はぐくみ弁当 佐藤オーナー
はぐくみ弁当plusのロゴ

コロナ下でメイン事業を就労支援事業へ、居酒屋経営者が掴んだ社会貢献と収益性への手応え

障害者を雇用し、宅配弁当事業を行なう就労継続支援A型のフランチャイズ。それが「はぐくみ弁当plus」です。このストーリーの主役である佐藤オーナーは、2008年に「旬彩ダイニング うみぼうず」をオープンしています。そんな彼が、なぜ福祉事業である「はぐくみ弁当(現:はぐくみ弁当plus)」のフランチャイズに加盟したのでしょうか。宅配数のリアルな推移やコロナ下の現状も含めて語ってもらいました。

障害者の雇用を創出することで、地域貢献できていると実感

佐藤オーナーが加盟したはぐくみ弁当は、弁当宅配事業と障害者の働く場所の創造を同時に可能
佐藤オーナーが加盟したはぐくみ弁当は、弁当宅配事業と障害者の働く場所の創造を同時に可能

「お弁当を作って『おいしい』と喜んで食べていただくのも嬉しいのですが、障害者の方に働く場所を提供できるのも『はぐくみ弁当』の事業の魅力のひとつですね。私の地元であり、弊社がある千葉県君津市にはそれまでA型事業所はなかったため、障害者の方に働く場所を提供できるようになったことで、少しでも地域貢献ができていると感じています。なかには、弊社のA型事業所から一般就労に移行された方もいますよ」(佐藤オーナー)

そう語るのは、2017年に「はぐくみ弁当」のフランチャイズに加盟した株式会社うみぼうずの佐藤代表。

「はぐくみ弁当」は障害者を雇用し、宅配弁当事業を行なう就労継続支援A型のフランチャイズです。売上のひとつとなる、行政から事業者に支払われる訓練等給付金は、就労支援を利用する障害者ひとりあたり月に12万〜14万円ほど。さらに、本部は法人向け宅配弁当トップクラスの実績を誇る「やどかり弁当」を展開。そのノウハウを「はぐくみ弁当」に総動員しているので、デリバリー事業だけで十分な収益が見込め、そこに給付金が加わることで、ダブルでしっかりと収益を得られるのが魅力のフランチャイズビジネスです。月間の利益が250万円を超えるオーナーも多く、1年半で投資回収できるケースも珍しくありません。

また、社会貢献性のある事業であることも「はぐくみ弁当」が注目されている理由のひとつ。現在、国内の障害者の数は940万人ほどいると言われています。今後ますます増えると試算されている一方で、障害者が働ける就労継続支援A型の数が全国的に不足しています。全事業所のおよそ7割が赤字で存続すらも困難ゆえ、新たな利用者を雇用できず、施設数も増えていないのが現状です。

そうした中で、社会貢献性と安定した収益のある事業として魅力がある「はぐくみ弁当」。いかにして佐藤オーナーは加盟し、現在に至ったのでしょうか。

既存の店舗を見学して障害者へのイメージが一変

障害者就労継続支援をする前に、法人向け宅配弁当「やどかり弁当」に加盟した佐藤オーナー
障害者就労継続支援をする前に、法人向け宅配弁当「やどかり弁当」に加盟した佐藤オーナー

佐藤オーナーは「はぐくみ弁当」のフランチャイズオーナーでありつつ、もうひとつの顔を持ちあわせます。それは「旬彩ダイニング うみぼうず」のオーナーです。

「2008年に地元の千葉県君津市に『旬彩ダイニング うみぼうず』を開業しました。いわゆる魚介がウリの和食系居酒屋で、平日は近くのビジネスパーソン、週末は家族連れのファミリーなど、おもに地元のお客さまにお越しいただいています」(佐藤オーナー)

「うみぼうず」がオープンするのは夕方の18時。昼の時間帯も収益化を図るため、開業から何年か経ってからランチ営業をスタート。しかし、思っていたような収益にはつながらず、ランチ営業に代わる次なる策を模索している時に出会ったのが、「まごころ弁当」のフランチャイズ本部が展開している法人向け宅配弁当の「やどかり弁当」でした。

「2店舗目をオープンして拡大する方法もありますが、新たに店舗をオープンするとなるとスタッフへの教育や料理のクオリティなど、管理が行き届かなくなる。しかも、投資額がかなりかかるのでリスクが大きいですからね。でも、宅配弁当なら店舗の厨房をそのまま使えるのでリスクを抑えて開業できる。しかも、『やどかり弁当』は実績のあるフランチャイズでシステムやマニュアルもしっかりしているので、私が店舗で付きっきりになる必要もないと思いました」(佐藤オーナー)

そうして、2015年に法人向け宅配弁当「やどかり弁当」のフランチャイズに加盟。昼は「やどかり弁当」、夜は「旬彩ダイニング うみぼうず」の二毛作で事業を展開していた佐藤オーナー。ポスティングやファックスDMなどの地道なマーケティング活動はもちろん、口コミによって宅配数も順調に増加していきます。

「一般企業はもちろん、病院や市役所、郵便局、クリニックなどからご注文いただくことが多いですね。加盟当初は『月50食いけばいいかな』くらいに考えていたのですが、すぐに100食に到達し、開業から3年くらいで350〜400食まで増えました。このくらいの食数になると、居酒屋でランチ営業をやるよりも収益は得られていましたね」(佐藤オーナー)

加盟から3年が経とうとしていた2017年、またしても佐藤オーナーに大きな転機が訪れます。「はぐくみ弁当」へのフランチャイズ加盟でした。

「はぐくみ弁当のことはその前から聞いていて、ずっと興味はあったんです。弁当を作ってお届けするのもやりがいですが、それにプラスで障害者を雇用できるので社会貢献にもなる。富山の加盟店オーナーさんのところに見学に行かせてもらったら、それまでイメージしていたのとまったく違って。障害者の方ということでちゃんと働けるのか少なからず不安だったんですが、みなさんなんの問題もなく働いてらっしゃったんです」(佐藤オーナー)

障害者を雇用することに不安を抱くこともあるでしょう。「障害者の雇用は大変そう」「うまくコミュニケーションを取れるのか、仕事が務まるのか不安」「そもそもビジネスとして成立するのだろうか……」など、多くの人がこのような不安を抱きます。

しかし就労継続支援A型は、障害を理由に一般企業を離職した人などが雇用契約を結んで働ける福祉サービスのこと。軽度の障害者に利用してもらうA型事業所なら、先に挙げたような不安要素は一切なく、佐藤オーナーのように現場を見てイメージが一変することも珍しくありません。

「はぐくみ弁当」に加盟後、半年も経たないうちにリニューアルして定員が2倍に増加

はぐくみ弁当の利用者さんとの交流も深い佐藤オーナー
はぐくみ弁当の利用者さんとの交流も深い佐藤オーナー

そうして、2017年に「はぐくみ弁当」のフランチャイズに加盟した佐藤オーナー。それまで「やどかり弁当」の弁当調理に使っていた「旬菜ダイニング うみばうず」の厨房から場所を移し、弁当事業用の施設「アレッタ」を2018年の年初に新たにオープンしました。

「就労継続支援A型事業は国からの認可を受けて開業します。本来、行政とのやりとりを素人がするのは本当に難くて、福祉事業は未経験で知識もなくて不安でした。でも「はぐくみ弁当」の本部のサポートがしっかりしているので、認可の手続きを含めてかなりスムーズに開業できましたね。ちなみにアレッタは、イタリア語で“小さな翼”を意味します。障害者の方がここから社会に飛び立ってほしい。そんな思いでアレッタと名付けました」(佐藤オーナー)

オープン後はハローワークや市役所、B型事業所などからの紹介により、1ヶ月に2人くらいのペースで利用者が増加。オープンから半年も経たずに定員の10名に到達し、敷地面積を拡大するためリニューアルを施すことになります。

「移転した当初は2階建てビルの1部屋からスタートしましたが、半年も経たないうちに2部屋に広げ、定員も10名から19名に増やしました。2018年の夏くらいだったと思います」(佐藤オーナー)

利用者数だけでなく、もちろん弁当の宅配数も右肩上がりにアップ。順調に事業を拡大させていきます。

「特別な営業活動をしているわけでなく、ポスティングやファックスDMなどを地道に続けているだけ。あとは口コミですね。大きな企業さんの場合、最初はひとつの部署だけで注文をいただいていても、部署移動などがあってどんどん他の部署に広がっていってくれるんです。それでオープンから順調に増え続けていますね」(佐藤オーナー)

それもそのはず、「はぐくみ弁当」は10年以上の実績がある「やどかり弁当」のノウハウを総動員してメニューを開発しています。野菜を多く使用しているだけでなく、カロリーや塩分など栄養成分もしっかり記載しているので、ヘルシー思考の方も満足のいく弁当を届けられます。

しかも、法人向け宅配弁当は大手企業の参入が少なく、競合となるのは地元の弁当店や給食センターなど。確かなデータに裏打ちされた「はぐくみ弁当」のポジティブな口コミが広がり、受注数が増えるのも必然といえるでしょう。

しかし弁当事業と居酒屋事業のふたつの事業を併走させていた佐藤オーナーに新たな試練が訪れます。それは、世界的に猛威を奮っている新型コロナウイルスの感染拡大です。飲食業界をどん底に突き落としたコロナウイルスは、佐藤オーナーにどんな試練を与えたのでしょうか。

コロナ下でも「はぐくみ弁当」が収益の柱に

就労継続支援の施設外就労として農作業をしている利用者さん
就労継続支援の施設外就労として農作業をしている利用者さん

「まず『旬彩ダイニング うみぼうず』は、ほぼ休業状態。最初こそテイクアウトでどうにかしようとあがきましたが、収益を得るには厳しくて……。でも、『はぐくみ弁当』が収益の柱となってくれたので助かりました。とはいえ『はぐくみ弁当』も2割くらいは売上が落ち込みました。法人向け弁当なので、コロナの影響でリモートワークが増え、出社の機会が減るとそれに伴って弁当の受注が減りますからね。こればっかりはどうしようもありませんでした。ですが今はコロナが落ち着いてきて、1日の食数は目標としていた500くらい。コロナ前の水準に戻っています」(佐藤オーナー)

そしてじつは、コロナの影響で売上が落ちている間、現状維持の選択をしなかった佐藤オーナー。居酒屋事業で空いた人手を新たな事業に投資。いったい、どんな事業をスタートしたのでしょうか。

「農業ですね。知り合いから300坪の土地を借りて15種類の野菜を作り始めました。就労継続支援には『施設内就労』と『施設外就労』の2種類あってそれぞれ雇用の上限が決まっています。定員が19名のアレッタの場合は、それぞれ19名の定員で雇用できるので最大38名の雇用ができるんです。なので、農業用に新たに雇用をし、今はそれぞれ14名で合計28名ほど雇用しています。始めたばかりなので今は野菜を作っているだけですが、今後は加工して野菜チップスとして売り出すなど、6次産業化を展開していく予定です」(佐藤オーナー)

未曾有の危機に瀕しても、決して守りの姿勢ではなく攻めに徹する佐藤オーナー。それができるのも、「やどかり弁当」や「はぐくみ弁当」など、居酒屋事業以外の収益の柱を事前に作っていたから。今後もポスティングやファックスDMで地道なマーケティング活動を行なって宅配数を増やしていくとともに、さらに障害者の雇用を創出するなどして地域に貢献してくれるはずです。


コロナ下でメイン事業を就労支援事業へ、居酒屋経営者が掴んだ社会貢献と収益性への手応え(2022.1.30公開)
※掲載情報は取材当時のものです。



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