2014-12-12 小説で起業ノウハウを学ぶ!FCビジネス起業物語
フランチャイズ研究会 中小企業診断士
池田安弘 |
フランチャイズ研究会執筆『買取ビジネスへの挑戦・夫婦で取り組むセカンドキャリア』
創業支援の仕組みを活用して想いを“形”に
起業物語の登場人物
山本真一(54歳)、妻洋子(49歳) 東京の中堅商社に勤務。定年は60歳だが「体力に自信のある間にもう一度何かにチャレンジしたい」と考えるようになった。 これまでは仕事中心の生活で特に妻に負担をかけてきたので、これからは出来れば妻と一緒に働ける事業が出来ればと考えている。
山本真一の会社では、55歳を迎える前に人事部によるキャリアプラン面接がある。
55歳で早期退職制度が設定されていて、54歳は否応なく自分のキャリアプランに向き合う大きな分岐点になる。
このまま勤務を続けるのか、新しいライフプランに向けて一歩を踏み出すのか。
自分と自分の家族の将来を真剣に考える人生の岐路を山本真一も迎えたのだ。
「早期退職制度を利用すれば割増しもあって退職金は4500万円位になる。
60歳からは企業年金ももらえるから、65歳からの公的年金を考えれば生活にはそれほど不安を感じることはないと思うんだ。」
真一は、妻の洋子に説明してみせた。
「今なら体力に自信もあるから新しいチャレンジも出来ると思うんだ。
60歳になって新しいことにチャレンジできるかどうか、自信は無い。この5年は大きいよ。」
と、真一は続けた。
(こんなに一生懸命洋子に話すのはいつ以来だろう・・・?)
「これからの時間は、洋子と二人の生活になる。出来れば一緒に出来る仕事を考えてみたいんだ。」
話しながら、洋子と二人の生活になったんだということ実感する真一。
「それで、あなたは何をしたいの?」と問う洋子。
「このまま今の会社に勤めれば5年間で6千万円くらいの収入になるはずよ。割り増し退職金をもらっても全然少ないわよ。」
更に洋子はまくし立てる。
「アメリカにいたときに感じたんだけど、アメリカではネットオークションで何でも売っていただろう?」
「そうね、生活に必要なものから壊れた車や、ヒコーキまで売っていたわね。」
「古銭や切手の収集が僕の趣味だから、古銭なんかを買取ったり、ネットで販売するビジネスが出来ないかと思ってるんだ。」
とビジネスのイメージを話す真一。
「あなたは今までも自分で決めたことは周りが何を言っても聞かなかったわ。今度も私に相談しているけど、会社を辞めることはもう決めているんでしょう?」
長年、真一に連れ添ってきた妻である洋子は真一の性格をよくわかっていた。
「でも、今度のことは私たちのこれからを考えるととても大切なことだと思うの。もう少し慎重に考えてほしいの。」
洋子は真一を正面から見つめながら話す。
「私も考えてみるから。」
「わかった。もう少し具体的に計画を立ててからもう一度話をするよ。」
と答えた真一だが、まだ具体的なビジネスのイメージは彼も持っていなかった。
自分のビジネスプランを妻の洋子に説明してみせることで、早期退職をして「新しいビジネスに取り組みたい」という気持ちを強くする真一。
(でも、一体何から始めれば良いのか?)