フランチャイズの歴史は?誕生から現在までをわかりやすく解説します
フランチャイズ市場は、2018年度には約26兆円となっており、2009年度の約21兆円から26%も成長している注目の業界です。この記事では、広く活用されている「フランチャイズシステム」の起源と、日本におけるフランチャイズの現状や可能性についてまとめました。また、フランチャイズの成り立ち、歴史なども併せて紹介します。
そもそもフランチャイズって何?
(一社)日本フランチャイズチェーン協会によると、フランチャイズの定義は以下のようになっています。 フランチャイズとは、フランチャイザー(権利の提供元)とフランチャイジー(加盟店)が契約を結び、共同事業を行なう両者の継続的関係のことです。
フランチャイザーは、商標やサービスマーク、トレードネーム、営業の象徴となる標識、経営ノウハウをフランチャイジーに提供し、同一のイメージのもとに商品の販売その他の事業を行う権利を与えます。フランチャイジーは、見返りとして定められた対価を支払い、事業に必要な資金を投下してフランチャイザーの指導や援助を受けながら事業を営む仕組みです。
フランチャイズパッケージという特権
フランチャイズパッケージとは、フランチャイズビジネスを運営する本部側からフランチャイズ契約を結んだ加盟店側に提供される権利をまとめたものです。一般的に、フランチャイズパッケージというと以下に挙げる3つの権利が含まれています。
1.フランチャイズ本部の商標、チェーン名称、サービスマークを使用する権利
2.フランチャイズ本部が開発した商品・サービス・情報など、ノウハウを利用できる権利
3.加盟店が本部から継続的に指導や援助を受ける権利
日本におけるフランチャイズ
そのFC(フランチャイズ)もわが国、日本では『これがFC(フランチャイズ)である』と明確に定義することができる法律は存在しません。そのために『当社はFC(フランチャイズ)本部である』と表明することの是非が法律的に問われることはありません。
この部分はフランチャイズ加盟して独立開業や起業を考えている方をはじめ、法人の新規事業としてFC(フランチャイズ)加盟を検討されている方は念頭に入れておくことをおすすめします。
つまり、『当社はFC(フランチャイズ)本部である』と名乗っていても、そこが何らかの公的機関や法律によって認められた存在ではないということです。FC(フランチャイズ)を活用して独立開業や起業をお考えの方や、法人の新規事業を比較検討されている方の大半は承知されていると思いますが、誤解されている方も多いのではないでしょうか。
代理店とは何が違うの?
フランチャイズと似たような仕組みとして知られる代理店は、本部と加盟店とのあいだで契約を交わし、商標やサービスマークを利用できる点は同じです。しかし、代理店の場合は商品の販売に関して契約を交わすだけで、本部側が代理店に対して継続的な指導をするわけではありません。また、会費やロイヤリティも必要としないのが一般的です。
フランチャイズの誕生~国内外での発展
フランチャイズの発祥は1850年と170年以上の歴史があります。ここでは、フランチャイズ発展の歴史を追うことで、フランチャイズの知識を深めましょう。
フランチャイズの起源
FC(フランチャイズ)システムは、1850年アメリカでミシンメーカーであるアイザック・メリット・シンガー(I.M.Singer社)が始めたビジネスモデルのひとつです。
その後、様々な業種でFC(フランチャイズ)展開がおこなわれ、皆さんがご存じのマクドナルドもFC(フランチャイズ)の手法を取り入れ世界中に出店していった企業であり、日本企業では吉野家やミスタードーナツなどがあります。またコンビニはFC(フランチャイズ)システムの手法をうまく取り入れた業態の一つです。
国内初のフランチャイズ展開のひとつはダスキン
1963(昭和38)年に株式会社サニクリーンを設立登記したのが現在の株式会社ダスキンの始まりです。業務用ダストコントロール商品を発売とともに加盟店を募集し、初回から加盟店14店29名が参加しています。2年後の1965(昭和40)年には、今でも多くの家庭で使われている「ホームダスキン」が大ヒットし、翌年にはダスキンフランチャイズチェーンを全国展開しました。1970(昭和45)年にはミスタードーナツ社との事業提携により、日本国内でのフランチャイズ展開を行なっています。
このようにダスキンが成長してきた背景にあるのは「祈りの経営」と呼ばれるダスキン独自の経営理念。お客様や取引先などの幸せを願う経営理念をベースにして営業を続けているからこそ、多くの人に支持されているのでしょう。
海外と日本のフランチャイズの違い〜日本の初期は代理店?〜
アメリカのフランチャイズは、メーカーが工場で大量生産した製品を流通させるために代理店を募集し、独占的販売権を与えるというものでした。自社の商標品を流通させるルートの開拓が目的であるため、商標ライセンス型フランチャイズシステムと呼ばれていて、このスタイルはアメリカ国内で巨大産業として地位を確立しています。
一方、日本のフランチャイズは、ダスキンと不二家が先駆者といわれていて、どちらもアメリカのフランチャイズシステムを取り入れて事業を開始しました。当初は、ダスキンはフランチャイズシステムという言葉を使っていませんでしたし、不二家はメーカーとして販売チャネルを増やすことを目的にしていました。現代の「展開場所の事情に合わせる」「経営ノウハウの伝授」といったフランチャイズの意味合いはだいぶ薄かったと言えるでしょう。
フランチャイズのイノベーション、マクドナルド
日本のフランチャイズを語るうえで、マクドナルドは外せません。当時の経営者だった藤田田氏は、1971年にアメリカのマクドナルド本社との交渉に強硬な姿勢で臨み、有利な条件で日本マクドナルドを設立します。1972年には、東京銀座三越にマクドナルド日本一号店を開業させました。
銀座にお店を構えた理由は、外国製品を全国に普及させるには文化の中心となる東京、なかでも銀座が当時の中心地だったからです。1977年には、設立わずか6年目で100店舗を突破するというスピード成長を実現しました。その背景にあったのが、品質・サービス・清潔さを提供するためのマニュアルの整備です。今でこそマニュアルは当たり前になりましたが、当時の日本国内にある飲食店では馴染みが薄かったかもしれません。
未経験者でも短期間で業務スキルを身につけられる従業員マニュアルは、日本マクドナルドが急成長する原動力になったのは間違いないでしょう。完全テイクアウト、スピード調理、斬新な看板など、どれをとっても従来の外食業にはない運営スタイルで成功した日本マクドナルドは、フランチャイズにイノベーションをもたらした存在だと言えます。
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周りを見回すと、身近にあるフランチャイズ
ここでは、フランチャイズの発展と近年の業界動向を紹介します。
フランチャイズの発展
フランチャイズの発祥はダスキンと不二家とされていて、それぞれ1963年にFC1号店を出店しています。1970年には、ミスタードーナツ、ウィンビー、ケンタッキーフライドチキンといった外資系のフランチャイズシステムが日本国内に続々と進出しました。ちなみに、フランチャイズの発展と店舗数の増加に合わせて、ボランタリーチェーン協会や日本チェーンストア協会の発足、業界専門誌の「月間フランチャイズシステム」の発行など、業界全体の動きが活発化しています。
統計から見るフランチャイズ
一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会が公表しているフランチャイズチェーン統計調査の2019年度版によると、フランチャイズチェーンの総数は1,324チェーンで、店舗数は262,869店、売上高は約26兆6,000億円となっています。2018年度に比べてチェーン数は4チェーン減、店舗数は1,687店舗減となったものの、売上高は前年比101.7%となりました。
業種別に見ると、小売業は328チェーン、店舗数110,220店、売上高約19兆円となっており、売上高で見ると前年比102.5%でもっとも多くなっています。次いで、外食業の567チェーン、店舗数56,987店、売上高約4兆3,000億円、サービス業の429チェーン、店舗数95,662店、売上高約3兆3,000億円と続きました。サービス業は売上が減少しましたが、全体的な動きを見ると、店舗数は減少傾向にある一方で売上高は伸びています。
フランチャイズの現状と可能性
そのような状況の中、現在日本国内で一般的にFC(フランチャイズ)本部と呼ばれている企業は1200社程度と考えられています(定義によって変わってきます)。 しかし、実際に活発に加盟店募集やオーナー・経営者の募集活動をし、チェーン展開を行っている企業は500社を下回るのではないかと当サイトでは考えています。
日本全国の企業数から比べると実に些細な数字だと言えますが、駅前や繁華街などにひとたび足を運べばかなりの数のFC(フランチャイズ)チェーンがお店を構えていますし、もともとフランチャイズに向いているのかも知れませんが、ラーメンや居酒屋など飲食のFC(フランチャイズ)チェーンの数の多さには目を見張るものがあります。コンビニのインフラ化を見てもわかるようにその影響力には計りしれないものがあるのではないでしょうか。
既にある事業との相乗効果を期待してフランチャイズビジネスに参入するケースも増えています。たとえば、工務店が不動産仲介のフランチャイズに加盟したり、飲食店がデリバリーやテイクアウトのフランチャイズに加盟したりする企業や個人が増えてきました。フランチャイズ加盟による収益増とともに、既存事業の成長も期待できるため、今後は新たなビジネスモデルとして発展するかもしれません。
フランチャイズの歴史についてのよくある質問
フランチャイズは、日本や米国以外にもありますか?
あります。World Franchise Councilという団体があり、世界各地のフランチャイズ協会をワールドワイドで束ねています。日本はもちろんイギリス・アメリカ・カナダなどの先進国が加入していますが、グアテマラやベラルーシ、レバノンなど、フランチャイズチェーンがあるとはイメージしにくい国も加入しています。
フランチャイズの起源はどこにありますか?
フランチャイズは1850年にアメリカで始まったというのが通説ですが、ネット上に興味深い情報があるので紹介します。 「個人個人をマネジメントとして御布施として報酬を得て経営しているのが教会」という視点から「イエス・キリストはマネジメント系フランチャイズ企業の創業者ではないか?」との質問がありました。対してアンサーは「イエス・キリストのビジネスモデルは破綻して、彼自身が逮捕処刑されています。」とあります。
たしかに、自身の製品なりサービスを広める拠点を用意するという観点では、人々に神の教えを説くために教会を建ててお布施を得る行為はフランチャイズのハシリと言えるかもしれません。見方をちょっとだけ変えると新たな気づきがあるのは面白いですね。ちなみに、イエス・キリストのビジネスモデルを確立したのは、その後の初代教会を立ち上げたペトロです。
ビジネスとしてのフランチャイズの魅力はなんですか?
何と言っても、フランチャイズ本部のネームバリューを活かした集客力の高さが大きなメリットです。とくに、大手のチェーンなら全国的な知名度があるので、個人で開業する際に負担となる集客の問題を解消できます。また、フランチャイズ本部では売れる商品やサービス、確かな経営ノウハウを用意しているので、業界未経験者でもスタートを切れます。さらに、本部の仕入れルートを活用できるので、個人経営では購入できない価格で仕入れが可能です。
店名を自由につけられるフランチャイズはありますか?
あります。「加盟店 フリーネーム」で検索すると、対応するフランチャイズチェーンを探せます。フランチャイズに加盟したいものの、あまりフランチャイズの色を出したくないオーナーにとってはピッタリの方法です。しかも、店舗の雰囲気やメニュー構成も自由に決められるフランチャイズもあるので探してみましょう。フリーネームとはいえ、商品開発のサポートを受けられますし、ノウハウももらえるので、自身で立ち上げるよりはメリットが大きいでしょう。
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