加盟から1年で「TGALデリバリー」4店舗、「からあげ原人」1店舗を運営
「2021年5月12日に『からあげ原人』をオープンさせたのですが、オープンした日は100メートルくらいの行列ができるほど大盛況でした。『町中がからあげくさい』って電話でクレームがくるほどで(笑)。あまりの反響で本当に驚きましたね」(島田オーナー)
そう話すのは、「からあげ原人 新百合ヶ丘店」を運営する島田オーナー。株式会社GROWSの代表取締役を務める人物でもあります。
島田オーナーが加盟したからあげ原人は、株式会社TGAL(テガル)が新たに手掛けるフランチャイズビジネス。TGALといえば、50以上のブランドを扱うデリバリー事業「TGALデリバリー」をコロナ前から展開し、コロナ下によるテイクアウト需要の拡大によって大きな注目を浴びているフランチャイズです。
島田オーナーが代表を務める株式会社GROWSは、2020年5月にTGALデリバリーのフランチャイズに加盟。その後、次々に店舗を増やし、加盟から1年でTGALデリバリーを4店舗もオープンしています。4店舗目の「TGALデリバリー新百合ヶ丘店」では、店頭にテイクアウトコーナーを設置して「からあげ原人」を併設。「TGALデリバリー」と「からあげ原人」を融合させたハイブリッドな店舗として誕生させました。
「もともと弊社は、イベントプロデュース事業をメインに展開している会社です。2014年にGROWSを創業する前に、私が大手飲食企業で10年ほど勤務していたこともあり、2016年には知り合いの居酒屋を業務委託というかたちで運営することになりました。その後もたこ焼き屋をオープンさせたりキッチンカーをはじめたり、最終的にはトータル6店舗まで拡大しました。今はイベントプロデュース事業とは別にTGALデリバリー4店舗、からあげ原人1店舗を含めて合計6店舗を展開しています」(島田オーナー)
コロナをチャンスと捉えて飲食事業を拡大
新型コロナウイルスが猛威を奮いはじめてから早1年以上が経過。緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置によって多くの店舗が休業・時短営業となり、GROWSがメインの事業として展開するイベントプロデュース関連も、コロナによって大きな変化を遂げています。
「このコロナ下において、多くの人を集めて大規模でイベントを催す機会も減り、ライブなどのエンタメ系から展示会までさまざまなイベントがオンラインに移行しましたよね。弊社でもそれに伴ってイベントはオフライン型からオンライン型に切り替え、その結果、クライアントの数はコロナ前よりも増えている状況です」(島田オーナー)
コロナによってそれまでの日常が日常ではなくなったことで、新たな事業を手掛けたり、コロナ時代に合った事業への転換を図ったり、試行錯誤している企業は少なくありません。そんな中GROWSではコロナによる要因も少なからずありますが、それ以前からTGALデリバリーのような“ゴーストレストラン”に興味があったと島田オーナーは語ります。
「本当はもともと運営していた居酒屋の設備を使って新たな事業をスタートさせようと考えてたんです。でも、業態開発があまり得意ではなく、そうこうしているうちにコロナが直撃してしまって……。もともとゴーストレストランには興味がありましたし、コロナをチャンスととらえて会社の柱となるビジネスを展開したいと考えていました。何かいいビジネスはないかと探していたらTGALデリバリーに辿りついたんです。事業説明会に参加したら、TGALデリバリーのフランチャイズは固定費が安いだけでなく、事業として柔軟性がある点、今後拡大が予想されるデリバリーの市場などメリットに感じる部分が数多くあったので、その日のうちにすぐ加盟契約までしました」(島田オーナー)
そうして2020年6月、1号店となる「TGALデリバリー溝の口店」をオープン。その後も勢いを緩めることなく9月には2号店を、翌2021年2月には3号店を立て続けにオープンさせた島田オーナー。
「早く会社の土台となる事業に育てるため、スピーディに展開したいという思いがありました。1号店をオープンして2~3日経った頃には『いける!』と思いましたね。ちなみに、オープン当初は本部が算出した収益シミュレーションだと月の売上が400万円でしたが、大幅に上回って500~600万円くらいの売上を達成しました。すべての店舗がこれくらいですね。今後競合が増えるのは想像できたので、早めにノウハウを積んでおきたいという思いもあり、スピーディに多店舗展開させました」(島田オーナー)
ゴーストレストランにからあげ専門店の「からあげ原人」を併設
全店舗で好調をキープする一方で、島田オーナーにはある悩みがありました。
「飲食経験は長いのですが、デリバリーという点ではまったくのはじめてなんです。デリバリーだと召し上がっていらっしゃるお客さまの顔が見えないので、閉鎖的というか、自分たち主導になるというか。もともと飲食店で10年ほど接客業をしていたので、やっぱりお客さまと触れ合うことが重要だなって改めて実感したんです。デリバリー業態はクレームが多く、スタッフのモチベーション維持などを考えると、ビジネスとして難しいと感じましたね」(島田オーナー)
いまはデリバリーといっても従来の出前・宅配と違って自社で配達員を用意することは少なく、ウーバーイーツのような宅配サービスを利用することがほとんどです。そのため、利用客と実際に顔を合わせるのは配達員になります。接客業の醍醐味ともいえるコミュニケーション不足に陥るのも当然のことで、接客を通してやりがいを感じるには難しい環境といえます。
そこで、4店舗目となる「TGALデリバリー新百合ヶ丘店」では、TGALが新たに手掛けるからあげ専門店「からあげ原人」を併設。テイクアウトを通じてコミュニケーションを生むなどし、閉鎖的なデリバリー業態から脱却しようと考えたのです。しかし、なぜからあげ専門店に、そして数あるからあげ専門店のなかから「からあげ原人」を選んだのでしょうか。
「からあげが流行っていたのも知っていましたし、オペレーションも簡単ですからね。本当は他のからあげ専門店にフランチャイズ加盟しようと考えていたんですが、ちょうどそのタイミングでTGALデリバリーの本部から『からあげ専門店をスタートする』と聞いたんです。TGALに加盟して本部と1年くらい一緒に仕事をしてきましたが、いつも親身に考えてくれたり、僕らの意向を汲んで動いてくれたり、12名いる弊社の社員の名前まで覚えてくれたり。とても信頼できる会社なので『からあげ原人』に加盟することにしました」(島田オーナー)
「からあげ原人」を併設することで月に340万円の売上がプラス
そうして生まれたのが、「TGALデリバリー」と「からあげ原人」を融合させたハイブリッド店舗。厨房では和食、中華、洋食など複数のブランドの料理をデリバリー用として調理し、店頭ではアツアツのからあげを販売しています。
「駅前とかではなく、住宅街の入口のようなところにお店があるのですが、立地が良くないので家賃は9万円です。オープン前に『からあげ原人』のチラシを2万部ほど撒いたのですが、5月12日にオープンして5月の売上は『からあげ原人』だけで340万円ほど。平日は70〜80組、週末だと120組くらいのお客様がご来店されます。TGALデリバリーのほうだけで400万円ほどの売上があるので、そこに300万円の売上がプラスされるイメージですね。からあげは1個130円と単価が安いようですが、1人で40個買われる方とかもいるので客単価としては高くなります」(島田オーナー)
オープン日だけでなく、その後も順調に集客を得ている「からあげ原人 新百合ヶ丘店」。駅前には競合となるからあげ専門店もあるなか、いかにして好調をキープしているのでしょうか。
「からあげがブームというのもありますが、やっぱり立地だと思いますね。駅前だと競合とお客さまを取り合わないといけません。なのであえて駅前ではない立地にオープンすることで、競合がいない状況を作りだす、これが集客できている要因だと思います」(島田オーナー)
島田オーナーが「からあげ原人」も併設してオープンさせたのは、売上だけが目的ではありません。デリバリー業態の閉鎖的な環境から脱し、オープンな環境を作りあげることも目的のひとつでした。
「接客によってコミュニケーションが生まれていますし、この前すごくいいシーンに出くわしたんですよ。これだけ多くのお客さまにお越しいただいていると、お客さま同士も知り合いのことがあって。お店の前で『久しぶり!』とコミュニケーションのきっかけになっていたり、アルバイトスタッフのお母さんが買いにきてくださったりするんです。地域の方たちが集まる場になっているのはうれしいですね」(島田オーナー)
今後は2年以内に20店舗くらいまで増やすことを視野に入れている島田オーナー。「TGALデリバリー」と「からあげ原人」を融合させたハイブリッド店舗で、コミュニケーション創出の場として地域にも貢献してくれるでしょう。
※掲載情報は取材当時のものです。