中小企業診断士を取得したことをきっかけに独立を意識
「銀行員時代、住宅ローンを払えなくなって相談に来るお客さんをたくさん見てきたんですが、その方たちに何もしてあげられなかったという、その『後悔』が、私をエールプランナーに加盟させたんです」(奥井オーナー)
そう語るのは、2018年8月に「住宅ローン難民エールプランナー基地」に加盟した奥井オーナー。銀行員として、33年のキャリアを歩んできた人物です。
大学卒業後にりそな銀行に入社し、その後は窓口業務や融資の新規営業をはじめ、さまざまな業務を経験。そんな彼が独立を意識したのは2000年ごろ、ステップアップの一環として「中小企業診断士」の資格を取得したのがきっかけでした。
「2017年に出向することになって、その1年前からコンサルタント会社への出向を希望していたんですが、蓋を開けてみたらシステム会社への出向でした……。じつは中小企業診断士を取得したときに、将来的にはこの資格を武器に独立をしようと思っていたので、ちょうど潮時だと思い、33年間勤めてきたりそな銀行を退職し、独立を決めました」(奥井オーナー)
不動産関係のコンサルタントとして独立
奥井オーナーが株式会社寿コンサルティングを立ち上げ、コンサルタントとして独立したのは2018年5月のこと。現在でこそ不動産関連で事業を展開していますが、当初は、飲食業界を専門にする予定でした。しかし、飲食系のコンサルタントの先輩から、市場が飽和状態にあることを聞いて不動産関係にシフト。もともと銀行員時代から不動産関連に関わる機会が多かったこともきっかけだったといいます。
「銀行員時代、不動産を仲介した会社の社長からとても感謝されたんですよ。『君に会えて良かった、こんな提案をしてくれた銀行員は、君が初めてだよ』と。そもそも不動産の仲介をすることで、こんなに感謝してもらえると思っていなかったので、嬉しかったですね」(奥井オーナー)
その後も多くの不動産を自身の目で見て、経験も積み重ねていきました。
「年商が100億ほどもある大手の不動産会社も担当していたんですが、建売の住宅を扱っていて、常に土地を探しているような会社だったんですよ。稟議を通すために年がら年中数えきれないほどの不動産を、1年間くらい休日を削って自分の目で見て提案していました」(奥井オーナー)
そうして培った不動産関係のノウハウをもとに、不動産会社の経営者をターゲットとした、資金調達に関するコンサルタントとして独立した奥井オーナー。
「簡単にいうと、融資を受けやすくするようにコンサルティングしています。バブル崩壊やリーマンショック後は、不動産会社が一番お金を借りづらいんですよ。不動産会社というのは借りる金額が大きいので、銀行はお金を貸したがらない。そういう時でも融資を受けられるようにコンサルティングをしています」(奥井オーナー)
銀行員時代に救えなかった住宅ローン難民を救いたい
そんな彼が「住宅ローン難民エールプランナー基地」の存在を知ったのは、ある一通のメールがきっかけでした。
「私が非常に信頼している先生から、『住宅ローン難民エールプランナー基地』の業務内容を紹介するメルマガが送られてきました。それを見た瞬間に、個人の住宅ローンの営業をしていた当時のことが蘇ってきたんです。『住宅ローンを返せません』と言って銀行を訪れた方々に対して何もできなくて悔しい思いをしたので、あのときのことは一生忘れられないですね。住宅ローン難民エールプランナー基地なら、この人たちを救えるはずだ、と」(奥井オーナー)
そして、ローンの返済に困る人がいるのは「銀行員が本来やらなければいけないことをしていないから」と振り返ります。そのやらなければいけないこととは、いったいなんなのでしょうか。
「変動金利で住宅ローンを組んでいる場合、急激に金利が上昇すると、利息の額が毎月の返済額より多くなることもあります。こうなってしまうと、返済しても元金が減らずに金利だけを返済しているような状態になり、結果として、住宅ローン難民が増えてしまいます。本来はきちんと事前に説明をしなければいけないと思うんですが、説明したら誰も借りたがらないので、銀行員はローンを組もうとしている人に説明をしていないんです」(奥井オーナー)
その後悔を忘れられずにいるという奥井オーナー。しかしこの「住宅ローン難民エールプランナー基地」であれば、こういった後悔の念を晴らせるといいます。
住宅ローンエールプランナー基地の輪を広げて社会問題を解決
「住宅ローン難民の中には、金利の変動以外にも、病気になったり会社をクビになったりして返済できなくなる人もいます。そういった方々に対して、競売ではなく任意売却を提案するのがエールプランナーの仕事のひとつ。本来であれば、エールプランナーの仕事は銀行員や住宅を販売したハウスメーカーの人たちがやらなければいけないことですが、彼らの利益にはならないですからね。まずは私がエールプランナーとして成功することで、利益を得られる立場である不動産屋に『やってみたい』と思ってもらい、そこから少しずつでもエールプランナーの輪を広げてきたいですね」(奥井オーナー)
将来的には銀行や信用金庫と提携することも視野に入れているという奥井オーナー。フランチャイズ加盟店でありながら、住宅ローン難民エールプランナー基地の今後の発展も視野に入れているのは、銀行員時代に住宅ローンの返済に困っている人に対し、なにもできなかったことを今になって後悔しているだけでなく、その問題の解決を使命として捉えているから。そして住宅ローンの返済に苦しむ個人の問題だけではなく、社会問題だと奥井オーナーはいいます。
「エールプランナーは住宅ローン難民だけではなく、じつは不動産会社も助けられるんです。だって、競売になると不動産の価格が市場価格の60%くらいに下がるじゃないですか。そうなると、不動産会社だけではなく、建築会社、リフォーム会社も全部影響を受けてしまいますからね。でも、競売ではなく任意売却にできれば不動産の価格が必要以上に下がらないようにする効果もあるんです」(奥井オーナー)
東京オリンピックがある2020年ころには金利が急激に上昇し、住宅ローン難民が増加すると予想している奥井オーナー。それまでに自身がエールプランナーとしての土台を作るのはもちろん、コンサルタントとして関わった不動産会社や銀行員時代の同僚・後輩を誘うなどし、まずは自分の周りからエールプランナーの輪を広げていきます。
※掲載情報は取材当時のものです。