【本部取材】ホテルの臭いを消す「日本消臭」、競争しない消臭フランチャイズの中身とは?

宮原 史知 |2026年08月05日 公開
フランチャイズWEBリポートのフランチャイズに加盟されたオーナーの写真

インバウンド需要の回復で客足を取り戻すホテル業界。その裏で、香水や食べ物が残す客室の臭いに頭を悩ませる現場が増えています。消臭剤や脱臭器では消えず、清掃でも取りきれない。チェックアウトからチェックインまでの短い時間で臭いを落とし、部屋を「販売できる状態」に戻す。そんなホテル特化の消臭作業をフランチャイズ化したのが「日本消臭」です。

第1期の加盟募集を始めたばかりの本部代表に、ビジネスモデルと目指す形を伺いました。

ホテルに特化した「消えない臭い」の専門業

――まず、どのようなサービスなのか教えてください。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

ホテルに特化した、ホテル限定の消臭作業です。近年ではインバウンドが増えて、お客さまが残していく香水の臭い、いろいろな食べ物の臭い、そういうもので部屋を販売できないホテルが多い。チェックアウトからチェックインまでの間に決着をつけないといけません。これは清掃ではできない作業で、消臭作業を専門的に請け負っていくというものです。

こういう少し特殊なことを16年やってまいりました。私自身は臭気判定士という国家資格を持っています。科学的に消臭をしていこう、そう考えて始めた仕事です。

――依頼はルーム単位ですか。それともホテル一棟という単位ですか。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

最初は一部屋からです。昨日泊まったお客さまのタバコ臭を消してほしい、香水臭を消してほしい、そういうスポットの不定期な依頼から始まります。ただ、一度そのホテルさんとの取り引きが始まると、あそこも見てくれ、ここも見てくれと、いろいろ出てくるんですよ。バスルームの排水の臭い、空調機から出てくる臭いなどです。

そうして一棟丸ごとの定期作業につながっていきます。たとえば150部屋あれば、それを月割りにして12ヶ月でまわし、1年間で全部屋をやる。すると季節的に忙しい月も暇な月もなく、仕事がフラットになっていきます。

16年続いた理由は「取れるまでやる」姿勢

――臭いは目に見えないし複雑です。再現性を持たせるのは難しくありませんか。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

もちろん技術は大事です。消臭剤を使いながら消臭する方法をいろいろ工夫しています。ただ、最後のポイントは姿勢なんですね。私どもが16年やれた理由は、取れるまでやるという姿勢、再施工無料です。

臭いは人が感じるものですから、また臭うからもう一回やってくれと言われれば、やります。その日は17時で終わっても、翌日また来てやる。そういう再施工を繰り返してきたことで信頼が増しました。頼んだら大丈夫だ、という信頼になるわけです。フランチャイズでも同じ姿勢を引き継いでもらいたい。ただ、赤字になってまでやれというわけではなく、想定日数を計算し、利益率を確保できる事業にしています。この姿勢があるからいけるだろうと、第1期の募集を始めました。

――これまでも知り合いの方などで小さく加盟募集はされていたんですか。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

協力会社という形では、北海道や九州、広島など、特定のエリアを限定にした会社さんがいました。ただ、そこは営業はあまりやらず、作業を受けるという形です。

今回は地域ごとに事業を広げるために、集客や営業が必要です。それをセットにしたフランチャイズという事業として、経営者さんが絡んで、一緒にBtoBで協力しながら事業を拡大していく形にしました。

――本部と加盟店というより、共同パートナーという感覚ですね。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

そこなんです。この日本地図を自社で塗りつぶそうと思うと、全部を直営店で作らないといけません。福岡支店、大阪支店と作れば、支店長を置いて管理しないといけない。私はそれが向いていないんです。それなら経営者の方と組んだ方がいい。リスクはお互いにあるかもしれませんが、直営店の展開とはまた違う、経営者同士のやり方を選びました。

「体を使い、感謝される仕事」を長く続けられる人へ

――フランチャイズ・ショー大阪への出展の手応えはどうでしたか。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

興味をお持ちいただく方には2つのパターンがあって、1つはすでにホテルに出入りをされている会社、もう1つは清掃業に近い方々です。個人ではなく、法人でハウスクリーニングをやっていて消臭もやりたいという方々。これから条件を詰めないといけませんが、想定していたよりは検討いただける方が多かったかなと思います。

――加盟後、ホテルは自分で開拓するのですか。それとも本部から紹介があるのですか。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

営業・集客活動は、加盟店が主体となって行います。もちろん、お客さまから問い合わせが来るような営業のノウハウを本部が作り上げてきているので、それを活かしながらサポートさせていただきます。とくに見積もり計算は、勝てる見積もりにすることが大事です。その料金なら受注できるというのを全部わかっているので、そこは強みだと思います。

そのほか、すでに地方で取り組んでいる先や、全国の系列ホテルのつながりがありますので、エリアによってはご紹介できる可能性もございます。

――こういう方に加盟してほしいという像はありますか。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

やはり長く続けてくださる方です。相手はホテルという建物で、お互いに問題点を解決して感謝される、そこがBtoBの面白さです。1年2年で辞めてしまうと、せっかく築いた関係がなくなってしまう。

イメージとしては50代くらいの方ですね。私自身もリストラされたところからのスタートなんですが、人生100年時代のなかで、折り返しとして次の第2の仕事に考えていただく。それが1つ。

もう1つは法人です。価格競争に巻き込まれて疲弊している企業さんも多いと思います。ホテルをターゲットにした、競争しない消臭作業を新規事業として長く続けていただけるパートナーさんと、お付き合いできればと思っています。

――AI時代において、「臭い・消臭」の仕事は長く残りそうな気がします。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

実はAIで匂いを見つけられるようになったんです。嗅覚をAI化するのが最先端で、機械で調べることもできます。ですから作業の部分も、多少はロボット化されるかもしれません。

しかし、「できるところまでやる」という姿勢と判断は、最後は人間が関わるだろうなと思っています。体を使う仕事で、パソコンとにらめっこするより健康的ですし、お客さまに喜んでもらえる。観光業はこれから日本の主軸になるはずで、そこを黒子のように下支えしていく仕事です。

加盟金33万円・機材は約10万円、「軽量化」で女性も

――開業費用は公開されているんですか。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

しています。加盟金は税別30万円、税込で33万円だけですね。あとは機材を自分で買ってもらう分が約10万円くらいでスタートできます。店舗はいりません。私自身ペーパードライバーなので車も持っていませんが、東京都内や大阪市内はタクシーで運んだ方が駐車料金より安いくらいです。

――清掃業だと道具が多く、軽バンが必須というイメージがあります。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

うちは極力、軽量化していきました。女性のスタッフもいるので、重くて大きいものは使えません。業務用でなくても、もっといいものがたくさんあるんです。掃除機なんかも小さいものを使っています。コンパクトにすると作業もしやすいですし、運びやすく、女性も使いやすい。一石三鳥です。機材選びは慎重にやってきました。

たとえばこれは塗装用のスプレーガンで、ここから水が出て噴霧します。1kgくらいで、通販でも買えるものです。少し前まではコンプレッサーを持って作業していましたが、今はこれくらい軽くなっている。静かで軽い、これでないと女性には難しいんです。

――自社開発したすごい機材があるのかと思いました。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

いえ、見つけてくるだけですよ。社内で改善提案を制度にしているんです。現場でやっている人が一番困っているので、提案したら500円、採用されたらプラス500円で1000円もらえる。それでみんな、とくに女性がいろいろ見つけてきます。布団乾燥機を使ったりもしていますね。大きい機材でないといけないというのは、時代と逆行していると思います。この10年でガラッと変わりました。

――加盟店の売上はどれくらい見込めそうですか。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

一つの目標はホテル10軒です。スポット契約も含めて10軒とやっていければ、月に30万円から100万円くらいの売上になります。この10軒の営業をどう作っていくかに、集中する時間が必要なんですね。そのやり方も含めて、半年、長くても1年以内にはそこへ持っていけるよう応援します。

ホテルは参入が厳しい割に、一度取れれば大きいんです。その信頼をどう勝ち得るか。うちが今まで積み上げてきた実績と、日本消臭という他のホテルでやってきた横のつながり。あそこなら大丈夫という安心感を活かしていただけると思います。

――ロイヤリティはどれくらいですか。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

売上に対するロイヤリティは無しです。その代わりに顧客登録管理費として1部屋あたり月額10円、それと技術指導料が月額3万円という制度にしています。

全国にホテルは1万件ありますが、共通のお客さまでバッティングする可能性があるので、登録制度を作りました。毎月1部屋10円を払っていただき、バッティングしないよう登録してもらう。エリア制はやりません。大阪の人が北海道に営業することも十分あり得ますし、ホテルのチェーンのつながりもあるので。第1期なので、不公平感が出ないようにするにはこれしかないかなと思っています。

――研修制度はいかがですか。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

契約後に25日です。連続が難しければ分割でやっていきます。ここで技術を学ぶので、結構重要です。なぜ25日必要かというと、現場に入ってもらうんですね。すると毎回アクシデントが起こる。バケツをひっくり返したとか、どうしても臭いが消えないとか。そのアクシデントを、自分が開業する前に経験してもらいたいんです。10日くらいだと、いいところだけ見えて表面上はできるようになる。でも何かあったときにわからなくなる。イレギュラーを学ぶ期間です。

営業は「聞き取り型」。西日本で一緒に開拓する仲間を

――開業してからのサポートはどうなりますか。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

まず、営業リストを一緒に作ることですね。築年数が関係していて、古いホテルほど臭いの問題があります。それをどのエリアでやるかによって、ターゲットを一緒に考える。次はやはり実際に回っていく訪問、ここが重要です。

――営業が一番難しそうです。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

売り込み型の営業をしてしまうと、その時点で「もう結構です」と言われたら終わりなんですよ。熱苦しい営業は良くない。それは自分たちが経験しました。最初の頃は私も熱苦しかったんですが、それでは受注できないとわかった。困っていませんか、と聞き取るだけでいいんです。

ただ、週に1回とか2週間に1回という頻度で行くこと。100件くらいなら回れます。営業方法自体はシンプルで、誰でもできますし、むしろ素人の方がいいかもしれない。変に喋れる人は喋り倒して、断られたらそこで終わってしまうので。

――これから目指す規模感を教えてください。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

この日本列島全国ですが、現状まだ西日本が手薄なんです。私は大阪出身ですが、東日本でやってきたので、どうしても西日本が弱い。関西を中心に、協力していただける加盟店さん、パートナーさんを早く作りたい。未開拓、未解決の問題を、地域の企業さまと一緒に解決していきたいです。競合はほとんどしない仕事ですから。

――最後に、加盟を検討している方へメッセージをお願いします。
フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

村井さん

長い人生のなかで、これまで会社勤めをしてきた人生を、自分で作り出す人生に変える。このメッセージは熱いなと思っています。100年生きるとして、次のあと10年20年は自分でやってみる。うちの作業は誠実でないとできませんし、相手はホテルですから信頼関係が命です。感謝される仕事です。

私も64歳なんです。45歳で会社を辞めましたが、人生を振り返ると楽しかったなと。どこかでアクセルを踏んで、もう一回リセットする勇気が必要なんじゃないかと思います。50代でサラリーマンが嫌だな、ストレスを抱えているなという方は、一日も早く、兼業でもいいので自分でやってみる決断を。真面目な方なら、一緒にやりましょうと。全力で応援させていただきます。

取材を終えて

ホテルの客室に残る臭いという、誰もが困りながら手をつけにくい問題を、16年かけて「取れるまでやる」姿勢で仕事にしてきた本部代表。その語り口には、成功譚の華やかさよりも、リストラや独立の失敗を経てたどり着いた実直さがにじんでいました。加盟金33万円、機材は約10万円、店舗も車も不要。派手さはありませんが、身の丈で始められる設計です。

支店長を置くのではなく経営者同士で組む、競争しない市場で一緒に開拓する。人生100年時代の第2の仕事を探す方にとって、一度じっくり話を聞いてみたい選択肢ではないでしょうか。

フランチャイズWEBリポートの宮原 史知

フランチャイズメディア 編集者兼ライター
宮原 史知

大阪府堺市出身の編集者・ライター。フランチャイズWEBリポートの運営メンバーとしてディレクション業務に携わり、現在は合同会社デジタル屋さん代表を務めている。これまで100以上のフランチャイズ関連コンテンツの制作を担当。Web制作やSEO分析など幅広い技術的バックグラウンドを活かし、「実装まで見える編集者」として記事制作に取り組む。既知のテーマに新しい視点を持ち込み、読み手が「ワクワクする」コンテンツ作りを信条としている。