2016-12-02 フランチャイズWEBリポート編集部コラム
販路企画 代表
田口 勝 |
これからコンビニ経営を考える全ての方に!
コンビニは飽和なのか?なぜコンビニは増え続けるのか?
今回は、コンビニ特集の最終回になります。コンビニ経営の総括についてお話をして参ります。
これからコンビニ経営を検討されている方で一番気になることが、『これだけコンビニがあちこちにあって、経営が成り立つのか?』
ということではないでしょうか?
業界No.1と言われるセブンイレブン19,000店を筆頭に、日本にはコンビニが55,000店以上もの店舗があります。今から加盟してオーナーになっても大丈夫なのか?と思われるのは当然ですね。
コンビニ飽和時代と言われている現在、『コンビニは本当に飽和しているのか?』という点についてお話をいたします。
コンビニは『2012年にもう飽和した』と言われました。
これが『コンビニ飽和論』です。
しかし、こういう視点でも考えて欲しいのです。
『コンビニが飽和しているのであれば、なぜセブンイレブンはじめ各社は過去最高出店を継続しているのでしょうか?』
コンビニという業態は、前回の記事でもお話をいたしましたが、加盟店が土地・建物を準備する場合と本部が土地・建物を準備する場合と契約形態が異なります。
近年では土地を本部が準備する契約形態の割合が多く、飽和していると言われる中でも本部がこれだけ多くの出店攻勢を継続するということは、採算が見込めていなければ実現することはできません。
つまり、コンビニ各社は、『まだ市場は飽和をしていない』と考えているのです。
なぜそういったことを考えているのでしょうか?
実は、コンビニ各社は業態を変化させているのです。
どのような企業であれ、10年経てばビジネスモデルは時代に合わなくなってきます。コンビニ業界は特に、『お客様へ利便性』を最大限に追求し成長を遂げてきました。そのため、『時代の変化』への対応が非常に重要な業態と言えます。
ではどのように業態を変えてきたのでしょうか?
セブンイレブンを例に挙げると、CMなどでも次のようなキャッチフレーズを見た事ございませんか?
『近くて便利』
これは小商圏をターゲットに店舗展開を実施し、地域に便利な店舗を目指すことを目的としています。
例えば近年は知られることが多くなった『7プレミアムパック惣菜』これは、『小容量で長期保存』の商品です。なぜこのような商品を開発したのでしょうか?
それは、時代の変化に対応して商品開発を実施しているのです。
近年は共働きの時代。女性の社会進出も非常に増加してきています。
そのため、家事の時間が短くなってきており、本格的な惣菜が手ごろな価格で購入したいという需要が高まっています。更に少子高齢化時代。お年寄り2人世帯が増加している中で、大容量のものは必要なくなり、小容量で使いやすいものが求められるようになってきています。
また、お年寄りの方が遠くのスーパーに頻繁に行くことは難しいです。
そうすると、コンビニエンスストアの商圏範囲が以前は1kmや2kmであったものに対して、現在は500mと小商圏を取っていく必要があります。
このように、以前の主力客層であった若者から、主婦や高齢者をターゲットに含めるように業態を変えることで新しい市場を開拓し、まだ飽和していない環境を作り出したのです。その結果が、直近でも成長を続けている所以になります。
私は、コンビニ業界が他の業界と大きな違いは、この時代の変化に敏感であるということだと思います。時代の変化をただ変化ととらえる評論家ではなく、商品を変え、出店を変え、売り場を変え、接客変え、販促を変えることで数字に繋げていることであると思います。
近年、セブンイレブンでは更に進化し、『オムニチャネル』構想を掲げています。
『オムニチャネル』とは簡単に言うとリアルの店舗とネットを融合させていく戦略です。
ネットで注文したものが近くの店舗で受取ができたり、配達をしてもらえる環境が出来てきているのです。更に新しい市場を積極的に開拓しているのです。
セブンイレブンを始めとした、コンビニ各社がこうした新しい取り組みを広めていけるのは、フランチャイズというシステムを上手く活用しているからともいえるでしょう。
お店の経営は加盟店オーナーが行い、本部はそのサポートとして商品の開発、確保、安定供給、お客様のニーズにあった新商品開発の開発、サービスの開発。これらを本部とオーナーが互いに理解しあって活動してきたからこそ、多くのオーナーが存在し、今尚お店が増えても経営が可能となっているのです。
これからの時代、他店に勝つ経営を実現するには『従業員の戦力化』が必須
では、実際にどのような店づくりをしていけば良いのでしょうか?
それは『時代の変化への対応』と『基本の徹底』であると思います。『時代の変化への対応』とは、地域のお客様にあった『商品の品揃え』を実現することが重要です。
まず自店の商圏を知り、お客様がどのような商品を欲しているかの仮説を立て、商品を発注し、品揃えし、販売行為に繋げていくことが重要です。
更に、お客様が気持ちよく来店をして頂くために、『感じの良い接客』と『清潔な店づくり』と『鮮度の良い商品の品揃え』が必要となります。
これを実現するには、以前の記事でも明記しましたが、従業員さんを戦力化する必要があります。つまり、他店に勝てるお店づくりとは、『従業員の戦力化』が一番重要であると思います。
従業員を戦力化させるためには次のようなことが必要であると思います。
1.方向性を決める
向かうべき方向が分からなければ、従業員さんは誰も就いてきてくれません。まずはオーナーがお店の行為計画を立案することが必要です。
2.従業員に向けて情報を共有
方向性を決めた後、その情報を共有しなければ伝わりません。朝礼やミーティング等、従業員さんとの時間を確保しましょう。
3.OJTで教育する
情報を共有したら終わりではありません。現場で仕事をしながらの教育(※オン・ザ・ジョブトレーニング)が重要となります。それらの行動に対しての結果を検証し、レベルアップしていかなければなりません。
4.責任を与える
1~3を行うことで、ある程度の戦力化はできていますが、、更なる戦力化のために各従業員さんに役割を分担し、責任ある仕事をして頂く必要があります。仕事の分担を行い、「作業割当」「発注分担」が必要です。やりがいを感じてもらうことで更なる戦力化が期待できます。
こういった仕組みをオーナーが主体となって構築し、本部と一緒になって強いお店づくりを実行していく必要があるのです。
コンビニ戦争時代、自分に合う本部の見極め方
競争激化する時代に、自分に合う本部はどのように見極めればよいのでしょうか?重要なことは、本部を見極める前に、自分の独立起業をしたい理由を再度検討するべきであると思います。
業界1位のセブンイレブンであっても2位のファミリーマートであっても、正直なところ加盟金や研修費自体には大きな差はありません。
しかし違うのは、本部としての戦略が違います。
つまり、重要なことはその本部のチェーン戦略が自身に合うかどうかという視点です。セブンイレブンだから大丈夫、ファミリーマートだから大丈夫ということではないのです。
皆さんは、なぜ独立・起業をしたいのでしょうか?
なぜ、コンビニ業界を起業の対象として検討しているのでしょうか?
コンビニ事業に期待していることは何ですか?
再度、自問して頂きたいのです。
その自問の答えが見つかったら、主要のコンビニ各社の説明会に参加しましょう。
コンビニ各社の説明会で自分が考えている起業のゴールを達成することができる最短の本部は何かを検討する。これが本部の見極め方となります。つまり、答えは皆さん自身にすでにあると言えます。
まとめ・総括
これまで4回に分けて、コンビニ業界についてお話をしてきました。
コンビニ業界は、これからも『時代の変化』に対応した常に変化し続ける業態であると思います。10年後どのようになっているか、楽しみな業界です。
しかし、これから加盟を検討される方には再度しっかり検討して頂きたいのは、コンビニ加盟はあくまでも、コンビニ各社の従業員になるのではなく、経営者として加盟するのです。
つまり、独立した事業主なのです。オーナーなのです。全ては自己責任であり、自己責任であるからこそ、自分の責任でやりたいことが実行できるのです。
経営はどれだけ素晴らしいビジネスモデルであってもオーナーの絶え間ない経営努力がなければ、成功することはできません。
フランチャイズはあくまでも皆さんが起業を行う上での武器です。
ぜひ、失敗しないフランチャイズ本部を検討して頂きたいと思います。
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■監修:販路企画 代表 田口 勝 氏
編集:フランチャイズWEBリポート編集部
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