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2017-04-19 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
株式会社経営教育研究所 FCアナリスト・コンサルタント
今野篤 |
フランチャイズでの成功とは 〜加盟者とFC本部の関係と心構えを考える〜【FC連載コラム:第1話/全4話】
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このコラムのポイント
ビジネスにおいて重要なのは、なにをおいても経営力です。ビジネスパッケージを提供するFC本部も、効率よく経営をしたいFC加盟者も、それぞれの立場で互いに事業をより良く継続していく努力が欠かせません。今回のコラムでは、SV経験者である著者がコンサルの中で見えてくる、加盟者・本部それぞれが陥りやすい問題に触れながら、FCで成功する秘訣について知ることができます。
フランチャイズWEBリポート編集部
現状の加盟者のつきない悩み
食べていくことができなくなり値下げ販売を断行、集まらないアルバイト、競合店の進出など、いわゆるコンビニのオーナー問題。これはコンビニに限ったことではなく、思ったように売上が伸びないと悲鳴の声をあげる加盟者は少なくない。私は、FCに加盟していざ開業したが、集客が思うようにいかずに、1年もしない内に撤退していくオーナーを何人も見てきた。残念ながら、このようなケースは未だに続いている。
成熟した社会に突入する日本、ますます厳しい環境下でお客を獲得するには、なによりもFC本部との連携が欠かせない。しかし、時としてFC加盟者とFC本部のいざこざの解決に、時間と金を費やしているケースが後を絶たない。この辺のところがFCビジネスの難しさであり、大きな問題点である。
一般的にFCビジネスは、本部からの指示・命令が多く、自由に経営できる範疇が小さい。なんのためのFC加盟かと言えば、それは時間の短縮に尽きるのではないだろうか。ノウハウをお金で買うわけだ。しかしそのノウハウを使いこなせるかは加盟者自身の問題になるし、FC側から見れば指導責任としてFC本部に重くのしかかる。
市場が成長期にあるなら、ある程度の経営力があれば、企業は伸びていく。市場が成熟しきり衰退期に入ると、時代を見据えた先見力と判断力がなければ、即座に取り残されてしまう。だからこそ、加盟者は本部に全権を委ねるのではなく、自ら切り開く勇気と体力が必要となる。FC本部としては、愛情を持って加盟者に接することが何よりも大事である。
成功する加盟者とそうではない加盟者の違いは、FC本部への全面依存の度合いでわかる。まずは、自分で切り開いてみるぐらいの精神がなければ、FCでの成功は難しい。
フランチャイズ成功の方程式
大手FCコンサルティング会社はFCチェーンの成功を、「収益度」「差別化度」「拡大度」「ノウハウの非属人度」「社会的有用度」「理念の共有度」「契約の明快度」の七つの要件に集約している。
フランチャイズ成功の7つの要件
1.「収益度」は 利益率の高さと初期コストの回収期間
2.「差別化度」は ビジネスに強みがあり競争力があるかどうか
3.「拡大度」は 展開している店舗数の多さ
4.「ノウハウの非属人度」は 誰にでもできるシステムになっているかどうか
5.「社会的有用度」は 地域とのマッチングや貢献度
6.「理念の共有度」は FC本部と店舗が互いに共鳴し合っているか
7.「契約の明快度」は FCパッケージそのものの完成度
といった具合だ。更にこれを逆手にとってみれば、FC店舗成功の方程式と置き換えることができ、自店舗がどこに強みを持ち、どこに弱みがあるかを知るのに最適な判断基準になる。これが客観的に把握できれば、自ずと今後の店舗運営の方向性を導き出すことができる。
FC店舗でよい業績を出したければ、加盟者はFCシステムを忠実に守って運営することだ。ただし、これはノウハウがきちんと確立しているFCに限る。そして、加盟者自身も経営力を磨かなくてはならない。
FC本部と加盟店は運命共同体。加盟店は決して本部の奴隷ではない。お互いに訴訟を起こすようなことになってはならない。だからFC本部には、より強みを引き出したパッケージの洗練に努めてもらいたい。そしてSVはどの加盟店舗にも指導できるように、スーパーバイジング(経営指導)の標準化を図って欲しい。
直営とFCの差は確かに存在する。特にマーケティングに費やすコストや、人材面は質量ともに時には大きな隔たりがある。一方でSVによる指導差が、店舗運営のレベル格差を招いていることもまた事実である。
編集部より
フランチャイズにおいて、本部と加盟店をつなぐ重要な役割を果たすのが、SVと呼ばれるスーパーバイザー。
商品は同じ物・サービスになるので、「経営」の部分で直営のノウハウを提供してくれる役割となります。
業界未経験、異業種参入の加盟店にとっては、いわば経営の資料と、SVはそんな加盟店に対しスタッフの配置(=人件費の管理)や経費の見方等、店舗の経営がうまくいくよう支援してくれる存在でしょう。その対価の1部として、ロイヤリティを支払う構造がフランチャイズシステムになります。
さて次回、第2話のテーマは「ロイヤリティの意義」について。
ただ「安ければ良い」というものではないことはご理解いただけていると思いますが、著者が実際に出会った事例に触れながら、その重要性と意義についてわかりやすく解説いたします。お楽しみに!