沖縄で初!加盟歴47年のフランチャイジーに聞く成功の秘訣とは【モスバーガー】

フランチャイズWEBリポート編集部 |2023年12月13日 公開 (2024年07月26日 最終更新)
モスバーガーのフランチャイズに加盟されたオーナーの写真

こんにちは、ウェブリポ編集部です!今回は、約50年前に沖縄県で初めてモスバーガーに加盟し、県内トップの売上にも輝いた「山浩商事」さんを取材しました!

日本でもトップクラスの運営実績を誇る山浩商事さんだからこその「フランチャイズ観」やモスバーガーへの想い、沖縄ならではのフランチャイズのエピソードなどを幅広くお聞きしています。普段なかなか聞くことのできないお話ばかりですので、ぜひご一読ください!

60年の歴史がある沖縄の老舗企業「山浩商事」

昭和35年(1960年)に沖縄県で「名護石油商会」として設立。その後、大手ハンバーガーチェーンのモスバーガーに県内1号店としてフランチャイズ加盟し、約50年にわたりフランチャイジーとして活躍してきた山浩商事さん。今回は、モスバーガー加盟初期から携わっている、久高専務(取材当時)にお話をお聞きしました。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

株式会社山浩商事
久高 秀次

株式会社山浩商事 専務取締役(取材当時)。返還前の沖縄県で生まれる。モスバーガー沖縄1号店であるコザ店の開店2年目にアルバイトとして入社したのちに正社員へ。その後、約45年間にわたり山浩商事のフランチャイズ事業に携わっている。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

ウェブリポ編集部
木脇 悠太

1991年、京都府生まれ。大学卒業後、プロサッカー選手としてポーランド・ラトビア・インドでプレー。引退後、東証一部(現:プライム市場)上場の人材系企業にてセールス業務の経験を積む。現在は、フランチャイズWEBリポート編集部員として、アーリーステージのフランチャイズから、数百店規模の大型フランチャイズまで、幅広いFC本部の加盟店募集を支援している。

左:ウェブリポ編集部 木脇悠太・右:株式会社山浩商事 久高秀次さん
モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

本日はよろしくお願いします!
今回は、山浩商事さんの長い歴史を紐解きながら、沖縄独特のフランチャイズの特徴も掘り下げていければと思います。では始めに、山浩商事さんの沿革を簡単に教えてください。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

弊社は、米軍統治下で戦後復興の1番盛んな昭和35年(1960年)に先代が設立しました。最初は沖縄県北部で琉球政府の認可のもと石油事業を行なっていた「琉球石油」さんのオペレーションを我々が担当していて、のちに引き継いだ形となります。

当時、沖縄は米軍統治下でしたが、多くの人々はそれを意識していませんでしたね。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

すごく長い歴史があるんですね。1960年に創業され、その12年後となる1972年に沖縄県が本土に返還された。資料だと、さらにその4年後にモスバーガーをコザ(現:沖縄市)にオープンされたんですね。そこから、ローソン・らあめん花月嵐といったフランチャイズに加盟されたと。

ちなみにですが、米軍統治下の頃は通貨も米ドルだったとお聞きしています。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

そうです。私どものモスバーガーも当時はドルを使っていたのですが、返還と同時にすべて円に変わっていきました。沖縄の通貨変更とか、交通方法の変更とかもありましたが、そういった経験をしたのは日本国内で沖縄だけでしょう。世界でも数少ないと思います。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

そうなるとビジネスでもアメリカの影響を受けたのではないでしょうか。実際に、どういった影響がありましたか?

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

そうですね。
うちは開店したときからお客さんのほうがハンバーガーをよく知っていました。生活のすべてがアメリカナイズされているので、注文の仕方だってお客さんの方が慣れていました。

ただ、毎晩投げ付けられたのはテリヤキバーガーでした。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

どういうことですか?

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

沖縄には「テリヤキ」という文化がなく、ハンバーガーに付くのはケチャップマスタード。そういう欧米の調味料しか使わないので、テリヤキなんて甘ったるいのがなぜハンバーガーに入っているのかという声があったんです。

繁華街の近くで24時間営業をしていたので、夜はほとんど酔っ払っているお客さまばかり。ですから毎晩何個も投げつけられましたよ。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

ただ、その分売上もありました。当時ハンバーガー1個150円ぐらいの時代に、だいたい平均月商が1300万円。他府県のモスバーガーの平均月商が450万円ほどだったので、開業して20年近くは我々のコザ店がモスバーガー全店で売上1位を獲得していました。

沖縄でのビジネスは独特!本土の普通は通用しない

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

モスバーガーの話に入る前に、沖縄の独特の文化についてお聞きしていきます。沖縄というと、みなさん「歩かない」イメージですが、このあたりは店舗の立地戦略などに影響しますか。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

たしかに沖縄だと10分歩けば行けるような距離もタクシーを呼びます。ここは立地戦略に大きく影響します。

たとえば、本土だとコンビニエンスストアの正面にクルマを止められない店舗がありますが、沖縄ではそういう店舗は続きません。それと「入り口に3段あるとダメ」というのも良く言われますね。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

はじめて聞きました。「3段あると」というのはどういう意味ですか?

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

沖縄では、店舗の入り口に階段があったらそれだけで登るのが面倒くさくなるんです。「なぜかこの店舗の売上が悪いな」となったら、たいていそういった条件に当てはまっていたりしますね。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

なるほど、沖縄人は階段があるだけでもめっきり行きたくなくなるんですね。本土の方とは、大きく県民性が異なりますね。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

ローソンを出店するときに、私たちが「絶対にいけますよ」といって、本部に3度断られた立地があったんです。そこも最終的に出店をしたら、沖縄全体で2位の売上を獲得しました。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

本部は「この立地だと固定商圏が少なすぎますよ」とか「ここでは無理ですよ」と言うのですが、違います。沖縄独特の立地の見方を知らなければ、沖縄で店舗を展開することはできません。ほかにも駐車場の枠のサイズだとか、そういったことは本部と揉めてきましたね。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

沖縄独特の商習慣をどう本部に認めてもらうかがとても大事になってきますね。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

そうですね。ただ、私どもは一貫して「契約は約束事で、その上に我々のビジネスが成り立っている」という感覚を持っています。

たとえば、売上がうまくいかないから、本部にどうにかしてもらおうなんてことは甘えだと。そこも納得した上で契約をしているので、あとは加盟店の努力でどこまで売上を回復できるかですね。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

なるほど。同じ契約書でも人によって捉え方が違うこともあると思うのですが、そういった契約の捉え方からフランチャイズ加盟店として成功するかが決まりそうですね。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

そうですね。とはいっても、我々の先輩には違うことをやった者もいました。その人は、ドリンクのカップを本部から仕入れず、本部よりも安い業者から仕入れていたんです。

それがバレたとき、弊社の先代社長が社員を全員集めて「なぜ約束を破るんだ。私はすべて認めた上で印鑑を押したんだ。勝手にこういうことをやるなら、 モスバーガーの看板を返すしかない」と言いました。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

私は先代社長の言葉から「ここまでオーナーも覚悟を持って取り組んでいるんだ」と勉強させていただきました。ですから、店長や現場のスタッフにもそのことを理解してもらい、仕事をしてもらうというのは、今もずっと続けていることです。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

これだけ長くフランチャイジーとして成功されてきたということで、やっぱりフランチャイズに対する理解や本部との関係性などの捉え方が違いますね。

加盟当時はまだ無名?モスバーガー加盟時の貴重なお話

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

1974年、モスバーガーさんに加盟された当時のお話をお伺いさせてください。
小耳に挟んだお話だと、その当時、沖縄にはモスバーガーはなかったけど既にマクドナルドはあって、しかも世界一の売り上げを達成していたと。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

はい、マクドナルドは沖縄で3店舗世界一の売り上げを更新していました。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

世界一を達成した店舗が3店舗もあったんですね!

そういった状況で敢えてマクドナルドではなくモスバーガーに加盟したのはなぜですか?おそらく、沖縄県民のほとんどの人がモスバーガーを知らない状態ですよね。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

そもそもハンバーガー店をはじめるきっかけは、先代がアメリカでハンバーガーを食べたとき、こういうおいしいものを家の近くでも食べられるようにしたいと思ったからだと聞いています。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

それで、当時経営企画をやっていた社員が先代の命を受けて本土に行き、フランチャイズ展開をしていそうなところを聞いて回ったんです。

そのなかでもモスバーガーは今まで食べたことのない味で、普通のハンバーガーよりも面白いかもしれないと。そういった理由で加盟を決めました。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

先程おっしゃられたように、沖縄には既にマクドナルドというライバルがいたわけですが、モスバーガーへの加盟後は順調だったんですか?

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

やっぱり売り上げの差はありました。当時のマクドナルドさんは作り置きをされていて、私どもはご注文を受けてから作り始める「バイオーダー」を徹底していましたので、そういったシステムの違いもありましたね。

その代わり、私どもの店舗では本土の店舗にもないようなアメリカ製の機械類を揃えていました。たとえば、パティを両面から焼く「シェルグリドル」は、本部がまだ導入する前に弊社の4店舗すべてで導入していました。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

ええ!本部より先に機械を入れて大丈夫だったんですか?

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

最終的には本部にも認められました。私どもは月商1200~1400万円ぐらいのお店をやっていたので、本部のノウハウだけではとてもオペレーションが回らなかったんです。

ですから、2号店を開くときには、オペレーションとマシン・厨房を変えました。(本部よりも導入が早かったので)当時まだスーパーバイザーだった櫻田会長も弊社の店舗に来て、一緒に研修をされていましたね。

モスバーガーへの情熱は本部よりも熱い!?

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

ほかにも先代がモスバーガーにかける情熱のお話があります。
以前、沖縄でモスバーガーに加盟されていたオーナーさんが店舗を閉じることになったのですが、それを知った先代はその周辺で店舗探しを始めまして。「沖縄でモスバーガーが閉まったという印象を与えるものじゃない」と、閉店した店舗の近くに出店し、目先の儲けよりも世間の印象を重視したんです。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

先代社長のモスバーガーにかける情熱はすごいですね。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

実際にオープンするとやっぱり売り上げは少ないんですが、とにかく「モスバーガーの看板が消えたのではない。移転したんだ」とお客さまに思ってもらうために、閉店した店舗へ「移転しました」と張り紙もしました。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

それからもうひとつ、先代は「沖縄の玄関口にモスバーガーがないとダメだろう」と、那覇市の国際通りに店を出したんです。

それがなんと、マクドナルドの30センチ横なんですよ。当時の雑誌にも「モスバーガーの無謀」という記事が載りまして。そのくらいモスバーガーの看板を先代は大切にしていました。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

「モスバーガーの名前を傷つけてはいけない」という視座の高さは、これまで成功されてきた理由の大きな1つだと思います。本部と加盟店で対立することもあると思いますが、加盟店が「沖縄のモスバーガーの顔は自分たちなんだ」というスタンスがあるからこそ、本部との信頼関係が築けているんですね。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

そうですね。ただ、私どもが出店した店舗には上手くいかないところも当然ありました。ですから、私どももスクラップアンドビルドで色々なことを繰り返しながら今に至るわけで、崇高な理念を掲げたって利益が出ないことにはやり続けられないと思っています。

モスバーガーの教えが山浩商事の理念にー理念共有の大切さ

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

私どもが加盟しているのは「モスバーガー」と「らあめん花月嵐」「ローソン」ですが、とくにモスバーガーで教えていただいたものが、弊社の企業理念には反映されています。

私たちの社業を考えたとき、お客さまからリピートをいただけるような企業になろう。いただいた利益を会社だけではなく従業員の家族まで幸せにしましょうということで、「幸せ発信企業」を我々の会社の理念にしています。

モスバーガーの経営理念とは?

モスバーガーは経営理念を「人間貢献・社会貢献」、創業の心として「感謝される仕事をしよう」を掲げています。また店舗展開についても「この街にモスがあって良かったと喜んでいただける存在になる」ことを第一としており、これらが山浩商事さんの企業理念につながっています。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

今日のお話で「理念」を大切にしていることがよくわかりました。ここでぜひ久高専務に、この動画を見ていただいている視聴者さんに、長くフランチャイズ加盟店としてアドバイスをいただけますか?

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

理念という部分では、私も若い頃は額にでも入れてドコかに置いておけばいいじゃないか、というぐらいに軽く考えていました。

しかし、現在モスバーガーではキャスト(アルバイトスタッフ)さんが入店する前には身だしなみ整えたあとに、必ずモスバーガーの基本方針を全部読んでから入っています。それは、事業でいろいろな問題が起こったときに立ち返るのが「理念」だからです。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

昔オイルショックに近いものがあったとき、石油事業の担当事業部長から「人材を減らしましょう」という話が出たことがありました。そのときに弊社の社長は「リストラというのは人を切るのではなく、企業を再構築することだ」と。まず商品の品ぞろえや仕入れが適切か、それから無駄な経費がないかなどを見直す。

人をカットして、「しあわせ発信企業」とは言えないですから、そういったときに立ち返るのはやっぱり企業理念だと思います。

久高専務にとって「フランチャイズ」とは?

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

最後にお伺いしたいんですが、御社にとって、もしくは久高専務にとって「フランチャイズ」とはなんですか?

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

久高さん

夢だけではなくて、本当に目の前の数字を突けるだけ突いて、本当に可能かということをシビアに検証する。そして契約事項を遵守することだと思いますね。

私どもは幸い2社(モスバーガー・らあめん花月嵐)とも恵まれたフランチャイザーとやれたので、今のところ後悔はありません。

モスバーガーのフランチャイズWEBリポート編集部

木脇 悠太

本当に今日はいろんな貴重なお話を伺いさせていただきました。ありがとうございました。

沖縄に根付いた事業を展開している山浩商事さん。沖縄ならではのビジネスの特徴や本部と加盟店のスタンスなど、普段は聞けないお話を聞くことができた貴重な時間でした。理念を大事にされていると同時に、モスバーガーに対する熱い想いがあるからこそ、フランチャイジーとして長年成功されている秘訣ではないでしょうか。


モスバーガーのフランチャイズに加盟されたオーナーの写真

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