好きなことを仕事にしたくてはじめたフットサル場の運営

「ベーグル&ベーグルシティは、政府が掲げる“すべての女性が輝く社会づくり”を目指し、地域に眠る女性の力を活かすことをコンセプトとしているフランチャイズです。私自身、このビジョンにとても共感し、今後は他店舗展開をすることで、多くの雇用を生んでいければと考えています」(金オーナー)
そう語るのは、愛知県の三河エリアでフットサルコート運営やサッカースクール・クラブを展開する株式会社ジョイフットの金漢才(キムハンジェ)代表取締役社長。2018年10月25日にフランチャイズ1号店としてオープンした「ベーグル&ベーグルシティ豊田高橋店」のオーナーを務める人物でもあります。
金オーナーがフットサル場の運営に携わるようになったのは、今から13年前のこと。あることがきっかけでした。
「小学3年生の頃からずっとサッカーをやっていたので、いつかサッカーに携わる仕事をしたいな、と。大学を卒業後に教師として3年間働いたのち、サッカーのコーチや審判のアルバイトをしながら、飲食店でもアルバイトをしていたんです。そんなときにフットサルコートの運営をしている知り合いから『運営してみないか?』とお声がけいただきました。2002年のFIFAワールドカップ(W杯)をきっかけにフットサルのできる施設が増えてきたタイミングだったので、将来性もあると思い、任せてもらうことにしたんです」(金オーナー)
そうして、念願だったサッカーに関わる仕事をするようになった金オーナー。運営を任された当初こそ1施設だけでしたが、その後は2~3年おきに数を増やし、現在では4つもの施設を運営するまでに拡大しました。
「フットサル場の全国展開などという壮大なことではなく、一緒にフットサルを楽しんだり、フットサルをすることで友だちが増えたり。とにかく、自分が好きなことを仕事にし、それを地域のみんなと共有したかったので、『地域密着』をコンセプトに運営しています」(金オーナー)
運営しているサッカーチームのために飲食事業を検討

フットサル場の運営をしながら、現在でも趣味程度にボールを蹴ることもあるという金オーナー。サッカーに携わる仕事ができ、昔からの大きな目標が達成できている状態ですが、じつは、もうひとつ叶えたい夢があったのです。
「もともと食べることが大好きで、いつか飲食店をオープンして自分の店を持ちたいと思っていたんです。飲食事業の業績が良ければ、弊社のサッカースクールやFCジョイフットのこどもたちに差し入れをして、よろこんでもらうこともできる。そういうのもあり、4年くらい前から飲食事業をスタートさせようと考えてたんです」(金オーナー)
好きなことを仕事にしたい——誰もが一度は考えることがあるでしょう。しかし、それを現実のものにするのは決して簡単なことではありません。そんななか金オーナーが実現できたのは、ある目的があったからなのです。
「フットサル場の運営をしながら、僕も所属している『FCジョイフット』というサッカーチームを運営しています。そのチームは利益を生まないので、チームを継続していくためにも、そして、子どもから大人まで安心してサッカーができる環境を作っていくためにもスポンサーが必要かな、と。でも、小さいチームでスポンサーを集めるのは大変なので、飲食事業で出た利益をチームに投資したい。そういう思いで飲食事業を検討し始めました」(金オーナー)
とはいえ、飲食店でのアルバイト経験こそあるものの、事業としては未知の領域です。「オリジナルでの開業も考えたし、知り合いに飲食店経営者がいるので、聞きながらでもやろうと思えばできた」という金オーナーですが、最終的にフランチャイズを利用した開業に的を絞ったのには理由がありました。
「飲食店を営んでいる知り合いもいるので、アドバイスをもらいながら資金を抑えて始めることもできたんですが、ノウハウや集客力、そしてスピーディーに立ち上げられるという点でフランチャイズでの開業に絞りました」(金オーナー)
検討した100近くの飲食FCから「ベーグル専門店」を選んだ理由
「飲食店とはいっても、居酒屋やたこ焼き屋やレモネードの専門店など、100社近くのさまざまなフランチャイズ本部を検討しました。何かひとつを選ぶ際は、多くの比較対象から絞ったほうが絶対にいいな、と」(金オーナー)
街を見わたせば、多くの飲食系フランチャイズチェーンが軒を連ねています。それほど多様化している飲食系フランチャイズのなかから、彼はどのようにして「ベーグル&ベーグルシティ」に絞っていったのでしょうか。
「いろんなフランチャイズの情報収集をしていたんですが、HPだけでは詳しく分からなくて、ベーグル&ベーグルシティにメールで問い合わせをしたんです。フットサル事業を運営している会社ですし、問い合わせても相手にしてもらえないと思ったんですが、ベーグル&ベーグルシティは返信のレスポンスが良く、質問に対しても真摯に回答していただきました。印象もとても良かったので、一度詳しくお話を聞かせていただくことにしたんです」(金オーナー)
将来ビジネスパートナーになるかもしれない相手だけに、レスポンスの早さや真摯な対応は、加盟を検討する理由のひとつといいます。
「話を聞いたら、愛知県内のベーグル&ベーグルは名古屋市内に2店舗あるだけ。その名古屋の店舗は10年以上も愛されていることを聞いて、愛知県の人たちがベーグルを受け入れてくれてるんだ、と。いま流行りのロールアイスとも迷っていたんですが、それを聞いてブランド力、安心感があるベーグル&ベーグルに加盟したい思いが強まりました。そして、2018年2月に静岡県三島市にベーグル&ベーグルシティの1号店がオープンするということで見にいったら、長蛇の列ができてましたし、雰囲気も良かったですね」(金オーナー)
ベーグル専門店としてトップのシェアを誇る「ベーグル&ベーグル」。東京都新宿区に1号店が誕生して以来、デパートや駅ビルなどの超高額賃料の一等地に出店を続けてきました。そんなベーグル&ベーグルが、従来の商業施設ではなく路面店を中心に姉妹ブランドとして展開するのが「ベーグル&ベーグルシティ」。都心部でしか買えなかったベーグルを「日常使いしたい!」という地域のニーズにこたえて誕生したブランドなのです。
大盛況の開業初日! FC1号となるベーグル専門店の手応え
そうして、フランチャイズ1号店として2018年10月25日にオープンした「ベーグル&ベーグルシティ豊田高橋店」。店長には、それまでフットサル事業でアルバイトをしていた女性を抜てき。これには金オーナーとベーグル&ベーグルシティが掲げる“女性が輝く社会づくり”の実現があったのです。
「フットサル事業でバイトをしていたスタッフとの普段の会話のなかで、ほかに何かやりたいことを聞いたら、『カフェで働いてみたい!』と言ってたんです。なのでベーグル&ベーグルシティの開業を決めた際、そのスタッフに店長として働いてみないか聞いたら、『やってみたい!』と即答だったので、この子になら任せられるな、と。自分が好きでやっている事業で、雇用を生み出せるというのはうれしいですね」(金オーナー)
これまで直営店としてオープンしてきた「ベーグル&ベーグルシティ」4店舗は、オープン初日から長蛇の列を作るほどの反響を呼びました。その4店舗と同じように「ベーグル&ベーグルシティ豊田高橋店」は、駅近の一等立地でもなければ、賃料の高いファッションビルや百貨店といった商業施設に位置しているわけでもありません。果たして、三河エリアでもベーグルは受け入れられたのでしょうか。
「開店初日は10時オープンだったんですが、9時の時点で5人、10時になると25人が店の前に並んでいて、これだけ楽しみにしていただいていたんだ、と。その後も長蛇の列で、1時間待ちという時間帯もあり、ブランド力を実感しました」(金オーナー)
オープン前には2万部の折込チラシを撒いただけでなく、地域情報誌に掲載して周知活動を行った結果、オープン日だけで560組にものぼる来店数を記録。さらに、他のベーグル&ベーグル店舗の1人あたりの平均購入数が3〜5個に対し、ベーグル&ベーグルシティ豊田高橋店では10個や20個と大量買いする方も多かったといいます。
「皆さんの期待が高くて、ベーグル&ベーグルとしても駐車場のある店舗は今回がはじめてらしいんですが、ほとんど満車の状態が続いていましたね。もちろん遠方からだけでなく、ご近所の方やフットサル事業で知り合った方にもご来店いただけたりと、ブランド力だけではなく、地域密着の店舗作りができそうだと実感しています」(金オーナー)


まだまだオープンしたばかりですが、20年以上にわたり築き上げてきた「ベーグル&ベーグル」のブランド力を武器に、確かな手応えを感じている金オーナー。フランチャイズ1号店としてお手本になるような店舗を目指しながら、同じ三河エリアで複数店舗展開も見据えているといいます。
「今後は店舗以外にもいろいろと展開して行きたいと思い、フットサル事業のほうで開催するスポーツイベントなどにも、催事として出店させてほしいと本部に提案しました。快く許可してくれましたし、本部の方々も一緒に未来を見てくれているので面白いですね」(金オーナー)
ただ店舗を増やすだけでなく、フットサル事業のノウハウも活かしながら、両方の事業をリンクさせていくことを考えている金オーナー。ベーグルを身近な食べ物として地域の方々に食べてもらうだけでなく、女性がいきいきと働ける場所を増やすことで、地域に貢献していきたいと考えています。
※掲載情報は取材当時のものです。