2015-01-16 小説で起業ノウハウを学ぶ!FCビジネス起業物語
フランチャイズ研究会 社会保険労務士・人材育成トレーナー
安紗弥香 |
フランチャイズ研究会執筆『夫婦の脱サラ・コンビニ開業で夢を現実に』
コンビニチェーンの説明会
起業物語の登場人物
高田 元(たかだ はじめ)49歳
高田 由美子(たかだ ゆみこ)47歳
高田元は、静岡県の大学を卒業後、県内の中堅会社で営業の仕事をしている。以前から今の会社で定年を迎えることに不安があったのと、独立して夫婦で事業をやりたい、という思いから50歳を機に会社を辞めることを決心。この年齢から夫婦で始めるなら、比較的容易に始められるフランチャイズチェーンにしよう…と検討している。
元が由美子に、コンビニ開業への思いを打ち明けてから1週間が経過した。
仕事を終えて帰ると、各チェーンへ請求した資料が届いていた。ダイニングテーブルへ向かい、早速封を開ける。元はパンフレットを取り出し、目を通しながら独り言をつぶやいた。
「どこを見ても遜色ない感じだなあ」
その声に反応した由美子がキッチンから出てきて、パンフレットを覗き込む。しばらく黙読してから、静かに口を開いた。
「そうね…」
元は、由美子の表情を見た。どことなく「あのとき」から元気がない気がする。いつの間にか元は、彼女の一挙手一投足が気になっていた。独立は3年前から話していたとはいえ、また、加盟説明会に行くことに賛同して貰えたとはいえ、やっぱり由美子の心の中では強い反発があるのではないか…。
元は、しばらく心の中で自問自答した。
何も言わなくなった元に対し、由美子が口を開いた。
「ご飯、あと少しで出来るから、それまでゆっくり読んでていいわよ」
そう言って由美子は再びキッチンへ戻っていった。
元は由美子を少し見送ってから、再びパンフレットに目を落とした。
「夢の実現を応援します!」
「総収入◯◯◯円保証」
「相互の事業が繁栄していく仕組み」
本当なんだろうか。
見れば見るほど本部に都合のいいことを書いているように思えてくる。
自分はそれに踊らされないだろうか。説明会に行って、うまく言いくるめられないだろうか。
いや、それ以前に…。