2016-11-04 フランチャイズWEBリポート編集部コラム
販路企画 代表
田口 勝 |
コンビニオーナーは店長にあらず!本質で見るコンビニ経営
前回の「王者セブンに迫るファミマ。今コンビニ業界が面白い!フランチャイズの代名詞コンビニの動向まとめ」に引き続き、コンビニ業界についてのコラムとなります。
現在、国内に55,000店以上存在するコンビニの店舗。当フランチャイズWEBリポートでもご紹介しているコンビニ業界最大手セブンイレブンでは、毎年約2000店の出店を続けています。
過酷や地獄といったネガティブなイメージが強いコンビニ経営だが・・・
起業、独立開業を決意し、コンビニのオーナーになり、今現在立派な経営者としてご活躍されているオーナーも数多くおられますが、中には過労によりオーナーご自身が体調を崩されるケース、競合の出現により来店客数の減少、売上の低下で継続が厳しくなるケースもあります。それだけ競争が激しく、お店を継続して運営していくことが難しい面もあるのは間違いありません。
そんな厳しい競争の中でも、安定した経営が継続できるよう、本部のサポートの範囲、オーナーの真の役割、成功法、収入についての考え方をご紹介します。
まずはコンビニ店舗の売り上げの仕組みを知ろう!
コンビニのオーナーの仕事とは、いったい何をすることでしょうか?
まずは、コンビニを経営していく上で重要となる、店舗の売上の構造について解説いたします。
店舗の売上は次のような構造となっています。
店舗(オーナー1人あたり)の売上
=店舗数 ×〔商品力×立地力×サービス力×販促力〕
店舗の売上を上げる要素はこの5つです。
この中でコンビニに加盟したフランチャイズオーナーが関与する部分とはどの内容になるのでしょうか。
商品力
これはコンビニの本部が商品開発を実施し、加盟店へ推奨します。
商品開発に関しては改善の提案を本部に上げることは出来ても、実際に本部に起因することになるでしょう。セブンイレブンはじめ各社、季節毎の商品を開発したり、既存の商品のブラッシュアップであったり、お客様の要望を満たすよう、常に商品の開発を行っています。コンビニオーナーの関与する商品力とは、これら商品の品揃えとも言えるでしょう。
店舗数と立地力
オーナーは本部と打ち合わせを行い、本部の商圏調査や立地調査を軸に決定しますので、オーナーが関与できる部分は、本部の方と徹底的に良いと思える店舗を選定することになります。
販促力
コンビニフランチャイズを展開する各社はチェーンとして販促活動を多大に行っています。
個店で対応するチラシ等は加盟店が購入し、配布することもあるかもしれません。しかし、内容等はおおよそ本部が決めたものが多いのではないでしょうか?これらの点をまとめると、コンビニオーナーにとって重要な仕事は次の4つになります。
・接客
・商品の品揃え
・店舗の維持管理(クリンリネス等)
・鮮度管理(安心・安全なものの提供)
この重要な要素を実現するには、店舗の従業員体制や従業員教育を行っていくことがオーナーの仕事と言えます。なぜならば、オーナーが24時間レジに立って接客を行うことは当然出来ません。オープンして間もない間はそんなシフトもあるかもしれませんが、長期間は続けられません。
そうすると、従業員に関与して、お客様が気持ちよく来店していただき、商品を購入して、いただけるよう接客のレベルを上げ、清潔感のあるお店づくりが重要となってきます。
商品の品揃えにおいても同様です。例えばセブンイレブンでは1店舗に約3,000点のアイテムがあります。オーナー1人でそれらの商品全ての売れ行きを確認し、管理をすること等は絶対に不可能です。
そうならないように、従業員を戦力化する体制をつくり、募集し教育することが重要なのです。
そういう視点からすれば、コンビニオーナーの仕事は接客や店舗の維持管理というよりもむしろ、スタッフに対する『教育業』とも言えるでしょう。
逆に店長の役割はと言うと、現場に入りながら、オーナーが行う従業員の教育や管理を習得し、実際に複数店舗や多店舗展開を実施した際には、主体となって店舗の運営を実践していくことになります。
繰り返しますがコンビニオーナーの仕事は『教育業』なのです。
※実際にコンビニオーナーが実践している店長教育の一例※
収入の考え方と本部のサポート
コンビニを始めようと検討している方の多くは、この収入面が気になるのではないでしょうか。
この収入面はモデルパターンによって違いがありますし、そもそもお店毎に違いがあります。同じ売上であっても、オーナーの経営手腕で収入も変わるというのが実状であると思います。モデルパターンは各社のホームページをご確認下さい。
ここで、他のフランチャイズと、コンビニオーナーが負担している経費の範囲を比較してみましょう。
人件費
これはどこのフランチャイズでもオーナーが負担します。当たり前のことですが、コンビニのオーナーは独立した事業主。自社の従業員の人件費を他社が負担することはありません。
廃棄商品
これはオーナーの負担となります。廃棄商品とは、お弁当や総菜などの販売期限切れ商品をさしますが、発注や品揃えの権限はオーナーにあるので、オーナー負担となります。中には廃棄に関して、一部本部が負担すると言ったチェーンもあります。セブンイレブンの場合、不用品原価の15%を本部が負担する。というサポートがありますね。しかし通常は、オーナー負担となります。
商品在庫の欠損部分
商品が万引きや店内不正、商品をレジ通さずにお客様に渡してしまった等で欠損した商品はオーナーが負担することになります。
上記3つは、どこのフランチャイズであっても当たり前の事です。
しかし、次のようなものは変わってきます。
水道光熱費
これは、本部によって異なりますが、大手3本部を例に挙げると現状下記のようなサポートがあります。(※2016年10月現在※)
・セブンイレブンの場合、水道光熱費の80%を本部が負担。
・ローソンの場合、電気代及び空調のための光熱費50%を本部が負担。
※月間の上限あり。
・ファミリーマートの場合、水道光熱費の90%を本部が負担。
※年間の上限あり。
通常のフランチャイズであれば、自社で負担するのが当たり前ですが、コンビニの場合、実はここまで本部が負担しているのです。
家賃
これは、コンビニチェーン各社の加盟方式に因りますが、本部が負担する場合も多いです。通常のフランチャイズであれば、自社で負担するのは当たり前です。(※フランチャイズ契約では飲食店やその他の小売店の場合でも、家賃光熱費も含めオーナーの管理が一般的。)
このように、オーナーが負担するものもありますが、他のフランチャイズと比較すると、負担するものは少なくて済むというのが実状ではないでしょうか。
”地獄”と言われているコンビニ経営。本当のところは?
サポートは充実していますが、コンビニ経営と聞くと、インターネット等では『地獄だ』と良く言われています。実際に『大変』と思われる方も多いのかもしれません。
ここでしっかりと認識しないといけないのは、何が『大変』なのかか、ということです。
一番の大きな要素は『人』の問題ではないでしょうか。
24時間365日、お店をオープンさせておくには人が必要です。昨今の人手不足の中で人を確保し、教育し、戦力化しなければオーナーがお店に入り、オペレーション業務をこなしていかなければなりません。そうならないよう、人に任せる体制と人が継続的に勤務し続ける体制づくりが必要になります。
逆に採用と教育と体制の問題を解決できればこの『大変』という認識ではなくなります。
次に『大変』というと、『売上』の問題でしょう。
売上の問題は、店舗独自に起因する問題とそもそもの商圏や立地といった問題とあります。
コンビニエンスストアは撤退が多いとよく言われていますが、それはほとんどがスクラップ&ビルドとい言われるもので、店舗の移転が多くを占めているのです。
実際にオーナーが経営破綻して廃業しているのではなく、新しい店舗のオーナーとして移転しているケースが多いということです。これは以前の店舗の店格で、時代の変化に応じて合わなくなった店舗や売上の悪い不振点で商圏や立地に問題があると判断した店舗を移転していることがケースとして多く掲げられます。
店舗独自の売上の問題は、前述した、品揃え・店舗の維持管理・接客・鮮度管理が影響するものですから、この改善にしても人の教育と店舗の体制が鍵となるのです。
コンビニ経営がうまくいかないパターンの一番大きな要因は、この『人』の問題を解決できるかどうかに掛かっていると言えます。
経営は甘くないから本部のサポートをフル活用する!
コンビニに加盟したオーナーの認識は次のような認識があるのも事実です。
『何かあったら、本部がどうかしてくれるのではないか?』
『売上が悪いのは本部の責任である』こういう声です。
これから加盟してオーナーとしての道を検討されている方に是非とも理解しておいて頂きたいのは、『あくまでも本部とオーナーさんは別の独立事業者』であるということです。しかし、フランチャイズという方式は『共存共栄』の関係であることも事実です。
そのため、『売上が上がらなかったらそれは本部の責任』と言っているほど、経営は甘くありません。逆に独自のビジネスモデルで起業した方からすれば、そういった話を聞けば、鼻で笑われてしまうでしょう。
あくまでもビジネスであり、リスクが伴うことはもちろんです。オーナーが経営努力を惜しまず、常に売上利益の改善に取り組まなければ、どのように素晴らしいシステムであっても成功はできません。
また、コンビニの場合、他のフランチャイズと比較して圧倒的に優れているものがあります。
それは、SV※ の質と訪店頻度です。
※セブンイレブンではオペレーションフィールドカウンセラー(OFC)と呼ぶ。
※ローソンではスーパーバイザー(SV)と呼ぶ。
各社によって呼び方は異なる。
他のフランチャイズの場合、全く訪店しないものや年間1回、半年1回、1ヶ月1回など様々なモデルがあります。コンビニの場合は毎週訪問し、品揃えや従業員教育の方法等のアドバイスを受けることが出来ます。これは、他のチェーンと比較してみてください。その違いが解ります。
ということは、これを活かすことがいかに重要かと言うことです。
つまり、訪店するSVと二人三脚で店舗の経営改善を図るということです。
売上や利益が良いお店は本部の使い方が非常に上手です。これからフランチャイズで起業される方は、フランチャイズというシステムを正しく理解し、本部のサポートを最大限活用して頂きたいと思います。
成功するコンビニ経営とは?
フランチャイズで起業し、本部と一緒になって売上・利益を改善したら、それで終わりかというとそれだけではありません。次のステージとして複数店舗展開や多店舗展開があります。
成功するコンビニ経営とは、事業を拡大していくということになります。そのために重要なことは、再三になりますが、人の問題の解決となります。
先にも述べました通り人手不足の現在、まずはどう人員を確保していくか、長く続けてもらうようにはどのように従業員と接するか、それを考える必要があります。
コンビニの経営者として、オーナーの役割は教育係。
この『教育業』という点をしっかりと理解してコンビニ経営を行っていただくことで、お店の運営の仕方、従業員教育に対しての考え方が変わり、それが経営全体に良い影響を及ぼし、成功に近づけることと思います。
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■監修:販路企画 代表 田口 勝 氏
編集:フランチャイズWEBリポート編集部
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