上場企業で理想の待遇を得られず、不動産事業で独立
「不動産関係の事業で多角化しようとは、一切考えませんでしたね」
そう淀みなく語るのは、2019年10月に「スマートフィット100勝田台店」をオープンした荒木田オーナー。不動産事業をメインで展開する「株式会社リーブル」の代表取締役を務める人物でもあります。
そんな彼のファーストキャリアは、建売住宅や新築一戸建ての販売を手がける不動産会社。その後、同じく不動産販売を事業とする一部上場企業へ転職すると、入社から8年でおよそ40人をまとめる支店長に抜てきされます。
「支店長の期間は2年だけだったんですが、2年とも支店目標を達成しました。それなりに高い目標を設定されるので、達成するのは6〜7店舗中1〜2店舗くらい。多くても3店舗くらいなので、結果は残したほうだと自負しています」(荒木田オーナー)
しかし、結果に見合う理想の待遇を提示されることはなく、悶々とした日々を送っていた荒木田オーナー。そんな彼に人生の大きな転機が訪れます。
「3人目の子どもが生まれたんですが、当時の給料では金銭的に余裕がなくて……。会社とは前々から交渉していて、そのときもちょっとは上がったんです。ただ、それまでに何回も給料の話はしていたので、今後上がってもたかが知れてるな、と」(荒木田オーナー)
そこで、一部上場企業の会社員というブランドを脱ぎ捨てて独立することを決意。これまでの経験を活かし、不動産事業を展開する「株式会社リーブル」を立ち上げるのです。2016年のことでした。
安定した収益を求めてフィットネスジムで事業多角化を検討
そうして、42歳のときに独立を果たした荒木田オーナー。開業1年目こそ、初期投資などで赤字を計上しましたが、さすがは業界歴20年以上の大ベテラン(!)。2年目には、彼ひとりで売り上げ1.4億円、利益だけでも5,000万円という数字を叩き出すのです。
「年間2000万円くらいの利益があればいいかなって思ってたんですが、たまたま大型の案件が決まったりして想定を大幅に超える利益を得られました。給食のおばちゃんとして働いていた母親がずっと『飲食店をやりたい』って言っていたので、親孝行の意味も込め、リーブル創業から2年目で居酒屋をオープンさせました」(荒木田オーナー)
「もっと早く独立すれば良かった」と思うほど順調な2年目を経て、3年目も同じように順調をキープ……というわけにもいかず、物件や土地の価格が高騰してマーケットの動きが停滞し、思うような利益を上げることができませんでした。
「でも、土地に関する規制が緩和されたり、2020年にオリンピックが開催されたりすることを考えると、今後はもう少しよくなると想定しています」(荒木田オーナー)
ここで勘のいい人ならお気付きのはず……。そう、彼が展開する不動産事業は、1件あたりの取引額が大きいだけに、契約につながれば収益がドカンっと発生しますが、契約につながらなければ当然ゼロ。つまり、売り上げが安定しない業界なのです。
「不動産事業だけだと売り上げに波があって、いいときと悪いときの差が極端なんですよね。母親の居酒屋では利益を上げようとは思っていないので、不動産事業以外に、もう一つ安定して収益を上げられる事業をやりたいなって思ってたんです」(荒木田オーナー)
そんな彼が目をつけたのが、小型フィットネスジムの「フィットネス100」。365日・24時間営業、月額3000円から会員登録ができ、従来のプールやスタジオなど、充実の設備がついた大型フィットネスジムを上まわる勢いで利用者が増えている注目の小型フィットネスジムです。
しかし、いったいなぜ荒木田オーナーは不動産業ではなく、経験や知識のないフィットネスジムで事業多角化をしようと考えたのでしょうか。
市場と実績を鑑みてスマートフィット100へのFC加盟を決意
「2016年に会社を立ち上げてからずっとひとりだったので、不動産事業で会社を拡大するとなると採用も考えないといけない。でも、不動産って特殊な業界なので採用はもちろん、採用できても育てるのが難しいんですよね」(荒木田オーナー)
そうして、不動産業とはまったく関係のない事業で拡大することを検討していたという荒木田オーナー。スマートフィット100に加盟することは、意外と早く決まったと振り返ります。
「スマートフィット100の丹野代表とは以前から知り合いで、1号店をオープンすることも知ってました。スポーツ系の事業は今後、確実に伸びると思っていましたし、ゆくゆくはフランチャイズ展開をするって話も耳にしていたんですが、いかんせんまだ直営店だけで……。当時はまだスマートフィット100の実績もなかったので、『伸びる業界とはいえ、実際はどうなんだろう?』と半信半疑だったんですよね」(荒木田オーナー)
立ち上がったばかりの事業ゆえ、荒木田オーナーが不安に思うのも当然のことかもしれません。しかし、そんな彼の不安をものともせず、直営1号店の「スマートフィット100浦安店」は、オープンすると想定をはるかに超える会員を獲得します。さらに、1号店のオープンから1年半で直営店を4店舗まで拡大するなど、加速度的に成長を遂げることになるのです。
「直営店の会員数データなどを見たらすごいんですよ。当初は700〜800人くらいを想定していたところ、蓋を開けてみたら1100〜1200人ほどまで増えたようで。しかも、月額制なので会員数がわかればどれくらいの収益が見込めるかも分かりやすいんです。会員制のビジネスなら、それまで1000人の会員がいたのに、急に0人になるなんてことはないので収益も安定しますからね。『これはいけるぞ!』と思い、フランチャイズ展開をスタートさせる2018年の10月くらいに加盟することにしました」(荒木田オーナー)
支店長時代に培ったマネジメント力をフィットネスジム運営に活かす
「加盟が決まってからはとくに焦ることなく、いい場所が見つかったらオープンしようかな、という感じでした。そこで本部から紹介されたのは、2路線が乗り入れる勝田台駅から徒歩数分の場所。ビジネスホテルの1階なんですが、今後はホテルとの提携も検討しています。駅の反対側の出口にフィットネスジムがあるんですが、都心部だと競合が近くに4〜5店舗あったりしますからね。競合の会員さんもこっちに流れ込んでくるんじゃないかなって予測していました」(荒木田オーナー)
立地が決まれば、次に控えるのは採用です。どの業界でも人手不足が叫ばれる昨今ですが、「スマートフィット100勝田台店」の場合はどうだったのでしょうか。
「20人以上から応募が来ましたが、むしろ応募者が多すぎて面接できないこともあるくらいでした。スポーツ業界は人気があるので若い人を採用しやすいんですよね。採用したスタッフの2人は業界未経験ですが、店長を任せるスタッフは経験者なので、店舗のことはほぼすべて店長に任せています。オープン後の最初の2〜3ヶ月は極力顔を出しますが、わたしみたいなおじさんではなく、若くて元気なスタッフが接客をしてたほうがいいですから、わたしは手伝ってもトイレ掃除くらい(笑)。スタッフとの信頼関係を築いて、すべて任せられる体制を作っています」(荒木田オーナー)
一部上場企業で支店長を務めていた際は、40人ほどの部下を統率していたという荒木田オーナー。この時の経験を、スマートフィット100の運営に大いに役立てています。
「40人もいれば、いろいろと不満が出てくるんですよ。なので、一般社員を含めて40人全員と面談をしたこともありました。立場的にも部下の不満を改善できるのでやって良かったな、と。相談したいときに相談する人がいないっていう状況が最悪なので、放ったらかしにしてたら売り上げもどんどん落ちていっちゃうんじゃないかなと思っています。実際に現場の業務をするのではなく、人材マネジメントを中心に、オーナーとして店舗を運営しています」(荒木田オーナー)
まだオープンしてわずかですが、今後のことをとても嬉しそうに語る荒木田オーナー。ひとりで会社を切り盛りしていた頃にはできない、ある構想もお話してくれました。
「スタッフが希望すれば、今後はBBQとか社員旅行とかも実施したいですね。わたしも小さい子供がおりますので、社員も家族連れで参加できるようなイベントを企画したいなって思っています」(荒木田オーナー)
すでに多店舗展開も視野に入れ、1〜2年後には2店舗目をオープンし、最終的には10店舗ほどまで拡大することを見据えています。
「これから伸ばすべきは、不動産事業ではなくスマートフィットネス100のほう。不動産事業の収益はボーナス的な感じでとらえ、より早く収益を安定化させたいですね」(荒木田オーナー)
※掲載情報は取材当時のものです。