フランチャイズ加盟の成功事例! メガフランチャイジーが語るFC経営術
フランチャイズに加盟して事業を展開するのであれば、目標にするべきと言われるメガフランチャイジー。
今回は、群馬県館林市に本社を置き、グループ全体でFC78店を運営するなど、自他ともに認めるメガフランチャイジー企業として成長を続ける株式会社アメリカヤコーポレーションの副社長であり、グループ企業である株式会社アネックスの代表を務める福田明さんにフランチャイズ成功の歩みを伺いました。
そもそもメガフランチャイジーとは
メガフランチャイジーとは、複数のフランチャイズに加盟したり、増店を重ねることで事業拡大を図っている企業のこと。その定義は「FC店舗を30店舗以上展開、或いはフランチャイズでの売上額20億円以上の企業」と言われることもありますが、この限りではありません。
メガフランチャイジー企業の原点は個人商店
メガフランチャイジー企業として成長を続けるアメリカヤコーポレーション副社長兼、グループ企業である株式会社アネックスの代表を務める福田明さんにフランチャイズ成功の歩みを伺いました。
アネックスの母体とも言えるアメリカヤコーポレーションは1997年に設立ですが、もともとは1979年に取締役会長の福田高明が創設した「アメリカヤ靴店」という靴屋さんだったんです。
地域に密着した経営で、長くやらせて頂いてはいたのですが、時代が進むとともに靴一本では経営が厳しくなり、そこでフランチャイズに加盟するようになったのです。
寡占化が進んでおらず、フランチャイズ展開に積極的で、私たちのような畑違いの業態からでも参入しやすいところ、という条件で探した時に、最も条件に合致していると思われたのが、飲食業だったんです。
複数のフランチャイズブランドに加盟するのは何故?
複数のフランチャイズブランドに加盟し、経営する最大のメリットはリスクヘッジですね。
例えばどこか一つのブランドで、何か不祥事が起きてしまったとします。そうなると、自分たちが経営している店舗の問題じゃなくても、影響が飛び火して、売上がガクンと落ちてしまうこともあるんです。
そうした際に、単一ブランドではなく、複数のブランド経営とリスクを分散しておけば、被害を最小限に抑えることができるんですよ。
大きな事件でいえば、BSE問題がありますね。
あれは日本全国を巻き込んで、焼肉を食べるのは危ないという空気が広がってしまいました。当時、売上の6割が牛角だったんですが、もし牛角だけを運営していたら、どうなっていたか想像するのも怖いですね。
フランチャイズブランドを扱うというのは、お客さまからの認知度を高めて売上を伸ばしやすくなる一方で、他の店舗や社会情勢などの影響までも背負わなければならない諸刃の剣と言えます。だからこそ、色々なジャンルに手を広げておくことは、リスクヘッジの観点からもとても意味がある施策なんですよ。
こうしたアメリカヤコーポレーションの教訓から、グループ会社のアネックスも当初から複数ブランドに加盟してリスクヘッジを図っています。
失敗から学んだ、複数ブランドの店舗運営の秘訣
実はそんなこともないんですよ。飲食店のオペレーションというのは、扱う食材こそ違いますが、基本的な流れはほとんど変わりません。
またFC本部がしっかりと研修などを行ってくれますから、極端な話オペレーションは覚えられるんです。なので、加盟ブランド数に比例してオペレーションや管理が大変になっていくかというと必ずしもそうではないです。むしろ、Aという店舗で培ったノウハウが、Bという店舗で活きる、なんていう相乗効果を生むケースだってあるんですよ。
これは前身であるアメリカヤ靴店の時と同じですが、地域密着の姿勢を崩さないということですね。エリアが増えれば増えるほど、目が行き届かない人が増え、管理が大変になります。私たちはエリアを絞って店舗を出していくことで、すべての店舗をヒトを見ていける環境を維持できるようにしています。
毎週一回は、各店舗のマネージャーを本社に集めてミーティングを行うようにしています。
これは10数年前にセブンイレブンさんが、当時全国の1000人以上いたSVを本社に集めて全体の統率を図っている、というのを何かの記事で知って『うちも話す機会を増やそう』と取り入れました。やはり直接会うことでしか話せないことや気付けないこと、というのはたくさんありますからね。
フランチャイズとは言え、各店舗に任せすぎるのではなく、フェイストゥフェイスのコミュニケーションを大切にするようにしています。
そう思います。例えば年末年始など、店舗が繁忙期になるタイミングでは、定例のMTGを行えない日も出てきて、会えない日が続くこともあるのですが、そうなると必ずちょっとした意識のズレを感じるんですよ。たった1、2週間でそう感じるのですから、半年や一年会っていないと、相当な差が出来てしまっていると思います。
どうしてもというときは、経営陣が差し入れ持って現場に赴いたりもします。ちょっとした変化を知ってると知らないとで全然違うので。
そうですね。集まることが苦痛になってしまったり、面倒な『作業』になってしまうと、MTGを行う意味も無くなってしまいますから。じっさい、沖縄など遠隔地での出店もお声掛けいただいたりもしていますが、そこは引き続き気を付けていきたいところです。
誓約書を書いてもらうとか、多くの店舗で行っているであろう対策は、私たちも一通りやっています。ただ、大切なのはバイトテロをしようと思わない空気を作ることが大切だと思います。
バイトテロをしてしまう人は、どこかでその仕事に対するやりがいが希薄だったり、不満を抱えているケースが多いと思うんですよ。やりがいを持って働いている職場に対して、迷惑を掛けてやろうという気にはならないはずですから。
そうですね。じつは我々も過去の失敗から学んでいます。
人が増えてくると、会社としての考えや方向性をしっかりとマネージャーに共有し、それを現場に伝えてもらうことが大切になってくるんです。このフェイストゥフェイスのコミュニケーションを大切にすることは、何も経営陣だけに大切なことではなく、各店舗で働くスタッフ一人ひとりに対しても有効な施策だと考えています。
私自身店長時代に物言いが強かったことが原因で、一方通行になってスタッフとの距離が離れてしまったことがありました。それを教訓に、頭ごなしに命令するのではなく、なぜそれをやるのか、意味を理解してもらったり疑問に思ったことを解決してもらえるように時間を使うようにしていますね。
メガフランチャイジーが加盟ブランドを選ぶ基準
一つはブランドと店舗の将来性ですね。
1店舗や2店舗のブランドが増えるのは大変なので、基本的に1ブランドで10店舗以上に広げていけるかどうかで最初の判断をするようにしています。数店舗しか展開ができないとなると、どうしても売上を伸ばしていくことが難しくなりますし、リスクも増えてしまいます。
本部の姿勢や状況、みたいなものは良く見るようにしています。一言で言えば『良い本部かどうか』ですね。我々としては長いお付き合いをしていきたいと思っていますから、本部のスタンスが私たちの考えとマッチしているところを選びたいと考えています。
あとは単純に、私たち自身が扱う商品を好きになれるかどうか、というのも大切な要素ですね。
まずは本部の社長が、自分の会社について詳しく知っているか、熱意を持って事業に取り組めているか、ということは確認しますね。例えば会社の沿革一つをとっても、しっかり語ることができる人と語れない人がいるんですよ。当然ながら、前者の方が会社への愛情を強く持っているはずですから、信頼もできます。
それに加えて、そうした社長の考えや想いがしっかりと現場に行き届いているかも確認しますね。事業というのは社長一人で回せるものではなく、スタッフ一人ひとりの力が合わさって初めて成立するものだと思いますから、社長の考えを現場がしっかりと理解し、納得感を持って働けているかも重要な指標になります。
オリジナル事業で学んだ本部の気持ち
これはどのフランチャイジーも一度は通る道だと思います。
じつは過去に、フランチャイズとしてやっていた事業の本部が撤退することになり、そのブランドの屋号を変えて引き継いだことがあるんです。ただこれが想像以上に大変で、完全オリジナルでゼロから作り上げるのは相当厳しいと痛感させられました。
ただこの経験があったからこそ、本部の気持ちや大変さが以前よりわかるようになって、事業全体としてはプラスに働いているのではないかと思います。
実際やってみて、商品開発・物流・販促物・メニュー開発などをやっている本部の大変さが身にしみました。用意されたパーツを組み合わせることはできても、0からは作れない。我々飲食をさせていただいてますが、飲食のことをいかに知らなかったかもわかりました。高い授業料でしたが(笑)
今は考えてないですね。
幸いなことに、現在進行形でたくさんのブランドから協業の相談を頂けていますし、広げていきたいエリアもまだまだ数多くありますから、今はしっかりとフランチャイズ事業の方に力を入れて、さらに事業を成長させていきたいと考えています。
地域密着型のメガフランチャイジーとして目指すもの
2025年までにグループ全体で160店舗、売上100億円を達成し、地域密着型のメガフランチャイジーとして日本一になることが目標です。そのための要素は集まってきていますから、あとはそれをどう上手く活用していくかがポイントになると思います。
『評価が違うことが平等』
アメリカヤコーポレーション、アネックスでは1~17までの等級に分けて評価。店長は10~13等級からなり、等級によって裁量や給与に差をつけて可視化できるようにしています。休みをしっかりとって働きたい人や、しっかり働いて稼ぎたいという人など、様々な価値観を持つスタッフがいます。その全ての働き方を尊重し、納得できる評価を得られるように工夫しているとのこと。
はい。社員一人ひとりが幸せになれる仕組みができれば、自然と会社全体も良くなっていくのは間違いありません。
今後も社内制度や評価制度も見直しながら、色々な価値観を持った人たちが、自分らしく働ける環境を作っていきたいですね。その核となるのがコミュニケーションだと考えています。