生涯現役の元気なシニア世代が大活躍! 定年後の生き方として注目されるシニア起業とは

フランチャイズWEBリポート編集部 |2021年10月11日 公開 (2021年12月27日 最終更新)
シニアの働き方 シニア起業 アクティブシニア

平均寿命が伸び、人生100年といわれる昨今、シニア世代を取り巻く労働環境が変わっています。また、老後2000万円問題もあり、定年退職後も働けるうちはいつまでも働きたいと考えるシニア世代は多いでしょう。

しかし単に収入を得るだけではなく、社会とのつながりややりがいを感じられる仕事に取り組み、はつらつと生きるアクティブシニアが注目を集めています。今回はそんなシニアの働き方のなかでも起業という選択肢をとった方の成功例や、シニア起業をするの際のポイントなどを紹介いたします。

増えはじめているシニア起業

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一昔前までは定年を迎えたら仕事をやめて家でゆっくり過ごすというのが主流でしたが、近年はシニア世代であっても、多彩な活動や仕事に打ち込む「アクティブシニア」とよばれる人が目立つようになってきました。

内閣府の調査によると、60代以上の40%が働けるうちは働きたいと考えているそうです。そして起業家のうち、55歳以上で起業した方は全体の約3分の1を占め、特に65歳以上で起業する人も年々増えています。起業のジャンルも、40%強を占めるサービス業を筆頭に、不動産業/物品賃貸業、つづいて学術研究、専門/技術サービス業といったようにシニア世代ならではの経験や知識、財力を活かした起業も多くみられます。

また、起業する際に立ちはだかる壁に「資金調達」が挙げられますが、シニア起業の場合、国や自治体から助成金をもらえる制度や様々なサポート体制(※詳細は後述)も充実しているので、資金が少ない人でも起業を目指せます。そのようなことからも、定年後などシニア期の選択肢の一つとして、少ない投資で始める身の丈に合った起業が注目されているようです。

シニア起業のメリット

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シニア起業のメリットとしては、生涯現役で、自分がしたいことを仕事にできることではないでしょうか。これまでの経験やスキル、人脈を生かして、体力が続く限り働くことができます。

それまで会社に勤めていた方の場合、起業後は問題が起きればすべて自分自身で解決していかないといけないので不安に思うかもしれませんが、その分納得感もあります。会社員時代と違い、すべてを自分で決めるだけでなく、お客さまとの距離も近くなり、お客さまの喜ぶ笑顔が直結しているため、ストレスを感じにくくなる人も多いといいます。

また、総理府統計では、「2020年には、65歳以上の高齢者1人を現役世代2人が支える」という数字が発表されていました。しかし、これは65歳以上が働かないという前提に立っている数値であり、一人でも多くのシニアが起業し税金を納める割合が増えれば、現役世代の負担率が大きく減少するため、社会貢献性も非常に高いと言えるでしょう。

シニア起業の成功例

シニア起業の動機はさまざまですが、シニアの方々は会社勤務時代と違って時間がたっぷりあるので、まずは小さく始めてじっくりと事業を育てていけるのもシニア起業の醍醐味といえるでしょう。

ここではシニア起業家の成功例をいくつか紹介していきます。

「愛犬のお散歩屋さん(株式会社JTL)」/古田弘二さん

「ウチのワンちゃんも一緒に散歩に連れて行ってもらえませんか?」という声かけから、ペットシッターのビジネス始める。全国70店舗、年商3億円を達成。書籍出版後、FC加盟店増加。

「日本眠育普及協会」/橋爪あきさん

自身が睡眠障害に悩んでいたことから、「睡眠改善インストラクター」の資格を取得し、睡眠教育と広報活動を行なう一般社団法人「日本眠育普及協会」を発足。

「さとうさんちのピザ屋さん」/佐藤愼剛さん

若いころから大好きだったピザのお店を自宅1階で開店。こだわりの焼き加減と地元野菜のトッピングが評判を生み、予約でいっぱいの人気石窯ピザ店に。

和田京子不動産会社/和田京子さん

一度も就業経験のない専業主婦が、76歳で迎えた夫の死を機に女性最高齢で宅建を取得し、80歳で和田京子不動産会社を起業。顧客目線のサービスを徹底して、年商5億円事業に成長。

「NPO法人 エガリテ大手前」/古久保俊嗣さん

「男女共同参画社会の創生」「次世代育成支援」に共感し、2004年に起業。祖父が子育てに参画する独自のプログラムを開発し、全国自治体と協働して普及を図っています。

このように、日々の困りごと解決から着想をえた起業や、シニアならではの発想が仕事に結びついた起業など、シニアの方達によってさまざまな事業が生み出されています。また起業ではないものの、日々の料理やファッションをインスタグラムに投稿する「シニアインスタグランマ」と呼ばれる方々の活躍も注目を集めています。

そして、シニア起業の成功者でもっとも有名な人といえば、誰もが知っているといえるほどの知名度を誇る「ケンタッキー・フライド・チキン」の「カーネル・サンダース」でしょう。彼も実はシニア起業家だったことをご存知でしょうか。40歳の頃運営していたレストランが倒産し、65歳になってからそのレストランで人気だった「フライドチキン」の調理法をさまざまなお店に教えて、特許権使用料を得ながらフランチャイズ方式で店舗を増やして有名チェーン店となりました。

シニア起業の落とし穴

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しかし、シニア起業を考えるうえで、定年後の年金収入のみの生活の不安や、定年後に好きなことを仕事にしたいという理由だけで気楽に起業をすると必ず失敗します。なぜならば、もともと経営者として経験を積んできた人といきなり同じ土俵で闘うのは圧倒的に不利だからです。潤沢だった資金があっという間に底をついてしまったというケースも少なくないのがシニア起業の落とし穴です。

そこで、ありがちな失敗要因を5つ紹介します。起業を考える時は自分に当てはまるケースがないかチェックしてみるのも良いかもしれません。

徹底的なリサーチをしないで思いつきで起業してしまった

これまで紹介してきたような事業の成功例を参考にして安易に起業してしまうと失敗してしまいます。先人の経験を徹底的にリサーチして学び、自分の起業プランに置き換えて幾度も検証してみる、そのような用心深さも必要です。

売ることへの心理的壁が取り払えない

「友達だから無料でやってよ」と言われて無料にしてしまったり、自分のサービスに自信が持てなくてつい安い価格設定にしてしまう人は割と多いもの。徹底したリサーチの末に考案した独自の商品・サービスは、自信をもって売り込んでいきましょう。

過去の栄光を引きずってしまう

一流企業を退職後に起業する方に多いのがこの失敗です。最初のうちは「元〇〇会社の…」と営業しても話を聞いてもらえますが、新しい事業に魅力がなかったり、元の会社のコネが使えないことが分かると、そのうち話も聞いてもらえなくなってしまいます。過去の華やかな記憶は一旦リセットして、謙虚な姿勢で一からやり直すぐらいの心構えが大切です。

新しいものやIT化についていけない

世の中はものすごい勢いで流れています。ブームなどの流行り物や、ちょっと前まで成功したやり方が通用しなくなることも日常茶飯事です。同じやり方に固執せず新しい進化をどんどん取り入れていく勇気も必要です。

高額な融資を受けようとする

シニア起業では高額融資を受けようとする人ほど、うまくいかない傾向があります。もちろんお金をかける必要がある場面もありますが、例えば高額なWEBサイトの制作やコンサルタントの導入などはすぐに要るものではありません。特に起業当初はお金をかけなくても自分で工夫できることがないか、まず考えてみるようにしましょう。

自分にあった起業のテーマを見つける3つのステップ

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シニアの方々は、日本の高度成長を支えてきた素晴らしい経験と実践的なスキルをお持ちの方が多くいらっしゃいますが、雇われない生き方を経験したことのない人にとっては起業といっても何から始めれば良いか分からないものです。

そんな方のために、自分に最適な起業テーマにたどりつく3つのステップを提案してみます。

ステップ1  時代にマッチする経験やスキルを棚卸しチェックする

まずは、自分自身を客観的に見つめることから始めてみましょう。

幼少期から現在までの1年ごとのバイオリズムイメージをグラフにして、それぞれの最上点と最下点の出来事とその要因分析、そして各世代で描いていた夢や目標などを書き出すことも有効な方法です。

徐々に自分の強みが見えてきて、子供の頃の漠然とした夢や目標が、大人になってから大きく影響していることに驚かれることも多いようです。

ステップ2 やりたいこと、できること、社会に望まれていることを書き出す

本当にやりたいことは何か? 自分にできることは何か? を30項目ほど書き出してみると、さらに自分の強みが明確になってきます。これは従来の既成概念を取り払い、頭を柔らかくするためでもあるので、夢や妄想レベルでも構わないので、とにかく量を書いてみましょう。

ステップ3 社会の課題を具体的に30項目書き出す

社会の課題、つまり世の中の人が困っていることを列挙してみましょう。ニュースや新聞記事から拾ってもかまいません。この作業は起業のテーマ探しなので、ひとつひとつ掘り下げなくても構いません。

シニア起業を応援する融資や助成金について

たとえ小規模であっても起業するとなればそれなりに開業資金は必要です。 最近は、国や自治体でもシニア起業を応援するさまざまな補助金制度が充実してきています。なかには返済不要の助成金などもあり、起業する人には気持ちの上でも大きな支えになることは間違いありません。

また、金銭面のサポートだけではなく、シニア起業の相談をできる合同説明会の開催など各自治体が独自で実施しているシニア起業支援もありますので、お住まいの自治体のホームページなどもぜひチェックしてみてください。

シニア起業で活用できる金銭的なサポート一覧

名称 管轄 対象 条件 融資額・支援額
女性、若者/シニア起業家支援資金 政策金融公庫 女性、若者/シニア起業家 ・女性または35歳未満か55歳以上の方 ・事業開始後おおむね7年以内の方 融資限度額7,200万円
創業支援等事業者補助金 経済産業省 新たに創業する人 ・従業員の雇用が1名以上必要 返済不要 支給額は100〜200万円で、補助率は1/2以内。
シニア起業家支援事業 自治体 シニア起業家 自治体により、内容が異なる。必ずしも資金援助とは限らない。 ・最大200万円の助成金を支給(兵庫県) ・シニア向け起業合同就職説明会を実施(埼玉県)など
生涯現役起業支援助成金 厚生労働省 40歳以上の起業者 起業者、および従業員(中高年齢者等)の雇用に要する費用。 募集・採用や教育訓練の実施などの一部を助成 最大200万円の助成金支給
※認定支援機関の活用 中小企業庁 起業や経営改善をする人 (商工会や商工会議所といった団体のほか、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士といった経営のエキスパートが認定されている機関。全国に普及している) 認定支援機関の支援を受けて、経営改善計画書を策定する場合には、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士などの専門家に支払う費用の2/3

※「創業補助金」のようにシニア起業限定のものではなかったり、シニア世代を雇用する事業主がもらえる助成金などもありますので、自分にあったものがどれかをよく確認するようにしましょう。また融資を希望する場合、事業計画書を準備しておくこともおすすめします。

日本に起業のテーマは豊富にある

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世界中でも類を見ないスピードで少子高齢化時代に向かっている日本は、課題先進国でもあります。従来の縦割り行政では課題解決に時間がかかったり、置き去りにされたままの問題が多く存在しますが、逆にこのことが民間事業のチャンスであり、起業のテーマにもなりうるのです。また、昨今では「SDGs」の取り組みを考えてみることも起業のヒントにつながりそうです。

自分だけの起業のテーマを見つけて、生涯現役のアクティブシニアを目指してみるとよいでしょう。それでも、やっぱり自分で起業するのは不安という方は、すでにノウハウや知名度があるフランチャイズを始めてみるのも良いかもしれません。

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