2015-02-25 小説で起業ノウハウを学ぶ!FCビジネス起業物語
フランチャイズ研究会 中小企業診断士
角田 博 |
フランチャイズ研究会執筆『未経験の脱サラ・リペア起業。お客様に感謝される仕事がしたい』
営業に苦戦…。それでも一つ一つの仕事を大切に。お客様の感謝を宝に
起業物語の登場人物
鎌田一平:妻子をもつ36歳。PCサポートを担当するサラリーマン。将来に不安を感じている中、ふとしたきっかけでリペアFCでの起業に興味をもつが・・・
開業するとすぐに本部のエリアマネージャーや担当の斉藤と一緒に近隣の工務店に挨拶回りをすることになった。本部提供の販促パンフレットを置いていく。
(開業したら簡単に仕事がくると思っていたのに…)
挨拶回りをするだけで、なかなか具体的な仕事の話にならなかった。
これまでサポートエンジニアをしていて営業経験が無い一平にとって、工務店回りはあまり気の進むものではない。それでも担当の斉藤は
「一度営業で顔を出しておくと二度目からは伺いやすくなります。スタートしたばかりの今だからこそ、どんどん積極的に回りましょう。私もご一緒しますよ!」
と明るく話すと、尻込みする一平を元気づけてくれた。
営業研修期間中からホームページの作成やFacebookなどのSNSの導入を指導されていた。早速準備してみたが、これについても斉藤からアドバイスをもらった。単純に自店の宣伝だけではなく、一平自身の自己アピールや、ビフォー・アフターの施工事例を、写真も多用し、分かりやすいように工夫してみた。
「グレートリペアAの高い技術力だけでなく、鎌田さん自身をどんどんアピールしていきましょう。お客様のニーズは多様で、タイミングもバラバラです。お客様が何かあったときに『よし、あいつに頼んでみよう』と思い出していただくことが大切なんですよ」
そうした試行錯誤を重ねていくうちに、月に1~2件ほど本部から紹介もあり、少しずつ注文が入り始めてきたのだった。
「ただいま…」
今日は初めて受注をもらった工務店から依頼された個人宅だったが、大苦戦をしてしまっていた。古い家屋の壁の補修。想定の2時間から大幅にオーバーして5時間近くもかかってしまった。それでも何とかやったという感じで、帰宅時はどっと疲れていた。
着替えて風呂に入ろうとしていたところ、スマホが鳴った。
「困るよ! お客さんからクレームだよ。仕上がりに納得がいかないって!!」
今日の現場の工務店からだった。
「とにかく今すぐに現場に戻ります!」
すぐに支度を直して自宅から1時間ぐらいかかる現場に取って返すことにした。
(まずい。やってしまった!)
ようやくいただいた仕事なのに。
今後の仕事に影響が出るだけでなく、自分のせいで本部のイメージも悪くなる。一緒に営業回りをしてくれた斉藤や他の加盟店、仕事をくれた工務店にも迷惑をかけてしまう…。