ハートマネー代表・ファイナンシャルプランナー氏家 祥美
2017-05-25 専門家が語る。フランチャイズ・独立開業コラム
ハートマネー代表・ファイナンシャルプランナー 氏家 祥美

45歳からの教育費準備と老後を考える

 このコラムのポイント

「将来はこうなりたい」という思いはあっても、気付けば、思い始めてもう10年…。夢は、具体的にゴールを立て、それに向かって駒を進めていかなければ、実現されることはありません。人の一生にも、子供が大人になるまでにもリミットがあります。実現させたい姿があるのならば、自分に残された時間、持てる能力で何ができ・何が足りないのかを見極め、目標達成に向けた計画を今考え実行していかなければなりません。今回のコラムでは、家計で大きな割合を占める「教育費」「老後の資金」を考えることを通して、自らの人生設計や家族をどう育てていくかについて改めて考えることができます。

フランチャイズWEBリポート編集部


教育資金、かけすぎていませんか?

こんにちは。女性のローリスク起業を支援する一般社団法人キャリア35の理事、氏家祥美です。

新しいライフイベントがたくさん続く30代と違い、40代は家族構成もある程度定まって、家計が住宅ローン返済や教育費といった固定費で縛られていく世代です。今回は、45歳からの教育費準備について、老後も視野に入れながらお話ししていきたいと思います。

「子どもには、いろんな経験をさせてあげたい」
「可能性を最大限に伸ばしてあげたい」
と思うのが親心。そんな思いを反映してか、子育てファミリーの家計相談をしていると、ときどき家計収入に対して教育費が過大になっている家庭がときどき見受けられます。

特に教育費が高額になりやすい人をまとめてみると、最近はこんな傾向があります。どれかに思い当たる人もいるのではないでしょうか?

(1) ひとりっ子

一人当たりに使えるお金に余裕があることも手伝い、小さいころからよりいい教育を受けさせてあげようという傾向が強い。

(2) 親が私立出身

両親のどちらかが私立出身だと、子どもにも同じ教育を受けさせてあげたいという思いが強くなる。

(3)高級住宅エリア

所得層が高い人が多く住むエリアやマンションでは、「いい塾」や「いい学校」にお金をかける人が多く、「当たり前」の基準が高くなる 。

文部科学省の統計によると、世帯収入が上がるほど、小学校、中学校、高校全てにおいて子どもにかける教育費は増加する傾向があります。子育て世帯においては、世帯収入が少ない家庭も高い家庭も、教育費が家計の大きな割合を占めているといえそうです。

教育費はゴールから考える

私立進学への決断は、「自分が私立へ行ってよかったから」「みんなが受験するから」「子どもが行きたがったから」など、イメージや感情が先行して決めていることが多いようです。

しかし、教育費は家計にとって、長期にわたる固定費となります。中学校から私立に進学した場合には、中学、高校、大学と合計10年間、小学校から私立に通う場合には、さらに6年加わって16年間、私立に進学することになります。1年当たり100万円超となる金額を、10年、16年と連続して払うことになることを覚悟しておかなくてはなりません。

もちろん、大学だけ国立というような可能性もありますが、反対に、大学院へ進学したり、留学したりして、さらにコストが増す可能性もあります。

教育を考えるときには、子どもに与えたい最終学歴をイメージして、まずは大学資金の準備をしておきます。大学資金を確保したうえで、その時々の収入から学費や塾代が十分捻出できるようであれば、高校、中学、小学校での私立進学を検討してもいいでしょう。



他のライフプラン、ビジネスプランとも合わせて検討を

住宅資金、老後資金と並び、人生の3大資金といわれる教育費。教育費のピークは長期にわたって続きますから、住宅や老後など、他のライフプランとあわせて、自分たちのお金のかけどころを総合的に考えたいものです。

ここで重要になってくるのが、子どもを持った年齢になります。昔は20代で子どもを持ち、50歳になる頃には子育てが終了している家庭が多かったので、それからでも老後資金を準備することができました。しかし、近年は出産年齢が上昇し、高学歴化が進んでいます。子どもを持った年齢が遅ければ、子育ての終了時に、教育費、住宅ローン返済、親の介護、自分たちの老後資金準備とさまざまなことが一気に押し寄せることになります。

子どもが大学を卒業するとき、夫婦はそれぞれ何歳になっているのか。自分たちは何歳まで働き、 どれくらいの収入を得ているのか。住宅ローンは何歳まで続くのか。老後の生活費や医療・介護への備えは問題なくできているのか。そんなことを合わせて考え、子育ての終了時に経済的な負担が集中しないようにプランニングしておきましょう。

なお、教育費や住宅など、すでに長期にわたる固定費を抱えている場合には、生活費の見直し余地が少なくなります。その場合には、働いて収入を増やす、余剰資金を投資に回す、といった発想が必要になります。

例えば、フランチャイズを活用してすでに成功モデルがある事業に参入して、長期で続けられる事業を始めてみるのも解決策の一つとなります。コンビニや外食産業のみならず、フランチャイズでは教育や介護、リラグゼーションなど実にさまざまなビジネスが展開されています。

すでに自業を始めている人であれば、長く続けやすいように現場を任せられる人を育てる、商品やサービスを少しずつ変えていくといった対策も考えられます。

ただし、自営業者にはサラリーマンのように、黙っていてもまとまった退職金や企業年金が用意されているわけではありません。小規模企業共済や、個人型確定拠出年金、民間の生命保険などを使って、今からリタイアメント資金を用意しておくことも必要になります 。

編集部より

株や不動産、投資信託、など投資の形はいろいろありますが、フランチャイズを活用して事業を始めることも将来への投資になりますね。初期費用に数千万円かかる事業もあれば、小さく始められるフランチャイズもありますので、いろいろな情報をお役立てください。

ハートマネー代表・ファイナンシャルプランナー 氏家 祥美

埼玉県出身、立教大学社会学部観光学科卒業。旅行会社に勤務後、専業主婦時代にファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得。2005年にFP会社の設立に参画。2010年に独立。現在、ハートマネー代表として、家計相談や講演、執筆活動を行う。「いちばんよくわかる!結婚一年生のお金」(学研パブリッシング)、「35歳を過ぎた女性に贈るこれからのお金のお作法」(秀和システム)ほか著書多数。キャリアカウンセラーの資格も持ち、一般社団法人キャリア35の理事として起業サポートも行っている。