フードデリバリー業界ってどうなの?戦国時代を勝ち抜く秘策をテガルデリバリーのFC本部に聞いてきた
コロナ禍以降、ますますニーズが高まっているフードデリバリー。出前館やUber Eatsだけでなく、国内外から新たなフードデリバリー・プラットフォーマーの参入も相次ぐなど、成長市場の1つとして注目を集めています。
じっさいに、2022年3月に東京ビッグサイトで開催された「フランチャイズ・ショー2022」でも昨年に引き続き、ゴーストレストランやバーチャルレストランなど、フードデリバリー事業を展開するフランチャイズ本部が多数出展。中食(なかしょく)市場の盛り上がりを感じずにはいられない状況でした。
そこで今回は、コロナ禍以前の2016年にゴーストレストラン事業「テガルデリバリー」のフランチャイズ展開を開始し、全国100店舗を達成。昨年カンブリア宮殿にも取り上げられるなど、業界をけん引しているといえる「株式会社TGAL(テガル)」の池田氏にインタビューを実施。2022年現在のフードデリバリー業界事情や、今後の展開、注力ブランドについて伺いました。
ゴーストレストランやバーチャルレストラン事業を検討している方は必見です!
30秒でわかるテガルデリバリー
テガルデリバリーは、株式会社TGALが2016年にFC展開を開始したゴーストレストラン事業です。コロナ以前より蓄積しているブランド力と独自のノウハウでフードデリバリー業界を牽引中。
実力のあるブランドを複数扱えるだけでなく、低投資なのでローリスクで開業可能!ニーズに合わせた最適なプランを提案しています。
フードデリバリー事業者が語る業界の現在地
コロナ禍以降、デリバリー市場が成長しているのは確かですね。
具体的にいうとデリバリーの市場規模は、2019年から2021年にかけての2年間で2倍になりました。
1984年生まれ。ホテル学校を卒業後、飲食業界へ。独立志向が高かった20代前半で新卒入社の会社を退職し営業職へ転職。しばらくして同社が立ち上げた飲食コンサル部門へ転籍。その後飲食業界に戻り、海外駐在4年、東証一部上場企業のAPAC担当を経て、2018年2月よりTGAL Singapore立ち上げから海外事責任者として参画。1年の駐在後、日本国内のFC事業、Virtual Restaurant事業の責任者を経て2021年取締役に就任。
コロナ禍でフードデリバリーの需要が高まったこともあり、2021年には1年間で40店舗をオープンさせることができました。2022年3月現在でトータル105店舗まで拡大しており、内訳は直営店が7店舗で、フランチャイズ店舗が98店舗になります。
一般的なデリバリー業態と「テガルデリバリー」を比べると、そもそもジャンルからして異なると考えています。誤解を恐れずに言うのでしたら、他のデリバリー業態とは一線を画していると自負しています。
よく、店舗をもたずにデリバリーに特化した飲食店を「ゴーストレストラン」と言いますよね。これらの多くはリアルでは存在しないゴーストレストランのためのブランド、いわゆる“ゴーストブランド”を自社で作って、そのブランドの商品をお届けしています。
一方、「テガルデリバリー」では現在50以上のブランドを取り扱っているのですが、すべて実在する飲食ブランドなんです。
そうなんです。さらに言うと、そのブランド1つ1つが、食べログで評価が高かったり、ミシュランガイドの評価指数であるビブグルマンを取得している飲食店なんです。いわゆる名店の商品を扱えるのが、「テガルデリバリー」がほかのデリバリーブランドとは異なるポイントであり、強みの1つだと捉えています。
フードデリバリー業界全体の課題
じつは今後も市場が盛り上がり続けられるのか、といったら、そこに関しては不安もあります。さきほど市場規模が2年間で2倍になったとお話をしましたが、その一方でフードデリバリーへの参入店舗数はなんと6倍にもなっています。
そうだと思います。ただ、そうなると弊害もあって、デリバリー市場の拡大以上に参入する飲食店が増えたことで、実績のある飲食ブランドを並べていても、ほかに埋もれてしまい、以前より見つけてもらいにくくなりました。
そしてもう1つ、危惧していることがあります。それは、わたし自身、仕事柄よくフードデリバリーを利用しますが、「思っていたものと違う」と、がっかりさせられるお店が多いんです。
わたしは業界勉強の一貫なのでいいんですが、普段フードデリバリーを利用したことがない方だったら、「デリバリーはしょせんこんなもの」「手数料が掛かるし店舗で食べたほうが美味しい」と思ってしまいますよね。なので、決してこの状況は楽観視できません。
また最近では、フードデリバリーのプラットフォーム側にも動きがありました。2020年に日本に上陸したドイツ発のフードデリバリーサービス『foodpanda(フードパンダ)』が、2022年1月末で日本から撤退するなど、淘汰されはじめています。
ここまでフードデリバリー市場開拓のために、新規ユーザー獲得を狙って各社が高額のクーポンをばらまいたり、プロモーション合戦を繰り広げていますよね。これらもフードデリバリー市場の成長を支えていた要因なので、プレイヤーが減るというのは歓迎できるものではありませんね。
今後撤退するプラットフォームが増えれば、プラットフォーム同志の競争意識はなくなり、いままでのように新規のお客さまが増えづらくなります。
そうすると、既存のお客さまのリピートが重要になってきますし、場合によってはフードデリバリー市場が衰退していくことにも繋がります。フードデリバリー事業を本業として展開している弊社としては、チャンスというより危機感を持って取り組んでいるところです。
TGALが考えるフードデリバリーの生き残りのカギは「ファン作り」
今後は「ファン作り(リピーター獲得)」が重要だと考えています。
というのも、正直、3〜4年前までは「テガルデリバリー」のなかのブランドを複数取り扱うだけで、十分な売上が確保できていました。1拠点で複数のジャンルのブランドを展開し、地域のデリバリー需要を吸い上げる、いわゆる「面を取る」戦略です。もしニーズに合わないブランドがあれば、どんどんブランドを入れ替えて、常に新規のお客さまを獲得することに注力していました。
フードデリバリーが、ある程度世の中で浸透してきているので、お客さまもフードデリバリーの利用に慣れてきています。これまでの物珍しさでの注文ではなく、商品やお店を選んで注文するようになってきています。
つまり、新規獲得ももちろん大切ですが、それよりも2回目、3回目とリピートしていただくことの重要性が高くなっているんです。
まず本部としては、売上が低いからといって、すぐにブランドを入れ替えるのではなく、地域のお客さまの特性を見極めたうえで、取り扱いをやめるのかどうかを判断する必要があると考えています。
たとえば、売上が低くてもリピートが多いブランドの場合、ファンになってもらいやすいブランドとも言い換えられます。売上だけの判断軸でブランドの取り扱いをやめるのではなく、さらにファンを作っていくために、たとえばメニューを増やしたり、広告を打ってより目に触れやすくしたり。ブランドの特性に合わせて判断をする必要があると感じています。
たとえばですが、「テガルデリバリー」では黒毛和牛ハンバーグ専門店や牛タン専門店、とんかつ専門店など、多くの専門店ブランドを取り扱っています。1年前に黒毛和牛ハンバーグ専門店を利用していただいたお客さまが、再度お店のページを訪れたときに、ハンバーグ以外にもオムライスやロールキャベツなどの関連性の高いメニューが充実していたら、「メニューが増えている」とポジティブな気持ちになりますよね。
『いまファンが付いているブランドを育てる』。これがオーナーさんに求められることだと考えています。デリバリー業態の場合、お客さんとの対面でのコミュニケーションがないので、ファンを作るのは決して簡単なことではありません。
サービス業であれば基本的なことではありますが、ことデリバリーに関しては、通常の飲食店と異なり、お客さまが目の前にいらっしゃるわけではないので、数ある飲食店のなかから自分のお店を選んでいただけた、という意識がどうしても薄れてしまいます。なので、まずは選んでいただいたことに対する感謝の気持ちを忘れてはいけません。
そうですね。そうじゃないと目の前の注文に対しても一生懸命になれず、お客さまに満足していただくことは不可能です。
たとえば、ハンバーグ専門店1つをとっても、テガルデリバリー以外にもたくさんお店がありますよね。そんななかで選んでいただいた、お客さまへの感謝の気持ちを常に持ち続けて運営していかないと、どれだけ味がよくても、いつか細部にほころびが生まれてしまい、満足してもらえず「次は違うハンバーグ専門店でデリバリーしてみよう」となってしまいます。デリバリーは、対面の飲食店と異なり、人柄などでカバーできませんから。
そうなんです。ここまでお伝えしたようにフードデリバリー市場が盛り上がるにつれて難しくなっていて、1年前や2年前とは戦い方がまったく異なっています。ただ一方で、TGALの“地域でナンバーワンのデリバリーの店舗を作る”という目指すべき姿は変わりません。
なので、新規顧客を獲得しつつ、多少利益を減らしてでも、そこから先のリピートにつなげる。今後はこういった戦略が重要だと感じています。
TGALが注力するUber Eatsのリピート部門「最優秀賞」獲得ブランド
そうなんです。ミスターチキンは韓国チキンのデリバリー専門店ブランドで、現在は30店舗ほどを展開しています。モセスフードシステムという会社が運営していますが、2022年3月からフランチャイズ展開の支援をさせていただいています。
「からあげ原人」は、2022年3月現在で直営店を含めて11店舗まで増えました。こちらは、基本的にハイブリッド型のモデルで展開していて、表向きは「からあげ原人」なんですが、店内設備を活用して「テガルデリバリー」の事業も同時に運営できます。つまり、1拠点でテイクアウトとデリバリーを両立させるハイブリッド型のモデルになっています。
ミスターチキンは韓国チキンのブランドですが、運営しているモセスフードシステムの社長さんや従業員さんが、みなさん韓国の方なんです。日本人に美味しい韓国チキンを食べてもらいたいという思いで、2017年にミスターチキンをスタートしています。なので、調理に使う粉を韓国から輸入したり、ソースを100%オリジナルで開発したりと、かなりこだわっていますよ。
そんな本格的な韓国チキンの提供や、SNSやメディアを効果的に活用することで、リピート率は70%を達成。Uber Eatsの「Eats Award 2020」でリピーター部門の最優秀賞を獲得しています。これは、テガルデリバリーでもなし得ていません。
そうですね。ミスターチキン単体でのフランチャイズ募集になります。テガルデリバリーのブランドに含めない理由は、顧客単価と加盟するターゲットが異なるためです。
テガルデリバリーの場合は1回の注文につき単価が3,000円前後なんですが、ミスターチキンの場合は600円からと、ビジネスモデルがそもそも違います。また、ミスターチキンは、すでに飲食店を経営している方が加盟募集のメインターゲットになります。
おっしゃる通りです。加盟金が20万円で、研修費が10万円。初期投資としては30万円ほどになり、導入しやすく、かなりリスクを抑えています。
また、動画マニュアルなども充実させており、加盟後は半日の研修だけでスピーディに開始いただけるようになっております。さらにオープン前後で2日間、フランチャイズ本部によるサポートもありますので、安心して開業いただけます。
株式会社TGALへの取材を終えて
コロナ禍で需要が急拡大し、市場規模が2倍に増えた一方で、参画する店舗数が6倍になるなど、まさに“フードデリバリー戦国時代”であることを実感した取材でした。
こんな状況に危機感を抱き、“ファン作り”という次なる戦略に歩み出している「テガルデリバリー」。今後は商圏を考えて約30店舗を増やすにとどめるとのことでしたので、少しでも興味をもった方は、早めに事業説明会に参加するなどしてみてはいかがでしょうか。
また、高いリピート実績を誇る、TGALが手掛ける新ブランド「ミスターチキン」も注目ですね。既存店舗の収益アップに頭を悩ませている飲食店経営者の方は、検討してみてはいかがでしょうか。
10年の雑誌編集部経験を経て、2016年にフリー編集者・ライターとして独立しました。その後の2023年にオウンドメディア支援(記事制作代行)をメイン事業とする「株式会社Wordeal」を設立。“上位表示だけでなくCV獲得まで伴走型でサポート”をモットーに、フランチャイズWEBリポートをはじめ多くのWEBメディアで記事を制作しています。