投資回収1年以内を見込めるシュラスコ専門店「アレグリア」
「これまでいろいろな飲食業態を経験してきましたが、お客さまからこんなに『ありがとう』って言ってもらえるのはシュラスコくらいじゃないですかね。確かに参入しにくい業態ではあるんですが、オペレーションや味さえ徹底すれば、お客さまは絶対に喜んでくれる。働いている従業員もこれだけ幸せになれる業態って、シュラスコ以外にはなかなかないと思いますよ」(畠中代表)
そう語るのは、シュラスコ専門店の「アレグリア」をフランチャイズ展開する合同会社HapyResの畠中代表。2017年に新宿で1号店をオープンしてから、2年間で5店舗を立て続けにオープン。今後の出店計画も次々と進めています。
「これまでオープンした5店舗は、ほとんどが二等立地や三等立地。1店舗目の新宿店は、新宿の中でもお店が少ない新宿御苑のあたりにある、隠れ家のようなお店なんです。物件を見にいったときに、人通りがほとんどなかったこともあり、従業員から『この場所で大丈夫ですか?』っていう声もありました。それでも初月から黒字で、オープンから10ヶ月で総投資回収できました」(畠中代表)
独立・開業をする際にネックとなるのが初期投資。とくに飲食系で独立をする場合、決して安くはない投資をしてオープンするのが一般的です。そのため、どれくらいの期間で初期投資を回収できるのかという点は、フランチャイズオーナーにとっても大きな不安材料となっているのです。
「なかには、オープン前に投資回収が終わってしまう店舗もありました。その秘訣はクラウドファンディングを活用して資金を調達しているから。もちろん、初期投資の全額を調達できるわけではありませんが、それでも、1店舗目の新宿店をオープンする際は300万円ほど集まりました。このようにアレグリアではクラウドファンディングを駆使し、資金の回収を早めています。つまり、リスクを抑えて開業できる。これがほかのフランチャイズと大きく違う点かもしれませんね」(畠中代表)」
才能がないことを自覚し、努力を積み重ねた修行時代
畠中代表が飲食の世界に足を踏み入れたのは、大学を卒業した22歳のころ。今となっては、居酒屋やレストランを中心に全国展開している大手飲食系の会社に入社しました。
「最初はダイニングバーのキッチン業務からスタートしたんですが、2〜3ヶ月間は洗い物しかさせてもらえなくて……。同期のみんなはすぐ店長になって活躍してたのに、店長になるまで2年半くらいかかりました」(畠中代表)
当時のことを「出来損ないだった」と振り返る畠中代表ですが、店長になるまでの2年半という期間は、のちの彼にとって大きな糧となっていたのです。
「店長になるまでの間、毎日ノート1ページ分くらい『店長になったらやるべきこと』をメモしていたんです。才能がないことは自覚していたので、こういうので補っていかなければと思いました」(畠中代表)
決して腐ることなく、将来のためにコツコツと努力を続けていた畠中代表。すると、店長になってからはその努力が実を結び、誰よりも早く昇進することになるのです。
「メモしていたことを店長になってから実践したら、どの店舗も売り上げが上がっていきました。当時は10店舗くらいの店長を兼務していたんですが、売り上げ予算を落としたのは3年で2回だけ。こういった実績が認められ、同期はほとんどなれなかったエリアマネージャーに抜てきされました」(畠中代表)
エリアマネージャーになってからは、10〜15店舗を統括するだけでなく、居酒屋を中心に中華料理店やカフェなどさまざまな業態のオープンにも携わるように。しかし、「ほかの会社も経験したい」という理由で、入社から7年半のときを経て転職を決意します。
「1社目は急成長中だったので、会社の成長に組織の成長が追いついていなくて。しっかりとした母体があって、しっかりとした組織のもとで働きたいなって思ったんですよね。でも、いざ入社してみると、売り上げうんぬんよりも『ルールにのっとって運営してればいい』みたいな組織だったので、それはそれで物足りなくて(笑)。ただ、会社が大きくなってお金を持ったときの経営の仕方や、組織のあるべき姿みたいなものを学べたので、いまとなってはいい経験になったと思います」(畠中代表)
予想以上の集客を実現した「シュラスコ」との出会い
2社目を2年半で退社し、さらなる活躍の場を求めていた畠中代表。そうして巡り合ったのが前職場でもあり、シュラスコと出会った会社でもあるのです。
「一般社員からの入社だったんですが1ヶ月で店長になりました。その後、2ヶ月間で店舗の売り上げを伸ばして利益を倍にするといった実績を出したら、すぐエリアマネージャーを任せてもらうようになって。その1年後には部長、さらに2年後には専務と昇進を重ねていきました。部署が細分化されてなかったので、物件の選定から業態開発、メニュー開発まですべて任せてもらえるような会社でしたね」(畠中代表)
異例のスピードで出世を果たし、しゃぶしゃぶ店やイタリアン、カフェなど10業態ほどの新規立ち上げを経験したといいます。
「0から100まですべて自分らでやらないといけない。多いときで1ヶ月に6店舗を立ち上げたことがあるくらい激務でしたね。でも、そういった経験から『このエリアならこの業態がウケる』みたいなのが分かったんです。いまでも時間があれば物件を探しながら散歩をしています。散歩をしていると『狙っていた物件がこのお店になった』とか『このお店になったら繁盛してるな』とかが分かってくるんですよね」(畠中代表)
そういったなかで経験したのが、シュラスコ専門店の立ち上げでした。とはいえ、「シュラスコ事業をはじめよう」というスタートではなく、タイミングや物件の条件などがたまたま重なってシュラスコ事業をはじめることとなったのです。
「100坪200席の物件が空いていたんです。キャパは広いんですが、渋谷の路地裏にある物件で人通りは極めて少ない場所。どんな店にしようか考えていたときに、当時ちょうどブラジルW杯の時期だったんですが、CMでシュラスコを見て『これだ!』って思ったんです。調べてみたら肉に塩を振って焼き、テーブルにお肉を持っていって目の前でカットするだけのシンプルなオペレーション。席数も多いのでウェディングの集客も狙えると思いました」(畠中代表)
そうして、シュラスコ専門店をオープン。競合が少なかっただけでなく、シュラスコが少しずつ認知されていたタイミング、そして肉ブームなどが相まって、立地からは考えられないほどの集客になります。
「立地が悪いので、目的来店型のお店にしないと集客できないなって思っていました。なので、ビールサーバーを8台並べたり、バーカウンターを作ってお客さま自身でドリンクを注げるようにしたり。料理もバイキング形式にし、さらにはサンバショーを週に2回開催するなどエンターテイメント性を強めたんです」(畠中代表)
すると、予想以上に多くのお客さんが来店。一見、順調な走り出しを見せたように感じますが、じつは裏では想定外の出来事に見舞われていました。
「肝心のシュラスコがおいしくないんですよ(笑)。最初、シュラスコについて調べたときは、塩を振って焼くだけみたいな感じだったんですが、どうもそれだけではないな、と。オープンから3ヶ月でその事実に気づいて日々改善していきました。さらに、当時は原価率が高くて、仮に1万円分を販売しても6500円は材料費で……。それも1年くらいかけて改善していきました」(畠中代表)
クラウドファンディングを活用して初期投資を早期に回収
そんな畠中代表が前職を退職したのは2017年のこと。もともと独立志向のあった彼は、飲食の世界に足を踏み入れてから17年のときを経て、合同会社HapyResを立ち上げるのです。
「最初からシュラスコ専門店をやろうという感じではなかったんですよ。もともと、条件のいい物件があったら、その物件に合わせて業態を考えるというのが染み付いていて。とはいえ、シュラスコであれば絶対に失敗しない自信があったので、意図的にシュラスコに見合うような物件を探していましたね」(畠中代表)
そうしてオープンしたのが、人通りの少ない新宿の店舗です。すでにシュラスコの話題性は少し落ちかけていたにもかかわらず、10ヶ月で総投資回収に成功。2号店の五反田店も8ヶ月と、飲食店としては異例の速さで投資回収をしてしまうのです。
「4号店の新宿三丁目店に至っては、クラウドファンディングだけでなくフラッシュマーケティングも活用してオープン前に投資回収が終わりましたね(笑)」(畠中代表)
クラウドファンディングは資金調達方法の一つで、プロジェクトの発案者がインターネットを通じて資金の調達を募ります。そのプロジェクトに賛同した支援者が資金を提供することで、資金を早く集められるだけでなく、プロジェクトを開始する前から多くの人にPRできたり、テストマーケティングができたり。資金調達の一つとしてトレンドになりつつある手法です。
「アレグリアでは、クラウドファンディングで支援していただいた方に、一回無料招待券や飲み放題無料の会員券をお渡ししています。そういった特典を楽しみに支援してくださっている方も多いですからね」(畠中代表)
とはいえ、投資回収がこれだけ早く終わってしまうのは、クラウドファンディングやフラッシュマーケティングを活用する以外にも、ある理由がありました。
「そもそも、シュラスコは初期投資額をおさえて開業できるんですよ。お店に届いたお肉を串にさすだけなので無駄な厨房機材は必要なく、お肉はテーブルでカットするのでホール業務が少ないんです。つまり人件費を削減できる。基本的には居抜き物件で展開しているので、物件を契約してからオープンするまでに無駄な家賃を払い続ける必要もありません。5号店の銀座店は、12月28日に物件契約をし、オープンしたのは2月12日ですからね」(畠中代表)
もちろん、資金調達のポイントであるクラウドファンディングのノウハウは本部から享受できます。しかも、2〜3週間もあればシュラスコを焼けるようになる上に、本部から仕込み済みの肉を卸すので、飲食未経験でも問題なく活躍できるのがアレグリアの特徴でもあります。
「フランチャイズなのに契約したらあとは勝手にして、というような加盟させたもん勝ちみたいなのは嫌いなんですよね。自分が手がけたブランドのクオリティが下がるのはもちろん嫌ですが、それよりも、加盟店の売り上げを伸ばせなければ絶対に誰も幸せにはなれないですからね。いくらいい教育をしても、いい提案をしても売り上げが伸びなければ意味はない。お客さまはもちろん、オーナーさま、従業員全員を幸せにしたいですね」(畠中代表)
あと4年後くらいには、アレグリアだけで50店舗まで拡大することを見据えている畠中代表。これまで幾度となく新店オープンを手がけた彼なら、その経験を活かして4年を待たずに達成してくれることでしょう。
※掲載情報は取材当時のものです。