個人事業主の経費上限はいくら?経費計上できるものとできないもの

フランチャイズWEBリポート編集部 |2019年11月18日 公開 (2019年11月29日 最終更新)
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個人事業主にとって、経費は最大の節税ポイントです。事業に関わるものはすべて必要経費として計上でき、支払う税金を抑えられます。個人事業主としては、可能な限り必要経費を増やしたいものですが、同時にどこまでが経費になるのか頭を悩ませることもあるでしょう。

この記事では、個人事業主の経費の上限や経費計上できるものとできないものについて解説します。

線引きが難しい!経費として認められる判断基準とは

個人事業主の場合、経費として認められるかどうかの判断基準は、「事業のために必要な出費」であるかどうかです。つまり、事業の売り上げに貢献した出費であれば、経費として計上できます。

たとえば、事業の立ち上げにあたり、名刺を作ったり、自社のウェブサイトを立ち上げたりしたことで売り上げにつながったのであれば、必要経費として認められます。スキルアップのためにセミナーに参加したり、クライアントを接待したりすることも間接的に売り上げに貢献しているため、経費として認められる場合が多いでしょう。

直接的なものも間接的なものも、確定申告の際に税務署に事業との関連性をきちんと説明できるのであれば経費になります。

個人事業主が経費計上できるものとできないもの一覧

経費として認められる判断基準について理解したところで、ここからは個人事業主が経費計上できるものとできないものについて具体的な例を挙げて説明します。

経費計上可能なもの

・事務所や店舗の家賃
・商品を仕入れた代金や販売するために業務の一部を委託した外注費
・業務で使用する文房具やコピー用紙などの消耗品
・パソコンやその周辺機器などの購入費用
・クライアントとの打ち合わせなど業務に必要な交通費や飲食費
・給与賃金として従業員に支払う給与
・福利厚生費として発生した従業員の健康診断費や社員旅行などの費用
・事業で使った携帯電話や固定電話、インターネットの接続料金などの通信費
・切手代やハガキ代
・商品発送などに利用した宅配便やバイク便
・車や応接セット
・業務用の資産を購入するための支払い利息

上記は事業に関わるものとして、基本的にすべて経費として計上できます。ただし、飲食費などの接待交際費は、経費の中でも税務署にチェックされることの多い項目です。領収書をもらったら接待先の会社名や人数、氏名、目的などをしっかりと記録しておき、業務との関連を証明できるようにしておきましょう。

経費計上不可能なもの

個人事業主の経費として認められるのは、事業のために必要な出費のみです。プライベートに関するものは経費になりません。

・個人事業主が受け取る給料や事業主自身の健康診断の費用
・プライベートで会ったクライアントとの飲食費
・所得税や住民税
・税金の延滞金といった

これら事業と関わりのない出費は経費にはなりません。ただし、自宅の一部を事務所にしているケースでは、家事按分の考え方で光熱費や家賃、電話料金なども経費として計上可能です。

家事按分する際は当然ながらプライベートで使っている分は経費になりませんので、事業で使っている割合を明確にする必要があります。根拠のある割合であればその部分は経費として計上できます。

自宅兼事務所の場合は家事按分を利用して節税!

自宅兼事務所の場合は、正しい経費計上のために家事按分の考え方について理解しておくことが大事です。ここからは、家事按分の考え方や対象となるものについて説明します。

家事按分とは

個人事業主の中には、自宅で仕事をしているという人も多いでしょう。自宅兼事務所で仕事をする個人事業主の場合、生活費と事業を行う上で発生する費用が一緒になってしまうことがあります。

このように一緒になってしまう費用を、生活費と事業用の費用に分けるのが家事按分です。按分の基準は、個人事業主自身が決めることができます。ただし、税務署に説明を求められた際にきちんと説明できる根拠が必要です。

按分の決め方

按分の決め方は、主に面積から算出する方法と時間から算出する方法の2種類です。面積では、自宅の広さに対してどのくらいの面積を事業用に使用しているかから算出します。

利用時間から算出するほうがより正確な場合は、そちらを採用します。加えて、按分の割合は業務内容の実態に合わせて決めることも大事です。たとえば、電話料金については、終日パソコンに向かってライティングを行なう仕事と、営業で朝から晩まで電話を使っている場合では按分の割合が違って当然です。

家事按分の対象となるもの

家事按分の対象となる代表例が、家賃や光熱費、通信費です。

家賃の按分方法

家賃の場合は、事業用とプライベートで使用する面積の割合をもとに算出します。たとえば、自宅のリビングを使って仕事をしており、リビングの広さが全体の4分の1にあたる場合は、25%の按分で計算しましょう。

賃貸の場合は、家賃を家事按分することができますが、持ち家の場合は固定資産税、住宅ローンの利子などが家事按分の対象となります。ローンの元本は経費になりません。

光熱費・通信費の按分方法

電気料金について、自宅でパソコンを使って仕事をする場合などは、家事按分の対象となります。この場合は、主に使用時間の割合で計算するほうが合理的です。

通信費の場合は、インターネット接続料金やプロバイダー使用料、スマートフォンの料金が家事按分の対象となります。電気料金と同様に使用時間の割合で計算しましょう。

個人事業主に経費の上限はあるのか?経費計上のしすぎに注意

個人事業主の経費に上限はあるのか気になるという人も多いでしょうが、結論から言うと経費上限はありません。ただし、実際は無制限に経費として認められるというわけではありません。税務署では、経費が常識の範囲内かどうかもチェックされます。

たとえば、年間の売上額以上に接待交際費を使用しているようなケースでは、事業用ではなくプライベートで使ったのではないかと疑われてしまう恐れがあります。税務署には、業種ごとに「普通であればこのくらい」という「経費率」があり、それよりも大幅に多い場合は、妥当性について細かく調べられる可能性が高いでしょう。

もちろん事業に関係するものであれば経費になりますので、事業に関係する支出である場合は、領収書と一緒に使用目的などを記録しておくと、税務署から調査されたときにきちんと説明できるので安心です。

青色申告をすると経費で計上できるものが増える

個人事業主の強い味方が「青色申告」です。個人事業主の確定申告には、白色申告と青色申告の2種類がありますが、節税効果が高いのは青色申告です。

たとえば、どちらの申告方法でも家事按分ができますが、白色申告の場合では家事按分の割合が50%に満たないと経費にできません。また、青色申告では、パソコンや応接セットなどのような大きな出費でも、30万円未満であれば一括で経費計上できます。さらに、家族に事業を手伝ってもらっている場合、青色申告であれば家族への給与を専従者給与として経費にすることが可能です。

青色申告では複式簿記による帳簿付けが必要ですが、青色申告をすることで経費計上できるものが増えます。個人事業主の場合は、できるだけ青色申告での確定申告を検討してみると良いでしょう。

個人事業主の経費上限はない!適切な経費計上で経営をしよう

個人事業主の場合、経費に上限はありません。しかし、経費はあくまで事業を行なう上で必要な出費に限られます。事業においてはお金の管理も大事な仕事ですので、正しい知識をもとに適切に経費を計上しましょう。

税務署から調査を受けた場合にきちんと説明できるように、証拠となる記録をきちんと残しておくことも必要です。経費のメリットを上手に活用して、事業を成功させましょう。

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