今すぐ実践できる節税対策! 会計のプロが教える財務体質の強い会社の作り方
みなさま、こんにちは! トリプルグッド税理士法人 常務理事 原川です。
自ら起業された方、フランチャイズビジネスで独立開業された方が、気になるもののひとつに節税があるのではないでしょうか。「それは顧問の会計事務所に任せているよ!」とおっしゃる経営者の方も多いと思います。
確かにそうなのですが、経営者としては、少し努力不足かもしれません。
税金は、ルールを知らないと損をするようにできています。どのような場合で節税が可能になるのか?このような節税のポイントを少し理解するだけで、税金の負担を最小限にすることができます。
税金は『ルール』を知らないと損をするようにできている
あなたの会社の節税対策は万全ですか?
大学卒業後、大原簿記専門学校での講師経験を経てトリプルグッド税理士法人へ入社。2011年に同社常務理事に就任。これまで、起業支援に1000社以上携わるほか、フランチャイズ本部や加盟店のクライアントが多数あり。一般社団法人士業フランチャイズ支援協会を立ちあげ、フランチャイズビジネスに精通した税理士、社会保険労務士、弁護士などの士業専門家で全国ネットワークを組織し、フランチャイズビジネスを展開する本部支援に携わる。
顧問の会計事務所に任せているだけでは、よりよい節税はできません。会計事務所はすでに行われた取引を税法にしたがって、税金が安くなるように税務処理をしますが、じつは事後に工夫ができる余地というのはあまり多くありません。
さかのぼってあれこれ修正をしてしまうと、脱税になってしまいますが、取引を行う際にほんの少し工夫をすれば、節税になるケースが少なくないのです。
経営者の方々がほんの少し基本を理解するだけで、節税のチャンスは大きくひろがります。このページでは、そんな節税について、その概要をわかりやすく解説しますので参考にしてください!
保険・共済加入に関する節税
生活障害保障型保険に加入する
生活障害保障型保険とはその名の通り、生活障害のリスクに備える保険です。当該保険は支払った保険料を全額経費に計上することができますので、うまく利用すれば、生活障害リスクに備えながら節税を図ることができます。
また、この生活障害保型保険には、加入の途中で解約した場合、支払った保険料のうち、80%前後近くが戻ってくる保険商品もあります。つまり、保険料を全額経費で落としながら、その保険料の80%前後を貯蓄していたのと同じ効果が得られるということです。
ただし、解約する事業年度は注意して下さい。「支払ったときに経費」ですから「受け取ったときは収入」となります。当然、解約返戻金にも約30%の法人税等が課されますので、解約する事業年度に計画的な経費がなければ、節税の効果がなくなるばかりか、場合によっては損をしてしまうこともあります。
解約返戻金を財源に退職金を支給するなど、解約返戻金による収入と相殺する経費を計画して、生活障害保障型保険に加入することを検討しましょう。
生命保険を活用する
経営者の万一のリスクに備えや、従業員の退職金などの原資として、生命保険を上手に利用することで、節税にも役立てることができます。
生命保険には、貯蓄性のない定期保険や、貯蓄性のある養老保険など、様々な種類があります。また、その種類や契約内容により、経費として認められる金額も異なります。ですので、経営者や従業員の保障や福利厚生という視点と、節税という視点を総合的に勘案して保険に加入することが必要です。
会社を取り巻く外部環境や経営状態は毎期異なります。その時々の状況に応じた保険に加入できるよう、定期的な見直しを行いましょう。
小規模企業共済に加入する
小規模企業共済制度とは、掛金を支払うことで、事業を廃止したり、会社を退職した場合に共済金を受け取るもので、経営者の退職金制度といえるものです。加入できる人は、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主及び法人役員などです。この制度に加入し掛金を支払うと、その掛金の全額を所得控除として、個人所得から差し引くことができますので、個人所得税の節税となります。
共済金受取時にも、退職所得や雑所得(一時所得になることもあります)となり、個人所得税の税負担の緩和が図られていますので、ダブルで節税メリットが受けられます。なお、共済金の受取はほとんどの場合、支払った掛金の100%を超えますので、なおさらメリットがあります。個人の所得税の節税にはなりますが、決算終了と共に役員報酬を上げて所得税、住民税の負担が増えて困っている方は、年払いで契約するなどして、節税を考えてみてください。
中小企業退職金共済に加入する
中小企業退職金共済制度とは、中小企業基盤整備機構が運営している退職金制度です。中小企業が退職金共済契約を結び掛金を負担すれば、従業員が退職した際に、機構から退職金を直接支給されます。事業主は、各従業員の月額掛金を決め、毎月納めるだけで済みますので、余分な事務作業を共済に任せることができます。また、手数料や運用リスクによる追加出費が発生しないことも安心です。
掛金が全額会社の経費として計上できることはもちろん、従業員が退職一時金を受け取った際、退職所得として取り扱われ、所得税や住民税もほとんどかからない点も大きなメリットです。ただし、加入に際しては、原則として全従業員の加入が必要である他、2年以内の短期間で退職する従業員の掛金に関しては、掛金を下回る給付になる可能性や、特に1年以内の退職であれば掛金の全額が掛け捨てとなってしまう可能性もあります。
中小企業倒産防止共済に加入する
中小企業倒産防止共済制度とは、取引先に倒産など不測の事態が生じた場合、売掛金等が回収困難になってしまうので、急遽資金手当を受ける制度です。 加入後6ヶ月以上経過していれば、掛金総額の10倍の範囲内で、最高8,000万円の共済金の貸付が受けられます。しかも、共済金は、無担保・無保証・無利子で受けられます。決算の節税対策として、中小企業倒産防止共済への加入と、掛金の年払を検討するのも一つの手段です。
万一、やむを得ず解約をする場合でも、加入後1年以上経過していれば、掛金総額の80~100%が返還されます。自社が健全な経営を行っていても、取引先の倒産という事態はいつ起こるかわかりません。万が一の不測事態に備え、制度の加入を検討してみてください。
固定資産・減価償却に関する節税
少額減価償却資産を購入する
青色申告法人については、少額減価償却資産の即時償却制度を利用しましょう。
少額減価償却資産の即時償却制度とは、取得価額が30万円未満の減価償却資産については、その取得した年度で一括して経費計上できるという節税効果の高い制度です。ただし、イスとテーブルが一組で応接セットとして販売されており、そのまま使用する場合には、一つの資産の取得として、合計額で判断することとされていますので、こういったものは注意が必要です。
また、この規定は一事業年度内で即時償却された金額が300万円に達した場合には、それ以上の即時償却は認められませんのでその累計額を把握してうまく節税に役立てましょう。
中古資産を購入する
取得価額が30万円を超える資産を購入した場合、減価償却を行う必要があります。その際、耐用年数が大きなポイントとなります。
耐用年数とは、資産ごとに税法で定められたもので、資産の使用可能年数をいい、耐用年数が短いほど、1年間で計上できる減価償却費は大きくなります。そして、購入した資産が中古資産であれば、実際に使用できる年数は短くなるため、耐用年数も短縮して計算し直すことができます。そうすると、1年間で計上できる減価償却費もより大きくできます。
例えば、新車を購入した場合は、購入年度においては、購入金額の3割ほどしか減価償却費を計上できません。これに対し、初年度登録から4年経過した中古車を購入した場合は、購入年度においてほぼ全額を減価償却費として計上することができます。
節税目的で資産を購入される場合、中古資産をあえて選ぶことも非常に有効です。
資産取得の付随費用を経費化する
固定資産購入時の諸費用についての節税テクニックです。土地、建物、車両などの固定資産の取得価額は、どの様に計算をするかといいますと、一般的には購入するためにかかるすべての金額が取得価額となります。
ここで、不動産取得税・登録免許税・自動車取得税・登記費用などの付随費用は、支払った際に費用処理できるという特例があります。付随費用を取得価額として処理してしまうと、たとえば、建物については数十年かけて費用化され、土地については売却するまで費用化されないということになります。
このように、付随費用を支払った際に費用処理すると、大きな節税効果がありますので、固定資産の購入の際には、ぜひご検討下さい。
なお、仲介手数料など付随費用でも取得価額として処理しなければならいものもあるため、注意も必要です。
中小企業倒産防止共済に加入する
中小企業倒産防止共済制度とは、取引先に倒産など不測の事態が生じた場合、売掛金等が回収困難になってしまうので、急遽資金手当を受ける制度です。加入後6ヶ月以上経過していれば、掛金総額の10倍の範囲内で、最高8,000万円の共済金の貸付が受けられます。しかも、共済金は、無担保・無保証・無利子で受けられます。
決算の節税対策として、中小企業倒産防止共済への加入と、掛金の年払を検討するのも一つの手段です。万一、やむを得ず解約をする場合でも、加入後1年以上経過していれば、掛金総額の80~100%が返還されます。自社が健全な経営を行っていても、取引先の倒産という事態はいつ起こるかわかりません。万が一の不測事態に備え、制度の加入を検討してみてください。
耐用年数の「短縮制度」を活用する
業務のために用いられる建物などの資産は、税法上の耐用年数に基づき、経費として按分していきます。この税法上の耐用年数は標準的な資産を対象とし、原則として、通常の維持補修を加えながら、通常の使用条件で使用した場合の効用持続耐用年数を基礎として定められています。
しかし、下記のような特別な事情を満たす場合は、国税局長の承認を受け耐用年数の短縮ができます。
・資産の材質又は制作方法が一般的なものと著しく異なる
・資産のある地盤が隆起または沈下した
・資産の陳腐化
・資産の使用される場所の状況によって著しく腐食した
・資産が通常の修理または手入れをしなかったことにより著しく損耗した
・資産の構成が同一種類の他の減価償却資産の通常の構成と著しく異なることとなった
耐用年数が短縮できると早期の償却が可能となりますので、該当しそうな固定資産がある場合には検討してみてください。
フル稼働の機械は「増加償却」をする
減価償却資産は耐用年数に基づいて費用計上するため、取得価額の全額が経費計上されるまでには数年かかるのが一般的です。
しかし、減価償却資産のうち機械装置は、通常の減価償却よりも割増して早めに減価償却費を計上することが出来る場合があります。その方法が増加償却です。税法上の機械装置の耐用年数は平均的な使用時間を前提に考えられています。そのため、その平均的な使用時間を超えて機械装置を稼動する場合には、通常の減価償却費よりも割増して費用を計上することが認められているのです。
この適用を受けるためには、増加償却する旨の届出書を、申告期限までに提出する必要があり、平均的な使用時間を超えて使用したことを証明する書類を保存することなど、一定の要件を満たす必要があります。通常よりも稼働率の高い機械装置がある場合は、増加償却の適用の検討をしてみてください。
建物と建物附属設備は区分する
建物を購入した場合、建物本体と一体となっている建物附属設備を区分できる場合は、それぞれ別の資産として分けましょう。実は、減価償却を計上する際に違いが出てきます。建物附属設備を建物と区分せずに資産計上した場合、建物附属設備を含めた建物全体に対して、その耐用年数により減価償却を行います。建物の耐用年数は、他の資産の耐用年数より長いため、なかなか減価償却が進みません。
そこで、建物附属設備に該当するものを建物と区分して計上すれば、それぞれの耐用年数で減価償却の計算が可能です。例えば、給排水設備、ガス設備、電気設備などは、耐用年数が建物と比べると3分の1から2分の1ほど短いため、その分早期の償却が可能になります。建物部分と建物附属設備部分を区分して計上した方が節税となるため、建物などを購入する際には、詳細の分かる見積書をもらっておきましょう。
建物の耐用年数
構造・用途 | 耐用年数 |
---|---|
鉄骨鉄筋コンクリート造のもの | 47年 |
レンガ造・石造・ブロック造のもの | 38年 |
木造・合成樹脂造のもの | 22年 |
※国税局:主な減価償却資産の耐用年数から一部を転機
建物附属設備の耐用年数
構造・用途 | 耐用年数 |
---|---|
店舗簡易装備 | 3年 |
給排水・衛生設備、ガス設備 | 15年 |
消火、排煙・災害報知設備 | 8年 |
一括償却資産を活用する
一括償却資産とは、取得価額が20万円未満の固定資産をいいます。この一括償却資産は、取得してから3事業年度で償却することができます。ただし、そもそも取得価額が30万円未満(青色申告法人)のものは、限度額があるにせよ取得した事業年度で即時償却することができます。しかし、即時償却できる資産でも、利益確保のためにあえて資産計上する場合があります。
このような場合に有効利用できるのが、一括償却資産です。例えば、19万円で取得した木製事務机を即時償却せずに、単純に資産として計上した場合、その耐用年数は8年となってしまいます。しかし、一括償却資産として取り扱った場合は、3事業年度で均等償却しますので、取得年度においては経費を削減し、翌事業年度以降は、単純に資産として計上するより早期に経費計上が可能となります。
資産を取得する際は、一括償却資産の活用も是非検討してみてください。
特別償却と特別控除を活用する
減価償却資産は、取得価額が30万円以上の場合、購入時に全額経費計上をすることは選択できず、耐用年数に応じ何年かに渡って、経費計上することになります。しかし、特定機械装置・設備等を取得した場合など、一定の要件を満たせば、取得初年度に、下記の金額を経費計上できる特別償却という制度があり、通常の減価償却費よりも多くの経費計上ができます。
購入価額×30% + 通常の減価償却費 = ××××
また、上記とは別に、取得価額の7%を乗じて計算した金額(適用する制度によって率は変動します。)を法人税から直接控除できる特別控除という制度もあります。どちらの方法を選択しても良いため、特定機械装置・設備等を購入する予定がある場合は、検討してみましょう。
修繕費を支出する
建物の壁の塗替え、機械の基本部品の取替えやタイヤ交換などの修繕費や原状回復にかかる費用は経費となります。
しかし、修繕により価値があがったり、使用できる期間が延びたりする場合は、経費とはならず新たに取得した固定資産として資産計上しなければなりません。ただし、20万円未満の支出は無条件に修繕費として認められますし、3年以内の周期で継続して行われている支出についても修繕費として経費計上が認められます。
また、一定の要件に該当すれば、60万円未満または、取得価額の10%以下の修繕についても、全額経費計上することも可能です。少しの差で資産計上が必要になったり、全額経費処理できたりしますので、見積もりを取る段階から考えて発注しましょう。
個人から法人に車両を譲渡する
個人が所有している車両を、法人が引き続き使用する場合、基本的には法人に名義変更し、法人への引継価格を決める必要があります。法人へ引継ぐことにより、その車両の引継価格を減価償却費として経費計上できるだけでなく、ガソリン代、自動車税、車検代、自動車保険料、駐車場代などの諸費用も、法人の経費として計上することができます。
なお、引継価格を決める際には、税務上の問題を生じさせないために、時価により引継ぎを行なう必要があります。ここでいう時価は、中古車買取店の査定価格などを参考にします。名義変更が困難な場合、個人と法人間で賃貸借契約を結び、法人で賃借料を計上するという方法もありますが、個人側で雑所得などの所得が計上され、確定申告が必要となりますので注意が必要です。
固定資産の棚卸をする
破損等の理由により廃棄処理した固定資産は、帳簿からも廃棄処理を行い、経費計上することができます。よく忘れてしまいますので、決算前に必ず固定資産の棚卸を実施するようにしましょう。倉庫などに置きっぱなしになっているような固定資産で、実際に使用していないもの、かつ、将来新たに再利用することがないものは、処分したと仮定した場合の見積額を除いて経費計上ができる有姿除却という制度もあります。ソフトウェアについても、有姿除却することができます。
ただし、通常の固定資産に比べ、使用の状態や除却したかの判断が難しいため、外部の客観的な証明資料をそろえておくことが必要になります。固定資産の定期的な棚卸を行い、廃棄又は有姿除却を実施し、節税を行いましょう。
債権債務に関する節税
不良債権は貸倒処理する
取引先への債権(売掛金や受取手形、貸付金など)について、取引先の経営状況の悪化により、回収できなくなることは決して珍しいことではありません。債権が回収できない場合には、期待していた入金が消滅しますので自社の経営にも大きく影響します。そこで、回収不能の事実が確定したときは、貸倒損失として経費計上できることとされています。回収不能となった債権がある場合には、節税により少しでも取り戻せるよう、貸倒損失として適時に経費計上しましょう。
ただし、実際には、債権が回収不能と考えられる場合であっても、すぐに貸倒損失として経費計上できるというわけではありません。経費計上するためには、法人税法に定められた要件を満たさなければなりません。貸倒れと認定されるためには、例えば、会社更生法による更生計画認可の決定により債権の切捨てが行われたなど、回収する可能性が無いという客観的な事実が必要となります。
貸倒引当金を設定する
売掛金や貸付金の債権放棄をしたり、回収不能が明らかとなったりした場合には、貸倒損失として経費に算入できることとなっています。しかし、貸倒れの事実認定はかなり厳格であり、なかなか経費として認めてもらえません。貸倒により、発生するであろう損失が見込まれるのなら、経費として計上したいものです。
そんなときは、貸倒引当金を設定しましょう。貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)とは貸倒とはいえないまでも、債権の一部又は全部について回収の見込みがないと認められるものについて、経費計上ができるものです。また、売掛金や受取手形、貸付金など、入金が予定される債権について、貸倒れる可能性のある金額を経費として計上できます。
ですから、貸倒の事実を待たずに経費に計上することができます。また、この貸倒引当金の設定は、減価償却費と同じで、現金支出を伴わず、適正に見積もるだけで経費に計上できます。設定の対象となる債権があるときは、是非検討しましょう。
役員借入金に対し利息を支払う
会社が役員からお金を借り、借入利息を支払っている場合、その利息が適正なものであれば、もちろん会社の経費となります。しかし、あまりにも高額な利率を設定すると、借入利息が、役員賞与とみなされることがありますので注意が必要です。
1.役員が他から借り入れたものを会社が借りる場合
役員が外部から借りた借入利率
2.役員個人のお金を借り入れた場合
特例基準割合による利率(年により異なります。)と借入金の平均調達金利など合理的と認められる利率のいずれか低い方
一方、無利息で役員から借入れをした場合ですが、会社と違い個人は必ずしも利益の追求を目的とはしていませんので、無利息であっても税務上問題は生じません。
役員へ信用保証料を支払う
法人が信用保証協会付融資を受ける場合、保証協会に保証料を支払うことにより、銀行融資の保証としてもらいます。一方、保証協会を使用しないで、法人が銀行融資を受ける場合、社長個人が連帯保証人となり、銀行融資の保証を行います。つまり、社長が保証人になっているため、法人が社長に保証料を支払うことができます。これは、保証協会に保証料を支払うことと同じことなので、特に問題はありません。
ただし、保証料の金額には注意をする必要があります。妥当な保証料は、第三者が保証したときに支払う保証料の額です。特に同族会社など、役員と会社との取引となれば、高額な保証料を支払うことも可能となってしまいます。通常の保証料よりも高額な部分は、役員に対する給与とみなされてしまいます。また、保証料を受け取った役員側では雑所得として取り扱われますので、確定申告も忘れずに行いましょう。
福利厚生費を活用した節税
会社が支出した経費を、福利厚生費とすることができれば全額経費になり、節税につながります。 ここで、もし交際費に該当してしまうと、年間の限度額を超える部分が経費にならないなど、デメリットが出てきてしまいます。
通勤手当の非課税枠を活用
一般的に、通勤手当は給料とあわせて支給されますが、通勤手当は給料と違い、所得税がかからない非課税所得となっています。もちろん、この通勤手当の非課税制度は、従業員だけでなく、社長やその他の役員、パートタイマーにも適用されます。交通手段や通勤距離に応じて限度額は変わってきますが、1ヶ月あたり15万円まで非課税扱いとなります。
仮に給料の中に、定期代などの交通費を含められている場合は、しっかりと給料部分と交通費部分とに区分して支給することで、会社では交通費部分が仕入税額控除できますので消費税の節税、個人では所得税・住民税の節税となります。
また、通勤手当を会社が負担するということで、福利厚生の充実も図れます。 通勤手当の非課税枠を可能な限り活用し、節税に役立てましょう。
社宅制度を活用
会社が借上げた賃貸住宅を役員や従業員に住まわせた場合、会社は役員や従業員が負担する金額を除き、その賃料を経費に計上できます。その場合、役員や従業員が負担すべき賃料は、原則的にその借上賃料の半額以上とされています。
つまり、社宅制度を利用すると、役員や従業員が自己で賃貸住宅を借りるより、会社は賃料の半額を経費計上でき、役員や従業員側においても会社に負担してもらった賃料について、個人所得税が課税されませんので、双方にとってメリットがあります。特に役員については、社宅の広さにもよりますが所得税法上の特例を用いた場合、賃料の10%から50%ぐらいの金額を徴収していれば、課税上問題ないケースもあります。
役員又は従業員が個人で賃貸住宅を借りているのであれば、節税対策として、社宅を検討してみてください。
健康診断を受診
健康診断費用は、会社が負担すれば経費として処理できますが、役員や従業員側では、会社が負担した金額について給与として所得税が課税されることとなり、かえって喜ばれない場合も考えられます。
また、役員の場合には、給与とみなされた金額は、役員給与の定期同額給与の条件から外れることとなり、役員への賞与と認定され、経費に計上できなくなる可能性があります。しかし、下記の要件を満たす場合には、給与としてではなく、会社の福利厚生費として経費処理することが可能となり、役員や従業員側でも所得税が課税されることはありませんので、節税メリットがあります。
1.健康診断対象者が全社員である
2.診断内容が健康管理上必要なものである
3.費用が会社から直接診療機関に支払われている
健康診断も実施内容によっては、思わぬ税負担が発生してしまうため、注意しましょう。
忘年会費用を経費にする
会社が従業員の親睦や労働意欲の向上等を目的として、忘年会、新年会等の行事を行うことは広く一般化していますので、これらの費用は福利厚生費として会社の経費に計上することができます。
ただし、役員など特定の人だけが参加する場合や、特定の部署だけで行なう場合は福利厚生費には該当せず、接待交際費又は参加者に対する給与となりますので、まずは全従業員を対象とすることがポイントになります。
会社の規模が大きく、忘年会等を一度に行うことが困難な場合は、単なる個人的な集まりではなく、あくまでも組織として行うことが条件ですが、部署単位で行うことも問題ありません。また、忘年会の領収書を保存しておくことはもちろん、例えば、忘年会の開催のお知らせなど、忘年会が開催されたことが分かる書類を保存しておきましょう。
レクリエーション費用を活用する
レクリエーションは、役員や従業員の親睦を深めることや勤労意欲の向上を目的として実施され、その費用を会社で負担するのはよくあるケースです。レクリエーション費用の取扱いですが、役員や従業員が費用負担することなく恩恵を受けたということで、原則的には給与課税がされてしまいます。
しかし、レクリエーションは会社の福利厚生の一環として行われていますので、できるだけ給与課税されずに済むようにしたいところです。給与課税されないためには、全従業員を対象にして、レクリエーションを実施します。この場合であれば、参加した人の参加費用は基本的に給与として課税されません。
ただし、参加できなかった人に対して金銭を支給した場合には、その金額が給与として課税されてしまうほか、実際に参加した人の参加費用も給与として課税されてしまう場合がありますので、レクリエーションを実施する際は、事前にしっかりと検討しましょう。
スポーツジムの会費を経費にする
スポーツジムに支払う年会費は、そのスポーツジムを誰がどのように利用するかによって、給与、福利厚生費、交際費などと、税金の課され方が変わってしまいます。特定の役員や従業員のみが利用する場合は、年会費の支払いは、その役員や従業員に対する現物給与となり、所得税が課税されてしまいます。その場合は、会社で源泉徴収をする必要がでてきます。
特定の役員や従業員が利用するのではなく、全員が同じ条件で利用できるようにしておくなど、社会通念上一般的なルールで分け隔てなく運用がされていれば、給与として課税されないでしょう。
慶弔見舞金を支給する
取引先や従業員の冠婚葬祭について、祝儀や香典、見舞金等を渡すことがあると思います。ただし、その渡す相手先によって、経費として落とせるかどうかが変わりますので、注意が必要です。取引先など社外の者に対して支出した慶弔見舞金の場合は、交際費として取り扱われ、その支出額の一部が経費として認められません。
一方、従業員、役員(元従業員を含みます)又はその親族等に対する慶弔、禍福が、一般的に妥当であると認められる金額であれば、福利厚生費として全額経費処理しても問題ありません。その際、慶弔見舞金規程を作成しておくことをお勧めします。
節税だけではなく、従業員への福利厚生を充実させる意味でも、慶弔見舞金の支給をご検討ください。
記念品を支給する
長い間会社に勤続した方へ記念品を渡す制度として、永年勤続表彰制度があります。この永年勤続表彰制度による記念品の支給は、「受彰者の地位に照らして社会通念上相当と認められる額で支給されており、かつ、おおむね10年以上の在職者に5年以上の間隔をおいて支払われるもの」であれば、個人側で給与課税をしなくて差し支えないとされています。
この制度は役員のみでも利用できる制度ですので、役員に対する臨時ボーナスのようなものともいえます。ただし、従業員や役員を新しく雇用したり登用したりしたときは、同条件でこの制度を使えるようにしておく必要があります。今回のみの特別の支給と見なされれば、役員賞与となる可能性があります。また、記念品に代えて、金銭を支給した場合は、賞与として所得税、住民税が課税されるなどの注意点もあります。
社員旅行を活用する
社員旅行の費用は福利厚生費として会社の経費にすることができます。社員旅行を上手に行えば、節税効果も図れるほか、社員のモチベーションアップにも繋がります。
ただし、社員旅行の計画段階から、気をつけることがあります。滞在数が4泊5日以内で社員の参加割合が50%以上でないと、その経費は給与として認定されてしまいます。給与として認定された場合、会社としては経費に落とせることに変わりはないのですが、社員側で所得税の課税がされてしまいます。
ちなみに、これが役員の場合であれば、役員賞与として取り扱われ、所得税が課税されるだけでなく、会社の経費にもならず、法人税も課税されてしまいます。そのほか、旅行に参加できない人に対して、旅行費用相当分を現金で支給した場合にも、給与として取り扱われますので注意が必要です。
・・・ちなみに、招待旅行は会議も併せて開催すれば、得意先との関係の円滑化のため、招待旅行を行った場合は、全額交際費となります。
しかし、製造業者や卸売業者が、特約店その他販売業者を旅行に招待し、新製品の説明、 販売技術の研究等の会議を開催した場合等は、その会議が全体として実態を伴うものであれば、会議費用のみ、交際費から外すことが出来ます。会議費用は全額経費計上できますので、節税効果があります。具体的には、会議で出される茶菓子や弁当代のほか、会議場までの交通費、会議が行なわれる場所での宿泊費が考えられます。
たとえば、一泊二日の会議を開き、会議の後に宴会を行なった場合、宴会の費用は交際費となりますが、交通費や宿泊費は会議費として処理できます。そのために、会議の予定表や議事録などを備えておくべきで、税務調査の際に、会議の実態が証明できるようにしておかなければなりません。実際に旅行の日程表やパンフレットがあれば、それらを保存しておきましょう。
役員報酬に関する節税
所得税率を考慮して報酬を設定する
個人の所得税の計算は、超過累進税率を採用しており、収入が増えれば増えるほど、適用される税率が高くなります。最高税率はなんと45%です。さらに自治体ごとに異なりますが、住民税の税率が付加されることになります。超過累進税率を全く考慮せずに役員報酬を設定してしまうと、税負担が大きくなる可能性があります。
中小企業においては、会社に利益を残さないような金額に役員報酬を設定し、個人で利益をすべてとりきってしまうことも、効果的な節税方法のひとつとされています。ところが、この超過累進税率により、場合によっては役員報酬を上げすぎない方が、法人と個人のトータルで見た場合、得策であることもあります。法人税の実効税率と個人所得税の実効税率とを総合的に検討し、役員報酬を設定しましょう。
役員報酬をギリギリに設定する
役員報酬を支給しなかった場合の1年間での会社の利益が800万円見込める場合、役員報酬を支給した方がよいか、会社にお金を残した方が良いか、税負担を比較検討してみます。
1,役員報酬を年800万円に設定したケース
会社の利益が0円になるため法人税などの会社負担の税金はありません。一方、個人の所得税や住民税は、給与収入が年800万円となり、ご本人の家族構成などで変わってはきますが、実効税率15%程度と仮定して、税負担は約120万円です。
2,役員報酬を0円に設定したケース
会社の利益が800万円残ることとなり、実効税率30%程度と仮定して、税負担は約240万円です。一方、個人の所得税や住民税は、給与収入が0円のため、税負担はありません。
上記のように、倍以上もの税負担の差が生じる場合がありますので、役員報酬の金額は慎重に設定する必要があります。
役員を使用人兼務役員にする
役員に対する賞与は、事前確定届出給与または利益連動給与に該当しない限り、経費として認められません。しかし、役員であったとしても使用人兼務役員という立場であれば、その使用人分に対する賞与を経費として計上できます。
使用人兼務役員とは、役員のうち取締役営業部長など使用人としての職務をもつ者をいいます。ただし、使用人兼務役員になれる条件や、使用人分の賞与が経費として認められるための条件があります。また、使用人兼務役員である旨を書面で証明できるようにしておくことや、使用人兼務役員であることを客観的に認定させるための様々な条件があります。
上記のような条件を満たす必要はありますが、役員であっても賞与を支給することができ、節税につながるということと、役員の更なる勤労意欲を向上させることができますので、是非検討してみてください。
人件費に関する節税
決算賞与の支給
決算賞与とは、決算で多額の利益が出る場合に、使用人に対して、臨時的に支給する賞与をいいます。 決算賞与は、決算期末までに実際に支払えば、その年度の経費となります。
また、次の要件を満たすことで、決算期末までに支払っていなくても、その年度の経費にすることが認められています。
1,決算日までに支給額を受給者全員に通知していること
2,決算日後、1ヵ月以内に受給者全員に支払っていること
3,決算時に未払計上(損金経理)していること
上記は、原則として役員は対象になりませんが、使用人兼務役員の使用人部分については、この制度の適用を受けることも可能です。決算賞与の支給は、通常の賞与以外の臨時的な賞与なので、節税になるばかりでなく、使用人の勤労意欲を向上させる効果もありますので是非検討してみてください。
所得拡大税制の活用
従業員への給与等の支給額を一定割合以上増加させるなどの要件を満たした場合、その増加額の中小企業の場合15%を法人税額から控除できる制度です。 ※控除できる金額は、中小企業の場合、その年度の法人税額の20%が限度となります。
要件は比較的厳しいところもありますが、給与が増加することによる従業員の労働意欲の向上や、法人税額から直接控除できる税額控除のメリットは非常に大きいです。決算前に、本制度の要件を満たすかどうかの確認を行い、場合によっては決算賞与などの支給も検討するとよいでしょう。
退職金に関する節税
退職金税制のメリットを活用する
退職金は所得税の計算上、税負担が非常に優遇されています。これは、退職金が、老後の生活を保障するためのものであるからです。税金を計算する際、退職金は、その金額から勤続年数に応じた控除額を控除し、さらにその金額の2分の1が税金計算の対象となります。
また、通常所得税を計算する上では、全ての所得を合算し、その合計額に超過累進税率を乗じて税額を計算しますが、退職金は他の所得と別個で超過累進税率を乗じて計算されます。
ですから、税負担が軽減され、給与などの所得と比較し、非常に優遇されているのです。この性質を念頭に、会社の退職金制度により、社長が役員報酬として毎月支払う一部を将来の退職金に担保しておくことも検討に値します。
役員退職金の分割支給を活用する
役員退職金は通常一括で支給され、その支給額の全額を経費に計上します。しかし、役員退職金は、金額が高額となる事が多く、資金繰りの関係で、複数の事業年度にわたって役員退職金を分割支給するというケースが少なくありません。この場合、分割期間が長期にわたると退職年金とみなされる場合があります。退職年金とみなされてしまった場合、退職金を実際に支払った年度ごとに、経費に計上していくこととなります。
また、退職金を受け取る側も、年金として受け取ったと見なされた場合は、退職金を一時で受け取った場合に比べ、所得税や住民税の負担が不利になる可能性があります。よって、退職金を分割支給する場合でも、支給額の全額が一括の経費であることを、後々説明できるようにしておくことが非常に重要です。
分割して支給する期間が退職年金と同じくらい長期にならないようにし、退職金の総額と分割支給である旨を株主総会等の決議で確定しておきましょう。
役員退職金の分割支給を活用する
役員退職金は通常一括で支給され、その支給額の全額を経費に計上します。しかし、役員退職金は、金額が高額となる事が多く、資金繰りの関係で、複数の事業年度にわたって役員退職金を分割支給するというケースが少なくありません。この場合、分割期間が長期にわたると退職年金とみなされる場合があります。退職年金とみなされてしまった場合、退職金を実際に支払った年度ごとに、経費に計上していくこととなります。
また、退職金を受け取る側も、年金として受け取ったと見なされた場合は、退職金を一時で受け取った場合に比べ、所得税や住民税の負担が不利になる可能性があります。よって、退職金を分割支給する場合でも、支給額の全額が一括の経費であることを、後々説明できるようにしておくことが非常に重要です。
分割して支給する期間が退職年金と同じくらい長期にならないようにし、退職金の総額と分割支給である旨を株主総会等の決議で確定しておきましょう。
消費税の節税
資本金1,000万円未満で設立する
消費税の課税事業者に該当するかどうかは、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えたかどうかで決まります。なお、基準期間とは、当期の前々事業年度をいいます。
新たに会社を設立した場合は基準期間が存在しないため、原則として最初の2期間は消費税の免税事業者となります。(特定期間の判定により、2期目が免税事業者とならない場合があります。)ところが、基準期間が存在しなくても、設立時における資本金が1,000万円以上の場合は、消費税の課税事業者になってしまうため注意が必要です。(特定期間の判定により、2期目が免税事業者にならない可能性があります)
仮に、資本金として1,000万円出資する必要がある場合は、一部を資本準備金に組み入れることをお勧めします。例えば資本金990万円、資本準備金10万円という形です。こうすることにより、資本金が1,000万円未満の会社となり、一定期間消費税の免税事業者となることができます。
消費税の免税期間を延ばす
消費税の納税義務は、前々期の課税売上高が1,000万円を超えている場合に発生します。資本金1,000万円未満の会社を新設した場合、前々期が存在するまでの2期間は、消費税の納税義務がありません。(特定期間の判定により、2期目が免税事業者とならない場合があります。)
今回のポイントは、免税とできるのは設立後「2年間」ではなく「2期間」ということです。例えば、第1期を12ヶ月として設立した法人で、設立後6ヶ月で課税売上高が500万円以下である場合、決算期の変更をし、第1期は6ヶ月で決算を行います。
この場合、第3期において消費税の納税義務の判定をしますが、消費税法の規定により、第1期の6ヶ月分が基準期間となり、年換算をする必要はあるものの、第3期も消費税が免除され、当初よりも6ヶ月分長く消費税を免税にできたという節税効果を生みます。
消費税の還付を受ける
消費税の納税額は、「売上にかかる消費税」から「仕入等にかかる消費税」を差し引いて計算します。つまり、「仕入等にかかる消費税」の方が大きければ、消費税を払いすぎていることとなり、還付を受けることができます。
既に消費税の課税事業者になっている場合、上記のように消費税を払いすぎている状態であれば、消費税の還付を受けることができます。ただ、設立間もない事業者のほとんどが消費税の免税事業者ではないかと思います。免税事業者は、消費税の納税義務がないかわりに、還付を受けることもできません。
仮に還付が予想される場合には、提出期限までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出して、課税事業者を選択しておくことが必要です。「消費税課税事業者選択届出書」はいったん提出すると、基本的に2期連続して課税事業者となりますので、長期的な納税予測をしてから選択しましょう。
税込経理で節税をする
消費税の経理方法には、税込経理と税抜経理があります。
簡便的に売上100円のみ発生した場合 、税込経理は税込の売上108円を全額売上とする経理方法で、税抜経理は売上100円と消費税8円とに分ける経理方法です。また、税込み経理の場合の決算時の処理は、8円の消費税を経費として取り扱い、売上108円から間接的に控除する形で、当期利益を計算します。
この消費税8円を経費として処理するタイミングとして、2つの方法があります。
・納税すべき消費税を、決算時に経費計上する
・申告書を提出した日に経費計上する
決算時に経費として計上する方法をとると、その分利益が小さくなり法人税を節税することができます。ただし、2つの処理方法のどちらを採用しても、その後継続して採用することが要件ですのでご注意下さい。※2019年4月時点の税率で掲載しています。
簡易課税の事業区分を検討する
消費税の簡易課税制度を採用している会社が2種類以上の事業を営んでいる場合、事業の種類ごとに課税売上高を区分しており、かつ一定の条件に該当すれば、有利な仕入率の選択ができます。よって、課税売上高の業種区分をしっかり分けることがポイントとなりますが、これは帳簿に事業の種類を記入し、事業の種類ごとに売上高を集計するのが原則です。
例えば、次の方法によるときは区分されているものとして取り扱われます。
・請求書、売上伝票、レジペーパー等にその事業の種類を記載して売上高を集計する方法
・事業場ごとに1種類の事業のみを行っている場合、事業場ごとに売上高を集計する方法
仮に、課税売上高を事業ごとに区分していない場合は、最も低いみなし仕入率が適用されることになるので、注意が必要です。
確定申告に関する節税
配当金がある場合
上場株式などの配当金は、支払の際に源泉徴収されるため、確定申告を要しないとされていますが、あえて確定申告することにより、配当控除を受けることができ、税金還付の可能性があります。
上場株式の売却損がある場合
特定口座では、株の売買のつど源泉徴収されるため、確定申告を要しないとされています。
しかし、複数の口座があり、いずれかに損失が出ている場合は、確定申告することにより複数口座間の利益と損失を相殺することがき、税金還付の可能性があります。
住宅の売却損がある場合
一定の要件に該当する場合には、確定申告により、住宅の売却損を給与所得などの他の所得から控除することができます。
年末調整を受けていない場合
2箇所以上に勤務されていた場合など、年末調整を受けていない給与がある方は、確定申告により税金の還付の可能性があります。
寄附金を支出した場合
国・地方公共団体、NPO法人、公益財団等に寄付金を支出した場合は、確定申告することにより、税金の還付の可能性があります。
その他の節税
車両を法人の経費にするためには、法人名義の車両を所有する必要があります。しかし、法人名義での車両の取得が難しい場合、もちろん仕事で使用していることが前提条件ですが、個人名義の車両でも、法人で経費を負担する方法があります。個人が法人に対し、車両を無料で貸すという「使用貸借契約」を締結し、客観的な証拠を残すため使用貸借契約書を作成しておきます。
使用貸借契約を締結した場合、例えば、
・保険料
・自動車税
・ガソリン代
・高速代
・車検費用
などの諸経費を法人で負担することが可能です。この場合、法人での使用頻度などの割合に応じて、経費を計上することとなります。 ただし、法人が個人から車両を購入するという売買取引ではないため、車両の減価償却費を計上することはできないので、注意が必要です。
制作費に関する節税:ホームページを作成する
ホームページの制作やリニューアルに要する費用は、その金額にかかわらず、基本的に発生時における経費となりますので、節税対策として有効です。
ただし、制作費用の中に、ホームページ上で動作するプログラムや、OS、データベース(DBMS)など、いわゆるソフトウェアが含まれている場合は注意が必要です。ソフトウェアは無形固定資産に該当するため、資産計上しなければなりません。資産計上した場合、耐用年数5年の減価償却を行って経費計上する必要があります。
支払い方法に関する節税:短期前払費用を活用する
契約に基づき継続して支払っている地代家賃や保険料などをまとめて前払いした場合は、期間の経過に応じて経費とする取り扱いになります。しかし特例として、短期前払費用(支払った日から1年以内に役務提供を受けるもの)については、支払ったときに全額経費として計上できるという制度があります。
例えば、決算期末に一年分の地代家賃の前払を行えば、一年分を先に経費として計上することが可能になります。この制度を活用して、支払方法を月払から年払いに変更した年度においては、2年分の経費を計上することができます。ただし、この制度は同一の経理処理を継続して行うことが要件となっているため、注意しながら実行する必要があります。
保険料に関する節税:社会保険料の軽減を図る
社会保険料は、役員や従業員と会社がそれぞれ半分ずつ負担することになっています。その社会保険料ですが、毎月の給与に対するものはその給与の金額によって、社会保険料の料率表を適用して計算されます。例えば、月額395,000円から424,900円までの給与に係る社会保険料の金額は同じです。逆に、月額394,999円と395,000円とでは、社会保険料が違うのです。
これに対し、賞与に係る社会保険料は、賞与の金額に一定率を乗じて計算しますので、割合で計算されます。従って、年間給与等の金額が決まっている場合には、毎月の給与等の金額と賞与の金額の配分を調整することで社会保険料の負担額の調整が可能となります。
一人あたりの金額は少額かもしれませんが、人数が増えてくると費用削減効果も大きくなりますので、検討してみてはいかがでしょう。
旅費日当に関する節税:出張に伴う日当を支払う
旅費日当とは、役員や社員が出張した際に、交通費や宿泊費とは別に支給される手当をいいます。支給した会社側では、日当を経費に計上できることはもちろんのこと、支給された側でも所得税がかからず、双方にとって大きな節税効果が見込めます。
さらに、旅費日当は消費税の課税仕入の対象となるため消費税の納税義務がある会社にとっては、消費税の節税効果も見込めます。ただし、旅費日当を支給するには、旅費規程や出張報告書等を作成する必要があります。また、不相当に高額な日当は、役員賞与や給与として課税されることがありますので、日当の金額設定には注意が必要です。
出張が多い会社は旅費規程を作成して、日当の支給を検討しましょう。
消耗品に関する節税:消耗品を経費として処理する
消耗品については、使ったものだけが経費となるのが原則的な取り扱いです。ですから、未使用の事務用品・包装材料・見本品などの貯蔵品は、棚卸資産として資産に計上し、使用した事業年度に費用として計上することとなります。
しかし、下記の要件のもとに、取得したときにその購入代金のすべてを経費に計上することができます。
1.毎期おおむね一定数量を購入するものであること
2.毎期経常的に消費するものであること
3.取得した日の属する事業年度で継続して費用処理すること
決算前に今後何年間にもわたって使用するものを取得するような場合は、貯蔵品として、資産計上しなければなりませんので、注意してください。決算前には、上記要件を満たす範囲内で消耗品を購入し、節税をおこないましょう。
売上に関する節税:売上の計上時期を検討する
商品を販売したときの売上については、原則としてその商品の引渡しがあった日の年度に計上することとなっています。
その「引渡しがあった日」のタイミングについては、下記の日から会社が選択して税務処理を行うことが可能です。
・出荷した日
・相手先が検収した日
・相手先が使用できることとなった日検針等により販売数量を確認した日 など
このほかにも、委託販売による売上については、売上計算書が売上の都度送付されていれば、売上計算書を受け取った日に売上を計上することができます。売上の計上時期は、一度採用すると毎期継続しなければいけませんので、会社にとって最も有利な日に設定しましょう。
仕入れに関する節税:デッドストックを処分する
在庫を管理するには、維持保管するための費用や、商品仕入にかかった借入金の金利など、様々な経費がかかります。長期にわたって滞留している価値のない在庫(デッドストック)を売却するなどして処分する場合、処分する価額が帳簿価額より低ければその差額を除却損として経費計上できます。
また一定の要件を整えれば、陳腐化、破損、型崩れ、品質変化などの商品価値のないものについて、売却などを行わなくても、帳簿価額と評価額との差額を評価損として計上することもできます。上記の除却損や評価損を計上する場合は、その理由を明確にしておき、廃棄の事実を証明する書類を揃えておく必要がありますので、注意が必要です。
商品や材料など、棚卸資産を抱えている企業にとって、売れ残り商品や不要な材料を廃棄処分することは、節税対策にとても有効ですので検討しましょう。
棚卸資産に関する節税:棚卸資産の付随費用を経費にする
棚卸資産の取得価額は、購入諸費用(※1)及び付随費用(※2)と、購入対価(※3)の合計額となります。仮にこれらが売れ残ってしまった場合、すべて在庫として資産計上されてしまいます。
ただし、付随費用については、その合計額が購入対価のおおむね3%以内のとき、取得価額に含めずに処理することが出来ますので、資産計上せず、その年度で経費にしてしまいましょう。
※1 購入諸費用とは購入のためにかかった費用で、引取運賃、荷役費、 運送保険料、購入手数料、関税などが含まれます。
※2 付随費用とは、消費や販売のために直接要した費用で、購入事務、検収、整理、選別、手入れなどにかかった費用がこれにあたります。
※3 購入対価とは本体価格のことです。
交際費にならない特例
交際費には、取引先の接待・慶弔・禍福、社内接待などが該当します。 交際費に該当してしまうと、年間の限度額を超える部分が経費にならないなど、デメリットが出てきてしまいます。 しかし、交際費であっても、全額経費として認められる特例があります。
接待などの飲食代を交際費にならないようにする
取引先などの外部の方との飲食代のうち、一人当たり5,000円以下の飲食代については、交際費から除くことができるというものです。注意したいのは、役員社員などの社内接待は該当しないということ。
つまり取引先などとの飲食代のうち、一人当たり5,000円以下のものは、全額経費処理できるということです。ただし、領収書や請求書を保存するほかに、接待の相手先や名称、出席した人数を記録することも同時に義務付けられています。少しの手間で全額経費になるので、是非活用してください。
紹介料は契約に基づいて支払えば損金経理が認められる
社外の者からの情報提供や顧客紹介などにより契約が成立する場合、これらの業者に支払う紹介料などは、問題なく経費となります。ただし、情報提供等を業務としていない一般の個人に対して支払う紹介料などは、交際費となってしまい、年間の限度額を超える部分が経費にならない場合があります。
しかし、下記の要件を満たす場合には、交際費として処理せず、紹介料として損金経理することが認められています。
1.あらかじめ締結された契約に基づくものであること
2.提供を受ける情報、内容が契約で明確に決められており、実際にその役務の提供を受けていること
3.提供を受ける役務と契約金額とに妥当性があること
上記に気をつければ、交際費課税から免れ、節税効果があります。該当しそうな場合は、契約書を作成するなど、準備をしっかり行っておきましょう。
景品費や広告宣伝費を活用する
販売促進のための景品のうち、その単価がおおむね3,000円以下で、その種類、金額及び渡した相手方の確認できるものについては、交際費にしなくてもよいこととなっています。ただし、商品券や旅行券などは、単価が3,000円以下であっても、交際費となりますので、注意が必要です。
また、一般消費者に対して物品を贈る場合や、得意先に対する見本品や試供品は、広告宣伝効果が見込まれるのであれば、交際費には該当せず、広告宣伝費として処理することができます。贈答等の意図により、それぞれ処理が異なりますから、どのような目的で、誰に対して、いくらの物品を渡すかをうまく使い分けて、上手に節税しましょう。
経費を計上する際に注意するポイント
期末の未払いは漏れなく計上する
節税を検討する場合、利益を圧縮するために、どうしても現金の支出が伴います。ですが、節税は税負担を抑えるために行いますので、できれば現金の支出を抑えたいものです。そこで、決算の際には、まず未払いの経費を漏れなく計上しましょう。未払いの経費とは、決算日までに物やサービスの提供を受けたものについて、決算日においてその支払日がまだ訪れていないものです。
例えば、毎月の給与が末締めで翌月20日支給である場合、決算月の給与は決算日現在において、まだ支払われていない状態ですが、未払費用として経費計上することができます。そのほか、水道光熱費などは、決算月の使用分は決算月の翌月に請求されることが多いですが、こういったものも未払いの経費に該当します。
未払いの経費は、決算日において支払いが確定しているだけで、その時点での支払いは必要ありませんので、現金の支出を伴わない節税となります。徹底的に洗い出して、すべて未払計上しましょう。
固定資産税が高いときは抗議する
固定資産税は、毎年1月1日時点において不動産登記がなされている土地建物などに対して課される税金です。固定資産税は納税者が計算をするのではなく、市役所が固定資産税評価額を基に計算します。
固定資産税評価額とは、不動産の用途や大きさによって市町村が計算したものですが、当然、この固定資産税評価額が高くなると、固定資産税も高くなってしまいます。よくあるケースとして、登記上の用途や大きさと、実際の用途や大きさとが、かけ離れてしまっていることがあります。固定資産税は、あくまで登記上のみで判断されますので、無駄に税金を払わされていることが少なくありません。
固定資産税評価額に不服がある場合には、「固定資産評価審査委員会に対する審査の申し出」という制度があり、計算をし直すよう要請ができます。固定資産税評価額が高すぎるのでは?と思われる場合には、この制度を是非活用してください。
評価損を計上する
所有している固定資産や有価証券は、購入価額をベースに資産に計上するのが原則ですが、一定の事実のもとに評価損を計上できる特例があります。
固定資産について、評価損を計上できるのは下記のような場合です。
1.1年以上、遊休状態にある固定資産
2.事故や災害のため大きな損害を受けた固定資産
3.本来の用途に使用することが出来ず、やむをえず別の用途に使用した固定資産
有価証券について、評価損を計上出来るのは下記のような場合です。
1.帳簿価額より50%ほど値下がりし、当分の間、回復が見込めない上場有価証券
2.資産状態と価額が著しく悪化した会社の株式
3.会社更生法の手続開始決定があった会社の株式
まとめ
税金は、ルールを知らないと損をするようにできています。「どのような場合に節税が可能になるのか」という節税のポイントを少し理解するだけで、税金の負担を最小限にすることができます。
ほかにも節税についてわかりやすく解説していますので、こちらも参考にしてみてください!