2016-10-21 フランチャイズWEBリポート編集部コラム
販路企画 代表
田口 勝 |
王者セブンに迫るファミマ。今コンビニ業界が面白い!フランチャイズの代名詞コンビニの動向まとめ
現在、国内約55,000店、市場規模約10兆円にまで成長してきたコンビニ市場。最大手セブンイレブンに追いつけ、追い越せと、各社火花を散らせている現状です。
最近では、社会のインフラともなっているコンビニエンスストア。
生活の中でもはなくてもらない存在となっております。
もともとコンビニエンスストアはどのように誕生したのでしょうか?
フランチャイズで拡大!コンビニFCを振り返る
1927年アメリカでコンビニ業態が誕生
コンビニエンスストアはアメリカが発祥と言われています。
1927年「サウスランド・アイス社」が、氷を売る小売店として営業開始して運営していたところ、お客様の要望により、「日用雑貨」や「食料品」などを品揃えしたことがコンビニの始まりとなりました。
ここから『コンビニエンスストア』=お客様のニーズに対して『便利なお店』として成長していきます。
当初、店舗の営業時間が朝7時から夜11時までだったことから、『セブンイレブン』と名付けられ、アメリカで発展を遂げていきました。
その47年後、日本初のコンビニFCとしてセブンイレブンが上陸
日本においては、1973年にイトーヨーカドーが子会社として株式会社ヨークセブン(現:セブン-イレブン・ジャパン)を設立し、先述のサウスランド社とライセンス契約を締結し、その後1974年東京都豊洲に第1号店を開店しました。セブンイレブンでは2016年8月末現在で19,044店まで拡大を図っています。
コンビニ全体では、飽和と言われてきた国内50,000店を2012年に超えましたが、今なお、増え続けています。
ここまで増えてきた特徴として、コンビニはフランチャイズ方式を採用して店舗を展開してきた点が挙げられるでしょう。商品を販売する店舗を経営する経営者(加盟店オーナー)を募集し、店舗の運営自体は加盟店オーナーが経営者として店舗を運営する。
一方本部はお客様のニーズに応えられるよう、新商品の開発や、物流整備、商品の安定供給など、オーナーが経営に専念できるよう支援する。
このように本部とオーナーの役割を分けることで小売業界未経験のオーナーでも安定の経営が実現し、スピーディーな店舗拡大を可能としてきました。
2000年には58チェーンが存在したコンビニ業態ですが、経営悪化による廃業や資本業務提携・買収により、現在は26チェーン存在します。
(出典:一団法人日本フランチャイズチェーン協会統計データ)
簡単に残りの大手2社についてもご説明いたしましょう。
業界2位のファミリーマートは、1973年西友が埼玉県挟山市に実験店を開店したのが始まりです。その後、1978年にフランチャイズ1号店を開店し、現在では、2016年8月末現在で、国内18,240店にまで成長を遂げています。
これには、2016年9月に合併を行ったサークルKサンクスの店舗数(6,295件)も含まれています。
業界3位のローソンについては、1975年ダイエーの100%子会社として設立されました。1975年にローソン1号店『桜塚店』を開店。2016年2月末現在では、チェーン全体の日本国内で12,395店となっています。スリーエフやポプラと業務提携も行い、益々拡大を図っています。
コンビニ業界は近年再編が進んでいることが特徴と言えます。
社会のインフラとなったコンビニ
最初にコンビニエンストアは社会のインフラとなってきているという話をしました。
その理由は、サービス業務の拡大に始まります。
コンビ二エンスストアでは、1987年にセブンイレブンが公共料金の収納代行をスタートし、ファミリーマート、ローソンについても次いで利用ができるようになってきました。
更にATMの設置、チケットサービス、宅配サービス、商品お届けサービス等各種サービス業務が次々に増加したことにより、地域になくてはならないお店に変革を遂げていきます。
東北大震災直後の大活躍
近年では、1番注目を集めたものが2011年の東日本大震災でしょう。
コンビニ各社が保持している店舗網だけでなく、工場、物流ラインを駆使し、被災地に商品を届けるだけでなく、開店できる店舗については、震災後も店舗を開店し、被災により店舗が休業した店舗も早急な復旧作業により、早期の開店を実現しました。
非常時でも開店を行うことができるコンビニエンスストアは、地域の信頼を更に獲得し、インフラとなっていきました。これについては、本年の熊本地震でも同様の対応が評価をされており、社会になくてはならない存在となっています。
変化を続けるコンビニ
小売業の歴史の中で、なぜコンビニはこのように成長を遂げることが出来たのでしょうか?
それは、コンビニエンスストア=お客様のニーズに照らして便利なお店を追及している結果であると考えています。
当初は朝7時から夜11時までの営業時間でしたが、24時間営業に変更しお客様の利便性を追求し成長を遂げてきました。
更に、スケールメリットを活かして開発をオリジナル商品であるプライベートブランド商品の開発を実施し、商品の品質の追及を継続的に実施してきております。
加えて追い風になったのは、少子高齢化、女性の社会進出などによる中食重要の拡大です。
コンビニエンスストアのお弁当や総菜、サンドイッチ、パン、デザート等の即食性の高い商品である拡大から、現在では保存性などもある小分け惣菜の販売なども時代の変化に対応して実施してきています。
現在のコンビニエンスストア各社の成長は、時代の変化に対応して従来の小売業の枠を超え変化し、商品の品揃えだけでなく、店舗の設計や設備等も変革を起こし成長を遂げているのです。
コンビニエンスストアチェーンの動向
現在のコンビニエンスストア各社は最大出店を継続して毎年実施しています。
世の中では、『コンビニ飽和時代』と呼んでいる方も出ているほど、コンビニエンスストアが各地域に張り巡らされています。
しかし、本当にコンビニエンスストアチェーンは、飽和しているのでしょうか?
これまでコンビニエンスストアチェーンの商圏範囲は、以前は1kmと言われていましたが、最近は500mとも言われています。
それだけ小地域で成り立つビジネスモデルに変革を遂げているのです。
ネットとリアルを融合する新たな挑戦
業界最大手であるセブンイレブンは、2016年~2017年の戦略として『オムニチャネル』を掲げています。
『オムニチャネル』とは『リアル』の店舗と『ネット』を融合させるものです。
ネットで購入した商品を近隣のセブンイレブンで受け取りができたり、配達して頂くこともできます。これを実現するには、きめ細かい出店が必要であり、お客様の利便性を更に追及した戦略といえます。
プライベートブランドの拡充を図る各社
更にコンビニ各社は最大出店だけでなく、最大手セブンイレブンとの日販格差にも注目しています。日販格差は商品力から生まれてきており、ファミリーマートもローソンもプライベートブランドの品質向上を図っているのです。
これは、店舗数というスケールメリットが成せる戦略でもあります。
そのため、合併や業務提携等を繰り返し実施しているのです。
このようにコンビニエンスストアは飽和状態にあるのではなく、時代の変化に対応し、新たなニーズを付加させることで、店舗の利便性を更に高いものにし、商圏範囲を更に狭めて、これから先も成長が望める業態であると言えるでしょう。
創業者退任や統合問題で一気に進むコンビニ業界再編の波
先述しましたが、今後もコンビニエンスストアチェーンは、時代の変化に対応した商品開発を継続して続けていきます。それを実現するためには、店舗数というスケールメリットが重要な実現要素であり、2016年9月にはファミリーマートとサークルKサンクス合併しました。これにより、従来は業界3位であったファミリーマートが業界2位へと変わりました。
更に、セブンイレブンでは創業者である鈴木敏文会長が退任し、新たな新体制が発足しております。市場ではこの新体制での新たな戦略が期待されている状況です。
ローソンについても商社大手の三菱商事が子会社化を図ることにより、更に原材料調達能力を含めて力や人的資源を充分に活用できる環境をつくっているのです。
これからも業界の再編は続き、業界は激動の時代へと変化していますが、今後の経営課題は日販格差の是正のために、お客様のニーズにあった商品品質やサービスの改善が肝となることは間違いありません。
フランチャイズ全体として、起業や将来経営者になる事を考えるうえで、今後もコンビニエンスストア業界の動きは観察していくことが重要となってくるでしょう。
変化の中にあるチャンスを活かす
日本にコンビニが誕生して40年以上が経過し、時代の変化に合わせて、その業態自体も変化してきました。今後も、その変化に対応できるブランドが、激しい競争に勝ち残っていけることでしょう。
新たにコンビニ経営を検討する際には、各本部の強み、弱み、特徴をしっかりと理解し、本部の役割、オーナーの役割、本部のサポートの範囲等を正しく理解しておく必要があります。
次回のコラムでは、コンビニのオーナーと店長の役割についてのコラムになります。コンビニを経営する上でどういう役割分担を行えば、スムーズに運営できるか、ポイントを解説いたします。
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監修:販路企画 代表 田口 勝 氏
編集:フランチャイズWEBリポート編集部
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