2014-09-08 FC本部向け小説
行政書士
川本到 |
金払ってくれ、加盟店様 ~加盟金、ロイヤルティの性質~
このコラムのポイント
フランチャイズで独立するにあたって、必ずと言っていいほど出てくる「加盟金」や「ロイヤルティ」。そもそもこの費用は何のために本部に対して払う必要があるのか?物語上の架空本部、CALM DINING新人法務部スタッフの酒井が上司である法務部長の川村わたるに指導を受けるシーンをまじえわかりやすくこの意味を解説しています。このコラムはフランチャイズ本部担当者、加盟希望者向けコラムです。
フランチャイズWEBリポート編集部
仕事って言っても、まだ何にもわからない「僕」酒井雄人は、結局わたるさんに言われた書類を打ち直して、「契約書ってこういう文章なんだ」って勉強したりしている日々。
僕が、唯一できる仕事といえば、電話を取るくらいで、いや、正直なこと言えば、電話を取るのだって結構難しいし緊張する。
わたるさんは結構厳しいので、「酒井、電話を取るのも仕事だぞ!」と言って、電話は強制的に取らされるので、怠けていられないわけで・・・。
今日も電話をたくさん取りましたけど、そんな中に、こんな電話がありました。
「お電話ありがとうございます、株式会社CALM DINING法務部の酒井が承ります!」
「あ、こちら法務部さん…?」
と男性の声。
「はい」と返事をする間もなく、その男の人はすごい勢いで話を始めた。
「あのさぁ、小田原でおたくのFCを経営している者なんですけどね、お宅ら、請求書を送りつけてきて、二言目には金払え、金払えって言うけど、こっちだって金払いたくても払えないって現実があって、その話をしたくて電話したんだけど、お宅ら、SVにいろいろお願いしても、なんだか頼りにならねぇし、それで金の請求は厳しいし、もう少しどうにかならないわけ?
だいたい、加盟金だって500万も取っておいて、その上、ロイヤルティだの、商品仕入れ代金だの、販売促進費だのって、どれだけ金とれば気が済むんだよ?少しはロイヤルティまけるとか、そういう発想はないの?」
と一気に捲くし立てるように話をされて…、僕はどうしてよいのやら、わからない。
「酒井さんって言ったっけ?法務部さんでしょ?法律的にどうなのよ?」
と更に追い討ち。
普通、金を払ってもらう方が強気で相手を追い込むっていうのは、漫画とかで読んだことあるけど、金を請求する方が追い込まれるっていうのもすごく情けない…。
と、更にここで追い討ち。
「酒井さん、頼むから、ここで答えを出して、納得させてよ。」
「あ、いや、えーと、実は僕、新人でして、まだ…」
「なに、新人だから答えられない?新人だって、CALM DININGの法務部さんなわけでしょ?新人でも何でも、こっちはお宅の加盟店なんだからさぁ、そんなこと言われてもごまかされないよ。」
やべぇ…、火に油…。最悪。こういうときに限ってわたるさん居ないし…。どうすればいいんだよ~~~???
「いや、ホント、マジで新人なんです…(泣)」
「きみさぁ、加盟店って言えば、お宅にとってはお客さんだよ。何?その口の利き方は。『マジ』とか普通使うか?」
「あ、いや、大変失礼いたしました。ただ、私、本当に先日配属されたばかりでして、本当に、私からお答えすることができないんです。もし、よろしければ、部長の川村から折り返し電話をいたしますが…。」
今度こそ、大丈夫だろう!?
「川村さんって、あの法務部長の川村さん?」
「はい、私の上司に当たりますので、確実にご回答できるかと存じますが。」
「いやぁ、川村さんじゃぁ、お話してもラチがあかないんだよ。。。」
あれ、若干話し方が丁寧になった気がする。『鬼の川村』って有名だって噂は聞いたけど、本当らしいなぁ、よかった、わたるさんの名前だしてみて…。