オンライン通訳サービス会社が見据えるコロナ後需要! インバウンド支援商材スマイルコールとは
2013年に訪日外国人が1000万人を超え、その後も東京オリンピック開催決定が追い風となり、増加一辺倒の訪日外国人を背景に高まりを見せていたインバウンド需要。そのインバウンド需要を逃すまいと、様々な対策サービスが生まれ、しのぎを削っています。
今回はそんな中、導入数1万5000と高い支持を集める、京都発の映像通訳サービス「スマイルコール」を提供する株式会社インデンコンサルティングの斎藤正寛代表に、サービスの特徴、そして新型コロナウイルスの影響で訪日外国人が激減した「今」と「これから」について語っていただきました。
リアルタイム映像通訳サービス「スマイルコール」とは?
2001年に設立されたデザイン会社「株式会社インデン」の飲食店向け広告事業の子会社化に伴い、2009年に設立された「株式会社インデンコンサルティング」。このインデンコンサルティングが提供するリアルタイム映像通訳サービス、それがスマイルコールです。
スマイルコールは、インターネットに繋がったスマホやタブレットを使い、リモートで待機している通訳オペレーターと接続し、24時間365日、6ヶ国語(英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語・タイ語)の通訳を可能にするサービスです。
年々増加していた訪日外国人による様々な業種におけるインバウンド需要の拡大に、専用のスタッフを雇用することなく低コストで対応できる点から支持を集め、2012年のサービス開始以来、宿泊施設や医療機関、金融機関などの施設が導入。取次代理店網を駆使し、2020年4月時点で1万5000の施設が導入するなど通訳サービスとして、国内シェアはナンバー1※を誇ります。 ※インデンコンサルティング社調べ
今回は、そんなスマイルコールのサービスについての理解を深めるとともに、新型コロナウイルスの影響をテーマに掘り下げていきます。2020年8月は訪日外国人が前年同月比99.7%減を記録するも、同10月には長期滞在を目的とした入国規制が緩和されるなど、どん底から復調に向けて動き始めたインバウンド市場動向はいかに。
1989年1月12日生まれ。千葉県出身。広告営業としてキャリアをスタートし、2016年4月に株式会社インデングループに入社。2018年4月から現職の代表取締役に就任し、訪日外国人の受け入れや集客支援に尽力している。
映像通訳サービス「スマイルコール」誕生とインバウンド市場の変化
スマイルコールは、もともと自社グループのある課題を解決するために2012年に開発されました。インデングループではカフェやラーメン店など10店舗くらいの飲食店を展開しているんですが、1店舗をのぞいてすべて京都に店舗があります。
当時はまだ東京オリンピック・パラリンピックの開催も決まってないですし、今ほどインバウンドって言葉も聞かなかったですよね。でも、京都という土地柄、外国人観光客にも結構ご来店いただいていました。
ただ、お店で働くスタッフとしては、トラブルが起こっても言葉が分からないので対応しきれないなど、正直、そこまで歓迎ムードではなかったんです。
そうですね。通常であれば外国語対応ができるスタッフを雇用することになるのですが、対応言語やシフトの問題などで、一人雇ってそれで解決というほど簡単なものではありませんし、人件費も高くなります。こうした課題を解決しようと思ってできたのが「スマイルコール」です。スマホ・タブレットを通じてコールセンターのオペレーターがリアルタイムに通訳することで、スタッフの不安を解消してあげられるなって。
その後、利用していくうちにこの課題は決してインデングループの飲食事業だけのものではなく、外国人対応が必要な多くの場面で求められるサービスだと思い、2012年に外部向けにリリースしました。
サービス化に踏み切った時点で、このリアルタイム通訳サービスの需要があるのは実感していました。でもじつは、翌2013年に東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まっても、事業立ち上げから5年くらいずっと赤字のサービスでした(笑)。
サービスの導入こそ少しずつ増えていましたがまったくそんなこともなく……。赤字の理由は明白で、遠隔の通訳サービスなのでコールセンターを設けないといけないですし、通訳もただ単に通訳をできるだけでなく、きちんと場に応じたコミュニケーションが取れなければ意味がありません。なので、厳しい採用基準をクリアした通訳オペレーターを雇用して24時間365日、シフト制で常に対応できる体制が必要でした。
当時は需給バランスや利用しやすさを考えて、サービスの単価も安くしていたので、結果、赤字になってしまったんです。そんな状態が2017年くらいまで続いていましたね。
東京オリンピック・パラリンピックが決まったとはいえ、「東京と京都・大阪だけでしょ?」「外国人観光客がうちのお店に来たとしても別にいいや」みたいな。なので、メディアが「インバウンド」をはやし立てるほど現場ではそこまで切迫感がなく、当時、日本全体としてはインバウンドを受け入れる態勢や空気は、まだまだできていませんでした。
2018年ごろですかね。さすがに東京オリンピック・パラリンピックが2年後にまで近づいてくるとサービス利用者だけでなく、インバウンド需要に飛びついて「スマイルコール」の競合が一気に増えました。多いときでざっと300社くらい通訳系のサービスに乗り出してきていたと感じています。
というのも、インバウンド市場を狙ってというのはもちろんですが、簡単にスタートできると思っちゃうんでしょうね。
でも、いざ始めてみるとコールセンターや通訳オペレーターを抱えるコストが莫大にかかるので、競合が増えては減り、増えては減りを繰り返していました。そして新規参入が相次ぎ、価格競争が始まると、クオリティの低下を招いて「通訳サービス」というサービスそのもののイメージが悪くなったんです。2018年頃の通訳サービス需要拡大の裏で、こうした悪循環が起こっていました。
「スマイルコール」の強みとは
現時点で競合として見ているのは2社あるんですが、2018年頃の競合が乱立していた時期を勝ち残ってきたサービスというだけあって正直、値段やサービスの内容に大差はありません。
そんななか当社のスマイルコールが、シェア争いでトップになった背景はいくつかありますが、中でも大きな要因となっているのは、「スマイルコールが弊社のメイン事業だったこと」が大きいですね。
そうなんです。当社はスマイルコールがこけてしまったら会社が終わるので、何が何でも生き残らないといけなかったんです。なので、サービスが普及するために力を入れて取り組みますよね。一方、競合はメインとなる商材があって、その商材を販売するフックとして通訳サービス事業を展開しているところが多かったので、その温度差がサービスの質に影響したのかもしれないですね。
もともとはインデングループで利用するために開発したので飲食店を想定していましたが、その他にもホテルやサービス業、交通、医療機関、金融機関などさまざまですね。たとえば東急電鉄や三井住友銀行、ワコール、オメガ、白洋舎など大手企業にも多く利用していただいています。
東急電鉄では駅員のみなさんが所持しているスマホに「スマイルコール」をインストールしていて、外国人に話しかけられたり窓口での対応をしたりするときに利用していただいています。
今ご利用頂いている地域は東京や京都・大阪、沖縄が中心ですが、地方にも外国人はいますので、エリアに関係なく今後も普及すると思います。
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映像通訳サービス「スマイルコール」の代理店制度
この頃にはインバウンドも盛り上がり、地方もいよいよといった感じで熱が高まってきていました。そうしたなか、通訳サービスの乱立期が終わり、価格競争など変な争いがなくなってきたタイミングで、そろそろ地方を含む全国に攻めていきたいなと。
もともとwithコロナで世間的に導入が進んだオンラインでの営業も当時から行なっていたので、当社だけで地方展開できないこともありません。でも、やっぱり地元の会社がアプローチしたほうが安心するお客さまも少なくありません。それなら代理店展開し、地方のシェアを広げていこうと。
いえ、すべてのエリアで募集しています。現状、北海道や滋賀、福岡、鹿児島などで代理店が稼働していて、最近だと富山や福井の企業様にも代理店契約していただきました。とくにエリア制は設けていなくて、たとえば東京の代理店が仙台や大阪で営業活動をしてもいいことになっています。
はい。加盟金は一律60万円に設定しています。「本当に60万円だけ?」みたいなご質問をいただくこともありますが(笑)、どこのエリアを営業していただいても本当に60万円しかいただいていません。
もともと、「スマイルコールを普及させたい!」という思いから代理店展開に踏み切っているので、加盟金でお金儲けをしようという思いはまったくありません。なので、一緒に普及させたいという思いを持った代理店さんにぜひ参入していただきたいですね。
当社の代理店は取次店契約なので、基本的にはアポイントを取ってきていただいたら、その後、商談をするのは本部なんです。なので、代理店さんは、自社商品の営業でクライアントを訪れたタイミングとかで「スマイルコール」の話をしていただくなどして、アポイントを取ってくるだけです。
そうですね。スマイルコール自体の説明や事例紹介などは、本部のほうがノウハウもありますから、そこは任せていただければと思います。
でもじつは代理店制度開始当初は「アポイントから商談成立まで全て代理店さんで行なってくださいね」というやり方をしていたんです。でも、インバウンド需要が急速に増え、常に状況が変化するので、商材の1つとして取る扱いいただく代理店さんでは、導入検討企業が知りたいような導入事例や最新の活用事例など、キャッチアップしきれない部分がありました。今のやり方に変えてから、代理店さんにとってはかなり手離れのいい商材になったと思います。
「スマイルコール」の代理店の特徴について
まず、すべての代理店さんが副業です。もともと何かしらの主力商材があって、その営業のフックとして「スマイルコール」を活用いただいています。
たとえば既存の商材はショットの契約で、1回契約したら100万円の売り上げになるけど、毎月継続して獲得しないといけないですよね。一方、「スマイルコール」は一度契約が成立すると、解約するまで毎月ストック的に収益が入ってくるビジネスモデルなので、安定して収益を得たい企業様が代理店になっています。
あとは、扱っている商材のマーケットが今後縮小しそうだから、まだ余力のあるうちに新たなサービスを探したいなど。こういった思いで参入いただくことが多いですね。
いろいろありますが、たとえばネット回線や携帯電話などの通信系の商材を扱っているとシナジーもあって相性がいいですね。
あとは、ホテル向けに商材を販売しているなど、すでに営業チャネルがある会社だとアポイントも取りやすいですし、営業のフックにもなるので相乗効果が見込めると思います。
「スマイルコール」の利用料は1アカウントの契約で月1.4万円(税別)からになりますが、同時に複数アカウントお申し込みいただいて、トータル5〜10万円でご契約いただくことが多ですね。 代理店様へのお支払いは、代理店契約のプランによって変わってきますが、月々の利用料の10〜30%となります。
現在10契約もいかないくらいですが、紹介のインセンティブ(手数料)だけで毎月50万円ほど稼いでいる代理店さんもいらっしゃいますね。もちろんこの代理店さんもスマイルコールを副商材として取り扱っているので、アポイント後の商談自体は本部で行なっています。
そうですね。コールセンター業務はもちろんのこと、導入後の使い方や困りごとについてなどのアフターフォローもすべて本部が行います。なので、代理店さんにはアポイントをとっていただくだけです。それでもアポイントを取っていただいて契約できた企業さんが利用し続けている限りは、永続的にインセンティブをお支払いしています。
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コロナ禍における通訳サービスの現在と未来
そうですね。コロナによって契約数は減りましたし、インバウンド向けのサービスなので、コロナが収束するまでは減り続けると考えています。
またコロナが収束しても、これまでのように3000万人や4000万人が一気に戻るとは考えていませんが、過去20年で3回、外国人観光客が減った事例を踏まえても、1年以内には外国人観光客が戻ってくると予測しています。
そうなんですよ。1回目が2003年に中国や台湾、アジアなど32の地域や国々で流行したSARS、2回目が2009年のリーマンショック。そして3回目が2011年の東日本大震災のタイミングで外国人観光客が減っています。
ただ、この3回とも一時的なもので1年以内には外国人観光客の数は元に戻ってくるばかりか増加に転じています。
そうですね、ただ今回の新型コロナのように第2波や第3波があるとさすがに分かりませんが、過去の事例を見ると2020年の12月や2021年の2月くらいには外国人観光客の数も戻ってきて、それに伴いスマイルコールの需要も再び高まっていくと予想しています。
やっぱり国としても世の中の人の気持ちとしても、1年くらい経つと経済を復活させたいっていう気持ちがでてくると思います。2020年2月以降はスマイルコールの売上も前月比半減ペースで業績が落ちていましたし、2020年4月からの訪日観光客は前年同月比で99%減と間違いなく厳しい状況ですが、ここまできたらあとは盛り上がるしかないですからね。スマイルコールの拡大再開も1年を目処に考えています。
そう思っています。60万円の初期費用こそかかりますが、維持費もないですし、すぐに回収できますし、インバウンド需要が戻ってくるタイミングを見越し、今のうちに導入しそうな企業さんにアプローチして仕込んでおくという代理店さんもいらっしゃいますね。
また訪日外国人に目が行きがちですが、実は在日外国人数も年々増えていて、2019年のデータでは365万人を超えていたりと施設によっては、そういう在日の方々のために導入されることもあるのでコロナ禍でも導入を検討いただけるところもありますね。
コロナ禍を乗り越えるための一手、新サービスの「まるなげ」とは
広くはアウトソーシングのサービスです。インデンコンサルティングのスタッフが24時間365日体制で通訳やデザイン業務はもちろん、広告運営などのマーケティングや経理などの業務を請け負うサービスです。それぞれの専門スタッフを用意していますので、「まるなげ」を導入された企業さまは、それらの業務を「丸投げ」できるという意味で「まるなげ」というサービス名になっています。
たとえば、「リソースが不足しているのでアウトソーシングしたい」「経費を抑えるためにスタッフを雇わずに事業を動かしたい」などといった時は、案件としてご相談いただければ請け負います、といった内容です。
「まるなげ」は、もともと宿泊業界の業務改善をサポートするサービスとして、2020年内に立ち上げを検討していたのですが、予定より前倒しでサービスを開始させました。というのも、新型コロナの影響でこれまで人がやっていた部分を外注化したり、IT化するなど、業務改善を積極的に行う企業が増えていることから、「まるなげ」が広く価値を提供できるサービスではないかと考えたからです。
また、現在「まるなげ」の業務の一部を、24時間365日対応できるようにシフト制を組んでいたスマイルコールの通訳者が担っているのですが、これによってスマイルコールの通訳の依頼が減少しても、スタッフをリストラすることなくリソースを有効活用できています。スマイルコールのサービス品質を確保するためにも、それだけは絶対にしたくないですからね。
あるインバウンド事業を展開している企業様では、海外からの問い合わせ対応に「まるなげ」を利用いただいています。もともと時差の関係で緊急のお問い合わせでも返信が遅れてしまうという問題があったようですが、24時間365日対応できることで、時差の影響なく迅速に対応することができます。
経理作業や広告運用などの通訳オペレーターの専門分野外の依頼については、他のスタッフが対応するため幅広く対応が可能です。
現在はインバウンド業界以外にもさまざまな業界で導入頂いており、コロナで下がっていたスマイルコールの売上分を賄うくらいになっています。
スマイルコールと同じくサブスクリプションモデルのサービスなんですが、月5万円から利用可能です。
ちなみに、「スマイルコール」の代理店になれば、「まるなげ」の代理店としても稼働していただけます。こちらも契約プランに寄りますが、契約ごとに10〜30パーセントの継続的なインセンティブが発生します。
まだコロナ禍ではありますが、金融機関や医療機関などのインバウンドの影響を受けない業界ではスマイルコールは引き続き利用されていますし、過去の例を見てもインバウンドの産業は必ず戻ってきます。とはいえ、戻ってくるまでにもう少しだけ時間もかかりますので、それまでは「まるなげ」も検討いただければいいなと考えています。
コロナ後においても、どちらも必要とされるサービスであることには変わりありません。インバウンド商材に興味のある方、ご賛同いただける方はぜひお気軽にお問い合わせください。お待ちしております。
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取材を終えて
スマイルコールとまるなげ。ふたつとも今、そしてこれからの時代に適していて、今後ますます需要が伸びていくサービスだと感じました。
現時点では新型コロナウイルスの影響でインバインド需要が下がってはいますが、通訳さん自体は地方を含めてまだまだブルーオーシャンなので、先行者利益を得るためにも、コロナ禍の今こそ代理店契約を検討してみてはいかがでしょうか。