業態転換とは?意味やメリット・デメリット、成功企業の事例などを紹介!
既存事業のさらなる成長を目指し、業態転換を検討する企業や個人事業主の方は少なくありません。しかし一方で、業態転換の詳しい意味を詳細まで理解できていなかったり、新たなチャレンジに尻込みをしてしまったりして、なかなかその一歩を踏み出せない方も多くいるのが現状です。
そこで今回は、業態転換の意味やメリット・デメリットについて、詳しく解説していきます。
業態転換とは
業態転換の意味
業態転換とは、企業が現在の事業内容や営業形態を変更し、新たな分野に進出することを指します。たとえば、長い間レストランを経営していた会社が、お弁当の宅配サービスを始めたりすることが業態転換にあたります。
近年、インターネットやテクノロジーの発展によって新しい事業を始めやすくなったことや、消費者のニーズが多様化したことを受け、業態転換への注目が増しています。
業界と業種・業態の違いって?
業界とは、同じ種類の商品やサービスを扱う企業や団体が集まる分野を指します。たとえば、食品業界・IT業界・医療業界などがあります。これに対して、業種や業態は、業界内でさらに細かく分類される概念です。
業種は、どのような商品やサービスを扱っているかによって分類されます。たとえば、食品業界の中でも、製造業、卸売業、小売業などがあります。建設業は建設サービスを提供する会社が該当し、卸売・小売業は商品を販売する会社が該当します。
次に業態は、その商品やサービスをどのように扱うかによって分類されます。同じ業種内でも、業態は異なることがあります。たとえば、卸売・小売業では、デパートとコンビニは同じ業種ですが、業態は異なります。飲食店では、ラーメン店・寿司店・居酒屋といった具合に、提供するメニューや営業形態により業態が分かれます。また、実店舗での営業とネット販売も異なる業態です。
まとめると、業界は大まかな分野を示し、業種は「何を扱うか」、業態は「どのように扱うか」を表しています。この違いを理解することで、ビジネスの構造や戦略をより深く理解することができます。
業態転換のメリット・デメリット
業態転換には、メリットとデメリットの両方が存在します。両方の側面を理解した上で、業態転換が必要か考えましょう。
業態転換のメリット
代表的なメリットといえるのが、新たな顧客層の開拓です。たとえばスーパーをコンビニへ業態転換すれば、深夜帯に買い物に来るお客様や、食材だけではない商品を買いたいと思っているお客様にリーチすることができるようになるでしょう。実店舗ではなくネット店舗にするという業態転換も、顧客層を大きく変えたり、今までリーチできていなかった層にアプローチしたりすることができる可能性がグッと高まります。
このように、社会の情勢や近隣の状況などに合わせて、一番効果が高いと思われる業態へ乗り換えることによって、確実に利益を獲得できるようにするのが、業態転換の最大のメリットと言えます。
業態転換のデメリット
一方で、業態転換にはそれ相応のリスク・デメリットを伴います。転換した先の業態が、必ずしもお客様のニーズを満たせるとは限りません。またスーパーをコンビニに変える際などは、そうした働き方ができるスタッフを新たに採用したり、設備を入れ替えたりなど、決して安くはないコストを支払わなければなりません。
とはいえ、経営が危機的状況にある企業にしてみれば、悠長に構えている場面ではありません。成功しそうな業態転換の手段なら行なう、失敗しそうな業態転換の手段は行わないなどと安易に考えず、あらゆる角度から検討する必要があるでしょう。
業態転換に成功した企業
ここからは、業態転換を成功させた事例について紹介していきましょう。
1.富士フィルム
カメラメーカーとして有名な富士フィルムは、フィルムの主原料であるコラーゲンや、フィルムの劣化を防ぐ抗酸化技術に着目し、化粧品・医薬品事業へと業態転換を行いました。今では、医薬品によるアンチエイジングの分野で一目を置かれる存在になるなど、業態転換を大きく成功させた代表的な企業となっています。
2.ローソン
コンビニチェーン大手のローソンは、元々は街の牛乳屋さんから事業をスタートさせています。事業が軌道に乗り、事業拡大して行く中で牛乳以外の商品も取り扱うようになり、それが発展して現在のようなコンビニエンスストアとしての業態を確立させていきました。
3.LINE
メッセンジャーアプリとして知らない人はいないと言っても過言ではない「LINE」ですが、そのスタートは「ハンゲーム」というオンラインゲームコミュニティサイト。GoogleやYahoo!の台頭によってオンライン市場の限界を感じたことで、敢えてクローズドなSNSを提供。その大胆な方向転換によって、今では日本を代表する企業として成長を続けています。
4.サンリオ
ハローキティなどの有名キャラクターを多数排出しているサンリオは、元々は絹を販売する会社でした。しかし事業が失敗し、小物雑貨の販売を始めた際に、可愛いイラスト付きの商品がよく売れることを発見し、キャラクター開発に注力するようになりました。現在では、自社が著作権を持つキャラクターを多数生み出すことで、ライセンスビジネスも成功しています。
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業態転換を成功させる4つのポイント
誰しもが業態転換をすることで成功を掴み取れるわけではありません。そこでこの章では、少しでも成功の確率を上げるための方法を厳選してご紹介します。
市場調査と需要を調査する
業態転換を成功させるには、まず新しい事業領域の市場調査を入念に行なう必要があります。ターゲットとなる顧客層を明確にし、そのニーズや嗜好を深く理解することが重要です。また、競合他社の動向を分析し、自社の強みを活かせる差別化ポイントを見出すことも欠かせません。
業態転換をするということは、今までとは違うターゲットにアピールしていく必要があるということ。メリットだけでなくしっかりとリスクも理解したうえで、入念すぎるくらい入念に準備しましょう。
自社の強みを活かせる業態に挑戦する
新しい業態へ転換する際は、自社がこれまで培ってきた技術や知見を活用することが有効です。既存事業で確立したブランド力を新事業に転用することで、顧客の信頼を獲得しやすくなります。
たとえば、同じ飲食業のなかでも「焼肉屋」から「居酒屋」への業態転換は、「喫茶店」への業態転換と比べるとリスクが少なく、活かせるノウハウも多くなるでしょう。自社の強みを十分に理解し、それを新事業に活かすことを検討しましょう。
柔軟な組織体制の構築
業態転換を進めるうえで、社内の意識改革は不可欠です。いままで従業員が精一杯頑張ってきた業態を捨てるのは、社内からの反発も予想されます。会社全体が新しい事業に対して前向きに取り組めるよう、ビジョンを明確に示し、モチベーションを高める必要があります。また、新事業に適した人材の確保と育成にも力を入れ、柔軟な組織体制を構築することが求められるでしょう。
フランチャイズの活用
業態転換の選択肢の1つとして、フランチャイズの活用も挙げられるでしょう。フランチャイズを採用すれば、リスクを分散させつつ、初期投資を抑えることができます。加えて、フランチャイズ本部から事業ノウハウを習得でき、サポート体制も充実しているため、スムーズに新事業を立ち上げられる利点があります。
まとめ
業態転換は、正しく使うことができれば、これまで積み上げてきた技術や経験・ノウハウを活用しながら次のステージに進むことができる良い手段となります。しかしその一方で、当然ながら新たな分野にチャレンジするからこそのリスクもあり、場合によっては業態転換をきっかけに既存事業にも大きなダメージを与えてしまうことも。
だからこそ、業態転換を検討する際には、慎重すぎるぐらい慎重になり、しっかりと成功の道筋を組み立てておくことが肝心です。既に成功のノウハウを持っているフランチャイズを利用しての業態転換であれば、成功の可能性を各段に向上させることができますので、そういった方法も上手に活用するようにしましょう。