新型コロナウイルス対策で命運が分かれる飲食店の現状

フランチャイズWEBリポート編集部 |2020年05月21日 公開
飲食店の休業

新型コロナウイルスの影響で、人々の生活や経済状況が困窮しています。緊急事態宣言が発令された日本でも大きなイベントが中止になるなど、既にさまざまな損害が多量に発生し、業界問わず苦しい状況が続いています。

特に飲食業界への被害規模は大きなものになっており、一時は予約が取れないレストランとして有名だった東京の老舗フレンチ店までもが閉店に追い込まれました。そこで今回は、飲食店が営業を続けるためにどのような対策があるのかご紹介します。

新型コロナウイルスによる飲食店の危機と対策

新型コロナウイルスによる飲食店の危機と対策

外出自粛による顧客の減少

まずは飲食店が悩まされている現状について考えていきましょう。

外出自粛と感染リスクの「3つの密」の回避のため、飲食店への客足が大きく遠のいています。地域によっては休業要請があったり、営業自体が行えないところもありますね。店内の消毒や換気を徹底することで営業を継続している飲食店もありましたが、消毒用アルコールやマスクの不足により、徐々にそれも難しくなっています。

また、世界各国で渡航が規制されることになり、訪日外国人観光客によるインバウンド需要もほとんどなくなってしまいました。本来であれば2月は春節として中国から多くの観光客がやってくるので、飲食店にとってはかき入れ時でもありました。

東京オリンピックが延期になった

本来であれば2020年に東京オリンピックが開催される予定でした。オリンピックの予定に合わせて店舗の改装を行なったり、規模を広げた飲食店も多いのではないでしょうか。 しかし、現状で東京オリンピックは1年延期が決定されましたが、2021年に確実に新型コロナウイルスが収まっているのかも予測がつかない状況です。オリンピックの集客に合わせて行った改装などの投資回収の見込みがつかないまま、どんどん負担としてのしかかっている飲食店も少なくありません。

生き残りをかけたデリバリー・テイクアウトサービス

飲食店の経営体制にもよりますが、最近は「外食の持ち帰り・宅配」が推奨されています。確かに自宅であれば、家族以外から新型コロナウイルスの影響を受けることはありません。

今までデリバリー・テイクアウトサービスを行っていなかった飲食店でも、新型コロナウイルス対策として持ち帰り専用のメニューや宅配を、新たなサービスとして取り入れる店舗が増えました。 元々デリバリー・テイクアウトサービスを行っていた店舗であれば宣伝の必要もありませんが、新しくデリバリー・テイクアウトサービスを始めた店舗はまず、持ち帰りができるようになったことを客に知ってもらうところから始めなければなりません。どのような集客方法があるのかを考えることが最初の課題となるでしょう。

危機を乗り切るための助成金や飲食店支援サービス

危機を乗り越えるための助成金や支援サービス

このような危機を乗り越えるために、飲食店向けの助成金や支援サービス・アプリなどが誕生しています。ここではその一例をご紹介します。

飲食店が利用できる助成金制度

経済産業省では新型コロナウイルスの影響で売上が減少した企業などに、貸付や助成金を用意しています。生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付が基本となり、段階に応じて特別利子給付制度、衛生環境激変対策特別貸付、生活衛生改善貸付などがあります。

【融資】新型コロナウイルスに関する衛生環境激変特別貸付(国民生活事業)

条件
・最近1カ月の売上高が前年、または前々年の同月に比べ10%以上の減少がみられ、かつ、今後も売上高の減少が見込まれる
・中長期的に業況が回復し、発展が見込まれる

詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。

【持続化給付金】

最大で個人事業主は100万円、法人では200万円の給付が受けられます。

条件
・新型コロナウイルスの影響で前年の同月1カ月分の売り上げが50%以下になったこと
・2019年より以前から事業を行っており、今後も事業を続ける意思があること

また、法人の場合は資本金の金額、もしくは出資の総額が10億円未満であること。 もしくは上記に資本金や出資額が当てはまらない場合、常時使用する従業員数が200名以上いることのどちらかが条件です。

国の助成金制度以外にも、各都道府県の自治体など多くの助成金・助成金があります。詳しくはこちらをご覧ください。

助成金以外の支援やサービス

助成金だけでなく、さまざまな企業や団体が飲食店向けに、飲食代金の先払いや雇用支援、広告掲載、テイクアウトやデリバリーの支援サービス・アプリを行っていることをご存じでしょうか? こちらでは、企業が行っているサービスをいくつかピックアップしてご紹介します。

誰でも簡単!ニジュウニ株式会社の「#TakeOutMe」

「#TakeOutMe」はSNSでタグをつけて誰でも気軽にテイクアウトメニューを投稿できるサービスです。店舗の場所や連絡先といった情報と、商品画像を入力するだけで誰でも簡単にテイクアウト専用メニューを作ることができます。 作ったメニュー画像はそのままSNSにアップすることができ、普段あまりスマートフォンを利用しない方でも簡単に拡散することができます。利用料金も無料なので、ネットでまずは告知したいという方には非常におすすめですよ!

食べログのテイクアウト特化型アプリ

飲食店を経営されている方にとって非常に身近な存在である食べログが、テイクアウト特化型のアプリ「食べログテイクアウト」を発表しています。2019年11月から東京の一部地域でスタートし、徐々に対応エリアを広げており、テイクアウト参入を始めるのであれば是非登録しておきたいアプリです。 ユーザーが近くでテイクアウトできるお店を探すことができたりと、便利な機能があるのでテイクアウトをしているお店はまず登録可能な地域か確認してみてはどうでしょうか。

先払いで飲食店を応援する「さきめし」

「いまは食べに行けないけど、お気に入りのあのお店を応援したい!」そんな気持ちをこめて食事のチケットを先に購入して、先払いで飲食店を応援するサービスが「さきめし」です。もともと「ごちめし」という、アプリを通して遠方にいる人が相手でも食事代を先払いすることで食事の権利を譲渡するというシステム展開していた企業が、新型コロナウイルス対策として新たにリリースしたサービスです。

現在は飲食店だけでなく、音楽・イベント・美容・娯楽施設など、どのような業種でも「さきめし」の機能を利用できるようになりました。 

これからどうなる?新型コロナウイルス対策と飲食業界の未来

飲食業界の未来

苦しい状況が続く中、これから飲食業界はどうなっていくのでしょうか。まずは大手飲食店の取り組みを見てみましょう。

大手飲食チェーン店の取り組み

大手ファーストフード店のマクドナルドや吉野家などでは、注文から決済までを事前にウェブやアプリでできるモバイルオーダーを2019年から導入していましたが、新型コロナウイルスが普及の追い風となりました。新型コロナウイルスの対策として、人と近づきすぎないことが重要とされていますが、モバイルオーダーなら事前に予約と購入を済ませているので、あとは店頭で商品を受け取るだけ。他の客やスタッフとのやり取りも非常に少なく済みます。

決済アプリとウーバーイーツの連携

5月4日からデリバリーサービスの連携として、決済代行サービス「ウーバーイーツ」の支払いをPayPayで行えるようになりました。今まで以上に支払いの手間がなくなり、安全でおいしい食事の提供が行われます。 ウーバーイーツをPayPayで支払うと、利用特典の「PayPayステップ」の対象になります。2020年6月からはPayPay内にあるミニアプリでウーバーイーツが利用できるようになると発表されているので、今後PayPayでの支払いが普及していきそうですね!

厳しい現状を乗り切るために、助成金や補助制度を上手に利用しよう!

ドライブスルー、テイクアウト

飲食店が現状を乗り切るために

飲食業界は利益率10%が目標といわれ、他の業界に比べて利益が出にくい業界なので、新型コロナウイルスによって多くの飲食店が危うい立ち位置に立たされています。東京では予約が取れないほど人気があり、メディアでも何度も取り上げられたフランス料理店まで閉店に追い込まれ、SNSでは騒然となりました。どれほど人気が高い飲食店でも、新型コロナウイルスによる影響は非常に大きいことがよくわかりますね。 新型コロナウイルスの長期化によって経営が厳しい状況ですが、助成金制度や利用できる支援サービスが数多く出てきているので、上手く活用して乗り切っていきましょう。

飲食店の休業

記事は気に入っていただけましたか?
「いいね!」で応援よろしくお願いします

新着情報をお届けします♪