2015-03-20 小説で起業ノウハウを学ぶ!FCビジネス起業物語
フランチャイズ研究会 中小企業診断士
木村 壮太郎 |
フランチャイズ研究会執筆『元教師が家族とともにフランチャイズで悲願の学習塾開業』
学習塾のフランチャイズ本部選びと起業への決心
起業物語の登場人物
山川明男(42歳):東京都郊外の一軒家に住む、教育系出版社勤務のサラリーマン。パート勤めの妻、孝子(40歳)と中学2年生の息子、学(14歳)との3人暮らし。子供が好きで、昔は公立中学校の英語教師だったが、赴任した学校の環境が悪く退職。出版社に転職し、最近では教育関係のアプリの企画にも関わっているが、息子の将来への不安や、子供の教育への未練が残っている。
学習塾を始めるといっても、明男は昔現場で教師を務めていただけであり、フランチャイズや経営に関する知識も全くないような状態である。色々な資料を取り寄せてみたが、どのフランチャイズ本部も魅力的に映って、結局何も動き出せない状況にいた。
数週間後、孝子も気になって状況を尋ねてきた。
「あなた、いいフランチャイズ本部は見つかった?そういえば、新聞にフランチャイズ加盟希望者向けの展示会の広告があったわよ。参加してみたら?」
「そうだね。実際に各社の担当の人に会って話を聞いてみたい。孝子、もしよかったら一緒に来てくれないか?もし開業するなら、我が家も激変するだろうし・・・。」
「わかったわ。ただ、正直私は慎重なの。しっかりと情報を集めて、冷静に考えましょうね。」
フランチャイズ加盟希望者向けのイベントに参加すると、学習塾でも様々な本部が出展していた。
西進ゼミナール、山井塾、江戸個別指導学院、・・・。
普段よく目にする、メジャーな学習塾の多くがフランチャイズ形式でビジネスを展開しているんだ、ということに初めて気付き、驚きと新鮮な思いが明男にはあった。
そんな中、ブースを歩いていると「フランチャイズ加盟相談コーナー」なる窓口を明男と孝子は見つけた。そこでは、フランチャイズ専門コンサルタントが加盟について無料で相談を行っていた。
「何かお悩みですか?私はフランチャイズ専門コンサルタントの本城祐司と申します。気になることや各本部に聞けないこと、何でもご相談ください。」
コンサルタント、・・・?何か怪しいなと明男は思った。しかし、何か手掛かりが得られるかもしれないわよと孝子に言われ、明男は思い切って相談をすることにした。
まず本城が、明男の希望について色々と聞いてきた。
「山川さん、学習塾といっても、大人数を相手に集団で教えている塾や、少人数に教える個別指導の塾、最近ではPCを活用して生徒が学習する形式の塾など色々な形式があります。山川さんはどういう塾に関心がおありでしょうか?」
「私はそんなに資金もないし、生徒一人一人の顔をしっかりと見たいので、大人数形式の塾は違うかなあと思います。個別指導が合ってそうですが、PC活用の形式も増えているのですか?」
「そうですね。フランチャイズ学習塾では個別指導塾の形式が多く、少子化の中でも安定したニーズがあるのですが、オーナー一人でも経営でき、スペースも小さくて済むことから近年はPC活用の形式も増加しています。」
「効率を考えると、PC活用塾もよさそうに思えますが、私は生徒達の表情を見ながら教育に関わりたいという思いがありますので、個別指導形式が一番好きです。ただ、どのフランチャイズ本部もよく思えて迷うのですが、結局、どのフランチャイズ本部や学習塾の形態にするのが一番いいのでしょうか?」
その時、本城から返ってきた答えは、明男の認識を覆すものだった。