競合ひしめく買取業界で「買取大吉」が好調をキープできる理由
全国に280店舗(記事公開時点:2020年9月)のFCを展開する「買取大吉」。競合も多く、撤退も珍しくない買取業界において、93.2パーセントの継続率を誇ります。
その秘密である買取大吉のサポート体制とはどのようなものなのでしょうか?開業1ヶ月目に徹底的なサポートをでき、これほどまでに快進撃を続けている理由とは。「買取大吉」を運営する株式会社エンパワーの増井代表に話をお聞きしました。
業界トップクラスの店舗数を誇る買取大吉とは
リユース市場は9年連続で右肩上がりに成長を続けています。リサイクル通信によると、2010年には1.1兆円だった市場規模は、2018年には2.1兆円に、そして2022年には3兆円を超えると言われています。
それに伴い、今では街を歩けば多くの買取専門店を目にするようになりました。そんな中でも、「買取価格顧客満足度調査」1位を獲得し、利用者から高い評価を得ているのが「買取大吉」です。2010年の創業時から順調に店舗数を増やし続け、約9年間で直営店・フランチャイズ加盟店を含め280店舗を展開、買取業界トップクラスの店舗数を誇るまでに成長しました。
なぜ、競合がひしめく買取業界において好調をキープしているのか——。その理由である開業1ヶ月目の徹底サポートや競合との差別化要素、今後の目標などについて「買取大吉」のフランチャイズを展開する、株式会社エンパワーの代表取締役・増井俊介氏に語っていただきました。
2016年9月に株式会社エンパワーの代表取締役に就任。以降、本部のノウハウ蓄積などのために直営店を増やす施策を打ち出し、全国280店舗展開している「買取大吉」のブランディング、知名度向上を図りながら、業界ナンバー1の店舗数を目指す。
「買取価格満足度調査」で第一位を獲得
フランチャイズ本部によって考え方はさまざまですが、買取大吉では「買取=リピート商売」と考えております。
たとえば、ほかの競合店では「粗利が出ないから」という理由で買い取りをお断りするような商品もありますが、買取大吉では生き物と食べ物以外ならすべて買い取りさせていただきます。
初回のご来店時にしっかりとコミュニケーションを取って接客することで、いかに2回目以降の来店につなげられるかを重要視しています。
数えきれないほどありますが、香木(こうぼく)はほかの競合店なんかだとお断りされるかもしれないですね。香木とは香りを放つ樹木、またはその樹木から採れる香料なんですが、素人が見たらその辺に転がっている「木」なんです。
ただ、買い取れるのはもちろん、それなりの金額になります。そのほか金歯とかもそうなんですが、一見、価値のないように感じたり、鑑定が難しいものでも、「買取大吉」では買い取らせていただいております。
そうですね、「買取大吉」では40パーセントのリピート率を記録しております。また、2017年の楽天リサーチと、2019年の日本マーケティングリサーチ機構によるイメージ調査「買取価格顧客満足度調査」で第1位をいただきました。
はい。まだ買取店に足を運んだことのないような方の場合、質屋のような怖い雰囲気だったり、あまりに高級感を押し出した店舗デザインだと、どうしても店内に入りづらいんです。また、オシャレすぎても入りづらいですよね。 なので、高級感やオシャレ感を押し出しすぎず、メインターゲットとなる50代女性が、なんでも気軽にお持ちいただけるような、絶妙なバランスの外観・内観になるようイメージしています。
店舗継続率93.2パーセントの要となる開業初期のサポート
買取大吉では、店舗を増やすことよりも店舗が継続することを第一に考えているので、撤退するお店は少ないですよ。2010年から2018年の実績で、93.2パーセントの店舗が継続していて、撤退した6.8%の店舗も赤字が原因で撤退したわけではありません。
それを実現しているのは、開業1ヶ月目のサポートを徹底しているからだと考えています。
廃業リスクというのは開業初期の過ごし方によって決まるんですよ。特に開業1ヶ月目は誰もが不安をいだきやすく、この時点でスムーズに運営できないと撤退の原因になってしまうんです。
そこで買取大吉では開業1ヶ月目を重点支援するために、最低週3回は本部の熟練SV(スーパーバイザー)が臨店しています。この期間に買い取りや店舗運営、広告などのノウハウをすべて落とし込みます。 オーナー様には1000万円の初期投資で人生をかけて加盟していただきますので、エンパワーとしても「絶対に成功していただく!」という気持ちでサポート体制を構築しております。
運営面からご説明しますと、「買取大吉」では接客を重要視していますので、身だしなみやあいさつ、店舗の清掃なども含め、お客さまを本当にお迎えできる状態なのかという点から指導させていただきます。
そういった店舗ビジネスで最低限必要なことはもちろん、商品の査定に関しても一からていねいにお伝えしています。
本当にさまざまな商品をお持ちいただくのでバリエーションは豊富ですが、それがルイ・ヴィトンなのかプラダなのかといった違いなだけで、査定のノウハウは基本的に同じです。ですので、最初はSVが査定する様子を見て覚えていただき、徐々に実際に査定したり、さまざまなバリエーションを経験していただきます。
なかには、「HERMES(エルメス)」など読み方すら分からないブランドも少なくありませんので、そういった基礎的なこともお伝えしております。
はい、皆さまその点はご心配される方が多いのですが、「買取大吉」では買い取れば基本的に利益が確定するシステムになっています。
というのも、お客さまに商品をお持ちいただいたら、商品名と品番を確定させ、その後、弊社の本部に常駐している鑑定部隊とSkypeでやり取りして買取金額が決定します。そのあいだ、お客さまには店内でお待ちいただいておりますので、買い取って赤字になることはありません。
もし、瞬時に判断できないようでしたら、商品をお預かりし、専門の買取業者にしっかりと査定していただいたうえで買い取ることもできます。
ひとつは出店する立地ですね。いくら研修やSVのサポートがしっかりしていても、そもそもお客様が来店してくれない場所では意味がありませんからね。1年目から黒字になるような立地に出店する必要があります。
「買取大吉」では、週に一度、私も含めた幹部陣で「出店審査会」というのを実施しています。店舗開発の責任者が全国の10店舗くらいの候補物件についてプレゼンし、それに対して、出店するかしないかを判断するんですが、2019年度の上半期の通過率は10パーセントでした。
つまり10候補に対して出店するのはひとつだけ。もちろん、出店してみないと最終的にどうなるか分からない面もありますが、机上で十分に議論したうえで、「この立地なら絶対に失敗しないだろう」という立地にしか出店しておりません。
なかには、そういった物件でオープンする競合店もあると聞いていますが、「買取大吉」ではありません。
以前、とてもアグレッシブなオーナー様がいらっしゃって、自身で10件くらい候補物件を探してくださいましたが、本部が下した決断はすべてNG。結局、「出店審査会」を通過した物件でオープンし、ご成功頂いています。
確かにそうなるのも理解できますが、失敗のリスクをできるかぎり減らすためにも、厳しい審査を通過した物件でしかオープンしておりません。オーナー様と本部は運命共同体なんです。
フリマアプリは「競合」ではなく「共存」
まず、業界の背景からお話ししますと、この数年で「メルカリ」などのフリマアプリが台頭してきたことで、中古品を売り買いする「リユース」のハードルが下がりました。そういった背景もあり、これまで買取店を利用したことのないお客さまもご来店いただくようになったんです。
そんな業界拡大の反面、加盟を検討していただいている方のなかには、フリマアプリなどの存在を脅威に感じて不安に思っている方がいらっしゃいます。
しかし、たとえば100万円もするロレックスを「メルカリ」などCtoCのフリマアプリで売買するとなると不安ですよね。実際に、「メルカリ」で流通している商品の平均価格は2600円と聞いております。
一方、買取専門店の買取価格は4万円を超えてきます。価値の高い商品に関しては、店舗に足を運び、プロに査定してもらったうえで納得して買い取ってもらいたいという心理がありますので、フリマアプリと買取専門店の棲み分けはしっかりとできている。そう感じております。
加盟店が増えているのもそうですが、やはり撤退率が低いというのもスピーディに店舗数を増やしてこれた理由だと思います。
仮に1年間で50店舗出店できたとしても、翌年30店舗閉店してしまったら増えませんから。店舗継続率を保ちながら右肩上がりに店舗数を増やしてこれたのが、数字に結びついているんだと考えております。
直営店を増やすことでノウハウを蓄積
それまで、直営店が1店舗もなかったんですが、この3年間で80店舗まで増やしました。競合の買取専門店と比べて、直営店の数が圧倒的に多いのも「買取大吉」の特徴です。
目的は2つあって、ひとつ目はノウハウの蓄積です。たとえば、オープンから5年が経ったA店の売り上げが急に落ち込んだとします。その場合、本部としてどうにか売り上げを回復させないといけないですが、直営店がなければ検証できませんよね。
そういった際のノウハウを蓄積するためにも直営店を増やし、テストマーケティングを重ねることで、それに基づいて加盟店様に新たな施策を落とし込むか否かを判断できるようになりました。
ふたつ目は、直営店を引き継ぐかたちでオープンしていただくためです。
というのも、基本的に出店するエリアはオーナー様の希望に沿うように探します。東名阪エリア、とくに東京都内での出店希望が圧倒的に多い一方で、この辺は競争も激化しているだけでなく、いい立地がどんどん埋まってしまう。
ですので、いい条件の立地があれば直営店としてまずはオープンしておいて、近隣でオープンしたい検討者がいたら譲渡する、というシステムを採用しています。
はい。直営店譲渡の際には、売り上げなど過去のすべての数字を開示しておりますので、ゼロからイチを作り出すよりは、より安心して加盟していただけると考えております。もちろん譲渡した場合も、初期サポートはありますからね。
私が社長に就任して3年経ちますが、最初の2年で直営店を集中的にオープンして実績を作り、2019年に10店舗ほどを譲渡するかたちでオーナー様に引き渡しました。
買取業界でナンバー1の店舗数になることを目標にしています。
具体的な店舗数は掲げておりませんが、弊社の一番の特徴である継続率をキープし、このままの勢いで出店を続けていければ、必ずナンバー1になれる計算です。
新型コロナウイルスが買取業界に及ぼした影響
もちろんお客様の来店が減ったりと多少の影響は受けましたが、買取業界自体がほかの業界と比べると比較的ダメージが少なかったように思いますね。外出自粛で自宅の整理をしたお客様が、物を売りに来たということもあります。
また、新型コロナの影響で廃業や撤退した物件が空いて、良い店舗や良い人材が市場に出てきていますので、今がチャンスであると捉えています。
実際に採用も強化していましたし、緊急事態宣言が出されていた5月中にも、7店舗のFC出店がきまりましたね。
先程もお伝えしたように、新型コロナウイルスの影響が少なく、買取業界は不景気にも強いビジネスなんです。
なので、今回の新型コロナウイルスの影響で大きなダメージを受けた飲食店経営者が新規事業として始めたり、既存事業が縮小・撤退した企業様がリスクヘッジなどの理由で加盟されています。
今後、新型コロナウイルスの影響で撤退する事業者も増えると思いますが、そういった法人の在庫処分などもあったりと、これからも買取の需要は見込まれますからね。
徹底した消毒や除菌、清掃を行なうことで安心してお客様にご来店いただけるように、全国の加盟店にマスク、消毒剤を配布しました。
それから、オーナー様専用の問い合わせメール窓口を開設しています。新型コロナウイルスの影響が少なかったとはいえ、ショッピングセンターに入っている店舗などは緊急事態宣言中に休業していたところもあるので、そういったオーナー様から家賃減額などの問い合わせを受け付けるためです。
新型コロナウイルスの感染状況や感染症対策本部の基本的対応方針を鑑みて、より緊密でスピード感をもったサービスへの転換を図ろうと考えています。
オーナー様への経営指導やフランチャイズ加盟募集のための説明会をZoomに切り替えるなど、オンラインへの切り替えを図っています。
新型コロナウイルスなど懸念する部分はありますが対策は取っていますし、買取はコミュニケーションが第一です。
競合他社さんなんかですと、商品の状態などを踏まえ機械的に買取額を決めることが多かったりします。一方、買取大吉ではお客さまがお持ちいただいた商品に対し、だいたいどれくらいの買い取り額を望んでいるかというのを、初回のヒアリングで紐解きます。そこに近づけようとするので、当然お客さまの満足度が高くなり、リピートにつながる。結果、取引が増え、買い取り件数も多くなりWin-Winの関係が築けます。
そういった接客を楽しめるような、コミュニケーションをとるのが好きな方はぜひとも、買取大吉のフランチャイズ加盟をご検討のほどよろしくお願いします。