2015-01-30 小説で起業ノウハウを学ぶ!FCビジネス起業物語
フランチャイズ研究会 社会保険労務士・人材育成トレーナー
安紗弥香 |
フランチャイズ研究会執筆『夫婦の脱サラ・コンビニ開業で夢を現実に』
開店への動きと、描く未来への夢
起業物語の登場人物
高田 元(たかだ はじめ)49歳
高田 由美子(たかだ ゆみこ)47歳
高田元は、静岡県の大学を卒業後、県内の中堅会社で営業の仕事をしている。以前から今の会社で定年を迎えることに不安があったのと、独立して夫婦で事業をやりたい、という思いから50歳を機に会社を辞めることを決心。この年齢から夫婦で始めるなら、比較的容易に始められるフランチャイズチェーンにしよう…と検討している。
契約を決意した翌月曜日、元は会社の上長に退職の意志を伝えた。
上長は最初驚いたが、最後は元の固い決意に納得し、1ヶ月後に退職することが決まった。
それと同時に進めなければならないことがある。千葉への引越し準備、そして、フランチャイズ契約と開店準備だ。元は、本部の田中に電話を入れ、契約への決意を話した。
「ご連絡、ありがとうございます。では、これから契約と開店に向けて、進めていきましょう!」
田中のいつも以上に元気な声が電話口からこぼれる。元は思わず、電話を少し遠ざけながら返事した。
「はい。ぜひ、よろしくお願いします」
その電話の中で元は、地区の責任者との面談が発生することと、その日程を田中から聞き、了承した。
そして次の土曜日。元と由美子は再び千葉へ向かった。地区の責任者・下川との面談だ。
「高田さんは、今後、どのようなお店を作っていきたいとお考えですか?」
「そうですね…故郷であるこの場所で、たくさんの人が集まる、活気のあふれる店を作りたいですね」
「なるほど、素晴らしいビジョンですね。由美子さんはいかがですか?」
「私は…店長を公私ともにサポートしつつ、店長とスタッフの会話の架け橋になろうと思います」
下川はうんうんと二度頷き、「ぜひ、地域に愛されるお店を一緒に作っていきましょう」と元たちを強く激励した。
その後、無事に下川との面談を終えた元と由美子は、フランチャイズ契約のための打ち合わせを行った。最も大事なのは、資金面だ。元たちは、フランチャイズ契約書を受け取り、確認を始めた。
加盟金はトータルで300万円。内訳は、契約金50万円、開店のための準備手数料50万円、研修費が50万円だ。その他、出資金が150万円となる。まずこれを、契約時に入金する。
その他にも、開店準備に必要な釣銭金や各種営業許可のための費用、食品衛生責任者や防火管理者、酒類販売管理者といった各種研修費用なども発生するため、生活費とあわせても最低500万円程度は必要になる。元は今すぐ融資を受けなくてもいいほどの資金はあったが、融資制度を本部が用意していることも教えてもらった。その他、フランチャイズ契約上の様々なルールを田中と確認し、疑問点を解決していった。
しかし、ここから肝になるのが、アルバイトの募集・採用活動と、元と由美子の2週間の開店前店長研修である。最初の1週間は座学を、次の1週間で店舗実践を受けることになる。この目的は、店長資格の取得と業務習得だ。これらを、千葉へ引っ越ししながら、ほぼ同時進行で行っていかなければならない。元と由美子は、田中の話を聞きながら早速気が遠くなりそうだった。