2015-03-02 FC本部向け小説
行政書士
川本到 |
俺のシマに土足で踏み込むな!?~テリトリー権の限界~
このコラムのポイント
同じブランドのコンビニエンスストアが道路の向かいなど近隣で営業している風景、見覚えありませんか?同じ商圏なのに同じブランドの店舗が並ぶのは本部によるドミナント戦略によるものでもありますが、商圏というのはデリケートに考えなくてはならないものです。この章では、商圏が法律としてどう定義されているのかがかみ砕いて説明されています。
フランチャイズWEBリポート編集部
10月になって、ずいぶんと涼しくなってきた。過ごしやすい。が、俺は真樹と最近ケンカばかりで、何だか別れの危機を迎えているせいだか、今一つ気分が乗らない。会社では会社でわたるさんの「ばかやろー」を聞かされ、家では真樹にキーキー言われて、心が休まらない(泣)
「よう、酒井。元気か?あれ?なんだ元気無さそうだな?さてはななちゃんにフラれたか?」
ゲッ、畠山部長まで「ななちゃん」のことを知ってる(汗)
何でだ?今井さんか?それともわたるさんか??
「俺もあの店、何度か行ったことあるから、ななちゃん知ってるけど、あの子かわいいよなー!!」
「いや、そんなんじゃないっす。」
俺は焦りながら答えた。
「そうか。まぁ、何かあれば相談しろよ。」
と畠山部長は優しく言ってくれた。
「で、本題なんだけど…。所沢店ってFC店知ってるか?」
畠山部長、仕事の相談だったのか…。
所沢には土地勘ない。正直言ってまったくわからなかった。
「実はな、今の所沢店っていうのはプロぺ通りっていう、所沢駅前の商店街の中にあるんだ。」
と言いながら、畠山部長が用意してきた資料の中から地図と写真を見せてくれた。
「で、その所沢駅の反対側の出口を降りたところに、ちょっとした駅ナカ物件が出てきてな、そこにお店を出そうかと思っているわけよ。」
出せばいいじゃん!!という素直なツッコミを心の中でしてしまった(笑)。
「ところがさぁ、今の所沢店のオーナーさんが、『所沢駅に2店舗も出されたら、うちの売上がガタ落ちする。だいたい所沢は俺のエリアだ。お前らウチのシマを荒らす気か!!訴えてやるっ!!』ってすげー剣幕なわけだよ。」
「シマって、ヤクザじゃないんすから…。」
今度はツッコミを口にしてしまった俺。
「うん、その通り。まったくヤクザみたいなこと言うなっていうのな。」
と畠山部長も同調。
「まぁ、シマってのは言葉のアヤだとしても、『訴えてやる』は気にならないでもないわけさ。で、実際のところ、契約上や法律上はどうなのかってのを教えて欲しくて来たんだけど。」。