急増する卓上レモンサワーサーバー設置店!人気の秘密や気になる収益性は?

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、苦戦を強いられている居酒屋などの外食業界。酒類市場全体が縮小傾向にあるなかで、「レモンサワー」が売上アップの鍵として注目を集めています。
近年、さまざまな飲食店がこぞってレモンサワーの飲み放題や、レモンサワーを目玉にした販促を行なう理由とは?
今回は、気になるレモンサワーブームの要因や、飲食各店が行なう「レモンサワーサーバー戦略」の裏側について調べてみました。
落ち込む酒類業界の現状とレモンサワーの一大ムーブメント
数年前からメディアなどでも取り上げられることの多い「若者の〇〇離れ」。
自動車離れやたばこ離れなどと並んで、お酒も「〇〇離れ」の代名詞として扱われています。
じっさいに、酒類全体の市場規模は2000年頃から緩やかな低下傾向。コロナ禍の2020年にはさらに大きな下げ幅を記録しました。

この2020年の大幅な酒類市場の縮小は「コロナ禍で外出の機会が減ったから」というのも要因のひとつと考えられますが、それ以外にもある変化が起こっていることも理由として挙げられるでしょう。
酒類市場が縮小する要因ともいえる「2つの変化」

酒類市場縮小の要因、1つ目はコロナ禍で増加した「健康需要」による食習慣の変化です。
日本公庫が発表した調査によると、コロナ禍の2020年から21年にかけて、それまで低下傾向だった「健康的な食事」への意識が約2%増加の41.4%に。(日本政策金融公庫「消費者動向調査-令和3年1月」)
また別の調査では、コロナ禍以降、飲酒時にカロリーや栄養バランスを気づかう人が2割以上も増加しています。(井藤漢方製薬株式会社「WITHコロナにおける飲酒と健康に関する実態調査」)
これによって、飲酒自体の習慣は続いているものの、とりわけプリン体や糖質を多く含むビールが避けられる傾向となりました。
2つ目は「新酒税率の導入」です。
2020〜26年までの6年間で、3回に分けて税率が変更される新酒税法では、まず2020年にビールが350mlあたり7円分税率を引き下げ。また、安価で人気の高まっていた第3のビールなど「新ジャンル」と呼ばれるビール系飲料は、350mlあたり約10円の値上げられたうえ、2026年には発泡酒についても10円程度値上げされることとなり、飲酒における消費者の負担は実質的に増す形となっています。

ハイボールやチューハイなどに関しては、2026年まで税率の引き上げがなく、引き上げられたあともビール系飲料より350mlあたり20円分ほど低い税率となっています。
逆風のなか注目を集めるレモンサワー

健康需要の高まりと税率の引き上げによって、食中酒としてのビールの需要は減少傾向。
一方、プリン体や糖質をあまり含まないためビールと比べて健康的なイメージがあり、かつ2026年まで税率の引き上げられないハイボールやサワー系飲料が、消費者の注目を集めました。
なかでも、さっぱりとした味でどんな食事に合わせても楽しめるレモンサワーはとくに人気が上昇しています。

ところで、なぜブームの中心が同じく食中酒として親しまれているハイボールではなく、レモンサワーなのでしょうか。これはおそらく、比較的クセの少ない焼酎を使用したサワー系飲料のほうが、カジュアルにお酒を楽しみたい層に受け入れられているからといえるでしょう。
じっさいに、博報堂が調査した好きなお酒に関するアンケートでは、ビールや発泡酒などをまとめた「ビール系飲料」に続き、チューハイ・サワーは2位となっています。さらに、女性に限ればチューハイ・サワー系飲料が1位と、ビールを凌ぐ人気を獲得していることがわかります。
卓上レモンサワーサーバーで売上アップを狙う店舗が増加

コロナ禍で店舗数を減らす飲食店が多いなか、「ときわ亭」や「焼肉ホルモンたけ田」といった居酒屋×焼肉業態の躍進が続いています。じつは、この2ブランドに共通していることこそ「レモンサワー」です。
とりわけ、「卓上レモンサワーサーバーの設置」によって注目を集めているこの2ブランド。これらのブランドが着手するレモンサワーサーバー戦略には、どのような営業上のメリットがあるのでしょうか?
ここでは、レモンサワーサーバー設置によるメリットのなかから3つをご紹介します。
1. エンターテイメント性が高く集客につながる
卓上レモンサワーサーバーを設置することで、お客さまそれぞれの好きなタイミング・好きな量で飲めてストレスフリー。なによりも「楽しい」コンテンツとして集客力があります。メインのレモンサワーは1種類だけでも、トッピングを複数用意することで飽きられることなく提供可能。
まだまだ新しい商材ということもあってSNSでシェアされることも多いので、卓上レモンサワーサーバーを設置するだけでも一定の集客効果が見込めるでしょう。
2. 人件費を下げ利益率や原価率を上げられる
卓上レモンサワーサーバーを設置することで、店舗側は最初に氷と人数分のジョッキを渡すだけでオペレーションが完了とシンプル。何度もお酒を提供する手間がないので人件費を大幅に下げられます。前述の2ブランドでは、人件費を下げた分、食材の原価率を上げてお客さまの満足度を高めたり、利益率を上げるといった活用がされているようです。
ちなみに、居酒屋業界では注文をタブレットから受けるようにすることで、さらなる省人化に着手する店舗が多くみられます。扱うメニュー数が多い居酒屋業態に適した施策だといえるでしょう。
3. おつまみなど利益率の高い商品が売れる
レモンサワーが食中酒としてビールに次ぐ人気を獲得できた理由には、「どんな食べ物にも合わせられる」ことも挙げられます。
お酒を扱う居酒屋業態はとくに、揚げ物や塩気の強い食べ物が多い分、レモンの爽やかさで口のなかをさっぱりできるレモンサワーは相性ピッタリ。
原価の安いレモンサワーを飲み放題にすることで、利益率の高いおつまみをあわせて注文してもらうことにつながります。
まだまだ広がりをみせるレモンサワー

一般的には「飲み放題で採算がとれるの?」という疑問が浮かぶレモンサワーサーバーですが、その裏側では、原価の低いレモンサワーによって高い利益を生み出す、飲食店の戦略がみえてきました。
こうした流行を、スケールメリットなどを活かしていち早く取り入れブランディングすることで、他社との差別化を図れるのがチェーン店の強みといえます。
フランチャイズWEBリポートでは、話題のレモンサワーサーバーを取り扱う飲食ブランドを紹介中!飲食業界未経験での参入も可能ですので、すこしでも興味のある方はぜひチェックしてみましょう。


大阪府堺市出身の編集者・ライター。これまで100以上のフランチャイズ関連コンテンツの制作に携わる。Webプログラミングや動画編集・SEO分析をはじめとした、幅広い業務経験を活かした記事制作が強み。既知のテーマに対して新しい視点を提供し、読み手が「ワクワクする」ようなコンテンツ作りを信条としている。