フィットネス業界売上3位!「生きがい創造企業」を掲げるルネサンスの挑戦
「スポーツクラブ ルネサンス」を中心に展開し、フィットネス業界の売上シェア国内3位、世界10位を誇り、東証一部上場も果たしている株式会社ルネサンス。
2012年から介護事業にも参入し、リハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」を展開するなど、人々の健康に関わる事業を行なっている株式会社ルネサンスに、事業にかける思いや理念についてお話を伺いました。
株式会社ルネサンスとは
「スポーツクラブ ルネサンス」をメインに展開し、フィットネス業界の売上高ではコナミ、セントラルスポーツに続いて国内第3位(出典:Fitness Business No.100)、世界第10位(出典:Club Business International JULY 2018)という実績をもち、2019年に創業40周年を迎えた株式会社ルネサンス。東証一部上場もしている大手フィットネス企業です。
そんな株式会社ルネサンスの社名の由来は、14世紀の美術・芸術の復興活動と認識される「ルネサンス」。
昨今の管理された社会、物質中心に偏り過ぎた社会に対する『人間性回復のための運動』を創業の精神に掲げ、現在はすべての世代の人に楽しい健康づくりを提案。一人ひとりの生きがい創りを手伝う「生きがい創造企業」という理念で事業展開をしています。
子どもから高齢者、運動初心者からトップアスリートまでが幅広く利用する総合型スポーツクラブの「スポーツクラブ ルネサンス」を日本全国に約100店舗展開。その他に、ヨガや加圧サロンの小型スタジオや自治体や企業の健康づくり、介護リハビリなど、健康にまつわる幅広い事業を展開し、国内に166施設、会員数は40万人を超えます。
今回はそんな株式会社ルネサンスの執行役員兼アクティブエイジング部 部長 鈴木 有加里さんに、会社の歴史や事業への思い、そして「スポーツクラブ ルネサンス」の高齢者会員が増えたことをきっかけにできた新規事業についてお話を伺いました。
スポーツクラブでフィットネストレーナー、支配人業務を経て、2005年より介護予防事業を開始。介護予防や生活習慣病予防のプログラム開発を手掛ける。現在はリハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」の事業責任者を務める。
社内ベンチャーからフィットネス業界売上世界10位に! ルネサンスの歩み
ありがとうございます。2019年3月の時点で連結売上高は460億円、会員数は日本国内の直営施設だけで41万人いらっしゃいます。
そうですね。リハビリ施設に関してはフランチャイズ展開もしていますが、スポーツクラブは受託施設を含めて直営で展開しています。
ジム・スタジオ・プール・テニスコート・ゴルフレンジ等の設備と、サウナ・お風呂などのリラクセーション設備を完備した総合型スポーツクラブ「スポーツクラブ ルネサンス」を中心にスポーツクラブ事業を133施設、その他に小型スタジオや介護施設など合わせて166の国内施設があります。
始まりは1979年になります。当時、大日本インキ化学工業株式会社(現:DIC株式会社)の化学技術者で、現在の株式会社ルネサンスの会長である斎藤敏一が創業しました。
化学者としてDICに就職後、1年目でスイス留学に行った斎藤会長が、「仕事だけでなく自分の時間を大切にする」という欧州のライフスタイルに感銘を受け、日本の働き方との違いを痛感。留学を終え日本に戻ってきてから「人が人間らしく生きられるように」という思いで、社内ベンチャー事業としてスポーツ事業部をスタートさせたのがきっかけでした。
当初はDICのウレタン樹脂を使ったインドア8面のテニススクールの事業から始まり、1981年に事業を複合化し「スポーツクラブ ルネサンス幕張」が誕生。1982年にはDIC株式会社の100%子会社として、株式会社ディッククリエーションが設立されました。
2003年には株式会社ルネサンスという社名に変更し、スポーツクラブ以外の事業も展開していきました。
そして、2006年には、展開しているスポーツクラブおよび関連施設数は全国で約70施設となり、東証一部上場を果たしました。
2014年にはベトナム1号店「スポーツクラブ ルネサンス イオンモールビンズオンキャナリー」をオープンし、グローバル企業としての一歩を踏み出しました。
時代が変わり、社会が変わり、人々が変われば、それに応じて求められるものも変化していきます。ベースは守りつつも、それらのニーズに柔軟な姿勢でアプローチをしていくことが、フィットネス業界で成長し続けるためには必須と言えるかもしれません。
近年では、これまでの総合施設で多様な運動をするというよりも、より自分がやりたいもの、チャレンジしたい種目に特化した施設を選びたいというお客様のニーズが顕在化することによって、ボクシングやバイク、パーソナルトレーニングといった専門種目に特化した施設が増えていますね。健康に対する選択肢は、運動に限らずどんどん広がってきています。
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ルネサンスが掲げる「生きがい創造企業」とは
約100施設以上ある「スポーツクラブ ルネサンス」が中心ですが、それ以外に比較的小型の施設として、「ドゥミ ルネサンス」や「バニスタ」といった女性専用フィットネススタジオの運営も行なっています。日本初上陸となる圧倒的映像美の中でサイクリングを楽しむ、VR映像を用いた「CYCLE & STUDIO R Shibuya」も特徴的ですね。
そうですね。高齢者向けのリハビリ特化型デイサービス施設「元氣ジム」を運営しています。行政と連携した介護予防事業をしていて、介護が必要になった方にもできることがあるのではないかと思い、介護事業に参入しました。
「元氣ジム」はフィットネスのような楽しさと、理学療法士による一人ひとりに合わせた本格的なリハビリを融合させたデイサービスです。「いつまでも自分の足で歩きたい」という高齢者の声に応える形で発足しました。
昨今は超高齢社会と言われるように寿命が伸びていますが、ただ長く生きるのではなく幸せに生きるためには、健康寿命を伸ばすことが大きな課題となっています。
ルネサンスは「生きがい創造企業」という企業理念を掲げており、こうした社会的な背景も見据えつつ、すべての世代のお客様に「楽しい健康づくり」をご提案し、一人ひとりの「生きがい創り」のお手伝いできる事業を展開しています。
そうですね。「生きがい創り」のお手伝いをするためには、単に運動場所を提供するだけではなく、「元氣ジム」に代表される高齢者支援や、地域コミュニティの活性化にも力を入れて取り組んでいかなければなりません。
健康というのは、必ずしも肉体だけで作られるものではありませんからね。
シニア層の「運動したい」という顕在ニーズを引き出したルネサンスの施策
ルネサンスには、2019年3月時点で41万人以上の会員の方がいらっしゃいますが、そのうち50代以上の方が53.0%と、半数以上を占めています。
実は、そうでもないんです。
1994年のデータになりますが、当時は60代のシニアの会員が3.3%と低く、スポーツクラブは若者が利用するものというイメージを持たれてしまっていました。ジムの様子も仕事帰りのお客様が来店する夜の時間帯は賑わっているものの、平日の昼間は人が少ないという状況でした。
そこで、平日の昼間にもっと多くの方に利用していただこうということで、業界に先駆けて60歳以上のシニア会員制度を導入しました。
今では60歳以上の会員が約34%と創業当初の10倍に伸びるほど、効果は抜群でしたね。割引自体は60歳以上の方に向けたものでしたが、実は同時期に50代の会員も急増したのです。
その理由を掘り下げてみると、面白い事実が分かりました。
50代には若者ばかりの中で運動するのは気が引けるという方々や、自分でも運動できるのかと不安に思っていた方々が多く、ジムに興味がありつつも入会できていないという人が大勢いらしたようなんです。
ですが、シニア会員制度によって、60歳以上の会員募集を見て「60代の人が入れるなら、50代の自分でも入会できるんだ!」と勇気づけられたようです。
そうですね。結果的にミドル・シニア世代の方々にも多くジムを利用いただけるようになり、幅広い世代の健康づくりのお手伝いが出来ているのではないかと思います。
スポーツクラブの利用者は全国的に伸びていますが、日本の人口に対するフィットネス参加率は4%程度と言われています。米国の20%と比較すると日本のフィットネス参加率は、実はとても低いんです。
そうなんです。なので、ジムで運動したい人を待っているだけでは、残りの96%の人々の健康をサポートできない。その思いから、2006年から企業に訪問してオフィスでできる運動をレクチャーする活動にも取り組んでいます。
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介護業界への参入は「生きがい創造企業」としての使命
そうですね。1994年時点では50歳以上の会員が11.5%だったのに対し、現在53%と年々会員の年齢層が上がってきていることもあって、2005年から行政と連携しながら、ジムの休館日を利用した介護予防事業を実施していました。
当時私は介護予防のプログラムを作成したり、全国のルネサンスの施設で介護予防ができるようにスタッフ研修をしていたんです。しかし、介護予防プログラムに参加している方がいる一方で、介護が必要になっている方も増えてきていることを目の当たりにし、介護が必要な方の健康までサポートすることはできないかと考えていたんです。
今までの予防介護はグループで楽しく運動するので継続はしやすいのですが、介護となると疾患をお持ち方が利用するので、運動指導だけでは不十分ですし、中途半端な知識で指導すると症状を悪化させてしまう可能性があるなどのリスクはありました。
そうですね。個人的な話にはなりますが、20年ほど母の介護経験があり、理学療法士による専門的なリハビリの重要性というのは理解していました。
なので、理学療法士や看護師の方による医療的な側面からの評価やリハビリと、グループエクササイズの楽しさ・継続性を融合させた、ルネサンスにしか出来ないデイサービスを作りたいと思っていました。
実は、ちょうど一緒にデイサービスを取り組んでくれる医療職はいないかと考えていた時に、病院のリハビリに課題を感じていた理学療法士の橋本(現 株式会社ルネサンス アクティブエイジング部 専任課長)から、事業計画書がルネサンスに送られてきたんです。
それをきっかけに、医療的側面をしっかりと取り入れたリハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」の事業を本格的に走らせることになりました。
高齢者のリハビリ問題は大きな社会的な課題となっていて、急速な店舗展開が求められているので、元氣ジムには、社会的問題の解決と地域社会の活性化を期待しています。
スポーツクラブのノウハウや経験を活かして作り上げたルネサンスにしかできないデイサービスで、もっと多くの方の「生きがい創り」を支えていければと思います。