就労継続支援事業って?障害福祉需要の増加で注目されるビジネスを紹介!

フランチャイズWEBリポート編集部 |2022年02月01日 公開 (2022年02月02日 最終更新)
就労継続支援事業 就労継続支援A型 就労継続支援B型 ビジネス

いま日本では、障害がある方の数が年々増加しています。内閣府の公開した「障害者白書」によると、2006年から2018年にかけて障害のある方がおよそ300万人も増加しました。障害者福祉に関する需要が伸び続ける中で、障害がある方に就労の機会を設ける仕組みとして「就労支援事業」に注目が集まっています。

この記事では、国が定める障害者支援事業「就労継続支援A型」及び「就労継続支援B型」についてご紹介します。

就労継続支援事業とは

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そもそも、就労継続支援事業やA型・B型と呼ばれる区分は一体なんでしょうか? 区分の前に、まず就労継続支援とは、障害者総合支援法(旧 障害者自立支援法)において、以下のように定められています。

通常の事業所に雇用されることが困難な障害者につき、就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう

簡単に言えば、就労を希望する障害者の中で一般企業等への就労が難しい方を対象に、就労の機会を創り出し、必要な技能を身に着けてもらう事業となります。つまり、最終的なゴールを一般企業等への就労として、そこを目指す手助けをする福祉事業と言えるでしょう。

また、就労継続支援事業の中でもA型事業所とB型事業所に分かれており、A型事業所は雇用契約を結んだ上で就労するのに対し、B型事業所では雇用契約が難しい方を対象としています。そのため、A型事業所では労働基準法の定める最低賃金等が保障されています。

障害者の就労を助ける3つの仕組み

障害がある方への就労支援事業は、国の障害者総合支援法によって定められています。一般企業等への就労を目指して、必要な技能を身に着けていくのが最終的な目標です。事業は大きく3つのステップに分かれており、「就労移行支援事業」「就労継続支援事業」「就労定着支援事業」それぞれの事業を経て、一般企業等での就労を目指します。

就労支援だけじゃない!就労継続支援事業の社会的な役割

就労継続支援事業は、一般企業等への就労に必要な知識を身に着けてもらう場なのはもちろんですが、それ以外にも様々な形で社会に貢献しています。 ここでは、代表的な3つのポイントをご紹介します。

障害者の居場所を創出する

就労継続支援事業は、就労に関する技能を身に着けるだけでなく、障害がある方に対して「就労の機会」を与えるということも重要な役割です。企業への就労に不安を感じている方や、自分の特性に合った事業所が見つからない方などの受け皿として。また、障害がある方に健康で規則正しい生活を送ってもらうための福祉サービスとして、就労継続支援事業は社会にプラスの影響を与えています。

コミュニケーション能力等の向上が期待できる

就労に関するスキル以外にも、就労継続支援事業所では障害者同士のコミュニケーションや自立を促し、社会性を育む場も担っています。大勢の利用者と一緒に過ごすことで得られるスキルは就労継続支援事業だからこそのもの。人と関わることによるメンタルヘルスケアの効果もあり、障害者の健康的な生活の一助になっています。

障害者世帯への経済的支援に繋がる

特に就労継続支援A型事業所では、原則利用者と事業者は雇用契約を結ぶ必要があるため、労働基準法で定められている最低賃金等の規定を遵守しなければなりません。一般企業と同じように月々安定した給与を得られる場合も多く、単なる福祉ではなく障害者世帯への経済的な支援にも繋がっています。

ちなみに、厚生労働省の調査によると就労継続支援A型事業所の平均工賃は78,975円となっています。

就労継続支援事業を始めるなら知っておきたい5つのこと

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就労継続支援事業の開業を検討する場合、押さえておきたいポイントを5つご紹介します。

<作業内容>一般企業との差は少なく様々な種類がある

A型事業所では、一般企業等への就労が難しい方のなかでも、比較的軽度な障害のある方が就労する事業所です。そのため、基本的な作業は一般的な企業などと比べても大きくは変わりません。しかし、就労時間に関しては短い傾向にあるため、時間に縛られない単純作業が多くなります。

代表的なA型事業所の作業内容は以下になります。

飲食店のホールスタッフ
データ入力
パッキング・宅配
農作物の栽培
清掃業 など

B型事業所でもおおよその作業は変わりませんが、より福祉的な側面が強くなり作業も単調なものが増える傾向にあります。また最低賃金補償がない分、収益化の難しい就労内容でも事業として運営が可能です。そのため、一般企業ではみられないような、一風変わったスキルを身につけられる事業所もみられます。

<給与体系>利用者への賃金は事業売上から支払う必要がある

平成元年度の就労継続支援事業所平均工賃は以下の通りです。
就労継続支援A型事業所:78,975円
就労継続支援B型事業所:16,369円

就労継続支援事業は、利用者への賃金を事業売上から支払う義務があります。事業を進めるにあたって国や自治体からはいくつかの補助金が受け取れますが、これらは利用者への賃金には当てられないため注意が必要です。

A型事業所においては、障害がある方でもできる作業内容で、ある程度の収益を確保する必要があります。そのため、新規参入へのハードルは高く、就労継続支援A型を運営する事業所の内、およそ7割で事業赤字に陥っているとのデータもあります(厚生労働省「就労継続支援A型事業所の経営改善計画書の提出状況等」より)。就労支援事業に初めて参入する方や就労を検討している方は、実績のあるフランチャイズブランドを活用するのも1つの選択肢と言えるでしょう。

就労継続支援B型事業所は就労支援事業の最低要件として、平均支給額が月額3000円程度を上回る必要があります。しかし、時間あたりの最低賃金については定められておらず、事業所全体の時間給は平均して223円程度と、最低賃金を大きく下回ってしまっています。

その分、B型事業所には福祉サービスとしての側面が強く、利用者が伸びのびと過ごせるような環境作りに配慮されている事業所が多くあります。また事業経営のリスクも低いため、比較的長く安心して働ける環境と言えるでしょう。

<利用料>利用者の利用料は大部分が控除される

就労継続支援事業所はそれぞれ利用料が異なりますが、事業所の負担上限額については国によって定められています。具体的には、利用者とその配偶者の収入を合算した額や生活保護の有無によって変わります。

利用料控除の詳細を以下の表にまとめています。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯 (世帯収入600万円以下が目安) 9,300円
一般2 上記以外 37,200円

※詳しくは、厚生労働省のホームページをご参照ください

ここでの世帯とは、障害がある利用者本人とその配偶者のことになります。同居している親族の収入は含まれないため、実際のところ負担なしで利用できるケースも多いようです。

また、前述のとおり厚生労働省の調査によれば、A型事業所の平均工賃は78,975円となっており、多くの利用者にとって負担額が報酬額を超えることはありません。

<利用対象者>一般企業等への就労が難しい方

就労継続支援A型の利用対象者は、以下の3点の内いずれか1つでも当てはまる方となります。
1.就労移行支援事業を利用したが、企業等への雇用に結びつかなかった者
2.特別支援学校を卒業して就職活動を行なったが、企業等への雇用に結びつかなかった者
3.就労経験のある者で、現に雇用関係の状態にない者

さらに、障害がある方の中でも「適切な支援があれば雇用契約に基づく就労が可能な方」であることが必要です。比較的重度の障害がある方は、A型事業所ではなくB型事業所での就労を検討する必要があります。

<利用方法>インターネット検索やハローワークから探す

就労継続支援事業所を探す場合は、ハローワークが一般的な選択肢となります。ハローワークでは障害のある方専用の相談窓口が設けられており、直接人事担当者と面談ができます。さらに、ハローワークによっては就労支援事業の体験会や合同での面接会が催されることもあり、そこから就労先を探すことも可能です。

昨今では就労支援事業専用のマッチングサービスが増えたこともあり、インターネットで就労先を探したり、マンツーマンで事業所を紹介してもらえるサービスを利用される方も多くいます。これらは各就労希望者の好みに合わせて使い分けていくのが良いでしょう。

選ばれる就労継続支援事業を立ち上げるには

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就労継続支援事業の経営を成功させる上で、もっとも大事なのは収益と福祉のバランスです。就労支援事業は福祉と事業経営に関する知識が両方必要になるため、しっかりと事業計画を練った上で、福祉事業としての細かな要件に応えていかなければなりません。そのため、どちらかに偏り過ぎないようにバランスよく事業を運営していけるかどうかが、就労支援事業を成功させるカギとなります。

B型事業所であれば、事業所と利用者は雇用関係を結ばず出来高制で賃金を払えるため、利用者一人ひとりのペースに合わせて作業してもらえます。利用者が求めるものも、仕事としてよりも福祉的な面が大きく、魅力的な訓練内容や居心地のいい環境づくりが求められる傾向にあるようです。

一方でA型事業所は、最低賃金分を保障する必要があるため、ある程度、収益性の高い事業を運営する必要があります。利用者にも高い給与や働きやすい職場環境など、一般企業と同じような面を求められる傾向にあるため、これらを就労希望者に見えるような形で伝えていくことが重要です。

開業ならしっかりとした事業計画が大事!

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就労支援事業を開業する場合、福祉施設として設備内容や人員配置について細かな要件を満たさなければならず、提出書類の作成も難しくなっています。また、国や自治体からは利用者数に応じた補助金(訓練等給付金)などが得られますが、利用者に支払う給与は事業の売上から捻出しなければなりません。そのため、就労継続支事業の開業は業界未経験だと比較的難易度の高い事業と言えるでしょう。

就労継続支援事業で収益を得るためには、まずは利用者の就労支援施設に対するニーズを知った上で、安定収益の見込める事業をしっかりと練り上げていくのが大事です。業界未経験の方は特に、書類作成や設備設計・事業計画について相談できるフランチャイズを活用することも視野に入れ、検討してみてはいかがでしょうか。

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