フランチャイズ加盟開発で役立つ法務がわかる
行政書士川本到
2015-06-04 FC本部向け小説
行政書士 川本到

チェーン全体の広告ってどんなもの?~マーケティングフィーの徴収~

 このコラムのポイント

広告分担金とは、チェーン自体のPR活動のために必要となる費用のことです。この徴収をめぐっての本部側の物語ですが、加盟希望者の方も知っておくと今後独立された時に役立つかもしれません。

フランチャイズWEBリポート編集部


いつも真樹の話をちょっとだけしているけど、そういえばわたるさんって彼女いるのかなぁ?独身だけど、女性の影があんまり見えないし。
実は、俺の方がもてるんじゃないかとひそかに優越感に浸ってみたりして、チラッとわたるさんを盗み見てみた(笑)

でも、この余裕な感じは、やっぱり彼女の一人や二人いそうな気がする。ってか、同時に複数と付き合うとかやってそう。鬼畜だしなぁ(笑)

なんて思っていたら、販売促進部の渡辺部長が登場。
我が社唯一の女性部長。同期の子が販促部に配属されたけど、すごく仕事に厳しいって言っていたなぁ。

「酒井くん、ちょっといいかしら?」

オレ!??
わたるさん居るのに、わたるさんじゃなくてオレ???
かなり焦った。

「ハ、ハイ!!」
思わず直立不動になってしまった。

「あらー、同じ社内なんだから、そんなにしなくてもいいのに・・・。きっと、わたるさんの教育がいいのねぇ・・・」
とか笑いながらおっとりした声で言っている。

んなわけない!!!
なーんて言える訳なく、心の中で叫んでみた。

「それはそうと、ちょっと相談があるんだけど、今度、うちの会社ではフランチャイズオーナーさんから広告分担金を徴収することになって、これはオーナーズミーティングでも全オーナーの賛同を取り付けたんだけど、今後、徴収するにあたって一般的な注意事項とか教えて欲しいのよねー。」

ゲッ・・・、そんなの全く知らない・・・。

・・・というのが顔に出たのか


「あら、あなた、まったく知らされてないの!!?」
と、渡辺部長の口調が急に変わった。

ヤベー、背中に悪い汗を感じながら、わたるさんをチラッと見る。
すると、わたるさん、なんとこっちを見ていたはずなのに、一瞬のうちに視線を逸らす。

えーーー、そこで視線逸らすかよ!!顔そむけるかよ!!
卑怯者ーーーーーーーー!!!!

と、またもや心の奥底からの叫び(もちろん声には出さない・・・)。


「じゃあ、ちゃんと説明するわね。広告分担金というのは、チェーン全体でやる統一キャンペーンや販促活動、あとはチェーンイメージの向上のためのイメージ広告などに利用する費用で、売上金の1%相当額を、ロイヤルティとは別に各オーナーさんから徴収することになっているの。

以前、わたるさんの指導で、全オーナーとフランチャイズ契約の修正の覚書を締結して、すべてのオーナーから署名捺印をとったんだけど、いよいよ今年の下半期から徴収することになるわけ。そこで、今販売促進部ではこの運用について検討しているんだけど、法的になにか問題点がないかなぁと思って相談に来たんだけど・・・。酒井くん、どうかしら?」

行政書士 川本到

外食系上場企業の法務担当、有名飲食チェーンの法務担当者、法務部門責任者などを経験し、2008年4月に行政書士登録。行政書士川本法務事務所を設立。主に、フランチャイズに関する法務コンサルティング、海外進出支援を中心とした業務を行っている。所属は、神奈川県行政書士会、中小企業診断士協会東京支部フランチャイズ研究会、国際取引フォーラムなど。日本経済新聞社主催のフランチャイズ・ショーや福岡県新生活産業多店舗化事業でセミナー講師、「フランチャイズ本部構築ガイドブック」(同友館)や「FCチェーンの海外展開ハンドブック(フランチャイズ研究会)にて著作の実績あり。