コロナ禍でも黒字を達成!自社ブランドも手掛ける飲食系の企業が「焼肉ライク」にFC加盟したワケ
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焼肉のファストフード店をコンセプトに、2018年に誕生した「焼肉ライク」。同年の11月にフランチャイズ展開を開始すると、およそ3年後には国内外100店舗に到達するなどすさまじい勢いで成長を続けました。コロナ禍に“個食”や“換気”で注目を集めたのも、記憶に新しいところです。
この記事では、2019年に「焼肉ライク」のフランチャイズに加盟し、同年4月に「焼肉ライク秋葉原電気街店」をオープンさせた「株式会社アントレスト」の中岸 孝介代表にインタビュー。複数の自社ブランドも手掛ける同社が「焼肉ライク」のフランチャイズに加盟した経緯や、オープン後の売上推移、コロナ禍にも立て続けに新店舗をオープンさせた背景などを語ってもらいました。
30秒で分かる「焼肉ライク」
「焼肉ライク」は“焼肉のファストフード店”がコンセプトの焼肉店です。テーブルに1人1台の専用ロースターを搭載することで、“1人焼肉”という新たなニーズを取り込むことに成功。2018年1号店の「新橋本店」がオープンしたときには、大行列ができるほど話題になりました。
焼肉店でありながら高回転を実現しているのも「焼肉ライク」の特徴です。従来の焼肉店の場合、滞在時間は100分ほどといわれているなか、「焼肉ライク」の滞在時間は25分程度。1日最大で18回転が可能で、月商2000万円の実績を誇る店舗もあります。
徹底したシンプルオペレーションを実現することで参入の障壁が低く、加盟オーナーの4割が飲食未経験。店舗運営は飲食未経験のアルバイトでもできるため、人材を確保しやすいのも特徴のひとつです。異業種からの参入もしやすく法人企業の加盟が増えています。
シンプルなオペレーションでフランチャイズに向いていると感じて「焼肉ライク」にFC加盟
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株式会社アントレスト 代表取締役。2004年に「焼肉ライク」の元代表である有村壮央氏とともに株式会社アントレストを創業。その後、「魚串さくらさく」を中心に飲食店をプロデュース。2019年には「焼肉ライク」のフランチャイズに加盟し、1号店となる「焼肉ライク秋葉原電気街店」をオープン。その後も立て続けに「焼肉ライク」をオープンし、2025年現在は9店舗を展開する。
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2004年に創業した会社で、飲食をメインに事業を展開しています。「焼肉ライク」のフランチャイズ加盟店としてだけでなく、自社ブランドで「魚串さくらさく」「天ぷらすずき」「氷おばけ」などのブランドもプロデュースしています。「焼肉ライク」の9店舗を含めて、トータルで23店舗の飲食店を手掛けている状態です。
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チャンスがあれば焼肉ライクのフランチャイズに加盟したいとずっと考えていました。実は、「焼肉ライク」の元代表・有村壮央氏は「株式会社アントレスト」の共同創業者なのでつながりがありました。アントレストは創業時、自社ブランドの「魚串さくらさく」がフランチャイズ店舗も含めて約20店舗まで拡大したのですが、そこからなかなかうまくいかずに7店舗ほどに縮小しました。この停滞期をなんとか乗り切ろうと、有村氏が「西山塾」に入って経営について学び直すことになりました。
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はい。その西山塾で「牛角を超える世界一の焼肉店を作る」プロジェクトが立ち上がり、有村氏に声がかかりました。それこそが「焼肉ライク」です。有村氏はその後、アントレストを抜けて「焼肉ライク」の事業に専念しました。
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昔から焼肉が好きだったので、1人で気軽に焼肉を食べられるお店があったらいいなと思っていました。ビジネスモデルとしても本当に優秀で、オペレーションがシンプルなのでフランチャイズにも向いていると感じました。
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弊社でも自社ブランドの飲食店をフランチャイズ展開しているのですが、完璧なマニュアルを用意しても加盟店がその通りに調理をしてくれるとは限りません。スタッフの経験値によっても変わってきますし、どうしても感覚に頼って調理をしてしまうケースもあります。たとえば「魚串さくらさく」では魚を炭火で焼いてお客様に提供するのですが、焼く時間や炭の加減によってクオリティに大きな差が生じてしまいます。
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おっしゃる通りです。もちろん繰り返し研修を実施してなんとか一定のクオリティを保とうと努力はしているのですが、たとえば加盟店のスタッフが新しく入社してきたスタッフに教える場合などに、正しくはないやり方で伝わってしまうこともあります。そうなると本部が理想とするクオリティに達さないケースも珍しくありません。
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はい。一方、「焼肉ライク」はお客様が調理をしますので、調理のノウハウは必要とせず、一定のクオリティを担保しやすいんです。直営1号店の「焼肉ライク新橋本店」が2018年8月にオープンしてから常に行列を作っていて、そういった状況を見聞きしておりました。弊社としてもすぐにフランチャイズ加盟し、2019年4月29日に「焼肉ライク秋葉原電気街店」をオープンさせました。
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コロナ禍でも黒字をキープ!「コロナ禍後の売上回復のイメージが明確でした」
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初月からかなり良かったですよ。通常「焼肉ライク」は路面店が多いなか、秋葉原電気街店は2階にあって、本部からはチャレンジングな立地とお聞きしていました。でも家賃も安く、初期費用を抑えるには丁度いいうえ、人通りも多く、道幅もあって歩くスピードも遅くなる場所なので、「焼肉ライク」のブランド力があれば問題なく集客できると考えていました。
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はい。2019年5月は売上目標を960万円に設定していましたが、目標をはるかに超える1458万円。その後も1400万円台をキープし、9月には1500万円を超えるまでになりました。
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第1回目の緊急事態宣言が発令された2020年3月には1280万円と少し落ちて、4月には550万円、5月が700万円まで落ち込みました。ただ、家賃も安く、600万〜700万円ほどの売上があれば黒字ですので、コロナ禍でもほぼ黒字の状態をキープできていました。
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「魚串さくらさく」をはじめ自社ブランドはアルコールがメインの業態ばかりなこともあってお客様は激減。1店舗は閉店を余儀なくされ、売上も平均すると半分くらいまで落ちました。お弁当を販売するなどさまざまな施策を試みましたが、それでも黒字にはほど遠い状態でした。ただ、「焼肉ライク」だけは黒字でしたので、そのおかげで精神的にも安定できました。コロナ禍にもかかわらず会社が成長を続けられたのは、「焼肉ライク」のフランチャイズに加盟していたからだと考えています。
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コロナ禍でも黒字をキープできているという実績があるのはもちろん、コロナ禍前の繁盛ぶりを経験していますので、コロナ禍でも自信を持って店舗数を増やしていっただけです。
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そうですね。コロナ禍で「焼肉ライク」が“個食”や“換気”などでメディアでも話題になり、大きな注目を集めました。そういった背景から、コロナ禍後にオープンした店舗もたくさんあったとお聞きしています。
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そうですね。ただ、コロナ禍前の繁盛ぶりを知らないオーナーさんの中には、想定より売上が伸びず「本業に専念したい」などの理由で引き継ぎ先を探す方もいらっしゃったと思います。弊社はコロナ禍前を経験していたので、コロナ明けの売上回復のイメージが明確でした。ですので、4店舗目以降はそういった店舗を積極的に引き継いで店舗を増やしていきました。
コロナ禍後も順調に成長、2024年12月はほぼ全店で過去最高売り上げを記録
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予想はしていましたが、コロナ禍が終わって売上が落ちることはなく、むしろ順調に伸ばし続けています。2024年の12月はほとんどの店舗で過去最高を記録しました。1号店の「秋葉原電気街店」は売上2100万円に到達しましたし、「武蔵小山店」は昨対比120%を記録しました。
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もちろんブランド力もあるとは思いますが、弊社はこれまで20年間も飲食事業で成長を続けてきて、それだけのノウハウを有しているつもりです。オペレーションがシンプルな点が「焼肉ライク」の魅力で、未経験でも加盟できるとはいえ、弊社のように飲食事業を展開している企業でしたら、それを掛け合わせて売上を最大化することもできるはずです。
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おっしゃる通りです。とはいえ、我を通すのではなく、フランチャイズ本部が決めたことをしっかりやり切ることも重要だと考えています。
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はい。あとは、「焼肉ライク」ではお客様がお肉を焼くので調理がいらず、接客も工程が少ない点が魅力かもしれません。しかし、だからといってお客様に何もサービスをしなくていいわけではありません。ビジネスモデル的に接客も最低限になりがちですが、お客様も全員が全員それを望んでいるわけではありませんので、スタッフには日々しっかり丁寧に接客していくように伝えながら運営しています。
優秀な本部のノウハウを自社ブランドに活かすことで同時に成長
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大いに感じています。まず、優秀な本部からマーケティングや店舗運営のノウハウなどを直接学べる点は大きなメリットのひとつです。そのノウハウを自社ブランドに活かせば、自社ブランドも同時に成長させられますからね。今後、「天ぷらすずき」というブランドをフランチャイズ展開する計画なのですが、「焼肉ライク」のサポート内容などは取り入れたいと考えています。
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はい。また、本部が主催の研修を定期的に開催してくれるので、それに参加することでスタッフの成長につながりますし、その内容を社内で共有することで全体の成長も期待できます。
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本当にそう思います。あとは、常に手を打ち続けることの重要性は、「焼肉ライク」のフランチャイズに加盟して改めて感じさせられました。「焼肉ライク」がなぜこれまで店舗を増やし、売上を伸ばし続けているかというと、常に手を打ち続けているからだと思います。あらゆる施策を実行し、しっかりと振り返り、反省点を次の施策に活かす。それを「焼肉ライク」は抜かりなく実行しているからこそ、ここまで話題を作り、成長を続けてきたと考えています。
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そういった声をお聞きすることもあります。ただ、どれだけ人気のブランドでも店舗数が伸び悩むなど、停滞期があるといわれますよね。そこで停滞したままなのか伸びるのかはブランドによって異なりますが、結局は本部の能力次第と考えています。
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心配していませんよ。「焼肉ライク」は休むことなく手を打ち続けてくれるはずですので、この停滞期を乗り越え、成長するブランドだと考えています。この「常に手を打ち続ける」という点は弊社としても意識するようになりましたし、今後も続けていかなくてはいけないと感じています。
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2019年に1号店をオープンし、およそ5年で9店舗まで拡大することができました。近々の目標としては、10店舗まで拡大できたらと考えています。
取材を終えて
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じつは、「焼肉ライク」が話題になったコロナ禍に食べにいって以来、足が遠のいていました。この取材をきっかけに翌日、近所の「焼肉ライク」に行ったところ、以前行ったときとはある点で様子が変わっていることに気づきました。それは“客層”です。
以前は、「焼肉ライク」の特徴でもある“1人焼肉”をしている男性客がほとんどだったと記憶しています。しかし今回行ったら、筆者のように“1人焼肉”をしている男性客だけでなく、カップルや女性同士、ファミリーなどさまざまな客層が訪れている様子でした。
客層が変化しているのは、コロナ禍による生活様式の変化や物価上昇なども背景にあるかもしれません。しかしそれに適応するため、常に手を打ち続けた「焼肉ライク」のマーケティング施策の賜物だと思います。今後もさまざまな変化に常に対応しつつ、愛されるブランドであり続ける──そう強く感じました。
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