2015-04-10 小説で起業ノウハウを学ぶ!FCビジネス起業物語
フランチャイズ研究会 中小企業診断士&1級販売士
若林和哉 |
フランチャイズ研究会執筆『フランチャイズでラーメン店に業態転換。そして多店舗展開へ』
フランチャイズ検討始め。まずは親子二人でフランチャイズの展示会へ
起業物語の登場人物
中田慶介(28歳) 地元の神奈川県の高校を卒業後、父である浩(63歳)の居酒屋を手伝っている。独身。
「慶介、話があるんだ。ちょっといいかな。」
中田慶介が閉店後の作業が終わりそうなのを見計らって、浩は声を掛けた。
浩は、慶介が高校生のころ勤務先を退職し、居酒屋を開店した。駅から徒歩2分で人通りも多いという立地であり、週末などは満席になるお店となった。慶介は店主としての浩に憧れがあり、高校卒業後そのまま働くこととなった。
それなりに繁盛していたため3年前には隣のZ市に2店舗目を出店した。このタイミングで税理士に勧められて法人化しており、小さいながらも社員4名、アルバイト20名を雇用する企業となった。
しかし、その2店舗目が大きな赤字となっている。原因の1つは、多店舗化のノウハウがなく本店と同じオペレーションを確立するのに時間がかかったことである。1店舗目をある程度慶介にまかせて、新店は浩と新たに雇用した社員で運営していたが、マニュアル等が整備されていたわけでなく、教育にも時間がかかった。
物件に関しても、1店舗目とほぼ同じ広さであったものの、厨房の形状もちがうため、使いやすいレイアウトになるまでに時間がかかった。
また、2店舗目がオープンして間もなく、近隣の大手企業の工場が閉鎖を発表。2年後には工場跡地にマンションが建設されていた。当初予想していた居酒屋需要は大きく減っていた。
ここ数か月、浩と慶介の間ではこの2店舗目をどうするかというテーマで議論を重ねていた。経営者である浩が独断で決める方法もあったが、そう遠くない将来に会社の経営を慶介に任せたいと思っていた。慶介もこの会社を継いでいきたい想いがあり、2人で議論をしていたのだった。
浩は慶介に話かけた。
「2店舗目をどうするか、そろそろ結論を出そうと思う。このまま居酒屋を続けていても、良くなるとは思えない。かといって、閉店しようにも物件の契約期間は残っている。違約金を払って終わりにする手段もあるけど、立地は悪くないから他の飲食業をやろうと思っている。」
「やっぱり多店舗展開をできる業態をやろうよ。そのためには、前も話をしたけど積極的に出店をしているフランチャイズに加盟するのが良いと思う。そこで多店舗展開のノウハウを学べば、居酒屋をどこか別の場所で出店する可能性だってあるわけだし。」