2016-02-19 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
フランチャイズ研究会 中小企業診断士
山下哲博 |
FCで多店舗展開したい企業必見!加盟契約後に行うべき支援内容とは【第十回】
このコラムのポイント
自店を多店舗展開する手段として、フランチャイズ展開は効率的な手法です。このコラムでは、自店のブランドを活用し店舗運営をしてくれる加盟店との関係性、そして加盟店がオープン後にフランチャイズ本部として支援しなくてはならない具体的な内容について、中小企業診断士の山下哲博氏に解説いただきました。
フランチャイズWEBリポート編集部
加盟店への継続指導は、多店舗展開を行うフランチャイズ本部の義務!
フランチャイズ契約は「権利と義務」の関係です。
加盟店(フランチャイズオーナー店)はフランチャイズに加盟すると、加盟金や月々のロイヤルティ支払いの義務が発生します。その代わり、加盟店は本部から継続的な指導を受けることができるのです。
このような関係性があるため、本部はフランチャイズ契約をして店舗がオープンしたら、その店舗を支援していかなくてはなりません。
SVはスーパーバイジングと成功・失敗事例の収集に励むべし
スーパーバイジングとは、本部の方針・指導・マニュアル通りに加盟店が運営しているかどうかをチェックする機能です。スーパーバイジングを有効に機能させる前提として、運営のオペレーション、販売促進のノウハウなどが確立されていなければなりません。
そういった指導ノウハウが確立されずに、スーパーバイザー(SV)個人のノウハウや経験にとどまっていれば、個人の能力に左右された指導に留まってしまうからです。
加盟店から「SVはただの御用聞き」と揶揄されてしまわないように、店舗運営や販売促進のノウハウを本部のSV間で共有し、共通した指導ができるようにしておきましょう。
また、SVには本部の基準に従って店舗が運営できているかをチェックし、継続的に指導していく任務もありますが、加盟店からの成功事例だけでなく失敗事例を収集する役割もあります。
現場で起こっていることを把握し、他の店舗での指導に役立てていきます。加盟店からの相談については、SVが最初の窓口になることが多く、高いコミュニケーション能力も求められます。
チェーンのイメージを損なわないためにも集客支援はしっかりと
加盟店が本部に求めるものとして、店舗への集客支援があります。仮に、フランチャイズ本部が具体的な集客手法を提供できずにいると、加盟店はそれぞれが独自のやり方で集客に取り組んでしまいます。
独自のホームページやブログを作ったり、SNSを作って情報を発信するようになってしまうでしょう。その結果、加盟店独自でキャンペーンを実施したりディスカウント販売を行ったりなど、チェーン全体のイメージを損ねてしまうことにもなりかねません。
そこで、本部が既存店の集客成功例をパターン化して提供することが重要です。その際には、一つ一つの取り組みについてどの位の反応が得られたのか、どの位の費用がかかったのか、「費用対効果」の面で常に検証していく必要があります。
本部からの指導に従って加盟店が集客の取り組みを行った際にも、費用と効果を把握して、どういうやり方が最も効果的なのか、仮説を立てては検証していくことを重ねていくことが重要です。
なお、集客活動については、加盟店が勝手な行動をしないためにも「本部の承認を得る」「本部が実施する全店での集客策については参加する」ことを明記しておくと良いでしょう。
新商品・サービス開発の際は店舗ごとに指導&導入後の成果をフィードバックする
新商品やサービスの開発は、チェーン全体の競争力を上げるために不可欠なことです。そして、それらの導入については計画的に行い、オーナー会や店長会議で説明するようにしましょう。
ただ、新商品・サービスの導入にあたって、加盟店への告知や指導、店内外での販促ツールなども必要になる上、オペレーションが煩雑になるなどの問題もあります。単に本部からの方針として一方通行で伝えるだけでなく、店舗スタッフ全員に対して理解してもらえるよう、SVが店舗ごとに指導していく必要があります。
また、新商品・サービスの販売目標と実績については、本部として振り返り分析をしっかりと行い、導入の目的が達成できたのかどうかについて加盟店にもフィードバックしていきましょう。導入の成功、失敗の要因を明らかにすることができれば、今後の商品開発に活かせるでしょう。
さて、10回に渡って紹介してきました、「フランチャイズ本部構築ガイドブック」シリーズは今回で終了です。どうもありがとうございました!