レンタカー事業って儲かる? エコカーマーケットのFCオーナー3名によるぶっちゃけ座談会
若者の車離れが叫ばれ不振にあえぐ自動車業界。新車も中古車も販売台数が減少する一方で、レンタカービジネスは成長を続けています。そこに注目したのが、「エコカーマーケット」をフランチャイズ展開するディーラープロデュース&コミュニティ。
2017年にフランチャイズ展開を開始し、2022年現在では異業種を含め40にもおよぶフランチャイズ店舗が活躍しています。今回はそのなかから3店舗のオーナーにお集まりいただき、加盟の経緯や開業時の苦悩はもちろん、収益事情も赤裸々にぶっちゃけていただきました。
30秒でわかる「エコカーマーケット」とは?
エコカーマーケットのフランチャイズは、レンタカー事業の「エコカーレンタカー」と中古車販売の「Rent Buy(レントバイ)」、車の買取など複数の事業を同時に提供できる総合型カービジネス。1台の車をレンタカーとして提供しつつ、折を見て中古車として販売することで、車1台あたりの収益を最大化できるのが「エコカーマーケット」の特徴です。
さらに収益面においても、車とスマホを同時に契約できるサービス「クルマとスマホ」も取り扱えるなど、ストックビジネスとして安定収益の基盤を構築することもできます。
3名のFCオーナーさまからお話をお聞きしました!
株式会社etekichi 代表取締役社長。2019年にエコカーマーケットのフランチャイズに加盟し、同年8月に1号店となる「エコカーレンタカー東京多摩店」をオープン。その後、2022年に2号店となる「エコカーレンタカー八王子南口店」をオープン。
前職はホテルにリネン品を届ける配送事業者として従事。コロナ禍の影響で売り上げが半減したことから、2020年6月に「エコカーマーケット」のフランチャイズに加盟。同年8月、石川県金沢市に「エコカーレンタカー金沢工大前店」をオープン。
株式会社シンキング 代表取締役CEO。2015年に不動産事業を展開する株式会社シンキングを立ち上げる。その後、ネイルサロンや学習塾などさまざまな事業を展開。2020年には自身の車好きが高じて「エコカーマーケット」のフランチャイズに加盟。同年に「エコカーレンタカー小平店」をオープン。
以上のお三方に「エコカーマーケット」のフランチャイズに関するあれこれをお聞きしていきます。もちろん、当日の体温チェックはみなさんバッチリ。それでは、さっそく伺っていきましょう。
テーマ①:「エコカーマーケットに加盟した経緯は?」
前職で車関係の仕事をしていたのですが、ずっと独立したいという気持ちはあって。そこで、前職時代のノウハウを活かせるエコカーマーケットのフランチャイズに加盟して独立しました。2019年8月のことです。
新型コロナがきっかけですね。コロナ前は個人事業主の配送事業者としてホテルにリネン品を配送する業務を請け負っていました。でも、コロナをきっかけに売上が半減しちゃったんです。なんとか助成金を駆使するなどして食いつないでいましたが、今後のことを考えると新しい事業をスタートしないといけない。そう考えて2020年6月に「エコカーマーケット」のフランチャイズに加盟しました。
そうですね。配送の仕事がいつもの半分になったので、そのぶん時間ができちゃったんです。「なにかいい事業ないかな〜」とネットで検索していたらエコカーマーケットが出てきて。なんとなく資料を請求したら、本部の森田社長みずから石川県まで来て説明してくれたんです。
「個人事業主なので相手にされないかな……」と思っていたら、「ぜひ一緒にやりましょう!」と言っていただけて。それで加盟してすぐに研修に行き、2020年の8月に「金沢工大前店」をオープンさせました。
2015年に新宿で不動産会社を立ち上げたのですが、ずっと車が好きで、車に関わる仕事をしたいなって考えていたんです。エコカーマーケットはレンタカーや販売などさまざまな形で車に関われる。まずは異業種からでも入りやすいレンタカー事業からスタートできるということで、2020年に「エコカーマーケット」のフランチャイズに加盟しました。
テーマ②:「初期投資はいくらかかりましたか?」
トータルで600万円くらいでした。金額が大きい項目だと加盟金が300万円で、物件取得費が敷金・礼金なども含めてトータル100万円くらい。車は4台からスタートして、合計で80万円くらいでしたね。
私は750万円くらいでした。倉橋オーナーと違う点は車の台数ですかね。11台でスタートしていて、1台あたり20万円前後くらいが目安になるので、その分、倉橋オーナーより初期費用が高くなっているのかもしれません。
うちも700万〜800万円くらいなので、お二人とそこまで大きくは変わりませんね。ちなみに、車は最初6台からスタートしています。エリアなどによって物件取得費が変わってきますが、だいたいみなさん700万円前後で開業できているみたいです。
そうですね。じつは「エコカーマーケット」ではない格安レンタカー系フランチャイズの説明を聞きにいったことがあって。そこでは初期費用2,000万円といわれましたよ。最初に車を50台用意しないといけないらしく、1台あたり20〜30万円だとしても、車だけで1,000万〜1,500万円はかかる計算になりますね。
最初から50台用意しないといけないとなると、新規加盟のオーナーとしてはリスクが大きくて不安ですよね。でも、「エコカーマーケット」の場合、車の台数はオーナー次第なのでミニマムでスタートできます。リスクを抑えられるのはありがたいですね。
テーマ③:「エコカーマーケット開業時に苦労したことは?」
ずばり集客が大変でしたね。まったく集客できないわけではありませんでしたが、格安レンタカーゆえ1組あたりの客単価が低いので、とにかく数を集めないといけない。なので、オープン当初は毎月3万部前後のチラシをポスティングしていました。
ポスティングと口コミのおかげで、半年ほどで安定して集客できるようになりました。自然とリピーターさんがついたので、今はポスティングもせずに十分に集客できていますよ。
うちも同じくオープン当初は集客に苦戦しました。というのも、オープン前にGoogleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)に登録しておかないと、Googleの検索エンジンやGoogleマップで検索したときに店名すら出てこないんです。
それなのに登録ミスをしてしまって…。オープンしてからしばらくはGoogleで検索しても店名すら出てこない状況でした。
Webからの問い合わせはないので、集客はとおり掛かりで認知してくれた方のみ。「なんのお店なんですか?」「レンタカーですよ!」って。かなりアナログな集客なので、オープンした2019年8月の売上はたったの5万円。あれは痺れましたね(笑)。
その話、開業前研修で聞きましたよ。「こうなったオーナーさんもいらっしゃるので気をつけましょう」って(笑)。北村オーナーだったんですね。
苦笑
うちは、石川県の金沢工業大学の目の前に店舗を構えていることもあって、オープン当初も集客にはあまり困りませんでした。
はい。コロナだからこそ、というのもあるかもしれません。あのときは自粛傾向が強かったので、里帰りなどを控えている方も多かったですよね。とはいえ、学生さんとしては夏休み期間中なので、「近場で、かつ公共交通機関を使わなければOK」という思いもあったみたいで、けっこうエコカーレンタカーを利用していただきました。
そこからは学生さん同士の口コミで集客できています。本部からはポスティングを推奨されましたが、じっさいにチラシを撒いたのは最初の1ヶ月くらい。その後は忙しくなって撒く時間なんかありませんでしたね。
コロナで帰省できないから、レンタカーを使って近場に出かけよう、みたいな感じですか?
そうですね。公共交通機関を使わなければ感染リスクを減らせますからね。むしろ、コロナ禍のタイミングにオープンしたのが奏功したかもしれません。
集客は地域性も関係してきますよね。うちは東京都の東村山市なんですが、高齢者が多いエリアなので、お客さまの多くは60代や70代の高齢者。もともとマイカーを持っていた方たちが、年齢を理由に車を手放したものの、病院などには車がないと行けないので、週に5日、1日2〜3時間だけご利用いただく。こういったお客さまもいらっしゃいます。
そういったお客さまもいらっしゃるんですね。小川オーナーのお店では、そういった方には一番安いエコノミークラス(2000円税込/24時間)をご利用いただくんですか?
いえ、エコノミークラスはほぼ予約が埋まっているので、その上のスタンダードクラスですね。なので、24時間3800円(税込)のスタンダードクラスを週5回お借りいただいています。
その頻度で借りていただいていると、急にご来店いただかなくなったときに心配になりますね。
そうですね。今のところはそういうことはなく、週に5日、毎朝しっかりご来店いただいています。エリアによっては、地域の見守りとしての役割も担っているかもしれませんね。
テーマ④:「やりがいを感じるときは?」
たくさんあります。6割くらいはリピーターさんなんですが、リピートしていただけたときは、やりがいを感じますね。
リピートしていただけるのはうれしいですよね。うちも半分以上はリピーターさんです。値段の安さはもちろんですが、最近は月貸しのお客さまが多くいらっしゃいます。35台あるうち、半分以上は月貸しのお客さまですね。車がないと生活しづらいエリアなので、車が突然故障したお客さまからは、「助かった!」とか「ありがとう」などと感謝のお言葉をいただくこともあって。そういうときもやりがいを感じますね。
配送業時代にお客さまから感謝されることは、ほとんどありませんでした。「持ってきて当たり前」みたいな感じですから。なので、エコカーレンタカーの業務に余計にやりがいを感じますよね。「こんなに感謝してもらえるんだ」って。
うれしいですよね。うちのエリアの特性なのかもしれませんが、お話好きなお客さまがすごく多いんです。この間、出発前に20分くらいお話をした65歳くらいのお客さまがいらっしゃったんですが、返却のときに山盛りのお団子をいただきました。
「どうされたんですか?」とお聞きしたら、「熱海でお土産買ってきたからみんなで食べて」って。これは本当にうれしかったですね。
差し入れはけっこうありますよね。エコカーレンタカーではないレンタカー事業を営んでいる知り合いがいるんですが、「差し入れなんか一度ももらったことない。どんなサービスしてるの?」っていわれたことがあります。それだけエコカーレンタカーはアットホームで、地域からも愛されやすいんでしょうね。
エコカーレンタカーのアットホームな雰囲気はもちろんですが、小川オーナーや倉橋オーナーの接客やサービスに満足したからだと思いますよ。貸渡しの手続き中はもちろんですが、送迎をご利用いただくお客さまだとけっこうコミュニケーションの機会がありますよね。その時間を使って関係性を構築すると、リピートにつながる確率も高くなるというのは実感しています。
やっぱり、リピートしてもらえたら嬉しいですよね。このやりがいを感じれるかどうかは自分次第かもしれませんね。
テーマ⑤:「コロナ禍のレンタカービジネス、ぶっちゃけどうですか?」
コロナの影響はあまり受けないビジネスだと実感しています。
コロナ禍の2020年にオープンしているのでコロナ前との比較はできませんが、直近は前年比で2倍の売上を記録し続けています。コロナが落ち着いてきたことで倍増しているのか、もしくはリピーターが増えて倍増しているのか……。どちらかは判断できませんが、コロナが終息しないこの状況でも事業として着実に成長していますからね。
そうですね。たとえば、病院を往復するのにお借りいただいている方が、「コロナだから病院に行かない」なんてことはないでしょうからね。
うちもコロナ禍にオープンしているのでコロナ前後での比較はできませんが、現状の売上を考えたら、コロナの影響はないと思いますね。オープン当初は、むしろコロナ禍だからこそ近場の学生さんの利用が増えたのもありますし。そのタイミングによって、何かしらの需要はあるんじゃないですかね。
長期レンタルのニーズが高まっていると感じますね。今だと、新車を買っても半導体不足で車種によっては納車までに半年や1年以上かかることもあるんです。なので、納車するまでのつなぎとして長期でレンタルしているお客さまもいらっしゃると思います。
そうですね。オープンして3年経ちますが、コロナ禍でも関係なく前年対比で利用者数が伸びている状況です。これだけ右肩上がりで伸びているので、いつかは頭打ちになるのかと思っていました。でも、どんどん増えているので、車の台数を増やせば増やすほどお客さまも増えるイメージです。
わたしも不思議に思ってお客さまにお聞きしたら、「今まではレンタカーを使っていなかった」という方が多かったんです。使い始めた理由を聞いてみると、「レンタカーはもっと高額なイメージだったけど、エコカーレンタカーは24時間2000円から借りられるので、利便性などを踏まえたらタクシーよりもいい」とおっしゃっていましたね。
テーマ⑥:「エコカーマーケットの“ここがスゴイ!”“ここがイマイチ…”」
まだ成長途中のフランチャイズビジネスということで、ある程度の自由度があるのはメリットですね。料金などもオーナーがある程度自由に決めていいので、店舗によって異なるんです。この間、世の中の値上げブームに後押しされて料金設定を見直したんです。値上げを理由にほかのレンタカー店に流れると思ったのですが、お客さまの数は変わらず、値上げをした分、15%ほど売上が上がりました。
地域によって適正な価格は変わってくるので、それを踏まえて価格を決められる。ほかのレンタカー系フランチャイズにはない魅力かもしれませんね。あとは、なによりもレンタカーだけでなく、車の販売ができるのも「エコカーマーケット」の魅力です。レンタカーとして使いまわした車を販売できる。これはすごいビジネスですよね。
そうですよね。普通はどっちかしかできないのが一般的ですから。うちはまだ車の販売までは手が回っていないので、早く販売まで手掛けられるような体制を作りたいですね。
自由度が高いのはありがたいのですが、車の仕入れなどについては開業前研修にもう少し盛り込んでもらえるとありがたかったなと思いますね。いまでもけっこう、手探りで仕入れている部分があるので、開業前に知れたら近道ができたんじゃないかと。
それはあるかもしれないですね。あとは、システム面はもう少し改善されると助かるかな。たとえば、同じ時間帯の予約数にリミットを設けられないので、極端な話、朝のオープンのタイミングに10台の予約が重なることもあるんです。
そうなったらお客さまにご迷惑をおかけすることになるので、早めに改善してもらえると嬉しいですね。
テーマ⑦:「ぶっちゃけ、儲かってますか?」
うちは十分な利益が出ていますよ。たとえば、2021年5月が売上70万円だったのですが、1年後の2022年5月は売上150万円なので倍以上になりました。
これまでの最高は2021年8月の売上170万円です。このときのスタッフ数は社員がひとりにパートさんが10人弱。車の数は17台でした。
17台で170万円ですか!?それはすごい!
うちも2021年8月の売上は170万円でしたが、車の台数は20台近くあったと思います。
シミュレーションだと、1台あたりの月の売上は7万円計算なので、17台だったら月の売上は120万円くらいが目安になります。そんななか170万円というのは、すごいですね。
ありがとうございます。うちは極力長期貸しをしないので、車の台数以上に売上が稼げるんです。
うちもまぁまぁですかね(笑)。月の最高売上が2022年の3月で208万円。このときで車の台数は28台くらいでした。この時期はハイシーズンで、かつエリア柄、スタッドレスタイヤを装着するので、オプション料金で売上をプラスできるんです。
その後の4月、5月、6月の3ヶ月は月の売上160万円くらいで安定していますね。
2021年度の売上だけでいうと、レンタカーで年間2,000万円、販売で2,500万円なのでトータル4,500万円になります。
売上としては悪くはありませんが、経費をかけすぎているので、その辺りを今後調整すればより収益は上がると考えています。
うちは節税対策としてもエコカーレンタカーが大きな役割を果たしてくれています。というのも、本業の不動産事業は大きな利益が出ることもあって、そんなときに利益を圧縮するのにエコカーレンタカー事業はちょうどいいんです。
そうですね。エコカーレンタカーで貸し出す車は10年落ちくらいの中古車なので、減価償却ではなく、全額を一括で経費にできてしまうんです。うちは3月決算なのですが、たとえば直前の2月に不動産事業で大きな利益が出てしまったら、エコカーレンタカーで使う中古車を何台か買って、一括で経費で落としています。すると結果として税金対策にもなるんです。
テーマ⑧:「今後の展望について」
2022年に今取材をしているこの2号店(エコカーマーケット八王子南口店)をオープンさせることができたので、ひとまずは年商1億円がひとつの目標ですね。現状4,500万円くらいなので、今の倍くらいを目指さないといけない。レンタカーと販売の事業で売上を増やすのはもちろんですが、それだけでなく、新たな事業も横展開していけたらと考えています。
わたしは多店舗展開ですね。1店舗だけだと売上にも限界がありますが、複数の店舗を運営すればそれだけ数字の幅も広がる。しかも、複数の店舗を持てば店舗間で車の貸し借りもできるので、より効率的に店舗運営ができるはずです。
また、弊社はもともと不動産の会社からスタートしていますが、いまはエコカーマーケットや学習塾、ネイルサロン経営などさまざまな事業を展開しています。税金面などを考えるとそれぞれの事業で会社を分けるのがベストなのですが、あえてひとつの会社にまとめているんです。
正直、不動産の仕事をしている社員全員がポジティブなメンタルで仕事をしているわけではないと思うんです。ときには辛いと思うこともあるはずなので、そんなときに社員の受け皿になる場所があったらいいなって。ひとつの会社でさまざまな事業を展開していれば、何かあったときに社内で気軽に異動できるので、転職する必要はありませんからね。
僕もずっと不動産営業として働いていて、ときには辛くて辞めたくなることもあったんです。なので、社員が気持ちよく働ける環境を作ってあげたい。そのひとつがエコカーレンタカーなので、今後は積極的に多店舗展開や売買にもチャレンジしていきたいですね。
自分も多店舗展開です。具体的な時期はまだ決まっていませんが、早いタイミングで2店舗目をオープンしたいですね。そのためにも、任せられる人材を育成しないといけない。今後は車の台数を増やすことはもちろんですが、人材の育成にも力を入れていきたいです。
取材を終えて
コロナ禍にレンタカー事業者のさまざまな苦労が報道されていたこともあり、ネガティブな意見が飛び交うことを想定していました。しかし、いざ座談会がスタートすると、売上のことはもちろん、本部への意見などもポジティブな内容のものばかりで、そのギャップにいい意味でとても驚きました。
コロナ禍でも収益が見込めるビジネス、そして、本部とオーナーの関係が良好なフランチャイズを探している方にとって、かなり魅力的なビジネスだと感じました。
10年の雑誌編集部経験を経て、2016年にフリー編集者・ライターとして独立しました。その後の2023年にオウンドメディア支援(記事制作代行)をメイン事業とする「株式会社Wordeal」を設立。“上位表示だけでなくCV獲得まで伴走型でサポート”をモットーに、フランチャイズWEBリポートをはじめ多くのWEBメディアで記事を制作しています。