フィットネス業界売上3位!「生きがい創造企業」を掲げるルネサンスの挑戦

フランチャイズWEBリポート編集部 |2020年02月16日 公開 (2024年07月26日 最終更新)
元氣ジムのフランチャイズに加盟されたオーナーの写真

「スポーツクラブ ルネサンス」を中心に展開し、フィットネス業界の売上シェア国内3位、世界10位を誇り、東証一部上場も果たしている株式会社ルネサンス。

2012年から介護事業にも参入し、リハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」を展開するなど、人々の健康に関わる事業を行なっている株式会社ルネサンスに、事業にかける思いや理念についてお話を伺いました。

株式会社ルネサンスとは

「スポーツクラブ ルネサンス」をメインに展開し、フィットネス業界の売上高ではコナミ、セントラルスポーツに続いて国内第3位(出典:Fitness Business No.100)、世界第10位(出典:Club Business International JULY 2018)という実績をもち、2019年に創業40周年を迎えた株式会社ルネサンス。東証一部上場もしている大手フィットネス企業です。

ルネサンス1号店の「スポーツクラブ&スパ ルネサンス幕張」

そんな株式会社ルネサンスの社名の由来は、14世紀の美術・芸術の復興活動と認識される「ルネサンス」。

昨今の管理された社会、物質中心に偏り過ぎた社会に対する『人間性回復のための運動』を創業の精神に掲げ、現在はすべての世代の人に楽しい健康づくりを提案。一人ひとりの生きがい創りを手伝う「生きがい創造企業」という理念で事業展開をしています。

子どもから高齢者、運動初心者からトップアスリートまでが幅広く利用する総合型スポーツクラブの「スポーツクラブ ルネサンス」を日本全国に約100店舗展開。その他に、ヨガや加圧サロンの小型スタジオや自治体や企業の健康づくり、介護リハビリなど、健康にまつわる幅広い事業を展開し、国内に166施設、会員数は40万人を超えます。

今回はそんな株式会社ルネサンスの執行役員兼アクティブエイジング部 部長 鈴木 有加里さんに、会社の歴史や事業への思い、そして「スポーツクラブ ルネサンス」の高齢者会員が増えたことをきっかけにできた新規事業についてお話を伺いました。

元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

株式会社ルネサンス 執行役員 アクティブエイジング部 部長
鈴木 有加里

スポーツクラブでフィットネストレーナー、支配人業務を経て、2005年より介護予防事業を開始。介護予防や生活習慣病予防のプログラム開発を手掛ける。現在はリハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」の事業責任者を務める。

—— よろしくおねがいします。

社内ベンチャーからフィットネス業界売上世界10位に! ルネサンスの歩み

—— 早速ですが、フィットネス業界で売上国内3位・世界10位ってすごいですね! 売上や会員数どのくらいなんですか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

ありがとうございます。2019年3月の時点で連結売上高は460億円、会員数は日本国内の直営施設だけで41万人いらっしゃいます。

—— 直営施設だけで41万人の会員ということですが、展開としては直営が中心なのでしょうか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

そうですね。リハビリ施設に関してはフランチャイズ展開もしていますが、スポーツクラブは受託施設を含めて直営で展開しています。

—— 施設はどういったものがありますか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

ジム・スタジオ・プール・テニスコート・ゴルフレンジ等の設備と、サウナ・お風呂などのリラクセーション設備を完備した総合型スポーツクラブ「スポーツクラブ ルネサンス」を中心にスポーツクラブ事業を133施設、その他に小型スタジオや介護施設など合わせて166の国内施設があります。

スポーツクラブ事業で国内に133の施設を展開している
—— 売上や施設数など実績を残しているルネサンスですが、いつどのように創業されたのでしょうか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

始まりは1979年になります。当時、大日本インキ化学工業株式会社(現:DIC株式会社)の化学技術者で、現在の株式会社ルネサンスの会長である斎藤敏一が創業しました。

化学者としてDICに就職後、1年目でスイス留学に行った斎藤会長が、「仕事だけでなく自分の時間を大切にする」という欧州のライフスタイルに感銘を受け、日本の働き方との違いを痛感。留学を終え日本に戻ってきてから「人が人間らしく生きられるように」という思いで、社内ベンチャー事業としてスポーツ事業部をスタートさせたのがきっかけでした。

当初はDICのウレタン樹脂を使ったインドア8面のテニススクールの事業から始まり、1981年に事業を複合化し「スポーツクラブ ルネサンス幕張」が誕生。1982年にはDIC株式会社の100%子会社として、株式会社ディッククリエーションが設立されました。

1979年に社内ベンチャー事業としてオープンした「ルネサンステニススクール」の当時の様子
—— 現在のルネサンスとなったのはいつ頃なのでしょうか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

2003年には株式会社ルネサンスという社名に変更し、スポーツクラブ以外の事業も展開していきました。

そして、2006年には、展開しているスポーツクラブおよび関連施設数は全国で約70施設となり、東証一部上場を果たしました。

2014年にはベトナム1号店「スポーツクラブ ルネサンス イオンモールビンズオンキャナリー」をオープンし、グローバル企業としての一歩を踏み出しました。

ベトナム1号店「スポーツクラブ ルネサンス イオンモールビンズオンキャナリー」
—— 社内ベンチャーからグローバル化と40年に渡り挑戦を続けるルネサンスですが、ずばりフィットネス業界の変化はいかがですか
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

時代が変わり、社会が変わり、人々が変われば、それに応じて求められるものも変化していきます。ベースは守りつつも、それらのニーズに柔軟な姿勢でアプローチをしていくことが、フィットネス業界で成長し続けるためには必須と言えるかもしれません。

近年では、これまでの総合施設で多様な運動をするというよりも、より自分がやりたいもの、チャレンジしたい種目に特化した施設を選びたいというお客様のニーズが顕在化することによって、ボクシングやバイク、パーソナルトレーニングといった専門種目に特化した施設が増えていますね。健康に対する選択肢は、運動に限らずどんどん広がってきています。

ルネサンスが掲げる「生きがい創造企業」とは

—— 株式会社ルネサンスでは「生きがい創り」を企業理念として掲げていると伺ったのですが、スポーツクラブ以外にどのような事業を展開しているのでしょうか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

約100施設以上ある「スポーツクラブ ルネサンス」が中心ですが、それ以外に比較的小型の施設として、「ドゥミ ルネサンス」や「バニスタ」といった女性専用フィットネススタジオの運営も行なっています。日本初上陸となる圧倒的映像美の中でサイクリングを楽しむ、VR映像を用いた「CYCLE & STUDIO R Shibuya」も特徴的ですね。

VR映像を見ながらサイクリングをする「CYCLE & STUDIO R Shibuya」のプログラム
—— ルネサンスと言えばスポーツクラブというイメージですが、2012年から介護事業も展開しているんですよね。
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

そうですね。高齢者向けのリハビリ特化型デイサービス施設「元氣ジム」を運営しています。行政と連携した介護予防事業をしていて、介護が必要になった方にもできることがあるのではないかと思い、介護事業に参入しました。

—— リハビリ特化型のデイサービス「元氣ジム」とはどういった施設なのでしょうか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

「元氣ジム」はフィットネスのような楽しさと、理学療法士による一人ひとりに合わせた本格的なリハビリを融合させたデイサービスです。「いつまでも自分の足で歩きたい」という高齢者の声に応える形で発足しました。

—— なるほど。介護分野に参入した理由をもう少し詳しく聞かせていただけますか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

昨今は超高齢社会と言われるように寿命が伸びていますが、ただ長く生きるのではなく幸せに生きるためには、健康寿命を伸ばすことが大きな課題となっています。

ルネサンスは「生きがい創造企業」という企業理念を掲げており、こうした社会的な背景も見据えつつ、すべての世代のお客様に「楽しい健康づくり」をご提案し、一人ひとりの「生きがい創り」のお手伝いできる事業を展開しています。

—— 高齢者の生きがい創りのために介護分野に参入したということですが、運動できる場所の提供だけでは不十分なのでしょうか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

そうですね。「生きがい創り」のお手伝いをするためには、単に運動場所を提供するだけではなく、「元氣ジム」に代表される高齢者支援や、地域コミュニティの活性化にも力を入れて取り組んでいかなければなりません。

健康というのは、必ずしも肉体だけで作られるものではありませんからね。

シニア層の「運動したい」という顕在ニーズを引き出したルネサンスの施策

—— 超高齢社会では健康でいられる時間を長く保つことが大事ということでしたが、スポーツクラブの会員は高齢者が増えているのでしょうか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

ルネサンスには、2019年3月時点で41万人以上の会員の方がいらっしゃいますが、そのうち50代以上の方が53.0%と、半数以上を占めています。

—— 会員の約半数が50代以上とはずいぶん多いように感じますが、以前から高齢者の会員は多かったのでしょうか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

実は、そうでもないんです。

1994年のデータになりますが、当時は60代のシニアの会員が3.3%と低く、スポーツクラブは若者が利用するものというイメージを持たれてしまっていました。ジムの様子も仕事帰りのお客様が来店する夜の時間帯は賑わっているものの、平日の昼間は人が少ないという状況でした。

そこで、平日の昼間にもっと多くの方に利用していただこうということで、業界に先駆けて60歳以上のシニア会員制度を導入しました。

—— 今は多くのスポーツクラブで平日割引などをしていますが、ルネサンスが最初だったんですね! シニア会員制度の効果はいかがでしたか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

今では60歳以上の会員が約34%と創業当初の10倍に伸びるほど、効果は抜群でしたね。割引自体は60歳以上の方に向けたものでしたが、実は同時期に50代の会員も急増したのです。

—— なぜ50代の会員数が増えたのでしょうか。
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

その理由を掘り下げてみると、面白い事実が分かりました。

50代には若者ばかりの中で運動するのは気が引けるという方々や、自分でも運動できるのかと不安に思っていた方々が多く、ジムに興味がありつつも入会できていないという人が大勢いらしたようなんです。

ですが、シニア会員制度によって、60歳以上の会員募集を見て「60代の人が入れるなら、50代の自分でも入会できるんだ!」と勇気づけられたようです。

—— 思わぬ形で潜在ニーズをうまく顕在化できたのですね。
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

そうですね。結果的にミドル・シニア世代の方々にも多くジムを利用いただけるようになり、幅広い世代の健康づくりのお手伝いが出来ているのではないかと思います。

—— 近年の健康ブームでスポーツクラブに通っている人は増えていると思うのですが、日本のフィットネス人口はどのように変化していますか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

スポーツクラブの利用者は全国的に伸びていますが、日本の人口に対するフィットネス参加率は4%程度と言われています。米国の20%と比較すると日本のフィットネス参加率は、実はとても低いんです。

—— 街中にスポーツ施設は増えていますし、スポーツクラブの利用者はもっと多いと思っていたのですが、意外と少ないんですね。
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

そうなんです。なので、ジムで運動したい人を待っているだけでは、残りの96%の人々の健康をサポートできない。その思いから、2006年から企業に訪問してオフィスでできる運動をレクチャーする活動にも取り組んでいます。

介護業界への参入は「生きがい創造企業」としての使命

—— 2012年からリハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」をスタートされていますが、介護事業に参入することになったのは、50代以上の高齢会員の増加が影響しているのでしょうか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

そうですね。1994年時点では50歳以上の会員が11.5%だったのに対し、現在53%と年々会員の年齢層が上がってきていることもあって、2005年から行政と連携しながら、ジムの休館日を利用した介護予防事業を実施していました。

当時私は介護予防のプログラムを作成したり、全国のルネサンスの施設で介護予防ができるようにスタッフ研修をしていたんです。しかし、介護予防プログラムに参加している方がいる一方で、介護が必要になっている方も増えてきていることを目の当たりにし、介護が必要な方の健康までサポートすることはできないかと考えていたんです。

スタジオだけでなく水中での介護予防プログラムも実施している
—— そこで株式会社ルネサンスで本格的に介護事業を始めることになったんですね。介護事業への参入で難しいことなどはありましたか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

今までの予防介護はグループで楽しく運動するので継続はしやすいのですが、介護となると疾患をお持ち方が利用するので、運動指導だけでは不十分ですし、中途半端な知識で指導すると症状を悪化させてしまう可能性があるなどのリスクはありました。

—— 予防介護と介護は似て非なるもの、ということですね。やはり介護には専門職の知識などが必要になるのでしょうか。
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

そうですね。個人的な話にはなりますが、20年ほど母の介護経験があり、理学療法士による専門的なリハビリの重要性というのは理解していました。

なので、理学療法士や看護師の方による医療的な側面からの評価やリハビリと、グループエクササイズの楽しさ・継続性を融合させた、ルネサンスにしか出来ないデイサービスを作りたいと思っていました。

—— そこでルネサンスと介護が結びついたんですね。しかし、一緒に事業を進めてくれる医療職の方を見つけるのは大変ではないですか。
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

実は、ちょうど一緒にデイサービスを取り組んでくれる医療職はいないかと考えていた時に、病院のリハビリに課題を感じていた理学療法士の橋本(現 株式会社ルネサンス アクティブエイジング部 専任課長)から、事業計画書がルネサンスに送られてきたんです。

それをきっかけに、医療的側面をしっかりと取り入れたリハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」の事業を本格的に走らせることになりました。

理学療法士の橋本さん(右)が事業計画書を株式会社ルネサンスに送ったことがきっかけとなって始まった元氣ジム
—— そうして元氣ジムが始動したわけですね。株式会社ルネサンスとして、元氣ジムにどのような期待を込めているのでしょうか?
元氣ジムのフランチャイズWEBリポート編集部

鈴木 有加里

高齢者のリハビリ問題は大きな社会的な課題となっていて、急速な店舗展開が求められているので、元氣ジムには、社会的問題の解決と地域社会の活性化を期待しています。

スポーツクラブのノウハウや経験を活かして作り上げたルネサンスにしかできないデイサービスで、もっと多くの方の「生きがい創り」を支えていければと思います。

—— ありがとうございます。後編では、引き続きルネサンスの執行役員兼アクティブエイジング部 部長の鈴木さんと、理学療法士の橋本さんから、元氣ジムの立ち上げ秘話や初のフランチャイズ展開についてお伺いします。

元氣ジムのフランチャイズに加盟されたオーナーの写真

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