ハウスクリーニングで独立!開業方法や資金・種類などを総まとめ!
高齢化や女性の社会進出が進むにつれ、「掃除」をハウスクリーニング業者に任せる家庭が増えています。そうしたニーズの高まりからハウスクリーニングでの独立を目指している人もいるのではないでしょうか。しかし、技術はどう磨いたらいいの?集客は?など開業には不安が付きまといます。
今回は、ハウスクリーニングビジネスの開業の不安を払拭するために、開業の流れから成功の鍵まで解説していきます。
ハウスクリーニング業は誰でも始められる!
成長市場のハウスクリーニング業
女性の社会進出や核家族化などの社会の変化によって、掃除をプロに依頼するニーズが増え、ハウスクリーニング市場は成長を続けてきました。さらに、コロナ禍による衛生面での意識向上によって、その勢いはさらに増しています。
直近の正確な市場調査はありませんが、日本経済新聞社の調査によればハウスクリーニングを含むハウジングサービスの市場規模は、2021年度は807億円規模。2016年の2倍超となっています。主要10社の2022年度の売上高は前年度比2.0%増となり、成長を続けていることが分かります。
ハウスクリーニング業は脱サラにもぴったり
ハウスクリーニングビジネスは、行政による許認可や国家資格など、特別なスキルがなくても始められます。さらに、掃除道具があれば仕事ができるので、高価な設備や器具なども揃える必要がありません。
実際に作業をする場所はお客様の自宅がほとんどなので、専用の事務所や店舗を構えることなく、自宅を事務所として開業することもできます。初期投資を抑え、必要経費も少ないため低資金でも開業できるのです。
また、一般的な家庭の掃除の場合、一人で訪問して作業をおこなうので、従業員を雇わずオーナー一人だけでも開業できます。手に職ビジネスなので、年齢もあまり関係ないなど、誰でも始められる手軽さが大きな魅力です。
なお、掃除をする箇所は、素人ではきれいにするのが難しい場所が多く、頑固な油汚れが付着したレンジフード、カビが発生しやすい水回りなどのほか、エアコンの掃除やフローリングのワックスがけなども含まれます。
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ハウスクリーニング開業に必要な資金は?
個人で開業する場合、自宅を事務所とするなら約190万円以上、専用の店舗を構えるなら、初期費用や賃料などがかかるので約500万円以上の開業資金を見込んでおきましょう。
資金の内訳としては、まずテナントや貸事務所を契約するために200万円以上かかります。仕事をしやすいように設備を整えるなら設備工事費として150万円以上、作業用の車両やバイクを準備するなら車両費として100万円以上必要です。洗剤などの消耗品等に70万円以上、ターゲット層への広告宣伝費に20万円以上はかかります。事業の規模を大きくしたい場合、アルバイト募集や人件費などで45万円以上は必要になるで注意しましょう。
車両費 | 100万円 |
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消耗品費 | 70万円 |
広告宣伝費 | 20万円 |
合計 | 190万円~ |
※金額は目安です。立地条件などによって変わります。
ハウスクリーニング業の売上はどれくらい?
ハウスクリーニングを開業するなら、開業資金以上に気になるのは売上と利益です。仮にフランチャイズに加盟した場合の目安としては、1ヶ月あたり約110万円、1年間では約1,332万円の売上を期待できます。(※おそうじ本舗のFC加盟店平均月商を参照)
肝心なのは「どれくらい儲かるのか?」ですが、ハウスクリーニング業は小売業や飲食業と違って仕入れるものが少なく比較的コストが安いといわれているので、高い利益率を得ることも可能です。
たとえば、フランチャイズに加盟した場合の1ヶ月の売上が100万円だった場合、諸経費を引いた営業利益は約62万円になります。売上高に対する営業利益率は約62%という驚くべき数字です。ただし、営業利益には経営者の給料は含まれていないので、最終的な利益は紹介した数字よりも少なくなります。
ハウスクリーニング経営者の収入は約500万円といわれているので、1ヶ月あたりの税込収入は約42万円が目安です。ただし、この金額は関東地方の場合です。地域によって需要の格差が多分にあることが想定されるので、いかに売り上げを大きくして諸経費などのコストを小さくするかを考えて行動することが、利益を高めるために重要と言えます。
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ハウスクリーニングの3種の業態
ハウスクリーニングには、主にビルメンテナンス、賃貸アパートやマンションの現状復帰、個人宅のクリーニングと3つの種類があります。一般家庭がターゲットと思う人もいるかもしれませんが、実際はビルなどの清掃を行なうこともあるので、市場の大きな仕事です。
この中で高い売上を期待できるのは、賃貸物件の原状復帰です。入居者の入れ替わりの際に行なわれる掃除やメンテンナンスが主な業務内容で、次の入居者に気持ちよく住んでもらうためにも重要な仕事と言えます。
退去の際に掃除をしてくれる入居者もいますが、プロが行なう掃除のようにはいきません。特に、水回りの汚れやフローリングのワックスがけなどは、ハウスクリーニング業者が行なうからこそピカピカの状態になるのです。
賃貸物件の原状回復を依頼するのは不動産管理会社がほとんどです。なかには、不動産管理会社から依頼されたリフォーム業者から依頼されることもあります。この場合は、下請けという立場になるので売上も利益も小さくなるでしょう。
ただし、開業後の営業努力により、不動産管理会社から直接もらえる案件を増やすこともできます。多数の賃貸物件を抱える不動産管理会社から元請けとして受注できれば、大きな利益につながる可能性が高いです。
2~3月などの引っ越しシーズンは大忙しになり、大きな売上を期待できるので、必要に応じてスタッフを確保し、チャンスを逃さないように準備を整えておきましょう。
ハウスクリーニング開業を成功させるポイント
ハウスクリーニングの開業を成功させるには、いくつかポイントがあります。効率よく利益を上げるためにも、開業の段階からしっかりポイントを押さえておきましょう。
集客について
個人で開業する場合は、集客に苦労することもあります。集客には宣伝が必要不可欠で、費用対効果を意識しながら宣伝手法とコストを検討しましょう。
具体的には、チラシやポスター、看板を製作する、販促キャンペーンを行うなどの方法が挙げられます。Webサイトで集客する場合は、サイトを作成して24時間依頼を受け付けられる専用フォームを設置すると良いでしょう。
また、Webサイトや顧客への説明では、具体的な作業例や料金を明示すると信頼性が増して申込数の上昇が期待できます。
サービス内容について
開業後、成功しているハウスクリーニング業者は、サービス内容も充実しています。というのも、掃除のプロに掃除を依頼してくれる顧客を満足させるためには、金額に見合ったプロの清掃技術が必要です。
高い効果を持つ洗剤や道具をそろえるのはもちろん、一般人が知らないような掃除のスキルを学んで身につけることが求められます。
ですので、スタッフを雇う場合には、彼らのスキルを磨くことも忘れてはいけません。スタッフのスキルが低いと、きれいに掃除できないだけでなく、顧客の家の家具や設備などを傷つけてクレームになるおそれもあります。スキルはもちろん、挨拶や言葉遣いといったお客様への接し方をしっかり教育することも大切です。
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ハウスクリーニング開業での失敗例とそれを防ぐための注意点
掃除中のトラブルを避けるために注意すべき点
洗剤や薬品類は、正しく使えば汚れをきれいに落としてくれる頼れる存在です。しかし、漂白剤など強力な薬品の使い方を誤ると、顧客の家を傷つけたり、危険なガスなどが発生したりする恐れもあります。場合によっては大きなトラブルになることもあるので、実際に作業するスタッフの研修はしっかり行いましょう。定期的に研修をしたり、道具の管理を適切に行ったりして、十分に注意しなければなりません。
トラブル防止の観点から「ハウスクリーニング技能検定」の資格取得がおすすめです。厚生労働省が指定する試験機関の公益社団法人全国ハウスクリーニング協会が行う検定で、掃除のプロとしてのスキルを国から保証してもらえます。
検定試験は実技試験と学科試験の2つがあり、合格基準はそれぞれ60%以上の得点が必要です。実技試験の内容は、レンジフード洗浄、ビニルクロスや磁器タイルの汚れ落とし、フローリングのキズ補修作業など多岐にわたります。それぞれの作業を制限時間内に終わらせる必要があり、超えた場合は減点の対象です。
学科試験は、マークシート方式で50問の出題で、ハウスクリーニング業に必要な知識を試されます。穴埋め問題も多いので、知識を身につけている人にとっては難関な試験ではないでしょう。
なお、受験するためには3年以上の実務経験が必要なので、開業後に経営を続けながら資格取得を目指しつつ、有資格者のスタッフを募集・採用するのもひとつの方法です。
集客の際の注意点
ハウスクリーニングを経営するためには、何よりも集客が重要になります。依頼が集まらないと、いくら技術を磨いても、お金をかけて準備をしても利益を上げられません。集客には費用がかかるので、ターゲット層に適した集客方法を見極めることが大切です。
たとえば、ポスティング用のチラシ作成や、インターネットの検索上位に表示されるようなWebサイト作成を外注すると、高い費用がかかることも珍しくありません。自社の強みやメリット、料金などを明確に伝えられるようにしないと、期待した集客効果が得られなかったり、誇大広告によるクレームを招いたりするおそれもあるので注意しましょう。
ハウスクリーニング開業までの流れと必要な準備
初期投資が少なく済む分、比較的気軽に始められるハウスクリーニングですが、それでもある程度の準備は必要です。次は、開業の流れや必要な手続き、必要な道具などを紹介していきます。
開業の流れや手続き
1.ターゲット層の設定
ハウスクリーニングの開業を決意したら、まずはターゲット層を明確にしましょう。
掃除とひと口に言っても、道具の種類や掃除方法は実に多彩です。一戸建てなどの個人宅か、賃貸物件やビルや施設といった法人を対象とするのかにより、集客方法や使用する掃除道具、必要な人手や洗剤の種類なども変わってきます。このため、まずはターゲットを決め、それにふさわしい準備を整えることが大切です。
2.集客方法の選定
ターゲットを決めたら、次は集客方法を考えましょう。個人宅を相手にする場合、最初のうちはリピーターを増やすために広告活動を続ける必要があります。賃貸物件であれば入退去時の清掃などが入るため、一定の依頼が期待できます。
3.単価設定
集客方法の次は、単価を決めましょう。建物の広さ、掃除する場所などによって作業時間に影響が出るので、できるだけ細かく決めておくと安心です。
4.開業届の申請
ハウスクリーニングに特別な資格はないため、万一の事態に備えて賠償責任保険へ加入したら開業手続きに入りましょう。
ハウスクリーニングは、業務中に室内を傷つけてしまったり、依頼者が所有する物品を破損してしまったりするリスクがあります。万が一物品を壊してしまった場合は弁償することになりますが、弁償金が高額になれば経営を続けていくのが難しくなるでしょう。
賠償責任保険に加入しておくと、お客様に損害を与えた場合に保険の内容に応じて弁償できます。「慎重派だから大丈夫!」と思わずに、万が一のリスクに備えるのも経営者の大切な心構えです。
開業に特別な許認可は必要ないですが、最寄りの税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。国税庁のホームページからダウンロードできるので、忘れずに準備しておきましょう。
開業する前に揃えておきたいもの
開業にあたり、洗剤や薬品類、専用の掃除道具や道具入れなどの備品・消耗品が必要になります。依頼は1日に何件も入ることがあるので、スムーズに移動できるように車両やバイクを用意すると良いでしょう。
道具は、ブラシや窓を拭きあげるスクイジー、タオルやモップ、モップシートなどが最低限必要です。ほかにも、スポンジ類や各種工具などもあったほうが安心です。さらに、漂白剤やペーパー類、金属磨き剤や清掃作業着、手袋などの消耗品も準備しましょう。
また、代金の授受をスムーズにするための、入金用口座もあると便利です。なかでも手数料が安くインターネット経由で利用できるネットバンキングがおすすめです。
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