販路企画 代表田口 勝
2016-08-17 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
販路企画 代表 田口 勝

店舗型ビジネス成功のポイント「多店舗展開」

 このコラムのポイント

本コラムからは店舗型ビジネスにおける重要なポイント「多店舗展開」について解説いただきます。コンビニやファストフード、カフェなども多店舗展開により成功しているビジネスと言えますが、そのメリット・デメリットとは?

フランチャイズWEBリポート編集部


1.なぜ多店舗展開を行うのか?

本日からのコラムは多店舗展開についてのメリット・デメリットについてお話をしてまいります。

独自のビジネスモデルで起業をされる場合も、フランチャイズに加盟して起業する場合も同じ考え方だと思いますが、独立起業をされる上では大きな目標でもある多店舗展開。

まずは、なぜ多店舗展開を行う必要があるのかということについて解説いたします。

私は現在、仕事の8割がこの多店舗展開に関しての支援をさせて頂いておりますが、店舗型ビジネスで大きく売上を改善するには、この多店舗展開は欠かせません。

それはなぜか?

店舗型ビジネスでは必ず商圏範囲が存在するためです。

我々のように事務所を構えるだけの無店舗型ビジネスは、日本全国どこへでも行けます。しかし、飲食店、小売店、サービス業を含む店舗型のビジネスでは、日本全国の方を相手にするには、ネットで商品を販売しない限りは難しい状況です。

理由は、お客様が来店する形のビジネスであるからです。
来店するということは、利便性が伴い、必ず商圏の範囲が伴うということになります。

そのため、店舗型ビジネスで売上を大きく伸ばすためには、新しい商圏範囲を獲得することで今まで来店されていないお客様を誘引する必要があります。

それを行うことが多店舗展開です。

私は、店舗型ビジネスの売上を上げる視点として一番重要なことは、多店舗展開であると考えています。それ以外に売上を上げる要素として、商品改善、立地改善、サービス改善、販促改善とありますが、多店舗展開ほど、売上インパクトがあるものはありません。

つまり、売上を上げる最重要施策が多店舗展開ということになります。

2.多店舗展開のメリットとは?

多店舗展開のメリットとはどのようなものがあるのでしょうか?
私は次のようなメリットがあると考えております。

① 新商圏獲得・競合駆逐

 ・新商圏の顧客獲得することによる売上改善
  ⇒現在取れてない商圏を獲得することで新しいお客様を獲得することができます。
 ・競合を挟み込み、駆逐することによる、売上の改善
  ⇒競合を挟みこむことで、競合の売上を下げ、駆逐し、競合のお客様を獲得することができます。

② スケールメリット

 ・数の力を活用。仕入れコストの低減による利益改善
  ⇒店舗数が増加すれば、取引先との交渉も有利に運ぶことができます。仕入れ数が多くなる分、1個当たりに価格を下げることが出来たり、取引条件を優位に運ぶ交渉ができるようになります。

③ リスク回避

 ・周辺環境の変化へのリスク回避
  ⇒商圏の環境は常に変化します。道路の交通量も変われば、商業施設や人の流れも変わります。その環境への変化へ1店舗だけではリスクが大きいのが実情ですが、多店舗展開を行うことで、リスク回避につながります。

④認知度向上とブランドの確立

 ・面で展開することで、顧客の認知向上とブランド確立
  ⇒店舗は最大の広告塔です。店舗数が増えることで、チェーンとしての認知度が上がり、お客様に安心感や利便性をもたらすことができます。常にお客様に店舗が目につく機会が増加することでブランド確立にもつながります。

⑤人材の戦力化

 ・新ポストの設置。社員のモチベーション向上
 ⇒1店舗だけであれば、ポストはおのずと決まってしまいます。多店舗展開を図ることは、ポストを増やすことにつながり、社員のモチベーション向上に繋がります。

つまり、多店舗展開は成功をすれば、非常にメリットが大きいものでもあります。

3.多店舗展開のデメリットとは?

ここまで解説したメリットだけではありません。デメリットも多数あります。

①コストがかかる

 ・直営店は店舗費用を含めてコスト増
 ・FC展開でも仕組み構築・開発費用のコスト増
 ・不採算店がでると、母店の利益も減少
 ⇒店舗展開の最大のデメリットは、店舗や内装外装、設備等の投資部分が非常に高いことにあります。そのため、多店舗展開を行うと初期投資コストは確実に増大します。また、フランチャイズ本部での展開でも本部構築コストや開発費用は増加します。
更に、不採算店でも出店すれば、母店の利益も減少するというハイリスクハイリターンであることが掲げられます。

②商圏の食い合いを起こす可能性

  ・母店に対して、売上の影響を与える可能性
 ⇒出店を間違えれば、間違いなく、母店に対しても売上の影響を与えます。
  経費は単純計算で倍かかりますので、利益が大幅に下がる可能性があります。

③社員採用教育の労力は増大する

  ・社員不正、従業員不足、社員教育コスト、業務標準化 
   が出来ずに苦情の発生リスク等。
 ⇒多店舗展開で一番大きなデメリットは人の問題ではないでしょうか?1店舗でも獲得が難しい時代に多店舗分も賄うということは非常に苦労がいることです。また、社員や従業員のマネジメントも必要となります。

このようなデメリットもあり、実際に多店舗展開等をしなければ良かったという経営者も多いのではないかと思います。

まとめ

今後のコラムではこのデメリットを踏まえた中で、メリットを最大に生み出すためにはどのようにすれば良いのかについて具体的に解説していきたいと思います。

独自のビジネスモデルでもフランチャイズを活かしたモデルでも多店舗展開は、ぜひ実現して頂きたい手法であり、店舗の発展は多店舗展開をなくして実現することはありません。

ぜひ、参考にしていただければ幸いです。

販路企画 代表 田口 勝

大学卒業後、熊本県の経営コンサルタント会社に勤務。マーケティング戦略立案・管理者研修等で中小企業のコンサルティングを担当。その後、業界最大手のコンビニエンスストアチェーン本部にて10年勤務、店長・スーパーバイザー・マネージャーを経験。退社後は販路企画を立上げ、商圏に基づくエリアマーケティング戦略立案・出店調査・FC本部展開支援・従業員戦力化研修、セミナー講演活動を行っている。