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2015-12-01 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
ATカンパニー株式会社 代表取締役
浅野 忍土 |
経営者なら知っておきたい!経営戦略の思考法とユニクロの成功事例
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このコラムのポイント
企業がビジネスに取り組むとき、収益性はもちろん大切ですが、経営を成功させるには戦略立てが必須です。経営戦略とは何か?、売れる仕組みを作るには何を考えればいいか?、そして実際に経営戦略成功を成し遂げた誰もが知っているユニクロの成功事例について。それぞれシンプルにまとめられたコラムです。
フランチャイズWEBリポート編集部
ビジネスは儲かることだけでなく「経営戦略」として選定すべし
皆さんは、フランチャイズというビジネスの仕組みをどのように捉えていますでしょうか?
多数ビジネスの中の一つだとか、いくつもあるビジネスの取組みスタイルの一つだったり、経営手法の一つなどと捉えられていると思います。それらは全て正しい認識だと思われます。
しかし、ここで今一度、もう少し掘り下げて、経営戦略との視点からフランチャイズを考えていきましょう。
(そもそも経営戦略とは何か?が知りたい方は、先に掲載していた「自社の経営戦略を考えるポイントとフランチャイズのとらえ方」で定義について触れているのでご参考に)
具体的には、経営戦略の一つとして、フランチャイズを捉え、フランチャイズ選定を行いますと、これまでと違う次元で自社に合ったフランチャイズ選定ができると考えております。
例えば店舗ビジネスをするにあたって、直営展開も一つの戦略ですし、ライセンス展開も一つです。フランチャイズも多数の戦略の中の一つなのです。つまり取るべき選択がいくつもある中の一つなんですね。その一つであるということをまずはご理解頂ければと思います。
もう15年くらいずっとフランチャイズのお話をさせて頂いていると、多くの方が儲かるフランチャイズビジネスを探しているんですね。「儲かるものない?」って。当然儲かることは重要なんですが、ただ儲かることだけを見るのでなく、「経営戦略としてビジネスを選定しましょう」というのが今日のお話の本管であります。ビジネスの選定を経営戦略まで昇華させましょうと。
経営戦略の定義はいくつもあるが・・
では、いままでちょっと遠回りなお話をしてまいりましたが、そもそも経営戦略とは何なのかと。僕は経営学部で、大学からずっと経営学を勉強していました。でも正直、経営戦略って何って聞かれた時に明確に答えられなかったんですね。皆さんはいかかでしょうか。そこで僕は何冊も本を読みました。何十冊も経営戦略の本を読みました。
経営戦略ってなんだろう…ということでいろいろ引っ張って参りました。経営戦略とは何かと。日経新聞さんの本とかですね、一橋大学の経理とか、ちょっといくつか読ませて頂きたいんですけれども、経営戦略の定理って結構いろいろあると思うんですね。
たとえば経営戦略とは何かっていう東洋経済さんから出てる本だと、「継続的、競争猶予を達成するためのポジショニングを構築すること。」なんか分かったようで分からなくないですかね。「企業を取り巻く環境との関わりについて、企業を成長に導くために何をどのように行うかを示したもので、企業に関与する人たちの指針となり得るもの。」うーん、分かったようで分からない。
「市場の中の組織としての活動の長期的な基本設計図」ちょっとなんだか分かってきたような気がするんですけれども。それ以外に、一橋大学さんで出ているものだと「企業がその目標を達成するための試練展開のあり方を環境との関わりの中で方向つけるもの」たしかにそうだなあと。
経営戦略とは、売れる「販売」+「商品」をつくること
ただそれを勉強したからといって皆さんのビジネスの設定のお役に立てるかというと、なかなか僕は難しいと思います。いろいろと勉強していく中で、本当に経営ってシンプルだなってことに行き着きました。経営戦略とは何かと言われたら私はこう次のように答えます。それは二つありまして。
経営戦略の本質とは
1.儲かる商品分野をつくる
2.売れる仕組みをつくる
この二つを考えることに尽きます。
言われてみるとあたり前なんです。商品分野を作って、それをどう売るかを考える。これ以外経営戦略はないです。後ほどお話しますが、人材がどうのとか財務がどうのとかは付属でしかないです。
経営戦略とはこの二つを考える以外にありません。
つまりは、「販売」と「商品」です。
私が代表を務めるATカンパニー株式会社ではこの儲かる商品分野をつくる事というのは「商品力の強化」というように定義付けています。二つ目売れる仕組みをつくる事は「営業構造の改善」と定義付けています。構造化しなければならないんですね、これを後ほどフランチャイズビジネスに置き換えて皆様にお話できればと思います。
あたり前なんですけれども、売れる仕組みづくり、営業について考えましょうというのが経営戦略の本質だと思っています。このどちらが欠けてもダメですし、この二つが重なった時に経営戦略と言えると。
PLSとPTMで商品力を強化+営業構造の改善が肝
ここで上記に挙げた二つのポイントについて見ていきます。「儲かる商品」分野をつくるということに関して、これから解説するのは商品をどう延命させるか、発展させるかという時に使う目線です。商品をつくるときは商品を企画し生産することが大事なんですけれども、話が難しくなってしまうので、まずは付加的な視点をお伝えできればと思います。
商品力を強化させるといった部分に関しては、皆さんご存知だとは思いますが、PLS(プロダクトライフサイクル)商品を導入してから、成長・成熟・衰退と進むなかでいかに成長・成熟の時期をどれだけ伸ばしていくかというのを考えるときに使う手法だったり、あとはボストンコンサルティングさんが提唱されているようなPTM(プロダクト・フォーリオ・マネジメント)ですね。
市場の成長率と占有率で負け犬とか花形とか、金のなる木とかの定義によって自社の商品のポートフォリオを組んでいくと。みなさんご存知かとは思うんですが、そこでもう一つ重要なのが、売れる仕組みづくり、営業構造の改善といった部分なんですね。
後ほど事例を交えてもお話しますが、フランチャイズで事業選定に役に立つっていう視点でお話をさせて頂いています。次に売れる仕組みづくりと、営業構造の改善には4つの視点が存在します。
産業自体が衰退していても伸びているマーケット分野はある!
皆さんがビジネスを選定する際に、伸びてるマーケットの分野って絶対探しますよね。それは実は売れる仕組みをつくるときの一番最初の視点です。衰退産業よりも成長産業に属したビジネスの方がいいですよね。そして成長産業のなかでもさらに成長マーケットを目指していくと。ここで産業とマーケットの違いって何かっていうと、外食産業の中のラーメンマーケットという、そういうことです。
外食産業は、少し衰退産業にぞくしていますが、その中でも、ちょっと前の「俺のシリーズ」などの立ち飲みマーケットは成長シリーズです。ですので、産業とマーケットがあるので、ベストは産業が伸びていて、マーケットも伸びていること。
次に、産業はちょっと全体的に衰退傾向だけれど、伸びているマーケットって絶対ありますので、その視点で調べて頂くのがいいと思います。産業やマーケットは予測することが可能です。予測することが経営的にビジネスを選定する部分になります。こちらに関してはまた後ほど詳しくお話させていただきます。
ユニクロの経営戦略成功は、ペンタゴンモデルの転換にあった!
次に重要となるのが、販路構造をどこに所属させるのかということになります。皆様ペンタゴンモデルってご存知でいらっしゃいますでしょうか。ペンタゴンモデルとは、主にプロモーション計画を立てる際に用いられる相関図のことです。これは製造・卸・小売・一般消費者・オピニオンリーダーこの5つからなっていて、どれかに必ず属します。フランチャイズの加盟店だと殆どが小売店ですよね。そして本部さんがメーカーであったりすると。
そのポジションによって儲かるかどうかって変わるんですよ。例えば、衰退産業が一気に儲かることがあります。ユニクロは元々小売店でした、それが製造小売になったことで急激に成長したという事例があります。
元々小売だったり衣類販売はどちらかといえば衰退産業でした、そこでユニクロが一気に成長出来たのは自分の属する販路構造のポジションを、ペンタゴンモデルの立ち位置を変えたんですね。そういうことで一気にブレイクスルーすることがあります。
売れるビジネスというのはフランチャイズでも販路構造がキーになる
フランチャイズビジネスでも、ちょっと変わったビジネスっていうのはそういったイノベーション的な部分を持っています。それを見極める時に重要なのが販路構造なんですね。メーカー・卸・小売・一般消費者・オピニオンリーダー。そのどれかに必ず属することになります。そして属した構造のなかでどんな取引構造を取るかによって売れる仕組みというのは変わってきます。
フランチャイズの場合だとロイヤリティーだとか加盟金だとかは取引条件です。ここをちゃんと見ておかないといけないわけですね。意外と見ていない方が多いなあということがあります。そしてその上でどんな組織で戦うのか。これもまた、詳しくご説明する機会を設けたいと思います。