定期巡回・随時対応型訪問介護看護とはどんなサービス?既存の介護サービスとの違いを解説
高齢化が進む日本社会において、国は「地域で高齢者を支える」仕組みづくりに注力するようになりました。さまざまな仕組みや制度が設けられており、日本で生きていく上で理解は欠かせません。そこで、注目されているのが「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」という新しい形の介護サービスです。従来の介護サービスとは異なる、地域密着型サービスとしてこれからさらなる需要拡大が予想されています。
今回は定期巡回・随時対応型訪問介護看護がどのような介護サービスか、既存のサービスとの違いなどとあわせてご紹介します。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、要介護状態にある高齢者ができる限り自宅で日常生活を営めるように、定期的な巡回や随時通報をともなう介護サービスのことです。利用者の要介護度は1~5と幅広く、それぞれの介護度に合わせて在宅生活を24時間支えることが求められており、一体型と連携型の2種類があります。
一体型の特徴
日中・夜間をとおして訪問看護と訪問介護の両方を提供します。定期巡回と随時対応でサービスを行ない、サービス提供は訪問看護と訪問介護のどちらも同じ事業所です。
連携型の特徴
一体型同様に日中・夜間を通して訪問看護と訪問介護両方の定期巡回・随時対応を行ないます。ただし、サービス提供元の事業所はそれぞれで異なり、双方が連携します。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の必要性
日本は高齢社会の深刻化により、さまざまな問題を抱えています。そのため、高齢者や障害者の悩みなどに対して、一部の専門機関だけを頼るのではなく、地域全体で支える「地域包括ケアシステム」が政府により推奨されるようになりました。
徐々に訪問介護など在宅で受けられるサービスが増えているものの、介護レベルが高い利用者や24時間対応のサービスはまだまだ不足しています。さらに、医療分野と介護分野の連携が弱く、利用者に十分なサービス提供をすることができません。
そのような問題を解決するために、2012年4月に厚生労働省により、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は誕生しました。
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「訪問介護」「訪問看護」と「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の違い
定期巡回・随時対応型訪問介護看護に似たサービスとして、訪問介護と訪問看護があります。ここでは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と訪問介護・訪問看護の違いを簡単に表でまとめてみました。
訪問介護および訪問看護 | 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | |
---|---|---|
24時間対応 | × | 〇 |
随時対応 | × | 〇 |
介護と看護の連携 | △ | 〇 |
それぞれの違いについて、具体的に説明していきます。
24時間対応の可否
訪問介護・訪問看護は基本的にサービスを利用できるのは日中のみです(夜間対応型訪問介護を除く)。そのため、夜間などは自宅で同居家族がケアしなければなりません。利用者のなかには昼よりも夜のケアが必要になることもあるでしょう。日中だけのケアでは満足なサービスとは言えません。
一方、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は日中・夜間を問わず24時間利用できます。そのため、より幅広い利用者と同居家族に対応したケアが実現できるのです。
随時対応の可否
訪問介護・訪問看護では一般的に、事前に利用者と施設の間で決めたスケジュールでサービスを提供します。そのため、スケジュール外のサービスや対応は難しいのが現状です。また、体調が変化した場合も対応できないので、同居家族への負担が増加する可能性があります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、利用者や同居家族からの連絡を受け随時での対応が可能です。体調の変化やスケジュール外の対応も柔軟に受け入れられます。同居家族への負担も少なく、安心して過ごせるでしょう。
介護と看護の連携
訪問介護および訪問看護は、基本的にそれぞれ別の事業所がサービスを提供します。そのため、利用者個人の詳細な状態を把握することが難しく、介護と看護それぞれの事業所が密接な連携をとるのは難しいでしょう。利用者の状態を熟知していなければ、状況に応じた柔軟な対応もできません。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は一体型・連携型のどちらも、介護と看護の専門家が密接に連携し、利用者1人ひとりに合わせて適切なサービスを提供できるのが特徴です。また、利用者が必要とする介護レベルに合わせて高度な介護・医療サービスの提供もできます。
必ずしも定期巡回・随時対応型訪問介護看護のほうが優れているわけではない
これまでご紹介した違いから、定期巡回・随時対応型訪問介護看護のほうが優れていると思った方もおられるのではないでしょうか。しかし、訪問介護・訪問看護よりも定期巡回・随時対応型訪問介護看護のほうが優れているというわけではありません。
対象にしている利用者、サービス内容、費用に違いがあり、個人によってどちらを選ぶべきかが異なります。そのため、高齢者向けの福祉事業の開業を検討しているのであれば、費用や地域のニーズなどから求められるサービス内容を考えることが大切です。
先行者利益を狙うなら今が参入のチャンス
定期巡回・随時対応型訪問介護看護制度の誕生は2012年と10年以上も前のことです。しかし、訪問介護や訪問看護に比べると一般の認知度は低く、競合も少なくなっています。
また、今後さらなる高齢化社会に供え、日本政府は2025年までに、地域単位で高齢者などを支える「地域包括ケアシステム」の実現を掲げており、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の普及・拡大は期待されています。じっさいに、政府は在宅医療・介護の充実を推進しており、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の普及・拡大に向けた政策支援が今後期待できるでしょう。
競合が少ないうちに事業を立ち上げるだけでなく、行政や周辺施設との連携を強化できる今が、定期巡回・随時対応型訪問介護看護に参入するチャンスです。
これからの日本社会を支える定期巡回・随時対応型訪問介護看護!
少子高齢化が深刻となる日本では、今後さらなる介護・看護分野での需要が高まることは間違いありません。現存するサービスだけでは需要に対して供給量が少ないことが考えられ、地域包括ケアシステムの重要度は非常に高いと言えます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は訪問介護・訪問看護でケアしきれない部分をカバーできることから、より多くの人へサービスを展開でき、今後さらに需要が拡大するでしょう。競合他社が少ない今のうちに参入することで、安定した経営が実現できる可能性も高いです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護はフランチャイズ展開しているビジネスもあるので、ぜひこちらも参考にしてみてくださいね。
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