10年後、20年後を見据えて新たな事業を模索
アディコーポレーションは、もともと建設業をメインに展開している秋田県の会社です。2006年のスタート以来、秋田県内はもちろん、東北地方を中心に多くの工事を手がけています。
そんな当社が「ガッツレンタカー」のフランチャイズに加盟したのは、創業から10年の月日が経つ2016年5月のことでした。
「子どもから大人への変革期にあたる創業10年目の年ということで、人間でいうと義務教育を終えるくらいの年齢。ここでもうひとつ、世の中に貢献できる事業を展開したいという思いがありました。また、2011年に発生した東日本大震災の復興事業や、2020年に東京オリンピックが開催されることもあり、景気が悪いわけではありませんが、これはあくまでも一過性のもの。10年後、20年後を考えたときに、柱となる事業を作っておきたかったんです(石井)
そんな思いから石井は、日本経済新聞社が主催する「フランチャイズ・ショー」に数年前から足を運ぶようになります。しかし、400近いフランチャイズ本部が軒を連ねるなかからひとつの事業に絞り込めず、石井の新規事業へのチャレンジは苦戦を強いられます。
「飲食関係をメインにいろいろな業界の話を聞きましたが、なかなかピンとくる事業がなかったんです。とくに飲食は、まったく畑違いなのでハードルが高くて……。話を聞いて終わり、という感じでしたね」(石井)
そんな状態が数年続いた石井にとって、そして当社にとって最大の転機となったのは、2016年の年明け早々のこと。フランチャイズ・ショーの事務局から届いた「フランチャイズ・ショー2016」の招待状を見た石井に、いままでとは明らかに違うインスピレーションを受けるのです。
「ガッツレンタカーのロゴなのか言いまわしなのか……明確には覚えていませんが、見た瞬間にビビっときたんですよね。ショー自体はスケジュールが合わず参加できなかったんですが、ホームページを見たらおもしろそうな事業内容だったので、話だけは絶対に聞きたくて問い合わせをしたのがはじまりです」(石井)
東北地方で初となる「ガッツレンタカー仙台青葉店」がオープン
こうして「ガッツレンタカー」との出会いを果たした石井は、さっそく本部の開発担当者に会いに宇都宮へ向かいます。フランチャイズ・ショーが終了したあとの、2016年3月末のことでした。
「我々建設業者も普段からレンタカーを利用するので、事業内容を聞いてすぐにイメージできたんですよね。しかも、1度借りると長いので、ガッツレンタカーの強みでもある長期レンタルの需要も理解できました。そういう意味では、飲食などとは違って“隣の畑”くらいなじみのある事業内容だと思いました」(石井)
この当時は、ガッツレンタカーのフランチャイズ事業がスタートして1年足らずということで、仙台はおろか、東北地方の出店はゼロ。この現状が石井の加盟意欲を加速させます。
「話をお聞きした時点で、ほぼほぼ加盟するつもりだったんです。翌日くらいにはここの仙台エリアを仮でおさえていただくなど、加盟を前提で検討させていただきました。その後は物件探しがスタートしたんですが、なかなかイメージ通りの物件が見つからなくて……。粘り強く探したら、大通りに面していて看板も大きく出せるこの場所を見つけたんです。物件も見つかったということで、2016年5月に晴れて本契約させていただきました」(石井)
そうして加盟にいたった当社は、ガッツレンタカーの本部がある名古屋での10日間の研修、商品となる車の手配や登録作業などを終え、7月21日に「ガッツレンタカー仙台青葉店」をオープンさせるのです。
しかしオープン早々、ガッツレンタカー本部も想定していなかった前代未聞の出来事に見舞われることになるとは、当時の石井は知りえませんでした。
予約ゼロでオープンを迎えるも、本部のWeb戦略もあって売上は右肩上がりに推移
やっとの思いでオープンにこぎ着けた「ガッツレンタカー仙台青葉店」でしたが、オープンの時点で予約はゼロ……(!)。多いところでは、オープン前に10件近い予約が入る店舗もあるほどで、当時のガッツレンタカーの加盟店史上、最悪の数字を叩き出してしまうのです。
「オープン当日に3〜5万部の織り込みチラシを配布できたくらいで、開店準備に追われすぎて、オープン前の販促活動まで手がまわらなかったんです。とはいえ、仙台はもちろん、東北でははじめての出店ということで、地道にやっていくしかないかな、と。イメージキャラクターのガッツ石松さんの顔がカバーしてくれるだろうという期待も多少あったんですけどね、現実はそう甘くありませんでした……」(石井)
そうしてスロースタートを切った「ガッツレンタカー仙台青葉店」にはじめての予約が訪れたのは、オープンから2日目のことでした。
「安堵とはまさにこのことでしたね。じつはこのお客さまは、オープンから1年以上が経った現在も継続してレンタルしていただいているんです。もう神様です(笑)」(石井)
その後は順調に予約を重ね、オープンから2ヶ月が経過した9月ころには、車が足りなくなるくらいに予約が集中。もちろん、ポスティングなどの販促活動を継続的に続けてきたこともありますが、それ以上に売上を底上げしていたのは、ガッツレンタカー本部が強みにしているWeb戦略。オープンからある程度の期間が経ったことで、「仙台 レンタカー 格安」と検索した際に、上位に表示されるようになっていたのです。
また、冬になると仙台はスタッドレスタイヤが必須のエリア。単価アップなどで売上が右肩上がりに伸びるなど、オープンから半年も満たない時点で損益分岐点に到達します。
そんなタイミングで当社は、2店舗目のオープン準備に取り掛かることになるのです。
1号店のオープンから1年も満たない間に2号店、3号店をオープン
2店舗目の地として選んだのは、宮城県でも秋田県でもなければ、東北地方でもない栃木県宇都宮エリア。
「ガッツレンタカー本部からご紹介いただいたエリアというのもあるんですが、わたし自身が宇都宮に7年ほど住んでいたこともあったので、これもなにかの縁なのかな、と。また、マーケティング調査の結果、レンタカーの需要が非常に高いということも分かっていましたので……」(石井)
その読みが見事に的中します。2017年2月のオープンから2ヶ月を経過するころには、予想の3割増しの売上を記録。1号店のスロースタートとは正反対に、スタートダッシュに成功するのです。それはなぜなのか……? 1号店のオープンから見てきた開発担当者はこう分析しています。
「競合となる格安レンタカー業者が宇都宮に出店しているんですが、その店舗が全国1000店舗以上もある中で、ベスト10の売上を誇っているんです。ですので、レンタカーのニーズがあること事態は把握していました。ただ、それがうまくいく場合とそうでない場合に分かれるんですが、この2号店は読みが大当たりしました」(開発担当者)
この勢いのまま、2017年5月には3号店となる「ガッツレンタカー仙台駅東口店」をオープン。1号店のオープンから1年にも満たない間に3店舗まで拡大した当社ですが、石井の頭の中には今後の出店計画がすでにあるといいます。
「近いうちに宮城県でもう1店舗、その後1〜2年以内には群馬県や茨城県などの北関東エリアを充実させたいですね。将来的には、東北地方の各主要都市に出店していきたいと考えています」(石井)
2017年現在、アディコーポレーションは創業から11年が経とうとしています。まだまだ子どもから大人への変革期を迎えている当社ですが、今後もスピードを緩めることなく成長していきます。
※掲載情報は取材当時のものです。