安定だけが人生じゃない。公務員が決断した大胆な挑戦
「自分の可能性に掛けてチャレンジするなら、今しかないと思いました」(堤オーナー)
優しい瞳の奥に情熱の炎をメラメラと燃やす堤オーナー。2019年6月に、貴金属・ブランド品の買取専門店『キングラム』のフランチャイズオーナーとして独立した人物です。
そんな彼の前職は安定した職業といわれる公務員。高校時代、友人の不登校などをきっかけに、人の心に関わる仕事がしたいと思った堤オーナーは、大学卒業後に児童相談所などの福祉の現場で働く心理系公務員という道を選択しました。しかし、その環境は求めていたものとは違っていたと言います。
「困っている人を助けたいという思いでこの仕事を選びましたが、実際に働いてみると、公務員としての制約が大きな足かせになってしまうことがわかりました。動けるのは法律の範囲のみで、たとえ人を助ける行為であっても、範囲外の仕事であればやってはいけない。そんな空気がありましたね」(堤オーナー)
組織としての利益を追求しない公務員は、見方を変えれば変化を求められない仕事でもあります。堤オーナーが働いていた職場でも、旧態依然とした年功序列制度が根強く残り、周りの人々も与えられた仕事をこなすばかりで、新たなチャレンジをしようとする雰囲気はありませんでした。
「前職では、昔からある心理学の理論をもとに相談を進めていくんですが、これも現代の状況にはマッチしていないのではないかと感じていました。人の心を無理やり心理学の理論に当てはめているだけで、本当にその人の心が分かっているとは言えない。心理の専門家としてアドバイスなどをしても、自分自身がその言葉に納得できていないんですよね。これで本当に人の役に立てているのか……、そんな心のもやもやがどんどん大きくなっていきました」(堤オーナー)
このままやりたいことも出来ず、何となく日々を過ごしながら歳を取っていきたくない。この状況を何とか変えないといけない。そうした思いが強くなっていった堤オーナー。そこで選択肢として出てきたのが“独立”でした。
「もともと投資にも興味があり、資産形成の方法については勉強していました。その中で、自分の努力が一番報われるのは、雇われるのではなく自分で事業を行うことである、という考えが生まれていました。とはいっても、年をとってから新しいチャレンジをするのは簡単ではありませんから、一歩進み出すなら今しかないと思ったんです」(堤オーナー)
安心と実益、両方のバランスが取れたキングラム
仕事のやりがいを求めて、公務員から独立することを決めた堤オーナー。新しい事業の手がかりを探すため、転職イベントなどにも参加する中で、フランチャイズの展示会にも足を運びました。
「独立するとはいっても知識や経験もなく、ゼロから起業するのはさすがに難しいと思っていたときに、フランチャイズという経営手法を見つけました。フランチャイズ・ショーに足を運んで実際の話を聞いてみると、本部のサポートを受けながら経営していくことができるため、初めて独立する自分に最適だと思いましたね」(堤オーナー)
こうしてフランチャイズで独立するという選択肢を見つけた堤オーナーでしたが、特に興味を惹かれたのが買取ビジネスでした。店舗型ビジネスの中でも、飲食店などと違い設備投資が少なく、一人でも店舗運営することができる買取ビジネスは、初めてのチャレンジに適した環境が整っていたのです。
「初めての独立なので、最初から人を雇うのは厳しいと思っていました。その点、買取ビジネスは一人で運営できるうえに、初期投資を抑えて開業しやすかったんです。ただ、ロイヤリティが高すぎてリスキーなブランドもあれば、ロイヤリティは安いもののサポート面に不安があるブランドもあり、どこでなら安心して事業を始めることができるのか、口コミサイトなどでも色々調べましたね」(堤オーナー)
そうして買取ビジネスに焦点を絞って、さまざまな会社を見てきた堤オーナーが選んだのが、貴金属・ブランド品の買取専門店「キングラム」です。
「買取専門店のフランチャイズの中で、キングラムは最もサポートやコストのバランスが取れている印象を受けました。イメージキャラクターとしてタレントの石田純一さんを起用している点も決め手の一つですね。タレント側も変なイメージがつくと困るので、きちんとしたブランドじゃないと起用されないですから。それに偶然ではありましたが、キングラムの実店舗が近所にあったので、身近に感じていました」(堤オーナー)
自分らしさを活かした、自分にしかできない店舗運営
そうしてキングラムのFCオーナーとしてのキャリアを歩み始めた堤オーナー。加盟契約は想像以上にスムーズだったと振り返ります。
「物件探しも本部が積極的に動いてくれましたし、内装などもほとんどお任せすることができたので、これといった不安はなかったですね。偶然地元の西葛西で物件が見つかったのも良かったです。西葛西は商業施設がまわりにあり、電車の乗降客数も多い駅なので立地としてはいい場所でした」(堤オーナー)
しかし、スムーズにいっていた開業準備にも一つ問題が発生するのです。
「店舗開業が予定よりも遅くなり、無給期間が長引きましたね。買取業をオープンするには古物商の免許が必要なんですが、古物商の免許申請は、物件の賃貸契約をしてからじゃないとできないんです。しかし、賃貸契約の締結が予定よりも遅くなってしまい、それに伴って古物商免許取得もまた遅れるという……。古物商免許は申請から発行まで2ヶ月くらい掛かってしまうので、その間は営業できない状態でした。私の場合、前職での蓄えがある程度あったためなんとかなりましたが、自身の見通しの甘さは反省すべき点でしたね。」(堤オーナー)
諸々の手続きを済ませ、2019年6月に無事オープンに漕ぎつけた堤オーナーが経営するキングラム西葛西店。接客については、児童相談所などで多くの人と接してきた経験を活かしながら、おだやかで明るいイメージを持ってもらえるように気を配っているそうです。
「お客様のお話を聞いていると、買取専門店に対して、なんとなく『怖そう、怪しい』というイメージを持っている方が少なくないんだなと感じます。なので、心理系公務員としての経験を活かして、できるだけ私自身の人柄を見てもらいながら、安心して来店していただけるようにしていきたいです。そのために、ブログを更新したり、街に出てティッシュ配りをしたり、できることは何でもやっていくつもりです」(堤オーナー)
キングラムを足掛かりに、もっと大きく成長したい
オープンから2ヶ月ほど経った現在、梅雨時期などは客足が鈍ることがありながらも、1日平均3人~4人程度の買取相談があり、順調な滑り出しができていると言います。
「認知度はまだまだですが、来客数はいいので投資回収は6ヶ月~1年程度を予定しています。開店に掛かった予算はおよそ1100万円。500万円は自分で用意し、600万円は借り入れました。そのうちの800万円を開業費用として使い、残りを運転資金として残しています。滑り出しは好調ですが、この好調さを通常時の状態にまで引き上げて、事業を軌道に乗せたいですね」(堤オーナー)
そして、未経験ながら順調に経営できているのは、本部の手厚いサポートがあるからだと語ります。
「本部のサポートには本当に満足しています。わからないブランドの買取相談が来てもすぐに連絡をとって判断してもらえますし、不安を感じることはありません。キングラムの本部が大阪にあるため、距離の壁や地域性の違いが心配でしたが、完全な取り越し苦労でした」(堤オーナー)
研修で本部を訪れた際も、スタッフ全員に浸透している「オーナーに損をさせてはいけない」という考えに感動したそうです。
また、今後の目標に関しても、志を高く持っている堤オーナー。買取ビジネスだけにこだわるのではなく、さまざまな業態にも挑戦していきたいと、その熱い想いを語ります。
「フランチャイズは、私のような未経験者にこそ最適だと思います。キングラム本部の手厚いサポートが期待できるからこそ、安心して経営に乗り出していくことができるんです。まずは今の店舗を安定させて、波の無い状態にしていくのが直近の目標。今はまだ個人事業主としてオーナーをやっている状態ですが、将来的には法人化して、複数店舗の経営にもチャレンジしてみたいですね」(堤オーナー)
持ち前の優しさと、熱く燃える信念を併せ持つ堤オーナー。自身の人間性を出していきつつ、キングラムの加盟店として、これからも大きく活躍していってくれることでしょう。
※掲載情報は取材当時のものです。