大学時代、卒業後はパン屋に修行に入ろうかと考えていました。何か商売をしたいと思っていたんです。ですが、結局卒業後は会社員として勤めていました。それでもやはり『会社に縛られず自由に商売をする』という生き方がしたくて、起業したいと妻に相談しました。

実はその時まだ結婚2年目だったんです。最初はおどろきましたけど、まだ子供もいなかった時ですし、私自身で言うと特に反対する理由はありませんでしたね。最悪の場合、2人で働けば何とかなるだろうという思いでした。それよりも最初は私の父が反対していましたね。「会社員のもとに嫁いだのに、起業するとは」と。

確かにお義父さんには最初反対を受けましたね。納得いただけるよう話をするところが最初でした。なんとか納得いただいたのですが、まだ子供がいなかったのは大きかったと思います。妻も一度きりの人生だしと、背中を押してくれ、いろいろな人のお力を借りてオープンさせることができたと思います。

最初はメガネ屋、ラーメン屋等検討しましたが、自分がお客としてコンビニを利用していた時から、いろんな商品が置いてあるコンビニの便利さには魅力を感じてました。僕自身会社員時代は1日1回は利用していたコンビニだったので、この商売良いなぁと感じてました。

そうですね。当時関西では、まだ他社さんのほうが多かったと思います。私自身は自宅からも近い福井県の敦賀という土地で開業したかったんですけど、当時はまだ敦賀に出店がなく、出店戦略もきっちりしているセブン-イレブンでは、敦賀での開業は叶いませんでした。

その後、他社さんの説明会にも参加していろいろと検討しましたが、セブン-イレブンの説明会で話を聞いた、本部のバックアップ・商品力・企業イメージを考えると、自分で経営していけるかもという自身にもつながりました。「引っ越ししてでもセブン-イレブンのフランチャイズで起業」を決意しました。ちょうど長浜という土地で物件のご紹介もいただいたタイミングでもあったので、この地でオープンに至りました。

本部と加盟オーナーとで協力していくフランチャイズというモデルは、独立を考えだした時から知っていました。会社員時代、ノルマもきつくて追われ過ぎた生活だったので、自分にはそういう生き方が合わないとすごく感じていた頃でした。

私の場合、自分で一から立ち上げる自信はないけど、自分で独立したいという気持ちが強かったので、本部が持つノウハウを活用できるフランチャイズというシステムは魅力的でした。

お店の経営なので、売上の上がり下がりや商売に対する不安は経営者として抱えていますが、僕らが上手く経営できるように本部はいろんなキャンペーンも企画してくれて、サポートしてくれていると感じます。

私がオープンした時は加盟の条件として夫婦であること。ということでした。今でも思うことですが、やはりこの商売は夫婦経営だと思いますし、お互いを理解し、協力し合うことが何より重要になってくると思います。オーナー1人がやる気十分でも、パートナーの理解が得られていないと、いずれ継続が難しくなってくるのでは？と思いますね。

やっぱりオーナーさんは孤独な部分もあると思っています。売上だとか、従業員さんとの距離感だとか、一緒に仕事してくれているとは言え、友達ではないので。その点をしっかりと私が理解、そして協力することでオーナー1人が抱える負担が軽減できると思います。

私の場合お店をオープンした時からいきなり店長という肩書を背負ったので、自分が分からないことがあってはいけないというプレッシャーがあってとにかく大変でしたね。ですが私だけが尖っていても誰も気持ち良く働いてくれないので、自分も完ぺきではない点を見せるような努力を始めました。そうすると従業員さんとの距離が縮まりましたね。

コンビニの業務って、1人で何役もこなさなくてはいけないんですよ。レジ・接客、お金の管理、調理、掃除、発注。確かに大変なことも多いです。ですがこれらの業務を16歳の学生から70代の方まで幅広い層の従業員さんと一緒に取り組める事は、面白さと大きな達成感がありますね。

私自身がオーナー夫人に向いているかどうか分からないですけど、私の場合10のうち8大変でも、残りの2が楽しいと思えれば、大変なことがかき消されるくらいすごく達成感が得られる仕事と感じています。オーナーとの役割をしっかりと分けて従業員さんに任せる所を任せる。そうする事でお店も家庭もうまくやっていけると思ってここまでやってきました。

各店の従業員さんを信頼して、そして皆さんには長く私達と一緒に仕事してもらえることで、それが実現できていると思います。

そういった環境づくりをご夫婦で協力して取り組める方は向いているというか、上手くやっていけるんじゃないでしょうか。

そうなんです。1店舗目のオープン時から私と妻は極力シフトには入らず、裏方としてマネジメントに徹していこうと計画していました。私自身は接客が好きなので、ついついレジ接客もしたくなるのですが、私と妻がメインでシフトに入り最前線の業務をしていては、従業員さんの成長、そしてお店の成長に繋がらないという考えだったんです。

メインでシフトに入っていたのは最初の1年、2年くらいですかね。その当時も発注等、裏方の業務を主にしていました。お店を任せられる従業員さんを育てる事を優先させていたので、自分を抑えて、レジや現場の業務は従業員さんに任せていました。今でももちろんシフトに入る事はありますよ。お店にも来ます。リーダーや店長に任せている発注業務の管理やデータ管理、従業員さんフォローなど、経営の仕事をさせてもらっています。

最初からですね。1店舗目でレベルを上げて、複数お店を持つ計画はありました。お店を増やすにあたっては私たち夫婦だけでは出来ないので、社員を雇用してお店を任せられる人材に教育して、次の店舗を出す。という目標に向けて動いていました。

売上も右肩上がりで伸びていたオープン3年目を迎える頃、周りのスーパーが24時間営業を始めたり、競合他社も増えてきたので、売上の柱を増やす思いで、出店希望に手を挙げました。ちょうどご縁があって、2店舗目をオープンさせました。

私が今上手くいっているか、成功したか失敗したかどうかは、この商売をやめる時にならないと結果は出ないと思います。ですが今の段階では、当時脱サラしてセブン-イレブンで起業という選択は良かったと思いますし、本部にも感謝しています。フランチャイズなので本部との関係を守りながらになりますが、自分の思うように自由に商売できていますね。

そうですね。あのまま自分には合わないと思っていた会社員として年を重ねて晩年に夢だったパン屋で開業するか、まだ若いうちからフランチャイズという力を借りて独立して自由に商売して晩年を迎えるか。ここまでやってみて分かった事ですが、経営って本当に難しいです。その分楽しいですけどね。体力的にきつくなれば尚難しさが増すと思います。であればまだ体力的にも自信がある若い間から経営という経験ができたことが今に活きていると感じます。

そうですね。私たちも2店舗目をオープンさせる前に法人化もしていて、今は企業となっています。多くの雇用を生んで、もっともっと盛り上げていきたいですね。そのためにはこれからは一緒に働いてくれる人材確保がネックになってくると思います。

もちろん、広告費をかけて募集はし続けていますよ。例えば4店舗目の出店がいけるとなった時でも、人がいないから出せないというのは大きな機会損失にも繋がります。いつでも行けるようにシミュレーションはしていますね。

今働いてくれている従業員さんに楽しく、そしてより長く働いてもらえるよう、細かな声掛けやコミュニケーションを取っています。

今従事してくれているスタッフの給与を上げるためにも、4店舗目・5店舗目を出店したいです。

2店舗目を出す時は、他社に負けないようにというのと、自分が更に儲けたいという欲がありましたが、今は従業員満足のためにも出店していきたい思いです。

ご縁あってセブン-イレブンのフランチャイズシステムにお力を借りて、会社員時代とは違い、今は経営者として充実した中にも良い意味での悩みが増えましたが、これからは自社が抱える従業員のために努めていきたいですね。