フランチャイズとは?意味や仕組み・メリットなどを簡単に解説します!
この記事では、フランチャイズビジネスの基本から応用までを網羅的に解説します。フランチャイズの意味や仕組み、開業資金の目安やメリット・デメリット、さらには成功するオーナーの特徴まで、この記事を読めばすべて丸わかり!
フランチャイズビジネスに興味がある方、フランチャイズオーナーとしてのキャリアを目指す方にとって、知っておいてほしい情報をすべてまとめました。ぜひご一読ください。
フランチャイズの概要や意味
フランチャイズの仕組み
フランチャイズとは、個人や法人などがフランチャイズ本部(フランチャイザー)に対価(ロイヤリティ)を支払う代わりに、お店の名前や看板を使い、商品・サービスを販売する権利を得られるシステムです。
契約を結んだ加盟店は、フランチャイズ本部が培ってきた専門的な経営ノウハウや独自開発のシステムを活用できたり、運営や集客に関するサポートを受けられるので、イチから事業を起こすよりもスムーズにビジネスを軌道に乗せられるというメリットがあります。
フランチャイズは26兆円規模の成長市場
チェーン数 | 店舗数 | 売上高(億円) | |||
---|---|---|---|---|---|
店舗数 | 前年比 | 売上高 | 前年比 | ||
統計 | 1282 | 249,316 | 99.6% | 269,879 | 104.3% |
小売業 | 305 | 106,451 | 100.7% | 200,589 | 104.2% |
外食業 | 545 | 50,982 | 98.3% | 39,851 | 107.4% |
サービス業 | 432 | 91,883 | 99.2% | 29,438 | 101.0% |
日本フランチャイズチェーン協会が2023年に発表した「フランチャイズチェーン統計調査」によると、2022年度の日本国内のフランチャイズチェーン数は1282チェーンで、総店舗数は24万9316店舗にもおよびます。
フランチャイズチェーン全体の2022年度における売上高はおよそ26兆9879億円で、2021年度よりも2587億円も増加しています。
フランチャイザーとフランチャイジーの違い
フランチャイズを語るうえで、「フランチャイザー」と「フランチャイジー」という言葉が用いられます。フランチャイザーはフランチャイズ本部のことで、フランチャイジーはフランチャイズに加盟したオーナーのことを指します。またフランチャイズ研究会の定義では、30店舗以上展開し、かつフランチャイズでの売上額が20億円以上のフランチャイジーを「メガフランチャイジー」と表現することもあります。
また、フランチャイザー・フランチャイジーに近い概念として「直営店」と「加盟店」といった店舗形態もあります。フランチャイズ本部が自社で運営している店舗を「直営店」または「レギュラーチェーン」といい、社員はすべて本部が雇っていて、売上や経費なども本部が管理しています。一方、加盟店はフランチャイズに加盟した個人や法人の店舗のことです。加盟店は、本部とはまったく別の資本で動いている別事業主となり、店舗で働く社員も加盟店が雇用することになります。
代表的なフランチャイズの例
小売業や飲食業など、非常に幅広いビジネスがフランチャイズで店舗を展開しています。身近な例を下記の表にまとめました。
業種業態 | 代表的なブランド | |
---|---|---|
小売業 | コンビニ・スーパーマーケット・ネットショップなど | ローソン・セブンイレブン・ファミリーマート・業務スーパー |
飲食業 | カフェ・焼肉屋・居酒屋・ファミリーレストランなど | コメダ珈琲店・焼肉ライク・やきとり大吉・CoCo壱番屋 |
サービス業 | 買取専門店・エステサロン・フィットネスジムなど | 買取大吉・エニタイムフィットネス・おそうじ本舗 |
教育業 | 学習塾・家庭教師・プログラミング教室など | スクールIE・ITTO個別指導学院・ヒューマンアカデミージュニア |
介護・医療 | グループホーム・訪問介護・就労支援事業など | わおん・にじむすび・ライフデリ・にじげん |
フランチャイズにおけるロイヤリティの意味
フランチャイズに加盟すると、フランチャイズ本部の商標や商品、サービスなどを販売でき、さらに、本部が有する豊富な経営ノウハウや定期的なサポートを受けられます。これらの対価として加盟店がフランチャイズ本部に支払うのがロイヤリティです。ロイヤルティと表現するフランチャイズ本部もありますが、ロイヤリティもロイヤルティも同じ意味になります。
たとえば、スポーツジムや学習塾に通うと、入会金とは別に月額の利用料や月謝が必要になってきますよね。ロイヤリティも同様で、毎月の売上の10パーセントなどをフランチャイズ本部にロイヤリティとして支払います。
フランチャイズのメリット・デメリット
フランチャイズのメリットとは?
フランチャイズ本部の豊富なノウハウを享受できるので、業界未経験でも開業できるフランチャイズ。ここのパートでは、フランチャイズのメリットについて解説します。
ブランド力や知名度を活用できる
集客において大きなアドバンテージになるブランド力や知名度。これを読んでいる人の中には、「チェーン店だから」「聞いたことのあるお店だから」という理由でフランチャイズ加盟店を利用したことがある人も少なくないはずです。
フランチャイズ本部が培って来たブランド力や知名度を活用できるので、開業初期でも十分な集客を見込めるのもフランチャイズで開業するメリットです。
業界未経験でも開業できる
フランチャイズでは立地の選定はもちろん、オペレーションから接客・集客に至るまでノウハウがすべてパッケージ化されています。フランチャイズ本部はパッケージを作るために成功だけでなく、多くの失敗を経験しています。そのうちの成功パターンだけを詰め込んだのがフランチャイズパッケージです。
パッケージには多くのノウハウが詰め込まれているので、業界未経験でも開業でき、早期に収益化を図れるのがフランチャイズのメリットのひとつです。
フランチャイズ本部から経営サポートを受けられる
フランチャイズに加盟すると、本部から定期的に経営サポートを受けられます。これを担当するのがSV(=スーパーバイザー)と呼ばれる本部社員です。SVが定期的に加盟店を訪れるなどして、経営指導はもちろん、改善点や今後の方向性・目標などを共有してくれます。下記に、フランチャイズ加盟店が受けられる代表的なサポートをご紹介します。
●立地調査・物件選定の代行や情報提供
●開業資金の融資獲得支援
●開業前後の研修実施
●SV(スーパーバイザー)による経営指導
●販促支援・企画の立案
ひとりで起業すると、相談できる人がまわりにおらず悩みを抱えがち。一方、フランチャイズなら定期的に本部社員であるSVから経営サポートを受けられるので、経営に行き詰まったりしたときでも、ひとりで悩む心配はありません。
運営に専念できる
通常、自分ひとりで開業するとなると、立地の選定はもちろんメニューやサービスの内容、新商品などに至るまですべて自身で考えないといけません。
しかし、フランチャイズなら商品開発はもちろん新メニューの考案から宣伝、試作まですべて本部が行ないます。店舗運営やスタッフの教育などに専念できるのもフランチャイズのメリットのひとつです。
フランチャイズのデメリットとは?
フランチャイズには多くのメリットがある一方で、デメリットも潜んでいます。フランチャイズの加盟を視野に入れている人は、デメリットも踏まえて検討するようにしてください。
ロイヤリティを支払う必要がある
フランチャイズに加盟すると、本部から定期的な経営サポートなどを受けることができます。しかし、その対価として加盟店はロイヤリティを払い続ける必要があります。
本部が決めたマニュアルに従うので自由度が低い
フランチャイズに加盟すると、本部から提供されるフランチャイズパッケージに基づいて運営します。提供する商品やサービスなどはもちろん、営業時間や定休日なども本部の指示に従う必要があるので、オリジナリティを出したい人には向いていません。
本部が決めたルールなどを無視して運営してしまうと、規則違反となり契約を解除されるなどといったペナルティを受けることもあります。
外部環境の変化に対応しづらい
近隣に競合他社が出店した場合、売上が低迷する可能性があります。本来であれば、業態を変更したり移転をしたりなどといった対策を取りたいところですが、フランチャイズの場合は本部の指示に従う必要があるため難しいでしょう。
契約満了後も同業で開業できない
フランチャイズに加盟すると、競業避止義務といい、ノウハウの流出を防ぐ目的で契約満了後も一定の期間は競業する事業で開業できないなどの制限を設けるフランチャイズ本部があります。また、契約満了以外で解約した場合の違約金などもあるので、事前に契約書をしっかり確認しておく必要があります。
フランチャイズに向いている人は?
フランチャイズは、本部からノウハウの享受や経営サポートを受けられるので、比較的成功しやすいビジネスと言われています。しかし、すべてのフランチャイズオーナーが成功しているわけではなく、なかには失敗して多額の借金に苦しむことも。
そこでこの章では、フランチャイズで成功するオーナーと失敗するオーナーの特徴をまとめるとともに、どういう人がフランチャイズオーナーに向いているのかを解説します。
マニュアルどおりに運営できる「実直な人」
マニュアルに沿った運営をするのがフランチャイズの特徴です。そのマニュアルには、本部が培ったノウハウが存分に詰め込まれています。もちろん、それまでには数多くの失敗を経験し、成功パターンだけをマニュアル化しています。
つまり、本部が用意したマニュアルを実行することが成功への第一歩です。実際に、自由に運営しすぎて業績の落ち込んだ店舗が、本部のマニュアルどおりに店舗運営を行なうことでV字回復した例もあります。とくに加盟初期に限っては、本部のマニュアルや経営指導に基づいた運営をするべきでしょう。
本部の力を借りながら自責思考で運営できる人
フランチャイズは、良くも悪くもフランチャイズ本部のマニュアルに従うのが良しとされるビジネスです。しかし、この世のなかに必ず成功するビジネスは存在しません。なかには、多くの失敗を経て成功しているフランチャイズオーナーもいます。
本部と加盟店は、あくまで対等なビジネスパートナーとして協力していく関係性。店舗運営に失敗してしまったとき、「本部があの時こういったから」と他責思考に陥るのではなく、本部にもサポートを仰ぎつつ1人の経営者として責任を持って行動することで、その失敗も次の成功への糧になるはずです。
本部が考える「成功するオーナー像」も把握しておこう!
一言でフランチャイズといっても、ビジネスモデルはそれぞれで全く異なります。そのため、漠然と「どんな人が向いているんだろう」と悩むよりも、興味があるフランチャイズの本部に「成功する人」「失敗する人」の特徴を聞いてみるのが、一番手っ取り早い選択かもしれません。
フランチャイズWEBリポートでは、さまざまなフランチャイズ本部に対して、「成功する人」「失敗する人」についての取材を行なっています。気になっているフランチャイズに近い業種業態のインタビューがあれば、ぜひ参考にしてみてください。
<飲食>焼肉ライクなどで成功する人・失敗する人
<不動産>ハウスドゥで成功する人・失敗する人
<教育>個別指導Axisで成功する人・失敗する人
<自宅開業>金沢屋で成功する人・失敗する人
フランチャイズに加盟した人の成功事例4選
フランチャイズに加盟するなら、誰もが成功したいと思うのが本音です。しかし、「成功」といっても人それぞれ。「休みがなくてもいいからとにかく収益を上げたい人」「収益はほどほどでいいから、自分や家族との時間を増やしたい人」「どんどん他店舗展開し事業を大きくしたい人」「法人化してたくさんの雇用を生みたい人」「会社員をしながら副業でフランチャイズに加盟したい人」など、価値観によって成功の基準も違います。
フランチャイズに加盟したあとのことをイメージするためにも、オーナーそれぞれの成功ストーリーとともに、成功するオーナーの特徴を紹介します。
コロナ不況真っ只中、緊急事態宣言の解除翌日にオープンしたWAKABAの梶原オーナー
WAKABAの梶原オーナーはオープンから1ヶ月半にわたり店長とともに休みなく運営しています。その甲斐もあり、コロナ禍のオープンにもかかわらずオープンからの18日間で、当初想定していた1ヶ月分の売り上げを達成。その後も売り上げを上げ続け、オープンから半年で2店舗目をオープンするなど順調そのものです。
今後も立地や人材の問題がクリアできれば、さらなる展開を目指しているそうで、これからの活躍にも目が離せません。
「1号店のオープンから1年で3店舗のハウスドゥ!を展開する株式会社エコプラン」
もともとは産業廃棄物の中間処理や解体工事などのリサイクルを事業としていた株式会社エコプラン。不動産の資格も経験もない同社が「ハウスドゥ!」のフランチャイズに加盟したのは2017年8月のことでした。
そこから1年後には2号店と3号店をほぼ同時にオープンさせるだけでなく、ハウスドゥ!の全国FC大会で表彰されるほどの実績を叩き出しました。金山代表は、「素人集団だからこそ、それが逆にうまくいっている」と語っています。 その理由は……ストーリーでじっくりとご確認ください。
「初年度からスタッフを雇用し、組織をつくったおそうじ本舗の金井オーナー」
専門学校の職員を辞め、「ハウスクリーニングの需要に対して供給が足りていない」と、おそうじ本舗のフランチャイズに加盟した金井オーナー。もともと組織をつくりたいという思いが強く、加盟初年度にはアルバイトスタッフを1名、その2年後には正社員を2名雇用しました。
早期にスタッフを雇ったのは、「もし私が病気などで倒れた場合、ひとりで事業展開していたらすべてストップしてしまいますが、組織をつくっておけば代わりがいますからね」とのこと。
売上も順調で、加盟初年度は800万円、2年目は1000万円、3年目は1500万円、4年目は2000万円と推移しています。2020年は5000万円を目標にするとともに、法人化することを視野に入れて試行錯誤中です。
「グループ全体で78店舗のFC店を展開するアメリカヤコーポレーション」
1979年に小さな靴店からスタートしたものの、靴一本では経営が厳しくなって2000年にはじめてのFC店となる「牛角 館林店(群馬県)」をオープン。その後、「リンガーハット」や「かつや」「天丼てんや」「しゃぶしゃぶ温野菜」など、全78店舗のFC店を展開するメガフランチャイジーに成長しました。
複数のブランドに加盟する理由として挙げていたのがリスクヘッジ。「例えばどこか一つのブランドで、何か不祥事が起きてしまったとします。そうなると、自分たちが経営している店舗の問題じゃなくても、影響が飛び火して、売上がガクンと落ちてしまうこともあるんです。 そうした際に、単一ブランドではなく、複数のブランド経営とリスクを分散しておけば、被害を最小限に抑えることができるんですよ」とのこと。
アメリカヤコーポレーションのように、メガフランチャイジーを目指してみてはいかがでしょうか。
フランチャイズの開業資金の目安
フランチャイズに加盟するには、加盟金や保証金などの開業資金が必要です。業種によっても必要な資金が変わってきますので、フランチャイズで開業するにあたりどのような資金が必要なのか紹介します。
開業資金の平均予算は200~500万円ほど
フランチャイズの開業資金は、業種や業態・立地・本部によっても大きく異なります。なかには、自宅で数十万円から始められるようなビジネスもあれば、総額数千万円も必要になるフランチャイズも存在します。
フランチャイズWEBリポートを利用しているユーザーの平均開業資金は、個人で開業を目指している方の場合およそ200~250万円程度、法人の場合は400~500万円程度となっています。
ただし、実際に開業する際は開業資金に加えて銀行などからの融資を受けるケースもあるため、開業資金が数百万円の方でも、総額1000万円以上の費用が必要なフランチャイズに加盟し、開業するケースも多く存在します。
加盟金
ほとんどのフランチャイズに加盟するときに必要になってくるのが加盟金です。フランチャイズはお店の名前や商品・サービスの販売権を得られるだけでなく、本部からノウハウを享受したり定期的なサポートを受けたりすることができます。こういったサポートを受ける代わりに、フランチャイズに加盟するタイミングで本部に加盟金を支払います。
加盟金の相場は数十万円から数百万円などフランチャイズ本部によってさまざまですが、なかには、加盟のハードルを低く見せることを目的に加盟金をゼロ円(無料)にしているフランチャイズ本部もあります。その場合、保証金や毎月のロイヤリティに上乗せされているケースもありますので、加盟金だけを目安にフランチャイズ本部を選ぶのはベターではありません。
保証金
フランチャイズに加盟するタイミングで、フランチャイズ本部に一時的に収める資金を保証金といいます。フランチャイズ契約を結ぶと、フランチャイズ本部とフランチャイズオーナーの間でさまざまなお金のやり取りが発生します。
なんらかの理由で加盟店が指定された期日までに支払えない場合、この保証金から差し引かれ、引かれた分は、元の金額に戻す必要があります。業種や業態などにもよりますが、加盟金とは違い、契約満了時に保証金を返却するフランチャイズ本部もあります。
物件取得費
コンビニエンスストアや飲食店をはじめ、店舗型のフランチャイズの場合は物件取得費も必要です。物件取得費には敷金や礼金はもちろん、仲介手数料、保証金などが含まれます。
たとえば、家賃が20万円の物件を借りようとすると、敷金と仲介手数料がそれぞれ家賃の1ヶ月分、礼金が2ヶ月分、保証金が6ヶ月分、前払い賃料が2ヶ月分。トータル11ヶ月分、 、金額にして220万円も必要になってきます。不動産のオーナーによっては、家賃の10ヶ月分の保証金を請求されるケースもあります。
内外装工事費
物件を取得したら、次に待ち受けているのが内外装の工事です。フランチャイズの場合、外装はもちろん内装もフランチャイズのコンセプトに合わせる必要があります。それに伴い、本部指定の内外装業社に依頼しないといけないケースも珍しくありません。
開業前研修費
フランチャイズに加盟すると数日〜数週間、長いと1ヶ月や数ヶ月にもおよぶ開業前研修を受講します。この研修を受けることで、業界未経験でも開業できるのがフランチャイズのメリットのひとつです。
開業前研修費用には、1人や2人までなど、受講できる人数に制限を設けている本部もあります。それ以上の人数で受講したい場合は、追加で費用が発生することもありますので、複数人で受講したい場合は事前にフランチャイズ本部に確認しておくと良いでしょう。
その他の開業資金
フランチャイズ本部によっては、その他の開業資金としてまとめて公表しているケースがあります。その他の開業資金には、開店準備金や運転資金、販促ツール代など、さまざまな項目が該当します。
フランチャイズオーナーになる手順や手続き
いざフランチャイズに加盟して開業しようと思っても、まずは何からスタートして良いのか分からない人も多くいるはずです。このパートでは、フランチャイズ本部の選び方からオープンするまでの一連の流れを解説します。
STEP1:気になるフランチャイズ本部を知る
あなたの大事な人生を左右するかもしれないフランチャイズ加盟。フランチャイズに加盟する前に、まずはフランチャイズに加盟して起業するべきか否かはもちろん、どういった業種があって、どれくらいの開業資金が必要かなど、フランチャイズについての基礎知識を身につけましょう。
STEP2:加盟するフランチャイズ本部を選ぶ
基礎知識が身についたら、今度は加盟するフランチャイズ本部を選びます。とはいえ、1000以上もあるフランチャイズから、加盟するチェーンを選ぶのは至難の業……。そんなときは、「フランチャイズWEBリポート」などのポータルサイトを見ながら、興味のある業種やチェーンを絞る検討方法がおすすめです。
ポータルサイトならさまざまなフランチャイズチェーンの情報が網羅的に掲載されているので、一つひとつ比較しながら検討できます。フランチャイズWEBリポートには、100を超えるフランチャイズチェーンの情報が掲載されています。気になるフランチャイズが見つかれば、資料を請求してみましょう。
また、日本経済新聞者が主催する「フランチャイズ・ショー」などのフランチャイズイベント(展示会)などに参加するのもおすすめです。年に一回開催される「フランチャイズ・ショー」は、フランチャイズの祭典とも言われ、出展しているチェーンの数はじつに200以上にものぼります。
STEP3:説明会に足を運ぶ
興味のある業種やフランチャイズ本部を絞ったら、次はフランチャイズ本部が主催している「フランチャイズ事業説明会」に参加してみましょう。説明会には大きく分けて「対面型説明会」と「オンライン説明会」の2種類があります。
対面型説明会とは、本部スタッフと実際に会って、フランチャイズについての話を聞く形式の説明会です。多くの場合、フランチャイズ本部や周辺のエリアで開催されますが、各地方で「出張説明会」を開催しているフランチャイズ本部も存在します。
オンライン説明会は、ZoomなどのITツールを活用して、インターネット上でフランチャイズについての説明を受けられます。自宅で気軽に参加できるため人気が高く、現在では対面型説明会より主流の形式といえるでしょう。基本的には1対1の形式で、本部スタッフとしっかり話ができるのも、オンライン説明会が多くの方に受け入れられている理由の1つです。
いずれの説明会であっても、参加後はメールや電話で加盟の意志や検討具合などを聞かれることがあります。もちろん、加盟の意志がない場合は、その旨を正直に伝えましょう。フランチャイズ事業説明会はあくまでも情報収集の一環です。気負いせず、気軽に参加してみてください。
STEP5:フランチャイズに加盟する
加盟したいフランチャイズが決まったら、いよいよ契約を結んで加盟するだけです。しかし、フランチャイズに限らず契約書には聞き慣れない言葉が頻出し、大事な項目まで見逃してしまうことも……。加盟したあとにトラブルに巻き込まれないよう、契約書を事前に確認しておく必要があります。
STEP6:オープン準備〜オープン
フランチャイズ本部と契約を交わしたら、次はいよいよオープン準備に取り掛かります。店舗型のフランチャイズなら、店舗の内外装工事や求人・面接など、オープン前にやらなければいけないことはたくさんあります。本部に確認しながら、オープンまでにやるべきことをひとつずつ着実に進めていきましょう。
そして、忘れてならないのがオープン前研修です。フランチャイズ本部によってさまざまですが、1週間〜2週間、もしくは1ヶ月や数ヶ月にもおよぶ研修が待ち受けています。オープン前研修は本部のある東京や大阪で開催されることがほとんどです。その際に掛かる交通費や宿泊費なども自身で用意する必要があります。
すべてが完了したら、いよいよオープンです。はじめての独立・開業で不安なこともたくさんあると思いますが、フランチャイズ本部はあなたのビジネスパートナーです。分からないことがあったらすぐに本部に相談して解決していきましょう。
フランチャイズの選び方と加盟時の注意点
フランチャイズに加盟するのは、人生を左右するほど大きな決断です。はじめて独立開業に挑戦するのであれば、なおさら「準備し過ぎ」なくらい慎重にフランチャイズを選ぶ必要があるでしょう。
そこでこの章では、フランチャイズへの加盟を検討するにあたり、とくに注意したほうがよいポイントを厳選して4つご紹介します。
本部のサポート体制が整っているか確認する
フランチャイズで失敗してしまった方のあるあるとして「本部がサポートをしてくれない」ということがよく挙げられます。開業してからガッカリしないよう、事前に本部と加盟オーナーでサポート内容についての認識を合わせておきましょう。
どの業種業態でも共通するサポートとしては、開業前の研修や開業後の定期的な運営アドバイス、臨店サポートなど。加えて、業種業態によって異なる、実務に即したサポートが用意されているかも確認しておくべきです。飲食事業であれば、新メニューの開発や食材の仕入れルートを本部から紹介してもらえるか。教育ビジネスであれば、カリキュラムの更新頻度や生徒募集に関する支援、保護者対応の代行支援などが考えられます。
また、サポート内容自体は整っているが、なんらかの理由によって本部がサポートを提供できない状況にあるというケースもあります。本部がムリな店舗展開を行なってしまったことで、1店舗当たりにかけるサポートが希薄になっていることなどが原因としてあげられます。本部の動向も考慮したうえで、加盟してからシッカリとサポートが受けられるのか確認しましょう。
本部との相性を見極める
本部と加盟オーナーは対等なビジネスパートナーとして、場合によっては数十年単位で連携・協力していく関係です。だからこそ重要なのが本部との相性を見極めること。たとえば、加盟オーナーが事業を大きく拡大したいと考えていても、本部が事業拡大に消極的であれば、きっと上手くはいかないでしょう。また、フランチャイズのビジネスモデルに賛同したとしても、本部の事業理念に共感できなければ、やはり長期的なパートナーとしては上手くいかない可能性があります。
事業の成長可能性を検討する
フランチャイズを利用して独立開業する場合、早くとも1ヶ月、長ければ1年もの準備期間が必要となります。そのため、いま注目を集めているビジネスが、開業したときにはピークアウトしている場合も十分に考えられます。流行りのビジネスに参入する場合は、開業後も人気が続くのか考えなければなりません。
また、世間の価値観自体が大きく変わる場合も考えられます。近年の例では、2019年以降に広まった新型コロナウイルスは、人々の生活習慣・商習慣を大きく変えてしまった出来事でした。ほかにも社会全体に影響を及ぼす可能性がある事柄として、人口動態や物価の変化、政府の動向・為替レートなども考えられます。
すべてに気を使う必要はありませんが、開業を目指しているビジネスの将来を考えるうえで、どのような指標が重要かを取捨選択したうえで精査し、事業の成長性を検討する必要があるでしょう。
契約書の内容を精査する
契約書には知らない単語や聞き慣れないものもあり、よく理解しないまま契約するとのちのち後悔することになりかねません。上から下まで一語も飛ばさず目を通すのが大前提ではありますが、とくに注視したいポイントとして以下の点を押さえておきましょう。
①契約期間
1年や2年や5年など、フランチャイズチェーンによって契約期間はさまざまです。自動で更新されるのか手続きが必要なのかなど、契約期間が満了したあとの更新についても確認しておきましょう。
②テリトリー制
テリトリー制が採用されていれば、同じフランチャイズの直営店や加盟店はそのエリアに出店が制限されます。つまり、自身がオープンしようとしている商圏が守られるという大きなメリットがあります。なかには、テリトリー制を契約に含めない本部もありますので、契約前に確認しておくと良いでしょう。
③競業避止義務
フランチャイズ加盟を検討している方のなかには、ノウハウを手に入れたらフランチャイズを脱退し、オリジナルの事業をスタートさせようと考えている人もいるはずです。しかし、ノウハウの流出を避けることを目的に、契約書に競業避止義務を設けているフランチャイズ本部も少なくありません。
④途中解約による違約金
契約期間を満了せずにフランチャイズ契約を解約すると、違約金が発生する場合があります。なかには違約金が数百万円になることもあり、解約したくてもできないことも。そうならないためにも、途中解約による違約金の有無などは事前に確認しておきましょう。
フランチャイズを正しく理解して活用しよう
知っているようで意外と知らないフランチャイズ。フランチャイズでの独立の第一歩は、情報収集からです。加盟を検討しているなら、まずは「フランチャイズWEBリポート」などで十分な情報収集をし、気になるフランチャイズ本部にはどんどん資料請求をしてみましょう。