2016-02-05 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
フランチャイズ研究会 中小企業診断士
高橋 利忠 |
チェーン展開の成否を分ける!FC本部のための新店舗オープン対処法【第九回】
このコラムのポイント
多店舗展開をするときに、フランチャイズの手段を活用しオーナーを募集するチェーン店もあるのではないでしょうか。新店舗をオーナー店に任せるに当たり、開業前後は本部がしっかりと支援をする必要があります。具体的にどのようなことをそこでは行うのか。中小企業診断士の高橋利忠氏に解説してもらいました。
フランチャイズWEBリポート編集部
オープン時のオペレーションが店舗の成否を分ける
新店舗のオープンは、チェーンにとって重要なイベントです。新店舗には、2種類のお客様が来店されます。チェーンへの来店も初めてで近所に新店舗ができたのでどんなお店なのか試しに来店するお客様、チェーンを既に知っていて近所に新店舗ができたので来店するお客様、です。
前者の場合、試しに利用してみて、好印象になればリピーターになりますが、悪印象になれば二度と来店しません。後者の場合、チェーンのイメージが既に出来上がっており、イメージ通りあるいはイメージを上回る満足が得られればリピーターになりますが、イメージを下回ると足が遠のきます。
いずれにせよ、新店舗オープン時には多くのお客様が来店します。新店舗オープンで来店されたお客様を満足させられるか否かで、今後とも繁盛する店舗になるかどうかが決まります。オペレーションに慣れていないといった言い訳は通用しません。新店舗オーナーにとっても重要ですが、チェーンを運営しているフランチャイズ本部(以下、本部)にとっても重要なイベントです。
店舗を重点的に指導できる最初で最後の機会
通常、新店舗オープン時には、本部からサポートスタッフを派遣します。
オープンサポートで、お客様の応対を手助けする一方、加盟者(フランチャイズオーナー)が開業前研修で教わったことをマスターしているか確認します。間違った理解をしていると、オペレーションが我流になってしまうためです。
正しく理解されるよう、営業時間終了後または手の空いた時間に、再度指導するようにしましょう。これは、開業前研修の最終確認という位置づけになります。
また、店舗運営に必要な備品、商品、材料が揃っているかどうか確認することが重要です。必要なものが揃っていない場合、急いで取り寄せる必要があります。通常の発注で間に合わない場合、本部に相談する必要があります。場合によっては、近隣の他店舗から少し融通してもらうこともあります。
新店舗を開業する際、保健所や消防署などに届け出が必要な場合も。漏れなく届け出ができているかどうか、本部サポートスタッフはチェックします。また、届け出書類が他の書類と混じって紛失しないよう、ファイリングを指導します。
地域に根ざし来店客を増やすには、店舗周辺への挨拶回りも大切です。短期間で集中的に行うには人手がかかります。加盟者に任せるだけでなく、本部のサポートスタッフも一緒に手分けして挨拶回りをします。
本部からの開業サポートメニュー(加盟金に含む場合、含まない場合有)
本部からの開業サポートには、以下のものが挙げられます。
・店舗スタッフの派遣
・実地での指導(オペレーション、届け出など)
・不足商品等の融通
・オープンチラシの提供(新聞折り込みやポスティング用)
・販促品の提供
・ロイヤルティの減免(オープン後一定期間)
こうした開業サポートメニューは、本部によってはできるものとできないものがあります。また、加盟時の費用に含める場合もあれば、別途有償で支給する場合もあります。
新店舗オープン支援は、加盟者との信頼関係ができるチャンス
新店舗オープン時、加盟者は不安でいっぱいです。開店前の研修や実地研修でひと通りオペレーションを教わっていますが、駆け込みで覚えたオペレーションをどこまでマスターしたか、不安だらけです。しかも、新店舗では自分が責任者で、失敗は許されません。
この新店舗オープンは、加盟者が本部を一番頼りにする時です。オープン時に助けてくれた担当者への感謝の気持ちは、加盟後長期間が経っても忘れません。後に加盟者とトラブルになった場合でも、オープンを助けてくれた担当者の言葉には耳を傾けることがよくあります。
本部は、新店舗オープン時こそ、加盟者との信頼関係を構築できる絶好のチャンスととらえ、最大限にサポートすることが重要です。
フランチャイズ事業化へのロードを解説した本コラムも、残り1回となりました。最終回は、「加盟契約後の支援体制」です。どうぞ、お楽しみに!