した「2020年度の飲食店事業者の倒産動向調査」によると、酒類を提供する居酒屋やビアホールの倒産は2000年以降でもっとも多く、新型コロナウイルスが飲食事業に大きな影響を与えていることは明らかです。
「開業したラーメン屋はタイミングが悪く、オープンしてすぐに緊急事態宣言が発出されてしまって……。わずか40日で閉店することになりました」(宇都木オーナー)
コロナの影響を受けないビジネスと感じて加盟
意気揚々とオープンしたラーメン店がすぐに閉店し、次なる事業を模索しはじめた宇都木オーナー。そこで基準となったのは、新型コロナウイルスの影響を受けないビジネスであること。しかし飲食業界に限らず、多くの業界が新型コロナウイルスの打撃を受けている状況です。
「いろいろ考えたのですが、コロナの影響を受けないビジネスなんてないんですよね。でも、ガッツレンタカーが『がっちりマンデー』で放送されたときから気になっていたんです。軽自動車の利用や整備方法など含めて『効率よく運営していける』と思っていました。コロナの影響は少なからず受けるとはいえ、ガッツレンタカーは観光ではなく日常利用が主な目的なので、運営できないほどの影響は受けないと感じましたね」(宇都木オーナー)
通常、レンタカーといえばレジャーや観光をターゲットにした短期利用が一般的です。一方、ガッツレンタカーでは普段使いや、社用車としてビジネスでの利用が主な目的で、レンタル期間も1週間や1ヶ月などの中長期に及びます。利用者にとってはガッツレンタカーの車が生活必需品のひとつになるので、新型コロナウイルスの影響をほとんど受けないと言えるのです。
実際、ガッツレンタカーの2020年の業績を見てみると、ほかの業態には類を見ない成長率を遂げているのが分かります。たとえば、売上は前年比で約102パーセント、新店舗が約50店舗もオープンするなど、コロナ下にもかかわらず大きな成長を遂げているビジネスなのです。
「本当は、ラーメン店を閉店してから1年くらいはフードスターを休ませようと思っていました。でも、ガッツレンタカーのオンライン説明会に参加し、『コロナ下でも運営していける』と感じて加盟することにしました」(宇都木オーナー)
オープンから3ヶ月目には目標売上の130%を達成
そうして、ラーメン店の閉店から半年の期間を経て、2020年10月29日に1号点となる「ガッツレンタカー海老名店」をオープン。静岡に拠点を構える宇都木オーナーですが、なぜ神奈川県海老名市にオープンしたのでしょうか。
「静岡でオープンしたかったのですが、静岡県内はオープンできるエリアがすべて埋まってしまっていて……。そこで別のエリアを考えた時に、本部からこのエリアだったら空いているというお話をいただきました。以前茅ヶ崎に住んでいたこともあったので、神奈川にゆかりがあったんです。海老名駅周辺は開発が進んでいて、住みたい街ランキングでも神奈川県でトップ3に入るほど人気の街。なので、海老名にオープンすることにしました。ちなみに現在は、静岡と海老名の2拠点生活です」(宇都木オーナー)
ガッツレンタカーでは、フランチャイズオーナーの商圏を守るためにエリア制を導入しています。ゆえに、希望の商圏にすでにガッツレンタカーの店舗があると、新たにオープンすることはできません。
「当初の希望エリアではありませんでしたが、エリア制を導入しているのはガッツレンタカーに加盟した理由のひとつです。エリア制ならドミナント戦略をとっているコンビニなどと違って、すぐ近くにガッツレンタカーがオープンすることもないので、安心して運営していけますからね」(宇都木オーナー)
安心して運営できるとはいえ、この先も続くであろう未曾有の事態に誰もが不安を抱える毎日……。オープン後に「ガッツレンタカー海老名店」を訪れる利用客はいたのでしょうか。
「オープン前後に折込チラシを5万部配布したりポスティングしたり。販促をしたのですが、オープンして最初の1ヶ月は暇な日もありました。その時の売上は目標に対しては80%くらい。でも、オープンから1ヶ月後の12月に入ったら急激に忙しくなり、貸出する車が足りなくなるほど大盛況でした。年末は繁忙期というのもありますが、大家さんに交渉して敷地内で洗車の許可を得たり、自転車置き場を確保させてもらったり。営業効率や顧客満足度が上がった結果、目標に対して130%の売上を達成しました」(宇都木オーナー)
リスクヘッジを目的に加盟からわずか5ヶ月で2号店をオープン
「ガッツレンタカー海老名店」のオープンから5ヶ月後、2021年3月には2号店となる「ガッツレンタカー座間駅前店」をオープンした宇都木オーナー。ガッツレンタカーでは多くのオーナーが多店舗運営しており、1店舗目のオープンから半年ほどのタイミングで2号店をオープンするのも珍しいことではありません。
「リスクヘッジを考えて加盟前から多店舗展開は見据えていました。1店舗目の海老名店と2店舗目の座間駅前店で商圏は被るのですが、スタッフや車、駐車場を両店で共有することで固定費を下げられますからね。予約や返却の状況を見て、スタッフや車を両店配置するなどしてローコストで運営しています。2店舗を合わせて売上と経費を計算していますが、現状、損益分岐点をぎりぎり超えるくらいの業績ですね」(宇都木オーナー)
2店舗ともまだオープンして1年も経っていない状況で、すでに損益分岐点を超えていると話す宇都木オーナー。実際、どういった利用客がガッツレンタカーを訪れるのでしょうか。
「海老名店は長期レンタルが多く、座間駅前店は短期レンタルの方が多い印象です。コロナで電車を使いたくないからと通勤目的で利用されたり、お子さんの送り迎え用にレンタルされたりしていますね。コロナだからこそレンタカーを利用される方がいらっしゃる一方、観光目的の場合はコロナを理由に予約をキャンセルされる方もいらっしゃいます」(宇都木オーナー)
ほかの多くのレンタカー店では、ほとんどが観光需要のため、新型コロナウイルスを理由にレンタカーを利用する人はほぼいない状況です。一方、24時間2200円の格安料金でレンタルできる「ガッツレンタカー」は日常利用がしやすいため、新型コロナウイルスを理由にレンタルする人が多く、コロナ下でも売上を伸ばしているのです。
今後も店舗数を拡大していくとともに、1階にガッツレンタカーをテナントに構えた賃貸マンションの経営を視野に入れるなど、既存の事業との相乗効果も狙っている宇都木オーナー。新型コロナウイルスを理由に守りに入らず、この状況をチャンスに変えて走り続けてくれることでしょう。
※掲載情報は取材当時のものです。