社員独立制度とは?フランチャイズ本部の社員として経験を積んでから独立できるから未経験も安心

フランチャイズWEBリポート編集部 |2020年11月06日 公開 (2024年08月31日 最終更新)
フランチャイズWEBリポートのフランチャイズに加盟されたオーナーの写真

将来的には独立開業をしたいと考えている方の中には、未経験の業界を検討している方ももおられると思います。しかし、向き不向きもわからなければ、経営未経験でのスタートは不安も大きいですよね。しっかりとノウハウを得てから独立開業というのが目標であっても、自分だけの力では難しいこともあると思います。

そこでおすすめなのが「社員独立制度」の利用です。将来的に独立開業をしたいという方のために、今回は社員独立制度の内容やメリット・デメリットをご紹介いたします。

経験不足を補える社員独立制度とは

独立開業のここが不安ポイント

独立開業をする際に、どのようなことが不安材料として挙げられるでしょうか。恐らくもっとも多いのは資金面での不安だと思います。十分な資金を用意したと思っていても、いざ開業してから予期せぬ費用が追加で発生したり、円滑な運営にはより多くの資金が必要になるというのは珍しいことではありません。しかし、経験がないとどのような追加費用が必要になることがあるのか予想しにくいですよね。

経験があればトラブルなどの対処方法もある程度考えておくこともできますが、業界未経験であったり経験が浅いことでより多くの不安を感じる方も多いと思います。資金と経験不足は独立開業時に多くの人が頭を悩ませる問題です。

社員独立制度やのれん分けとは

経験不足を補う方法としておすすめなのが、社員独立制度やのれん分けです。

社員独立制度は、一度直営店で働きながら研修を受け、独立開業に必要な知識を蓄えることができるシステムです。実践によって経験を積むことで、実際に働かねばわからないような不安や疑問を解消することができます。

そしてのれん分けを採用しているのは、ラーメン店などに多く、社員として働いた人が商標や仕入れ先などを共有しながら独立することができる制度です。お店のブランド力やシステムを利用し、独立することができます。

どんな業界やブランドが社員独立制度を導入しているのか

社員独立制度は一般的に、コンビニエンスストアや飲食店のフランチャイズ展開で採用されています。社員独立制度を利用することで、将来独立開業をする際の予行演習に繋げることができます。ここでは実際に、社員独立制度を導入している大手フランチャイズブランドを3つご紹介いたします。

ローソン

コンビニエンスストア大手の「ローソン」は契約社員として働いた後に独立を目指すことができる「FCオーナー・インターン制度」を設けています。契約期間中は月給30万円を支払われるので、収入もしっかり保証されています。直営店で店舗運営を学び、資金面・経験面の両方を解決できる便利な制度です。

さらに独立時には家族の転居費支援金(税別・上限50万円)の支給と、加盟金100万円(税別)が免除されます。FC加盟奨励金50万円(税別)も受け取ることができるため、これからコンビニエンスストアの運営を検討している方には非常におすすめです。

デイリーヤマザキ

山崎製パンが展開するコンビニエンスストア、「デイリーヤマザキ」も社員独立制度を導入しています。デイリーヤマザキでは商品を仕入れて販売するだけでなく、店舗で焼きたてパンや、手作り弁当を提供しています。フランチャイズ本部が山崎製パングループなだけあって、店内調理システムはほかのコンビニエンスストアとは一線を画しています。

パン作りや調理の経験がないアルバイトでもパンが焼けるようになるシステムがあるので安心して店舗運営をすることができます。ベーカリーとコンビニ運営の両方ができるので、デイリーヤマザキのフランチャイズ加盟店には個人経営の居酒屋やベーカリーなどが業態転換として活用しているケースが多くあります。

コメダ珈琲

全国850店舗以上を展開する、愛知発祥の喫茶店「コメダ珈琲」は今や高い知名度と人気を誇るカフェです。知名度が高いので集客力が高いところもコメダ珈琲の魅力。こちらのコメダ珈琲でも1年間コメダ珈琲の社員として店舗で働きながら、経営や飲食業界のノウハウを学ぶことができる「独立支援制度」があります。

独立支援制度を利用すると加盟金300万円と研修費50万円が免除され、ほんぶから資金調達のサポートを受けることができます。そのため、資金不足で開店が難しいなんて状況に陥る心配は必要ありません。ロイヤリティが完全固定なので、売り上げを伸ばすほどオーナーの利益が増えることになりますので、意欲的にカフェ経営を考えている方におすすめです。

社員独立制度を利用して独立開業するメリット・デメリット

社員独立制度のメリット・デメリットには具体的にどのようなものがあるのでしょうか。こちらでご紹介いたします。

メリット

社員独立を導入しているフランチャイズブランドのところでも紹介したように、社員独立制度では開業費が免除になることがあります。通常のフランチャイズ加盟の場合は、開業前研修にも費用が必要になることがあるので、経験を積んで働きながら初期費用を抑えることができるというのは大きなメリットといえます。実務経験をする店舗は直営店であることも多く、しっかりとノウハウを得ることができます。

また、フランチャイズブランドの中には、既に顧客やスタッフが揃っている直営店を引継ぐことができる場合もあります。どのような店舗を運営したいのかを考えながら、加盟するフランチャイズを探してみても良いかもしれません。

デメリット

資金面や経験不足を補うことができる社員独立制度ですが、唯一デメリットともいえるのが、実際に開業するまでに時間がかかるということです。多くの社員独立制度では1年ほど働いてから独立開業という流れになるので、今すぐに開業したいという場合には向いていません。

しかしノウハウがないまま経営をすることは非常に難しいので、できるだけリスクや不安を取り除いてから開業したいのであれば社員独立制度がおすすめです。

フランチャイズ本部が社員独立制度を取り入れるメリット・デメリット

では、フランチャイズ本部にとって社員独立制度を取り入れることはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。一見、フランチャイズ運営本部側にはあまりメリットがないように思えるかもしれませんね。しかし、フランチャイズ運営本部側にもきちんとメリットがあります。

メリット

フランチャイズといえば、知名度・ブランド名を貸し出すのですから、当然フランチャイズ本部にとっては、新たな経営者となる人に自社の経営理念やポリシーなどを理解してほしいものです。自社の考えに合う人にオーナーになってもらうのが、フランチャイズ本部側の希望なのです。そこで、社員独立制度によってしっかり開業前に直営店で働いてもらうことによって、自社の考えや経営理念を理解してもらうことに繋がり、これから一緒に頑張ろうという気持ちを育てることができます。

また、1年間といった長期の準備期間があることで、一通りの業務経験を積んでもらうことができます。経験を積んだオーナーは臨機応変な対応や、業務スキルを得ることができるので安心して店舗運営を任せることができるということも大きなメリットといえます。

デメリット

フランチャイズ本部側のもっとも大きなデメリットはコストがかかるということです。1年間など定まった期間スタッフとして雇わなくてはならないので、コストがかかります。また、フランチャイズ展開によっては初期費用の負担などもしているため、1人の社員独立を成功させるまでには非常に資金面の負担が大きくなっています。

しかし、社員独立制度を導入することで経営理念への理解や、業務スキルアップなどが期待できるため、多少コストがかかっても人材育成という意味で大きなメリットがあるため導入している企業が一定数あります。

未経験での独立開業が不安なら社員独立制度を利用してみよう

独立開業を目標としていても、未経験に対する不安など様々な理由で動けないことがあると思います。しかし手をこまねいているだけでは時間が経過していくだけです。

社員独立制度を導入しているフランチャイズであれば、まずは働きながら始められるので開業へのハードルを下げることができます。ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。