“ある嘘”から志すことになった社長への道

「本当は、エックスモバイルに加盟するつもりなんてなかったんですよ」——そう笑いながら語るのは、「エックスモバイル豊岡店」の運営元である株式会社タカアキの宮岡明彦 代表取締役会長です。
2017年11月に兵庫県豊岡市にオープンした「エックスモバイル豊岡店」は、SNSを軸に少しずつ認知度を拡大。そして、地元情報誌に掲載するなどし、オープンからわずか8ヶ月後には総契約回線数を118まで伸ばすだけでなく、2018年内には黒字化する見込みだといいます。
2019年には鳥取県にもエックスモバイルのオープンを予定しているなど、全国に65もあるエックスモバイルの加盟店のなかでも、勢いに乗っている店舗として注目を浴びています。
そんなエックスモバイル豊岡店の運営元である「株式会社タカアキ」は、宮岡会長が小学5年生のときに発した“ある嘘”がきっかけとなって立ち上がることになるのです。
「『将来の夢』というテーマで作文を書く授業があったんです。でも、文章を書くのが苦手なうえ、当時は夢なんてなかったので『僕の将来の夢は』と書いたところで鉛筆が進まなくなって……。でも、何か書かないと終わらせられないので、そんな気はないのに『社長になって世界一周旅行をする』と書いたんですよ」(宮岡会長)
その場しのぎでついた、なんとも小学生らしい嘘……。「事なきを得た」と安堵しますが、この嘘が取り返しのつかない事態に発展します。
「後日、作文を添削してくれた先生から『宮岡くん、夢は一つにしなさいね』と言われたんですよ。その場しのぎでついた嘘に対し、なんでそんなことを言われないといけないんだって思いがあって……。そのひと言がトラウマのようにずっと残っていたので、その頃から『じゃあ、俺はいつか社長になってやる!』と意地になりました」(宮岡会長)
意図せず社長を志すことになった少年時代の宮岡会長……。大学生になってもその思いが脳裏にずっと焼きついていた彼でしたが、嘘に嘘を重ねざるを得ない事態が発生します。
「大学の友だちから『どんな会社を作るの?』と聞かれたんですよ。なんとなく社長になるつもりでいただけなので、そんなの考えてるわけないじゃないですか(笑)。でも、何か言わないといけないなと思い、近所にペンキ屋があるので、『ペンキの卸しの会社をやろうと思う』と、また嘘をついたんです」(宮岡会長)
30歳のときに広告代理店で起業

小学生のころについた何気ない嘘がひとり歩きしている状態……。とはいえ、それを現実のものとする使命を感じていた宮岡会長が大学卒業後に入社したのは、地元、豊岡にあるコピー機の販売会社でした。それには、将来的に社長になるためのある目的があったのです。
「社長になるために、4つのことを徹底しようと思ったんです。まず、その会社の社長がどんな人なのか、どんな事業をどれくらいの期間やっているのかを知ること。2つ目は豊岡市にある、道という道を覚えること。3つ目は敬語が話せるようになること。そして最後は、飛び込み営業ができるようになること。それで、3年経ったら退職しようと思って入社しました」(宮岡会長)
ろくにコピー機を売らず、この4つだけを徹底しておこなった宮岡会長。自身で決めた3年が過ぎると、次は看板屋の営業として新たなキャリアを歩むことになるのです。
「起業すること自体は決まっていましたが、どのような事業を起こそうか決めあぐねていたんです。なので、スキルを磨くために看板屋に転職しました」(宮岡会長)
そうしてキャリアを積み重ねていった宮岡会長でしたが、小学5年生のときについた嘘が30歳にしてついに現実のものとなるのです。
「それまでの経験を活かし、看板をメインにした広告代理店を立ち上げました。会社がある兵庫県豊岡市は、県内で一番大きな市。しかし、いっとき8.5万人ほどあった人口は、現在では8万人弱……。毎年1000人ほどいなくなるなど、過疎化が止まらないエリアでもあります。なので雇用を生み、人口の流出を止めたいという意味で、生まれ育った豊岡に会社を起こしたんです。でも、立ち上げると同時に、『こんな小さい事業をしていたら時間がもったいないからいつ次の事業を始めようか?』と考えてました」(宮岡会長)
現在は国内有名ブランドのバッグ製造を中心に、農産物を生産する「豊岡ファーム」や訪問リハビリマッサージの「ベンリー」など、じつに10ほどの事業を併行させています。
顧客データの収集による相乗効果を期待して「エックスモバイル」に加盟

そんな株式会社タカアキがエックスモバイルに加盟したのは2017年9月のこと。「エックスモバイルに加盟するつもりはなかった」という宮岡会長ですが、なぜ加盟に至ったのでしょうか。
「本部の木野社長とは、3年半前くらいに知り合って。2年間はずっと『格安スマホなんてよく分からないから加盟しない』と言っていたんです(笑)。ただ、事業をいくつもやってるので、エックスモバイルを通して顧客データを収集し、ほかの事業に活かせないか考えたんです。たとえば、お客さんと話しているなかで、唐突に勤務先を聞いても教えてくれるわけがない。でも、格安スマホの紹介をする流れで聞けば知ることだってできる。こうやって収集したデータを蓄積し、さらに事業を展開しようと考えています」(宮岡会長)
他事業との相乗効果を期待して2017年9月にエックスモバイルに加盟。10ほども事業を展開しているタカアキですが、スマホ事業ははじめてのこと。もちろん、社員も全員未経験でのスタートですが、それでも事業をスムーズに展開できているのは、フランチャイズの大きなメリットです。
そうしてオープンした「エックスモバイル豊岡店」のある場所は、1日に数十人程度しか人通りがないにもかかわらず、11月のオープンからわずか8ヶ月118回線の新規契約を獲得。2018年7月には、エックスモバイル本部が主催する「エックスモバイル勉強会」で全国の加盟店を代表して発表するなど、現在、注目されている店舗の一つです。
その躍進の背景には、「エックスモバイル豊岡店」を統率する大橋店長の活躍なくして語れません。スマホ事業は未経験ながらも店長に抜てきされた彼は、InstagramをはじめとしたSNSを駆使して認知度を拡大。複数の営業手法を徹底することで、順調に新規契約を獲得しているのです。エックスモバイル豊岡店の躍進を支える“ある営業手法”とはいったいなんなのでしょうか。
エックスモバイル豊岡店の成長を支える数々の営業方法

「これまでの8ヶ月間でエックスモバイル豊岡店が実施した営業手法は、『紹介』『SNS』『地域情報誌』『地域のイベント参加』『スマホ勉強会』『法人営業』『キャンペーン』『独自サービス』の8パターン。そのなかでも圧倒的に契約数が多いのは、契約者の家族や友人からの『紹介』です。全118契約のうち、紹介から発生した契約は84件。全契約の74パーセントが紹介による契約です」(大橋店長)
さらに、効果的なSNS運用、地域情報誌の活用などを掛け合わせることで、2018年内には黒字化を見込んでいるといいます。
「豊岡で発行している地域情報誌に、本来は掲載料5万円ほどするところを、無料で掲載していただけることになりました。実際、この情報誌を見てご来店いただくお客さまもいらっしゃるので、確かな効果を感じています」(大橋店長)
そして、エックスモバイル豊岡店の収益を手助けしているのは、iPhone修理の存在です。エックスモバイルでは、加盟店の希望によりiPhone修理といった付加サービスをつけることも可能。加盟前にiPhone修理に関する研修を受けられるので、未経験でも安心です。
エックスモバイル豊岡店では、3日ある開業前研修のうち1日はiPhone修理についての研修だったといいます。
「オープンからいままで、iPhone修理の件数は60件ほど。2018年4月から地域情報誌にiPhone修理のことを掲載してもらったら、iPhone修理のお客さまが増え始めました。豊岡市内では、iPhone修理に対応している店舗はエックスモバイル豊岡店を含めて2店舗だけ。スマホの保有率に比べて修理のできる店舗が少ないことから、遠方からも足を運んでご来店いただいています」(大橋店長)
そうして着実に収益を積み重ねた結果、2018年内には黒字化を見込んでいるエックスモバイル豊岡店。しかも、2019年には鳥取県にもう1店舗をオープンすることも見据えています。今後も新たな営業方法に挑戦し、加盟店の教育を担っていくことも計画中。加盟店という枠を飛び越えて勉強会や情報共有などをおこない、エックスモバイル全体を盛り上げてくれることでしょう。
※掲載情報は取材当時のものです。